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《2020年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

《2020年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

2016年秋に、Apple「iPhone 7」シリーズがヘッドホン出力端子を廃止して以降、Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急激に普及している。実際、ここ1〜2年で過去の数倍に匹敵する新製品が各社から登場。いまやヘッドホン&イヤホンの主流といえる製品になりつつある。

そのなかでも、高い人気を誇っているのが完全ワイヤレスイヤホンと呼ばれる、左右別体のイヤホンだ。「トゥルーワイヤレスイヤホン」「フルワイヤレスイヤホン」「耳栓型イヤホン」「左右分離型イヤホン」など、いろいろな呼ばれ方をしているこちらのタイプ。一般的なBluetoothイヤホンがプレーヤーとはワイヤレスながら左右本体がケーブルでつながっているのに対して、完全ワイヤレスイヤホンは左右間もワイヤレス接続となっており、ケーブルがいっさい使用されていない。その名のとおり、“完全”“完璧”なワイヤレスイヤホンとなっているのだ。その代表例といえるのがアップルのAirPodsで、こちらが発売されて以降、大きく注目を集めるようになり、現在はさまざまなメーカー/ブランドから数多くの製品がラインアップされている。

Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急速に拡大(写真はiPhone 7 PlusとAirPods)

ヘッドホン出力端子が廃止されたiPhone 7/iPhone 7 Plusの登場で、Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急速に拡大している(写真はiPhone 7 PlusとAirPods)

このように、いま最大の注目株といえる完全ワイヤレスイヤホンだが、まだ登場したばかり、新しいタイプの製品だけに、メリットデメリットがハッキリしている。購入の際には、それをしっかりと見極めなければならない。本特集では、完全ワイヤレスイヤホン選びの4つのポイントをわかりやすく解説するとともに、注目製品の一気レビューをお届けする。レビューでは、音質をメインとしつつも、接続時の手間などユーザビリティも含めてご紹介させていただくので、自分にとってのベストワンを選び出す参考にしていただけたらと思う。

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完全ワイヤレスイヤホンを選ぶ際に注目したい4つのポイント

1.装着感(耳にフィットしてこぼれ落ちないモデルを選ぶ)

特集の冒頭でも述べたとおり、完全ワイヤレスイヤホンの最大のメリットは、ケーブルがいっさいないため、屋外でとても扱いやすい製品になっているということだ。一般的なBluetoothイヤホンは左右間をケーブルで接続しているため、移動時何かに引っかかったり収納時に絡まったり、時には断線など、有線イヤホンと同じトラブルが発生する可能性がある。もちろん、ケーブルの長さは圧倒的に短いし、ネットバンドを採用するなどの工夫によってケーブルにまつわるトラブルは格段に少ないが、わずかながら可能性は残る。また、これは気分の問題だが、左右がつながっているのがうっとうしく感じるユーザーもいるだろう。対して完全ワイヤレスイヤホンは、左右が独立していて、ケーブルにまつわるトラブルやストレスから完全に解放される。これだけでも充分な魅力といえる。

これは同時に、完全ワイヤレスイヤホンのデメリットともなっている。それは、落としやすくなくしやすいことだ。実際、通勤時などに完全ワイヤレスイヤホンが耳からこぼれ落ちてしまう人に少なからず遭遇する。筆者も、電車とホームのすき間に落ちてしまい絶望的な顔をしている人に会ったことがある。それも、ひとりやふたりではない。

完全ワイヤレスイヤホンは、本体内ですべての構成が完結しなければならないため、有線タイプのイヤホンに対して本体が大きくなりがちで、どうしても落ちやすい傾向があるのだ。そのため、女性など耳穴の小さい人などは頻繁に耳からこぼれ落ちやすく、なくしたり壊したりする可能性が高くなってしまう。また、本体が小さいことから、自宅などの室内でも思っている以上に見つかりにくいという思わぬ落とし穴もある。そういった事態への対策として、メーカーは本体の形状を最適化したり、収納用のケースを付属したりとさまざまな工夫を行っている。とはいえ、やはり重要なのは実際の装着感だ。自分の耳にちゃんとフィットしているか、実際に製品に触れる機会があるなら確認しておいたほうがいいだろう。

ちなみに、イヤホン本体の紛失への対策として、一部メーカーの製品には片方紛失/故障時の有償サービスが付いているモデルもあったりする。いざというときに大変ありがたいので、製品選びの際のチェック項目として加えておくものいいだろう。

完全ワイヤレスイヤホンは製品によって大きさや形状もさまざま。耳の形状や耳穴の大きさも人によって大きく異なるので、実際に装着して自分の耳にフィットするモデルを選ぶのが鉄則だ

2.ワイヤレスの接続性(切れにくいもの、復帰がスムーズなものを選ぶ)

もうひとつ、完全ワイヤレスイヤホンのデメリットとしてあげられるのが接続状況だ。プレーヤーと左右本体の2箇所をワイヤレスで接続するうえ、左右の間にある人間そのものが電波を通しづらい傾向があるため、音切れが発生しやすい。各社ともアンテナの形状を工夫したり、左右間の接続方式を工夫したりと、さまざまな方法で音切れの回避を行っているが、有線のように完璧な安定接続は不可能であるため、多少の音切れは容認せざるを得ない。

それよりも、音切れの頻度や復帰のスムーズさを気にしたいところだ。左右のイヤホン間をつなぐ通信にNFMI方式を採用したタイプは復帰がスムーズな傾向があったり、米クアルコム製の最新チップ「QCC3026」などを搭載したモデルは接続の安定性が高くなっているなどさまざまな話があるが、最大のポイントは本体内蔵アンテナのデザインだったりするので、ワイヤレス技術にすぐれたメーカーが安心だったりもする。こればかりは、実際に試してみないと分からないのが歯痒いところだ。なので、技術スペックはあくまでも参考程度に踏まえておいた方がよいだろう。

上位モデルを中心にNFMI採用モデルが増えている。接続性を重視するなら、NFMI対応かどうかを必ずチェックしておこう

ちなみに、米クアルコム製の最新チップ「QCC3026」などは、「Snapdragon 845」搭載スマートフォンとの組み合わせで「TrueWireless Stereo Plus」を利用可能になるため、接続性と音質面で大きなアドバンテージが見込まれているが、しばらくは環境的に実現の見込みがない(現在発売中の「QCC3026」搭載完全ワイヤレスイヤホンはファームウェアアップデートなどを行わなければならない可能性が高い)ため、しばらくは選択のポイントに入れなくてもよさそうだ。

「TrueWireless Stereo Plus」は、完全ワイヤレスイヤホン向けに開発されたクアルコムの最新技術。左右のイヤホンそれぞれに信号を送ることで、従来よりも途切れにくくなっている

3.再生時間(急速充電機能やトータルの再生時間をチェック)

次に重要なポイントとなるのが、バッテリーの持続時間だ。本体サイズがコンパクトな完全ワイヤレスイヤホンは、大きなバッテリーを搭載することができず、再生時間は一般的なBluetoothイヤホンに対してかなり短くなってしまっている。現在発売されている製品を見てみると、3時間前後のバッテリー駆動時間をうたっているモデルが多い。そのため、収納ケースがそのまま充電ケースとなっていて、トータルで10時間以上の使用できるよう工夫されているが、それでも“聴きたいときにバッテリー切れで聴けない”可能性があるのも確かだ。

それをできるかぎり回避するため、製品選びの際はケースに“急速充電”機能がある製品を有力候補としよう。15分で1時間ほどの使用が可能な急速充電対応の製品を購入していれば、聴きたいときに聴けない事態をうまく回避することも可能になるからだ。

専用充電ケースに急速充電機能を備えたモデルも登場しつつある。写真はJaybirdの完全ワイヤレスイヤホン「Jaybird RUN」。急速充電機能を備えており、5分の充電で約1時間の音楽再生が可能だ

4.音質(自分好みの音色傾向を選ぶ)

最後に、音質についても是非チェックして欲しいところだ。最新のBluetoothイヤホン・ヘッドホンは、上位モデルを中心にaptX HDやLDACなど、ハイレゾ相当の音質を伝送することが可能なコーデックが普及してきている。Bluetoothの「便利だけど音が悪い」というイメージがいままさに払拭されつつあるのだが、サイズや消費電力の都合か、完全ワイヤレスイヤホンではSBCやAACなどスタンダードなコーデックのみの対応となっている製品がほとんどで、一部、aptX対応のモデルが出始めた程度だ。

また、本体内にアンテナやバッテリーを搭載しなければならないスペース的な制限によって、音質的にも不利な状況となっている。とはいえ、各社がさまざまな工夫を凝らしており、ここ1年で音質はかなりのクオリティアップを果たしている。そういった視点でも、最新モデルのほうが有利なのは確かだ。

完全ワイヤレスイヤホン注目機種レビュー

1. ヤマハ「Empower Lifestyle TW-E7A」
ヤマハ初のノイキャン付き完全ワイヤレスイヤホンは、ボーカルの歌声がしっかり届く音の通りのよさに注目!

昨年、ヤマハから3モデルの完全ワイヤレスイヤホンが発表されたが、そのうちの最上位モデル、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載した「TW-E7A」の販売がいよいよスタートした。コロナの影響などもあって、発売日がかなり後ろにずれ込むことになったが、待望のヤマハ初のノイキャン付き完全ワイヤレスモデルだけに、その登場を待ち焦がれていた人は少なからずいることだろう。ということで、量産モデルを借用できたので、さっそくレビューをお届けしよう。

まず、「TW-E7A」「TW-E5A」「TW-E3A」という3モデルに関してのおさらいから。ヤマハ初の完全ワイヤレスイヤホン3モデルは、「Empower Lifestyle」と銘打ったシリーズに属していて、ユーザーのライフスタイルに寄り添うことをコンセプトとした製品に作り上げられているという。また、3モデルに共通しているのが、独自の音響補正機能「リスニングケア」を搭載していること。こちら、ヤマハのAVアンプ開発で培った技術を応用したもので、音量によって異なる聴こえ方を解析し、「耳の安全を守る」ことに配慮しつつ、ボリュームごとに最適な帯域バランスに補正してくれるのだという。こちら、専用再生アプリ「Headphones Controller」と連動し、設定された音量に合わせてイヤホン本体内のイコライジング機能(低域/中低域/中域/高域の4バンド)を自動調整することで実現している機能で、小ボリュームでも迫力を損なわないサウンドを作り上げてくれる。実際に、過去に「TW-E3A」で試聴させてもらったが、なかなかに聴き心地がよく、それでいて“通りのよい”音だと感心させられた。

話を元に戻そう。「TW-E7A」は、クアルコムの最新SoC「QCC5124」を採用することで、先に紹介した音響補正機能「リスニングケア」のほか、アクティブノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能「アンビエントサウンド」にも対応している。ちなみに、アクティブノイズキャンセリング機能はフィードフォワードによる2マイク方式で、これはフィードフォワード+フィードバックの4マイク方式だと音質的な問題点が生じる可能性があるという意見があり、ヤマハでもそれを回避するため2マイク式をチョイスしたようだ。このほかにも「QCC5124」採用の恩恵はさまざまで、TWS Plus対応、本体7時間+専用ケースからの充電含めて最大28時間の使用が可能なバッテリーライフ、SBC、AACに加えてaptXコーデックにも対応。さらに、IPX5の防水機能を備えるなど、音質だけでなく、使い勝手についても配慮がなされている。

ちなみに、専用ケースはコンパクト、といえるほど小さくはないが、持ち運びに不便のないサイズ感。フタを開けると左右それぞれの充電内容が分かるが、ケース自体の充電状況がケース内部中央と裏側の両方で分かるのがなかなかに便利だ。

ということで、実際のサウンドを確認してみよう。試聴には、OPPO「Reno A」とShanling「M6 Pro」を使用した。ひとことで表すならば、聴き心地のよさは格別。イヤホンにありがちな派手めな音作りとは対極の、とてもニュートラルなサウンドバランス、そして自然な伸びの高域、やわらかい響きの低域が組み合わされている。決してこもった音ではなく、力の抜けたニュートラルなサウンド、といったイメージだ。音色は、確かにヤマハ製AVアンプと共通する傾向があって、「CX-A5100」「MX-A5000」ペアを使っている筆者としては、違和感なく受け入れられる。また、音量を小さくしてもボーカルの歌声がしっかり届く音の通りのよさは、「TW-E3A」とかわらず。「リスニングケア」の良好さは、何度聴いても感心させられる。

当然ながら、クオリティ面でも満足感は高い。「TW-E3A」とは解像感や抑揚表現の幅広さが異なり、刺激的ではないのにとても臨場感の高いサウンドが楽しめる。デュランデュランのライブは普段よりもパワフルな演奏に感じられ、会場の盛り上がりもダイレクトに伝わってくる。それでいて、MYTH & ROID「VORACITY」のギターは分厚いだけでなく粒立ちがしっかりしていて、印象深い演奏に感じられる。米津玄師「LOSER」は突っ込み気味の演奏とやや抑えた歌声のアンバランスが楽しく、YOASOBI「夜に駆ける」はミックス、音場表現のユニークさが際立って聴こえる。音楽の本質を素直に表現してくれる、じょう舌なイヤホンだと思う。ニュートラルという表現がとても似合う、いい意味で力の抜けたサウンドだ。こういった音は、他ではまず楽しめない。そういった意味で、とても価値のある製品だ。

なお、ノイズキャンセリング性能に関しては、それほど強くはないものの、ファンノイズなどの暗騒音はしっかりマスクしてくれるため、音楽に集中することができた。これはこれで、ありだろう。

イヤホン重量(片耳):7g
再生時間:最大7時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト

2. final「EVA2020×final FI-EVATW」
コラボモデルと侮れない実力!外観の作り込みもサウンドも大いに満足できる1台

昨年から、agブランドの完全ワイヤレスイヤホンをサウンドコーディネイトしているfinalだが、“final”ブランドからも、久々に完全ワイヤレスイヤホンが登場した。それが「エヴァンゲリオン」とfinalのコラボレーションモデル「EVA2020×final FI-EVATW」だ。

説明としては「初号機、2号機、Mark.06の3モデルがあります、日本語&英語バージョンの伊吹マヤ(CV:長沢美樹)のオリジナルガイド音声が収録されています、以上」で終わりたいところだが、それでは皆さん納得できないだろうから詳細を。筆者としても、finalだけに音質にはかなりこだわっているだろうから、そのあたりが大変気になっていたりする。

まず、外観に関してはなかなか“エヴァ”っぽさを感じるデザインになっていて、色合いも含めて、ファンも十分に納得してくれると思う。それでいて、イヤホン本体は小柄で軽量、装着感も良好だ。装着感については、finalオリジナルのタイプEイヤーピースの新バリエーション、完全ワイヤレス用の恩恵も大きい。傘の部分がやわらかく、それでいて軸はしっかりしているので、耳穴への圧力が少なくそれでいて密閉感は高く、イヤホン本体もほどよい位置に保持してくれる。なかなか絶妙な製品なのだ。しかも5サイズ用意され、ほとんどの人がピッタリフィットさせることができる。

ちょっと話がそれた。機能面の話をすると、Bluetoothチップはクアルコム社製SoC「QCC3020」を搭載。SBC、AACに加えてaptXコーデックにも対応し、ワイヤレスながら良質なサウンドを楽しむことができる。また、連続再生時間はイヤホン単体で9時間(aptX接続で6時間)、専用ケースからの充電を含めると最大63時間も音楽を再生できる。

さて、肝心のサウンドはというと、finalらしいというべきか、かなり気合いの入った、妥協のない音作りが行われている。サウンドキャラクターをひとことで表ならば、ポップハイファイ、現代的ハイファイなどというべきだろうか。中高域に関しては、清々しい高域を伴った、フォーカスよくリアルさを感じる歌声が楽しめるのだが、それに組み合わされる低域が意識して強めの押し出し感を持ち合わせていて、しっかりとした迫力を感じさせる。騒音レベルの高い屋外でも低域がやせることのない、パワフルでノリのよい、リズミカルな低域だ。おかげで、YOASOBIやCHiCO with HoneyWorksなどの楽曲がとても楽しく、距離感の近いリアルな歌声も楽しめる。早見沙織は、マイクを取り除いた生の歌声を聴いているかのよう(インタビューしたことのある筆者が言うのだから間違いない!)。男性ボーカルも楽しい。米津玄師はアルバム「STRAY SHEEP」よりも「BOOTLEG」のほうがメリハリよくリズミカルな演奏に感じられて楽しい。Bluetoothワイヤレスなのに良音質さすら伝わってきてくれるかのような、絶妙かつ不思議なチューニングだ。

それにしても、finalのサウンドにはブレがない。どんな製品を作っても音質を追求する姿勢が感じられる。コラボモデルという理由で購入しても、サウンドでも大いに満足できるはずだ。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大9時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで6回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:初号機モデル/2号機モデル/Mark.06モデル

3. JBL「LIVE 300TWS」
どんな音楽ジャンルでもノリよく楽しめる絶妙なチューニングに注目!

JBLブランドから新しい完全ワイヤレスイヤホンが「LIVE 300TWS」登場した。こちら、イヤホン本体は「JBL REFLECT FLOW」に近い円筒形のデザインを採用しているが、耳側のシリコンカバーと一体化されたイヤーフィンの形状が異なっていたり、ブルーやパープルのカラーバリエーションを用意するなど、まったく別のコンセプトによって作り上げられた製品となっている。「JBL REFLECT FLOW」は本格スポーツ派、「LIVE 300TWS」はスポーツユースにも活用できるが普段使いのカジュアルな製品、といったところだろうか。

実際、いろいろなところで“使い勝手のよさ”に配慮がなされている。まず、専用ケースを開けると自動的にペアリングモードへ移行。イヤホン本体をケースに入れたままでも、スマートフォンから接続操作を行うことですぐに接続してくれる。また、イヤホン本体には装着センサーが付属しているため、着脱に反応して自動的に音楽再生をオンオフしてくれる。加えて、アンビエントアウェア機能とトークスルー機能も搭載。必要な時に周囲の環境音を取り込んだり、イヤホン本体を耳から取り外すことなく会話することもできる。GoogleアシスタントやAmazon Alexaにも対応しているので、音声でさまざまな操作も可能だ。このほかにも、IPX5相当の防滴性能を確保。連続再生時間はイヤホン本体のみで最大約6時間、専用ケースからの充電を含めて最大約14時間使い続けることができる。コーデックはSBC/AACに対応している。

スマートフォン用の専用アプリとして「My JBL Headphones」が用意されている。こちらを利用することで、イコライジングやタッチ操作のカスタム、アンビエントアウェア/トークスルー/ボイスアシスタントのオンオフなどの設定が行えるようになっている。また、イヤホン本体を見つける機能も備わっていて、(Bluetoothの範囲内となるが)アプリメニューの本体画像をタップするとイヤホン本体が音を出して場所を特定できるようになっている。簡易なものではあるが、こちらも便利そうだ。

さて、実機を手にしてみる。装着感はなかなかに良好だ。デザインはやや大柄にも見えるが、片側約6gという軽量さと本体耳側のシリコンカバー&イヤーフィンにより、良好なフィット感をもたらしてくれる。また、外すと再生をストップしてくれるのもなかなかに便利だった。

ただし専用ケースに関して1点だけ不満をもった。ケース開閉時、フタに押されて中のイヤホン本体が一瞬浮かび上がってしまうのだ。フタの切り欠き部分に爪を入れて開ければ大丈夫なのだが、ごく一般的な開け方、フタの前面中央を押しながら開けると、それに押されてイヤホンが一瞬浮いてしまう。内部をよく見ると、イヤーフィンの形状によって納まる位置がほんの少し前方に寄っているため、開閉時にフタと干渉してしまうようだ。機能的にはなんら問題ないのでそのまま使い続けることはできるが、上質感あるカラーコーディネイトやUSB Type-Cコネクターまわりにバッテリーインジケーターを配置する絶妙なデザインなど、センスのよさが感じられるケースだけに惜しい。

気を取り直して、肝心のサウンドはというと、メリハリのよいダイナミックな表現が特徴の魅力的な表現。できのわるいドンシャリとはまったくの別物で、女性ボーカルは声に厚みがありつつ伸びやかな、清々しい歌声を聴かせてくれる。フォーカスが良好でボトムエンドへの沈み込みも十分確保された低域と、ボーカルがグッと前にせりでて明瞭な歌声を聴かせ手くれる中域、変に目立つ帯域もなく中域に寄り添うような、それでいて伸び伸びとした表現の高域と、見事なバランスを持つサウンドだ。

音質的には、SBC/AACコーデックまでの対応のためaptX対応製品に比べると絶対的な解像感的には劣るものの、それでも勢い一辺倒にはせず、ていねいな表現も持ち合わせているチューニングは絶妙といえる。とはいえ、総論としてはどんな音楽ジャンルでもノリよく楽しく感じさせる懐の深さ、チューニングの絶妙さがいちばんの魅力といっていい。そういった“聴かせ方”の巧みさは、さすがJBLといったところか。音色傾向さえ好みに合えば、替えの効かない愛機となってくれるだろう。

イヤホン重量(片耳):6g
再生時間:最大6時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで1.3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/ブルー/パープル/ホワイト

4. アップル「AirPods Pro」
カナル型デザインになり、待望のノイズキャンセル機能も搭載した最注目モデル

数多ある完全ワイヤレスイヤホンの中でも、圧倒的な人気でナンバーワンのシェアを保ち続けているアップル「AirPods」に、新バリエーションが登場。それがこの「AirPods Pro」だ。

「AirPods Pro」は、従来の「AirPods」の上位に位置するモデルで、イヤホン本体のデザインやノイズキャンセリング機能など、デザインや機能性を大きく変更したのが特徴となっている。また、操作にコツがいるマルチタップシステムも感圧センサーに変更され、一段とわかりやすく扱いやすい操作方法となった。要するに、ユーザーから要望があがっていたさまざまなポイントに改良を施し、より高機能でより扱いやすい製品へと進化しているのが「AirPods Pro」の特徴といえる。加えて、カナル型イヤホンとなったことによりホールド感も格段に向上し、IPX4レベルの耐汗防滴性能と合わせて、フィットネスやランニング等のスポーツユースにも活用できるようになった。まさに、うれしい改良が施された使い勝手のよい製品といえる。

特に、カナル型イヤホンとなってくれたのは大いに歓迎したい。耳掛け型だったこれまでの「AirPods」は、筆者はもちろん、利用者の多くが“使用中に耳からポロリとこぼれ落ちてしまう”ことがあり、紛失が深刻なレベルでの問題となっていた。また、音漏れに関してもかなりの音量となっていて、正直、混雑時の電車内などでは周囲の迷惑を考えると使いづらかった。日本人および日本の都会の環境には適合しにくい部分があったのだが、カナル型イヤホンとなった「AirPods Pro」は、装着感や音漏れの面でもかなりの良好さを持ち合わせるようになっている。

とはいえ、「AirPods Pro」のノズル部分はそれほど長くなく、緩くはめ込むカタチとなっていて、サイズをしっかり合わせないと外れやすい。筆者は普段MかMSサイズのイヤーピースを使用しているのだが、「AirPods Pro」ではLサイズでピッタリだった。一般的なカナル型イヤホンとはホールドされる位置が異なっているので、同梱されているS/M/Lイヤーピースのうち、どのサイズがベストか、しっかりと試して欲しい。ちなみに、「AirPods Pro」にはうれしいことにイヤーピースの装着状態テストも用意されている(設定アプリの「Bluetooth」をタップして接続中の「○○ 's AirPods Pro」の横の「i」をタップするとAirPods Proの設定画面が表示されるのでその中の「イヤーチップ装着状態テスト」をタップ)ので、こちらを使ってフィット感を確認して欲しい。

「AirPods Pro」のイヤーピースは、楕円形の独自デザインが採用されていて、台座部分も一体化されており、イヤホン本体から簡単に外れないようになっている。イヤホンを外した際に耳からこぼれ落ちたり耳穴に残ったりしない点は大歓迎だが、その代わりにサイズ交換がかなりしづらい。実際、サイズ交換のため何回か試してみたが、シリコン部分を破ってしまわないか、かなりヒヤヒヤした。皆さんも、交換の際には十分注意して欲しい。

さて、音漏れに関してはもうひとつ、構造だけではなく新機能のノイズキャンセリングシステムもある程度の効果を発揮してくれている。「AirPods Pro」のノイズキャンセリング機能は、かなり強力なもので、環境騒音の中心である低域はもちろん、中域など人の声のあたりも含め、全体的に強く効かせている傾向にある。そのため、静粛性が高く、音楽の音量を自然と抑えるようになるため、音漏れが圧倒的に減ってくれるのだ。さすがに、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車では厳しいだろうが、多少混んでるくらいであれば大丈夫だろう。また、ノイズキャンセリング機能は外部音取り込みモードも用意されていて、こちらに変更すると外部の音がしっかりと届いてくれる。しかも、とても周囲の音がとても自然に感じられるので、徒歩などの移動中には積極的に活用したくなる。製品によっては、この外音取り込みモードがかなり不自然な音になるため、あまり活用したい気持ちにはならないのだが、「AirPods Pro」では普段から利用したくなる質の高さがある。このあたりも「AirPods Pro」ならではのアドバンテージといえるだろう。

もうひとつ、専用ケースは「AirPods」に比べて横幅が広がり、多少大きくなった印象があるが、持ち運びの点で特に不満はない。ただし、イヤホン本体の取り出しには多少コツが必要で、手前にくるりと回すようにして取り出すため、慣れるまではポロリと落としてしまう場合がある。取り出しの際には、十分注意して欲しい。

さて、肝心のサウンドはというと、基本的にはジェントルなサウンドキャラクターといえるもの。荒々しさをまったく感じさせない、ていねいな抑揚表現によって、落ち着きのある、聴き心地のよいサウンドを楽しませてくれる。男性ボーカルも女性ボーカルも、どちらかというとしっとりとした印象の朗々とした歌声て、聴き心地のよさはなかなかのもの。解像感はそれほど高くはないが、あまり気にならない良質な表現を持ち合わせている。その代わりに、ややパワー感に欠ける傾向はあるが、ハードロックばかり聴く人でもないかぎりは、それほど気にならないだろう。Jポップとの相性もまずまず良好なので、サウンドキャラクターを不満に思う人はそれほどいないだろう。

アップの初のノイズキャンセリング機能搭載カナル型イヤホン「AirPods Pro」は、なかなかに完成度の高い、充実した内容を持つ製品といえる。

イヤホン重量(片耳):約5.4g(片耳)
再生時間:最大4.5時間(アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードをオフにした場合は最大5時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで24時間以上の再生が可能)
対応コーデック:SBC、AAC
カラーバリエーション:ホワイト

5. ソニー「WF-1000XM3」
ノイキャン性能や接続安定性を高めたソニーの最新完全ワイヤレスイヤホン

ノイズキャンセリングをはじめ、多彩な機能が搭載されたソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000X」がモデルチェンジ。「WF-1000XM3」へと生まれ変わった。

新モデルの特徴をひとことで表すならば、それはズバリ、コンセプトの完璧な実現、といったイメージだろうか。先代「WF-1000X」は、完全ワイヤレスイヤホンとして世界初となったデジタル・ノイズキャンセリング機能の搭載や、フラッグシップモデルらしい上質なサウンドで大いに人気を得ることとなったが、ソニーとしては初めて手がける完全ワイヤレスイヤホンだということもあってか、接続安定性や装着感などで、ユーザーから不満の声が上がることもままあった。そういった部分をすべてしらみつぶしに解消していき、フラッグシップモデルに相応しい“理想の”完全ワイヤレスイヤホンを作り出そうとした様子が、新モデル「WF-1000XM3」の随所からうかがえるのだ。

たとえば、イヤホン本体のデザインは、ハウジング部のオーバル形状など基本的なスタイルこそキープコンセプトであるものの、まったくの新造形となっているし、さらに耳側、ノズルまわりの形状はまったく異なるデザインへと変わっている。これによって、先代に対して格別となる、高い装着感を実現していることを確認できた。また、内部に目を移しても、Bluetoothチップセットを新規に開発するなど、徹底した改良が行われている。名前は“M3”だが、完全新作といっていいほどのブラッシュアップが行われているのは確かだ。

ちなみに、2代目なのに何故“3”なのか疑問に思ったのだが、その旨をたずねてみると、ノイズキャンセリング機能搭載ヘッドホン「WH-1000XM3」のイヤホン版という位置付けとなっているため、この名前を採用したようだ。正直、M3をマーク3と捉えると多少の違和感をもつが、ソニーとしてはマーク3の略と明言している訳ではなく、世代で製品名末尾をそろえるのは製品特徴として分かりやすい面もあるので、これはこれで分かりやすいかも、とも思えた。

いっぽう、機能面でも先代モデルに対しての進化がいくつも見られる。デジタル・ノイズキャンセリング機能は、新たにヘッドホンの外側と内側に配置した2つのマイクを配置した「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を完全ワイヤレスイヤホンとして初めて採用。さらに、ヘッドホン「WH-1000XM3」用のノイズキャンセリングプロセッサー「QN1」を省電力/小型化した「QN1e」を新たに搭載することで、ノイズキャンセリング機能の精度も高めている。さらに、ノイズキャンセリング機能のオンオフに加え、「アンビエントサウンド(外音取り込み)モード」も、イヤホン本体のタッチパッドから操作できるようになった。もちろん、スマートフォン用アプリからの操作も引き続き行えるようになっていて、こちらは外音取り込みレベルを22段階で調整可能なほか、ボイスフォーカスをONにすることで外のノイズを低減しつつ人やアナウンス音のみを聞きやすくすることもできる。また、ペアリングしているスマートフォンの加速度センサーを読んで、止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時の4パターンを検出して、あらかじめ設定したノイズキャンセリング&外音取り込みのモードを自動で切り替えてくる「アダプティブサウンドコントロール」も健在。使い勝手については、大いに満足のいくレベルだ。

なお、付属の専用ケースは先代に比べると多少コンパクトになった印象だが、他社製品の最新状況を踏まえると、大柄と感じてしまうサイズかもしれない。とはいえ、NFC機能が付属してくれているのはとても便利だし、約3回分のフル充電が行えることを考えると、許容できる範囲かもしれない。ちなみに、バッテリー持続時間は、イヤホン本体で約6時間、ケースからの充電もあわせると最大24時間使い続けることができるようになっている。充分な数値といえるだろう。

さて、実際の使い勝手はというと、装着感についてはなかなかのもの。ホールド感がしっかりしていて、耳からポロリとこぼれ落ちることはまずない。先代では、安定した装着が適わなかった筆者としてはありがたいかぎり。また、接続安定性に関しても、特に気になるほどではなかった。ヘッドホンイベント会場という、かなり劣悪な環境でも試してみたが、他社製品に比べると優秀といえる接続安定性を示してくれた。もちろん、相当な悪環境だったので接続が切れることは何回もあったが、クアルコム社製「QCC3026」搭載モデルなど接続安定性をアピールする製品と同等か、それ以上のクオリティは持ち合わせていたように思う。

肝心のサウンドはというと、SBC、AACコーデックのみの対応とは思えないほど、質感のよい表現を持ち合わせている。ピアノはタッチのニュアンスがしっかりと伝わってくることに加えて、倍音がしっかりと乗っているので、のびのびとした演奏に感じられる。ボーカルも迫力のある、メリハリのよい歌声を聴かせてくれる。アコースティック楽器が得意だった先代に比べると、オールラウンダータイプにシフトしたというべきか。ボーカルの押し出し感や、ドラムやベースのグルーヴ感の高さなど、メリハリのしっかりしたサウンドとなっている。幅広いジャンルの音楽が楽しめるようになったのは嬉しいかぎり。これでSBC/AACコーデックのみの対応というのはもったいない、もしLDAC対応であればさらに良質なサウンドが楽しめただろうと、少々残念な気持ちにはなっている。とはいえ、「WH-1000XM3」の音質、機能性は一級品といえるもの。上級クラス完全ワイヤレスイヤホンのリファレンスといえる、とても優秀な製品だ。

イヤホン重量(片耳):約8.5g
再生時間:最大6時間(NC ON)/最大8時間(NC OFF)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/プラチナシルバー

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