選び方・特集

《2022年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

Appleが「iPhone」シリーズからヘッドホン出力端子を廃止して以降、Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急激に普及している。実際、ここ数年で過去の数倍に匹敵する新製品が各社から登場。いまやヘッドホン&イヤホンの主流となっている。

そのなかでも、高い人気を誇っているのが完全ワイヤレスイヤホンと呼ばれる、左右別体のイヤホンだ。「トゥルーワイヤレスイヤホン(TWS)」「フルワイヤレスイヤホン」「耳栓型イヤホン」「左右分離型イヤホン」など、いろいろな呼ばれ方をしているこちらのタイプ。一般的なBluetoothイヤホンがプレーヤーとはワイヤレスながら左右本体がケーブルでつながっているのに対して、完全ワイヤレスイヤホンは左右間もワイヤレス接続となっており、ケーブルがいっさい使用されていない。その名のとおり、“完全”“完璧”なワイヤレスイヤホンとなっているのだ。その代表例といえるのがアップルのAirPodsで、こちらが発売されて以降、大きく注目を集めるようになり、現在はさまざまなメーカー/ブランドから数多くの製品がラインアップされている。

ヘッドホン出力端子が廃止されたiPhoneの登場で、Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急速に拡大している(写真はApple「iPhone X」と「AirPods Pro」)

ヘッドホン出力端子が廃止されたiPhoneの登場で、Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急速に拡大している(写はApple「iPhone X」と「AirPods Pro」)

本特集では、そんな大注目の完全ワイヤレスイヤホンの選び方を4つのポイントにわけてわかりやすく解説するとともに、話題の最新モデルから人気の定番モデルまで、全40モデルの一気レビューをお届けする。レビューでは、音質をメインとしつつも、接続時の手間などユーザビリティも含めて紹介させていただくので、自分にとってのベストワンを選び出す参考にしていただけたらと思う。

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完全ワイヤレスイヤホンの選び方

1.装着感(耳にフィットしてこぼれ落ちないモデルを選ぶ)

特集の冒頭でも述べたとおり、完全ワイヤレスイヤホンの最大のメリットは、ケーブルがいっさいないため、屋外でとても扱いやすい製品になっているということだ。一般的なBluetoothイヤホンは左右間をケーブルで接続しているため、移動時何かに引っかかったり収納時に絡まったり、時には断線など、有線イヤホンと同じトラブルが発生する可能性がある。もちろん、ケーブルの長さは圧倒的に短いし、ネットバンドを採用するなどの工夫によってケーブルにまつわるトラブルは格段に少ないが、わずかながら可能性は残る。また、これは気分の問題だが、左右がつながっているのがうっとうしく感じるユーザーもいるだろう。対して完全ワイヤレスイヤホンは、左右が独立していて、ケーブルにまつわるトラブルやストレスから完全に解放される。これだけでも十分な魅力といえる。

これは同時に、完全ワイヤレスイヤホンのデメリットともなっている。それは、落としやすくなくしやすいことだ。実際、通勤時などに完全ワイヤレスイヤホンが耳からこぼれ落ちてしまう人に少なからず遭遇する。筆者も、電車とホームのすき間に落ちてしまい絶望的な顔をしている人に会ったことがある。それも、ひとりやふたりではない。

完全ワイヤレスイヤホンは、本体内ですべての構成が完結しなければならないため、有線タイプのイヤホンに対して本体が大きくなりがちで、どうしても落ちやすい傾向があるのだ。そのため、女性など耳穴の小さい人などは頻繁に耳からこぼれ落ちやすく、なくしたり壊したりする可能性が高くなってしまう。また、本体が小さいことから、自宅などの室内でも思っている以上に見つかりにくいという思わぬ落とし穴もある。そういった事態への対策として、メーカーは本体の形状を最適化したり、収納用のケースを付属したりとさまざまな工夫を行っている。とはいえ、やはり重要なのは実際の装着感だ。自分の耳にちゃんとフィットしているか、実際に製品に触れる機会があるなら確認しておいたほうがいいだろう。

ちなみに、イヤホン本体の紛失への対策として、一部メーカーの製品には片方紛失/故障時の有償サービスが付いているモデルもあったりする。いざというときに大変ありがたいので、製品選びの際のチェック項目として加えておくものいいだろう。

完全ワイヤレスイヤホンは製品によって大きさや形状もさまざま。耳の形状や耳穴の大きさも人によって大きく異なるので、実際に装着して自分の耳にフィットするモデルを選ぶのが鉄則だ

完全ワイヤレスイヤホンは製品によって大きさや形状もさまざま。耳の形状や耳穴の大きさも人によって大きく異なるので、実際に装着して自分の耳にフィットするモデルを選ぶのが鉄則だ

2.ワイヤレスの接続性(切れにくいもの、復帰がスムーズなものを選ぶ)

もうひとつ、完全ワイヤレスイヤホンのデメリットとしてあげられるのが接続状況だ。プレーヤーと左右本体の2か所をワイヤレスで接続するうえ、左右の間にある人間そのものが電波を通しづらい傾向があるため、音切れが発生しやすい。各社ともアンテナの形状を工夫したり、左右間の接続方式を工夫したりと、さまざまな方法で音切れの回避を行っているが、有線のように完璧な安定接続は不可能であるため、多少の音切れは容認せざるを得ない。

それよりも、音切れの頻度や復帰のスムーズさを気にしたいところだ。最新チップを搭載したモデルは接続の安定性が高くなっているが、やはり最大のポイントは本体内蔵アンテナのデザインで、ワイヤレス技術にすぐれたメーカーが安心だ。ただ、通信の安定性の良し悪しは実際に試してみないと分からないのが歯痒いところ。なので、技術スペックはあくまでも参考程度に踏まえておいた方がよいだろう。

3.再生時間(急速充電機能やトータルの再生時間をチェック)

次に重要なポイントとなるのが、バッテリーの持続時間だ。本体サイズがコンパクトな完全ワイヤレスイヤホンは、大きなバッテリーを搭載することができず、再生時間は一般的なBluetoothイヤホンに対してかなり短くなってしまっている。現在発売されている製品を見てみると、5〜8時間のバッテリー駆動時間をうたっているモデルが多い。そのため、収納ケースがそのまま充電ケースとなっていて、トータルで10時間以上の使用できるよう工夫されているが、それでも“聴きたいときにバッテリー切れで聴けない”可能性があるのも確かだ。

それをできるかぎり回避するため、製品選びの際はケースに“急速充電”機能がある製品を有力候補としよう。15分で1時間ほどの使用が可能な急速充電対応の製品を購入していれば、聴きたいときに聴けない事態をうまく回避することも可能になるからだ。また、最近では大容量のバッテリーを搭載し、モバイルバッテリーのようにスマートフォンに給電できるモデルも登場してきている。完全ワイヤレスイヤホンとモバイルバッテリーの2台持ちが大変という人は、こういった製品をチョイスするというのもアリだろう。

最近では超大型のバッテリーを内蔵し、ケースと合わせて最大100時間以上音楽再生やスマートフォンへの充電を行えるモデルなども登場してきている(写真はag「AG-TWS04K」)

最近では超大型のバッテリーを内蔵し、ケースと合わせて最大100時間以上音楽再生やスマートフォンへの充電を行えるモデルなども登場してきている(写真はag「AG-TWS04K」)

4.音質(自分好みの音色傾向を選ぶ)

最後に、音質についてもぜひチェックしてほしいところだ。これまで完全ワイヤレスイヤホンは、本体内にアンテナやバッテリーを搭載しなければならないスペース的な制限によって音質的に不利と言われてきた。しかし、各社が音質に対してさまざまな工夫を凝らした結果、ここ数年で完全ワイヤレスイヤホン全体の音質レベルはかなり引き上げられている。Bluetoothの「便利だけど音が悪い」というイメージはかなり払拭されつつあるのだ。こういった状況からも旧モデルよりも最新モデルを選ぶほうが音質的に有利なことが多いことは確かだが、やはり最終的には自分好みの音色傾向を選ぶというのが一番だろう。一気レビューのパートには、製品ごとの音質傾向を詳しく掲載しているので、ぜひ参考にしていただければと思う。

完全ワイヤレスイヤホン注目機種レビュー

1. Astell&Kern「AK UW100」
外部DAC搭載で良サウンドを追求! Astell&Kern初の完全ワイヤレスイヤホン

ハイレゾDAPをメインに、イヤホンやBluetoothスピーカー、ヘッドホンアンプなど幅広いジャンルのオーディオ製品を手がけるAstell&Kernから、同ブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「AK UW100」が発売された。

高級ハイレゾDAPなど、ハイエンドモデルを得意とする同ブランドだけに、音質とデザインの両面でかなりのこだわりが盛り込まれた、個性的なモデルに仕上がっている。まず、音質面では32bit DAC「AK4332ECB」を搭載している点に注目したい。完全ワイヤレスイヤホンでは、一般的にBluetoothチップセット内蔵のDAC回路を使用しており、チップセットに音質が左右されてしまうということがある。また、Bluetoothチップセットは統合回路であるため、同時にさまざまなデジタル処理を行うシステム上、音質的に不利になってしまうことがある。こういった状況を解決すべく、単体DAC「AK4332」を搭載し、完全ワイヤレスイヤホンであっても一般的なイヤホンと変わらない良サウンドを追求しているというわけだ。実際、Bluetoothチップセット内蔵DACとはレベルの異なる低歪みを実現しているという。

ちなみに、Bluetoothチップはクアルコム社製「QCC5141」を搭載。Bluetooth5.2対応によって安定した接続性を確保するとともに、aptX Adaptiveコーデック対応によって、良質なサウンドを楽しむことができるようになっている。最新Bluetoothチップセット採用の恩恵か、連続再生時間はイヤホン本体で約6時間、専用ケースからの充電を含めると約24時間の使用が可能となっている。iOS/Android両対応の専用のスマートフォンアプリ「AK TWS」も用意されており、こちらからタッチコントロール変更や外音取り込みレベル調整、各種プリセットEQの選択、ファームウェアアップデートなど、各種設定を行うことができる。

専用ケースについては、イマドキでは珍しいやや大柄なタイプだが、持ち運びに不自由することはない。ワイヤレス充電にも対応しているので、使い勝手もそう悪くない。

もうひとつ、ドライバーユニットに完全ワイヤレスイヤホンに搭載されるドライバーユニットの大半を占めるダイナミック型ではなく、Knowles社製BA型をシングルで搭載しているのも「AK UW100」ならではの特徴といえる。はたして、「AK UW100」のサウンドはいかがなものであろうか。Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」とaptX Adaptiveで接続して試聴した。

同ブランド製DAPとも共通イメージのある、エッジの尖った、クリアな、ヌケのよい、ダイナミックな表現のサウンド。低域の量感は十分にあるが、中域に高いフォーカス感を持つため、結果として余裕のある生き生きとした歌声を聴かせてくれる。歌声そのものはほんの少し鼻にかかった親しみやすくも大人っぽい歌声で、定位的にはそれほど前に出ていないものの、普段よりもずいぶんと印象的な歌声に聴こえるのも好ましい。なによりも、歪み感、ノイズ感の少ない、聴き心地のよいサウンドがなんとも魅力的だ。単体DAC採用のおかげだろうが、確かに格別のサウンドクォリティを持ち合わせている。シングルBA型ドライバー構成が生み出す“いつもとちょっと違う”サウンドキャラクターのため、好みはわかれるかもしれないが、今後の完全ワイヤレスイヤホンのあり方やさらなる可能性を感じさせてくれる、とても印象的な製品だ。

イヤホン重量(片耳):7g
再生時間:最大6時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/ aptX Adaptive
カラーバリエーション:ブラック

2. ヤマハ「TW-E5B」
楽器メーカーならではのサウンドを目指して開発された完全ワイヤレスイヤホン

ヤマハの完全ワイヤレスイヤホン「TW-E5B」は、名前の“B”から想像が付く人もいるだろうが、「TW-E5A」の後継に位置づけされる第2世代製品だ。とはいえ、イヤホン本体や専用ケースのデザインが一新され、ドライバーも7mm口径ユニットが新規開発されるなど、まったく新しい製品に生まれ変わっている。

まず、イヤホン本体は装着感と上質感の両立を目的としたデザインを採用。耳と接触する部分は楕円形となっているうえ、くぼみ形状が耳の対珠(たいじゅ)部分にピッタリとフィットしてくれるため、良好な装着感をもたらしてくれる。また、フェースプレート部分は(一般的な完全ワイヤレスイヤホンよりも)やや下側に配置されており、耳からの落下を巧みに防止してくれる。こういった装着感のよさは遮音性にも大きく貢献していて、実際に装着してみると、周囲の騒音がしっかり押さえ込まれていることがわかる。「TW-E5B」はアクティブノイズキャンセリング機能を搭載していないが、一般的な状況、街中で使用するには十分な遮音性だ。

これらは、ヤマハが第1世代の完全ワイヤレスイヤホンから押し進めている「リスニングケア」が作り上げた恩恵ともいえる。「リスニングケア」は、小さなボリュームの時ほど低域と高域が聴こえにくくなる人間の聴感特性や、リスニング環境における聴こえ方の違いに着目し、音量に合わせて帯域バランスが最適になるように補正するもので、自然で聴きやすい音を再現することで過度な音量アップによる耳への負担を抑え、聴覚保護を行うシステムだ。この機能を十全に発揮させるには装着感や遮音性の高さなども重要となってくるが、そういった総合力の高さを「TW-E5B」は持ち合わせているのだ。

もうひとつ、「TW-E5B」はマイク性能に関しても注目だ。なかでも外音取り込み機能は、まるで周囲の音を直接聴いているかのように違和感のない音声が届いてくる。また、通話音声に関しても、人の声が聴き取りやすい、話している内容がわかりやすい音声だったりと、音楽を聴くだけでなく、コミュニケーションツールとしてもなかなかの良好さだ。

機能面では、スマートフォン用アプリによって「リスニングケア」のオンオフはもちろん、「アンビエントサウンド」(外音取り込み)、「ゲームモード」(ゲームや映像視聴用の低遅延モード)などの切り替えを手軽に行うことができる。また、イコライザー機能も秀逸で、5ポイントのグラフィックイコライザーながら、ボーカルや楽器など音色の自然さを壊さず低域の迫力を上げたり、高域の伸びを強調してくれる絶妙なチューニングにまとめられている。サウンドの変化がとてもナチュラル、破綻のない変化をしてくれるので、積極的に活用したくなる機能だ。

さて、肝心のサウンドはというと、新開発7mm口径ドライバーを音導管の同軸上に設置して出口までの障害物を極力排除するなど、徹底したアコースティックデザインによる恩恵か、耳障りなピークのない、整った音色を聴かせてくれる。ピアノの音を聴くと、倍音成分がきれいに整っているため、音がとても伸びやかに感じる。こちらはaptX adaptive対応の恩恵だろう、聴感上のSN感も良好で、細部のディテールまでしっかり伝わってくるのもよい。総じて、聴き心地のよい良質なサウンドといえる。装着感、音質、そしてリスニングケアによる聴覚保護機能など、数多の魅力を持つ優秀な製品だ。

イヤホン重量(片耳):6.5g
再生時間:最大8.5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX Adaptive
カラーバリエーション:ブラック/ブラウン/グレー/ブルー

3. Beats by Dr. Dre「Beats Fit Pro」
高いフィット感と充実の機能性を備えたBeatsの最新完全ワイヤレスイヤホン

「Beats Fit Pro」は、Beats(Beats by Dr. Dre)ブランドのアクティブノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホン。2019年発売の「Powerbeats Pro」、2021年夏発売の「Beats Studio Buds」に続く第3のモデルで、価格的には両者の中間に位置している。基本的にはごく一般的なイヤーモニター系のスタイルを採用しているものの、Beatsが長年にわたって集めてきた耳型を元にした本体デザインやイヤーチップ採用によって、性別や耳のサイズを問わず、誰でも自然で心地よいフィット感が得られるという。なお、「Beats Fit Pro」は専用アプリも用意され、こちらを活用することで最適なイヤーチップのサイズをチョイスできるようになっている。

機能面では、Apple H1チップを搭載し、アップルが手がける「空間オーディオ」にフル対応していることが大きなポイントとなっている。立体的な音響空間を楽しめるだけでなく、ヘッドトラッキングにも対応しているなど、「AirPods Pro」などと同等の最新機能を楽しむことができる。また、アクティブノイズキャンセリング機能に関しては、マイク数こそ公表されていないものの、実際にテストしてみると、必要十分な効果のほどを持ち合わせていた。それほど強くはないが、とても自然な消音、といった印象だった。いっぽう、外音取り込みに関しては、比較的自然な音に感じられるなかなかの優れもので、使い勝手がよさそうだ。

連続再生時間は、イヤホン本体のみで最大6時間、専用ケースからの充電を含めると最大24時間の再生が可能と、数値的には十分と言える。また、同社が「Fast Fuel」と呼ぶ急速充電により、5分で1時間の再生ができるようになっているのもうれしいポイントだ。ちなみに、防滴性能はIPX4となっていることから、名前の“Fit”はガチなフィットネス(スポーツ)用ということではなく、あくまでもフィット感のよさを強調している製品なのだろう。ボディカラーは4色が用意されている。なお、Bluetoothコーデックは、SBCとAACに対応している。

そのサウンドは、Beatsブランドとしては意外にも自然で聴き心地のよい音色傾向だった。もちろん、高域は鋭く伸び、低域も量感たっぷりだが、ボーカルなどの中域がしっかり届くバランスを持ち合わせているなど、アップル製品の音作りと共通する方向性が垣間見られる。そのため、音楽ジャンルはEDMやポップスが一番得意であるものの、クラシックやハードロックなども“普段よりもちょっとメリハリ重視かな?”といった印象だけで、十分に楽しむことができる。強いこだわりを持つ装着感の良好さも含めて、なかなか魅力的な製品だと思う。

イヤホン重量(片耳):5.6g
再生時間:最大6時間(ANC ONの場合)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:Beatsブラック/Beatsホワイト/セージグレイ/ストーンパープル

4. Marshall「MOTIF A.N.C」
ギターアンプで有名なMarshallが手がけるノイキャン搭載完全ワイヤレスイヤホン

ギターアンプで有名な楽器メーカーMarshall(マーシャル)は、近年、ヘッドホンやイヤホン、Bluetoothスピーカーなどのコンシューマー向けオーディオ製品にも力を注いでいる。そんなMarshallから、ブランド初となるアクティブノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン「MOTIF A.N.C」が発売された。

現在ラインアップされているMarshallの完全ワイヤレスイヤホンは、一般的なカナル型の「ModeII」とバー付のオープン型「MinorIII」の2タイプで、「MOTIF A.N.C」は両者のいいとこ取りのようなデザイン、「AirPods Pro」などに近い“バー付のカナル型”デザインを採用している。とはいえ、イヤホン本体は片側4.25gほどと小型軽量で装着感はかなり良好。加えて、軽量楕円形のフェースプレート部が本体よりひまわり小さくなっているうえ、円筒形のバー部分に特殊な凹凸加工が施されていたりと、無駄な主張のない、それでいてひと目でわかる個性的な外観を持ち合わせている。

専用ケースも、ギターアンプなどをイメージさせるロゴや表面加工が施されていて、見かけも手触りもMarshallらしさにあふれている。Marshallブランドのオーディオ製品は、いつも造り込みの巧みさに感心させられているが、そのなかても「MOTIF A.N.C」は出色の出来と言える。デザインセンスのよさだけでも、手元に1台置いておきたくなる。

もちろん、機能性に関しても「MOTIF A.N.C」は価格相応の充実した内容を持ち合わせている。専用アプリが用意されており、ノイズキャンセリングのON/OFFや効き具合の調整、外音取り込みモードへの切り替え、イコライザー設定など、さまざまなカスタマイズを行うことができる。また、連続再生時間は約4.5時間(ANCオフで約6時間)、専用ケースからの充電を合わせると約20時間(ANCオフで約26時間)の使用が可能となっている。専用ケースはかなり小型で軽量、持ち運びしやすいタイプなので、3回強のフル充電ができるのはありがたい。ちなみに、専用ケースはワイヤレス充電にも対応しているので使い勝手もよい。唯一、BluetoothコーデックがSBCだけなところは最新モデルとしてはやや不足感を持つ。この価格帯の製品であれば、AAC、できればaptX AdaptiveやLDACに対応してほしかったところだ。

しかしながら、そのサウンドはなかなかのもの。実体感のある音、といえばいいのだろうか、カラッとしたドライな、それでいて熱気の高い音色傾向を持ち合わせている。このあたりは、Marshall製オーディオ製品共通のサウンドキャラクターで、それが「MOTIF A.N.C」にもしっかりと受け継がれていることがわかる。たとえば、たっぷりとした量感の、それでいて締まりのある低音によってグルーヴ感の高いサウンドが楽しめるし、ボーカルは距離感が近く、生き生きとした肉感的な歌声を聴かせてくれる。そして、当然のようにギターの演奏はキレのよさと分厚さをあわせ持つ。ディストーションなどエフェクター表現もなかなかのものを持ち合わせている。平たく言えば、ロック、ポップス系にかなりの親和性を持つサウンドで、特に楽器の音をリアルに知っている人にはかなりのお気に入りになりそう。個性派デザインが好みにはまるか、楽器ブランドのオーディオ製品が気になる、という人には最有力候補になりそうだ。

イヤホン重量(片耳):4.25g
再生時間:最大4.5時間(ANC ONの場合)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3.3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC
カラーバリエーション:ブラック

5. The House of Marley「EM REBEL」
The House of Marleyのノイキャン付き完全ワイヤレスイヤホン第2弾

「EM REBEL」は、竹やリサイクルシリコン、織物など、環境に配慮したアースブレンドリーな素材を積極的に活用していることで注目を集めている個性派オーディオブランドHouse of Marleyの最新完全ワイヤレスイヤホン。House of Marleyは現在、「EM REBEL」を含む4モデルの完全ワイヤレスイヤホンをラインアップしているが、その中でも「EM REBEL」はアクティブノイズキャンセリング機能を搭載する「REDEMPTION ANC」に次ぐ製品、価格的にはアッパーミドルクラスに位置する製品となっている。

外観は、「REDEMPTION ANC」と同じくバー付のカナル型イヤホンとなっているが、それとは趣の異なる、ちょっと特殊なスタイルを採用していたりする。というのも、どちらかというとオープン型の「AirPods」に近い印象でありながら、楕円形のノズルとイヤーピースが採用されているなど、両者のいいとこ取りなデザインを採用していたりする。実際に装着してみると、片側5.5gという(まずまずの)軽さと相まって、自然な装着感とホールド性の高さを巧みに両立している。デザイン面では、同ブランドおなじみの竹素材がフェースプレート部からバーまで一体化されたものを採用。個性的、かつ存在感のある見かけに仕上げられている。ちなみに、専用ケースもリサイクルプラスチックをメインに両脇には竹素材を配置、同ブランドらしい素材選びがなされている。

連続再生時間は、イヤホン本体で約8時間、専用ケースからの充電を合わせると約30時間の使用が可能となっている。イヤホン本体はIPX5の防水機能を持ち、BluetoothコーデックはSBCに対応。ボディカラーは発売時のブラックにクリームが加わり、全2色の展開となっている。

そのサウンドは、かなりヘヴィな量感たっぷりの低域が特徴。高域のヌケもよく、イマドキの派手なキャラクターだが、奔放過ぎずディテール表現もていねいなので聴き心地は良好。ボーカルも定位が近くて存在感をしっかり主張しくれるので、歌声にリアルさを感じる。たとえばTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND「Book-end,Happy-end」を聴くと、どことなく甘くてそれでいてクリアな、高野寛ならではの魅力あふれる歌声が楽しめる。また、10mm口径ドライバーの恩恵だろうか、低域のフォーカス感も秀逸で、パワフルだけどリズム感のあるノリのよい演奏に感じられるのも楽しい。デザインはもとより、装着感やサウンドキャラクターでも魅力的な製品だ。

イヤホン重量(片耳):5.5g
再生時間:最大8時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2.75回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC
カラーバリエーション:シグネチャーブラック/クリーム

6. AVIOT「TE-BD21j-ltd」
Snapdragon Soundにいち早く対応したハイブリッドドライバー構成を持つ完全ワイヤレスイヤホン

「日本人の手による日本人のためのイヤホン」をコンセプトに掲げ、良質なサウンドを実現。同時に最新機能を製品にいち早く反映することで、音と利便性の両面から魅力的な製品を作り続けているのがAVIOTだ。わずか数年ですっかり名前が浸透した新進気鋭のイヤホンブランドだが、2021年後半からは怒号の新製品ラッシュがスタート。さらなる注目を集めている。そんなAVIOTのフラッグシップモデルが、今回紹介する「TE-BD21j-ltd」だ。

こちらの製品、BA型2基+ダイナミック型1基のハイブリッドドライバー構成を持つ完全ワイヤレスイヤホン。ハイブリッド構成を持つ完全ワイヤレスイヤホンは多少なり登場してきているものの、3基構成はまだまだ希有。また、ノーマルバージョンに加えて、凛として時雨のピエール中野氏が音質やデザインのコーディネイトに携わった「TE-BD21j-ltd pnk」バージョンも用意されている。

ジュラルミン削り出しのイヤホン本体は、オリジナルモデルから色以外ほとんど変わりがない。また、“ltd”という名前からマイナーチェンジ版に思えるかもしれないが、実は中身はまったくの別物といっていいほどの刷新が行われている。3基のドライバーはすべてリニューアルされ、チューニングも0.1dB単位でさらなる追及がなされているという。そして、一番の注目ポイントが「Snapdragon Sound」対応機種であることだ。

国産ブランドとしては初(量産モデルとしては世界2機種目ながら日本国内発売は最初の製品となる)の「Snapdragon Sound」対応機種となった「TE-BD21j-ltd」だが、クアルコムの規定がかなりシビアなようで、2022年3月時点でAVIOT(ともうひとつ)以外のメーカーから対応機種の登場はまだない(特に低遅延の実現に苦労しているようだ)。そういった点でも、貴重な製品と言えるだろう。ちなみに、「Snapdragon Sound」はクアルコムがモバイルオーディオ向け最先端技術をひとつのパッケージとしてまとめた新プラットフォームで、96kHz/24bit対応aptX Adaptive(16bit音源に関してはロスレス伝送となるアップデートも発表)や89msec以下の低遅延(しかもパーツ単体ではなく製品としての遅延が求められている)、高品位通話音声通話「aptX Voice」、有線接続時に最大384kHz/32bitのリニアPCM、またはDSDネイティブ再生をカバーするオーディオコーデック「Qualcomm Aqstic Audio DAC」など、音質重視のさまざまな技術を包括した規格となっていて、かなり便利、かつ音質面でも大きなメリットを持ち合わせている。対応スマートフォンがまだまだ少ないが、将来的な普及に期待したいシステムだ。

さて、肝心のサウンドはというと、新ドライバーの恩恵なのだろう、完全ワイヤレスイヤホンであることを忘れてしまうくらいのクオリティ。オリジナルモデルの音質もなかなかによかったが、表現力がグッと高まり、声のニュアンスや楽器のディテールがストレートに伝わってくる。音場的な広がり感も良好で、左右に大きなステージを感じさせる。また、日本人向けチューニングというAVIOTならではのサウンドコンセプトゆえか、メリハリのしっかりした表現を持ち合わせているため、ハードロックやEDMなどもグルーヴ感が高く聴いていて楽しい。これだけ充実した内容を持ちながら、価格的にミドル〜ミドルハイクラスに収まってくれているのはうれしい限り。機能と音質の両面でとても魅力的な製品なのは間違いない。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大9.5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで5回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/apt X/aptX Adaptive
カラーバリエーション:ローズゴールド/ドーンブルー

7. ソニー「WF-1000XM4」
ノイキャン性能だけじゃなく全方位で進化を遂げた定番ノイキャンTWS

ソニーのアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能搭載完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000X」シリーズの最新モデルが「WF-1000XM4」だ。2019年に発売された「WF-1000XM3」の後継に位置するモデルで、イヤホン本体も専用ケースもデザインが一新され、どちらもかなりの小型化が押し進められた。また、好評のノイズキャンセリング機能をさらに向上させるため、フィードフォワード+フィードバックのハイブリッド方式マイク構成はそのままに、下記のような進化を遂げている。

・BluetoothSoCとノイズキャンセリングプロセッサーを統合した「V1」チップを採用することで処理能力を向上させ低遅延での処理を実現
・独自開発のポリウレタンフォーム素材を使用する新開発ノイズアイソレーションイヤーピースを採用
・新開発6mm口径ドライバーユニットによって低音域のノイズキャンセリング性能を向上

これらの全面的な改良によって、先代の「WF-1000XM3」を大きく上回るノイズキャンセリング性能を実現したという。

また、ノイズキャンセリング性能以外にも、風を検知すると自動的にフィードフォワード(イヤホン本体外側)マイクがオフとなる「風ノイズ低減機能」の搭載や、高いノイズキャンセリング効果を確保するためにアプリによる装着状態テスト機能の導入、片耳だけでの使用に新たに対応するなど、新機能を多数搭載。外音の取り込み量を増やすことでより自然な集音を実現した「アンビエントサウンドモード」、周囲の音を取り込みつつ一時的に音楽の音量を絞って聴き取りやすくする「クイックアテンションモード」など、使い勝手の面においてもきめ細やかな追及がなされている。

「WF-1000XM3」に対してかなりの小型化を実現した専用ケースは、ワイヤレス充電機能を搭載。Qi対応充電器などから手軽に充電を行うことができる。また、ケースを「Xperia 1 III」の背面に置くだけでスマートフォンから給電される「おすそわけ充電」も可能となっているようだ。バッテリー性能は、イヤホン単体・ANCオンで最長8時間(ANCオフの場合は最長12時間)、専用ケースを含めると最長24時間(ANCオフの場合は最長36時間)と、十分なスペックを持ち合わせている。1分間の充電で60分再生が可能なクイック充電にも対応しているので、バッテリー切れで困ることはまずないだろう。

いっぽうで、音質面での最大のトピックは、完全ワイヤレスイヤホン初となるLDACコーデックの対応だろう。これまでの完全ワイヤレスイヤホンは、ソニー製だけでなく他社製品も含めてaptXコーデックが最高音質となっていたが、「WF-1000XM4」はハイレゾ音源にも対応した高音質コーデックであるLDACに対応。さらなる高音質サウンドを楽しめるようになった。これはなかなかにうれしいトピックだ。この「WF-1000XM4」を皮切りに、今後は完全ワイヤレスイヤホンにおいてもLDACなど高音質コーデックの普及が押し進められることを期待したい。

このように、ソニーとしてかなり力の入っている「WF-1000XM4」だが、実際の製品を手にしてみると、完成度の高い仕上がりであるように感じられた。まず、「WF-1000XM3」に対してイヤホン本体がかなり小さくなり、イヤーピースの恩恵もあってか、格段に装着時の安定感がよくなっている。それに合わせてノイズキャンセリング性能も向上、かなりの静けさを提供してくれるようになった。同時に、外音取り込みの音がずいぶんと自然に感じられるようになった点も好ましい。リアルの音に比べると少し高音よりの帯域バランスというか、キーボードを叩く音はカチャカチャするが、それでも音色や方向などでかなりのリアリティを持ち合わせている。ANC関連については、現在の最高レベルの1台と言えるだろう。

さて、期待の音質については、CD音源もハイレゾ音源も、格段のきめ細やかな表現を持ち合わせている。特にハイレゾ音源がその本領を発揮してくれるのがうれしい。結城アイラ「Leading role」などシンプルな構成の楽曲を聴くとよくわかるが、ピアノの音は単に伸びやかなだけでなく、録音した場所の空気感も伝わってくる豊かな表情を持ち合わせているし、ボーカルは声のリアルさが如実に感じられる。

いっぽう、音色傾向については、流行とは異なる普遍的な独自のキャラクターにまとめ上げられている。高域が伸びやかであるにもかかわらず、まったくといっていいほど尖りを感じないためとても聴き心地がよい。こんなに聴きやすい上坂すみれ「POP TEAM EPIC」は初めてかもしれない。比較的長時間使い続けても、聴き疲れすることはまずないだろう。唯一、低域の量感は今風にやや多めとなっているが、フォーカス感が保たれた質のよい音なので、アプリのイコライザーなどで好み合わせて調整すればよいだろう。ANC機能、装着感、音質ともにとても良質で、非常に完成度の高い製品だ。

イヤホン重量(片耳):7.3g
再生時間:最大8時間(ANCオン時、ANCオフ時は最大12時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/LDAC
カラーバリエーション:ブラック/プラチナシルバー

8. アップル「AirPods Pro」
カナル型デザインになり、待望のノイズキャンセル機能も搭載した大人気モデル

数多ある完全ワイヤレスイヤホンの中でも、圧倒的な人気でナンバーワンのシェアを保ち続けているアップル「AirPods」シリーズ。その中でも特に人気の高いモデルが「AirPods Pro」だ。

「AirPods Pro」は、「AirPods」シリーズの上位に位置するモデルで、イヤホン本体のデザインやアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能など、デザインや機能性を大きく変更したのが特徴となっている。また、操作にコツがいるマルチタップシステムも感圧センサーに変更され、一段とわかりやすく扱いやすい操作方法となった。要するに、ユーザーから要望があがっていたさまざまなポイントに改良を施し、より高機能でより扱いやすい製品へと進化しているのが「AirPods Pro」の特徴といえる。加えて、カナル型イヤホンとなったことによりホールド感も格段に向上し、IPX4レベルの耐汗防滴性能と合わせて、フィットネスやランニング等のスポーツユースにも活用できるようになった。まさに、うれしい改良が施された使い勝手のよい製品といえる。

特に、カナル型イヤホンとなってくれたのは大いに歓迎したい。耳掛け型だったこれまでの「AirPods」は、筆者はもちろん、利用者の多くが“使用中に耳からポロリとこぼれ落ちてしまう”ことがあり、紛失が深刻なレベルでの問題となっていた。また、音漏れに関してもかなりの音量となっていて、正直、混雑時の電車内などでは周囲の迷惑を考えると使いづらかった。日本人および日本の都会の環境には適合しにくい部分があったのだが、カナル型イヤホンとなった「AirPods Pro」は、装着感や音漏れの面でもかなりの良好さを持ち合わせるようになっている。

とはいえ、「AirPods Pro」のノズル部分はそれほど長くなく、緩くはめ込むカタチとなっていて、サイズをしっかり合わせないと外れやすい。筆者は普段MかMSサイズのイヤーピースを使用しているのだが、「AirPods Pro」ではLサイズでピッタリだった。一般的なカナル型イヤホンとはホールドされる位置が異なっているので、同梱されているS/M/Lイヤーピースのうち、どのサイズがベストか、しっかりと試して欲しい。ちなみに、「AirPods Pro」にはうれしいことにイヤーピースの装着状態テストも用意されている(設定アプリの「Bluetooth」をタップして接続中の「○○ 's AirPods Pro」の横の「i」をタップするとAirPods Proの設定画面が表示されるのでその中の「イヤーチップ装着状態テスト」をタップ)ので、こちらを使ってフィット感を確認してほしい。

「AirPods Pro」のイヤーピースは、楕円形の独自デザインが採用されていて、台座部分も一体化されており、イヤホン本体から簡単に外れないようになっている。イヤホンを外した際に耳からこぼれ落ちたり耳穴に残ったりしない点は大歓迎だが、その代わりにサイズ交換がかなりしづらい。実際、サイズ交換のため何回か試してみたが、シリコン部分を破ってしまわないか、かなりヒヤヒヤした。交換の際には十分注意してほしい。

さて、音漏れに関してはもうひとつ、構造だけではなく新機能のノイズキャンセリングシステムもある程度の効果を発揮してくれている。「AirPods Pro」のノイズキャンセリング機能は、かなり強力なもので、環境騒音の中心である低域はもちろん、中域など人の声のあたりも含め、全体的に強く効かせている傾向にある。そのため、静粛性が高く、音楽の音量を自然と抑えるようになるため、音漏れが圧倒的に減ってくれるのだ。さすがに、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車では厳しいだろうが、多少混んでるくらいであれば大丈夫だろう。また、ノイズキャンセリング機能は外部音取り込みモードも用意されていて、こちらに変更すると外部の音がしっかりと届いてくれる。しかも、とても周囲の音がとても自然に感じられるので、徒歩などの移動中には積極的に活用したくなる。製品によっては、この外音取り込みモードがかなり不自然な音になるため、あまり活用したい気持ちにはならないのだが、「AirPods Pro」では普段から利用したくなる質の高さがある。このあたりも「AirPods Pro」ならではのアドバンテージといえるだろう。

もうひとつ、専用ケースは「AirPods」に比べて横幅が広がり、多少大きくなった印象があるが、持ち運びの点で特に不満はない。ただし、イヤホン本体の取り出しには多少コツが必要で、手前にくるりと回すようにして取り出すため、慣れるまではポロリと落としてしまう場合があるので気を付けてほしい。

さて、肝心のサウンドはというと、基本的にはジェントルなサウンドキャラクターといえるもの。荒々しさをまったく感じさせない、ていねいな抑揚表現によって、落ち着きのある、聴き心地のよいサウンドを楽しませてくれる。男性ボーカルも女性ボーカルも、どちらかというとしっとりとした印象の朗々とした歌声て、聴き心地のよさはなかなかのもの。解像感はそれほど高くはないが、あまり気にならない良質な表現を持ち合わせている。その代わりに、ややパワー感に欠ける傾向はあるが、ハードロックばかり聴く人でもないかぎりは、それほど気にならないだろう。Jポップとの相性もまずまず良好なので、サウンドキャラクターを不満に思う人はそれほどいないだろう。

アップの初のノイズキャンセリング機能搭載カナル型イヤホン「AirPods Pro」は、なかなかに完成度の高い、充実した内容を持つ製品といえる。

イヤホン重量(片耳):約5.4g(片耳)
再生時間:最大4.5時間(アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードをオフにした場合は最大5時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで24時間以上の再生が可能)
対応コーデック:SBC、AAC
カラーバリエーション:ホワイト

9. Technics「EAH-AZ60」
LDACに対応。装着感もアップしたTechnics最新ノイキャンTWS

日本の老舗オーディオブランドであるTechnics(テクニクス)より、完全ワイヤレスイヤホンの新製品「EAH-AZ60」「EAH-AZ40」が発売された。こちらの2製品、製品名から「EAH-AZ70W」の下位モデルのようにも思えるが、なかでも「EAH-AZ60」は、音質と機能の両面で並び立つ上級モデルとして作り上げられている様子がうかがえる。

たとえば「EAH-AZ60」は、8mm口径と「EAH-AZ70W」に対して小口径ではあるものの、完全ワイヤレスイヤホンとしては比較的大型のドライバーユニットを搭載しつつ、耳側のデザインを追求したり、内部レイアウトを工夫することで耳からの飛び出しを少なくするなど、フィット感の高いデザインを作り上げている。さらに、BluetoothはLDACコーデックに対応するなど、デジタルパートでのグレードアップも押し進められている。このように、「EAH-AZ70W」に対しては第2世代に相当する進化が押し進められているのだ。両者は上下としてとらえるのではなく、並び立つ製品としてとらえ、音の好みと機能性でどちらを是とするか、というのがよさそうだ。

ということで、今回は「EAH-AZ60」の機能性やサウンドについて紹介していこうと思う。「EAH-AZ60」最大の注目ポイントといえば、メーカーが高性能さをアピールするアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能だろう。「EAH-AZ60」では、フィードフォワードマイクによるデジタル制御と、フィードバックマイクによるアナログ制御を組み合わせた「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」を採用している。こちら、「EAH-AZ70W」にも採用されているTechnicsの独自技術だが、さらなるクオリティアップを押し進めることで、「EAH-AZ60」は業界最高クラス(2021年8月14日時点でのTechnics調べ)のANC性能を実現しているという。

また、「トランスペアレントモード」と「アテンションモード」という2つの外音取り込み機能を用意。屋外にいるときや周囲の会話やアナウンスを聴きたいときなど、さまざまなシチュエーションで重宝してくれる。ただし、2つの外音取り込みモードの切り替えはアプリから行うようで、このあたり、イヤホン本体から簡単にできるとよかったかもしれない。

また、マイク性能のよさも「EAH-AZ60」の特徴だ。ビームフォーミング技術や音声解析技術などを組み合わせることで作り上げた独自のマイク音声処理技術「JustMyVoice」を搭載。独自の音声解析によって発話者の声とノイズを切り分け、ノイズのみを低減することで相手にしっかりと声が伝わる快適な通話を実現しているという。実際に試してみたが、確かに、なかなかのクオリティを持ち合わせている。トーンの低い男性の声であっても、言葉のニュアンスが明瞭に伝わってくれるのはありがたいかぎりだ。また、自分の声をリアルタイム録音&ディレイ再生してくれる「JustMyVoice」も重宝する。

さて、肝心のサウンドはというと、メリハリのよいダイレクトな表現と、きめ細やかなディテール表現の両立が巧みで驚く。低域は量感があり、十分な迫力を持ち合わせているのだが、同時に中高域がとてもていねいな表現なので、演奏や歌声のディテールがしっかりと届いてくれる。高域に嫌なざらつき感もなく、聴き心地もよい。このあたりは、LDACコーデックの恩恵も大きいのだろう。結果として、女性ボーカルが存分に魅力的な歌声を楽しむことができるし、Jポップとの相性もよく、AimerやMYTH & ROIDは普段よりも力強い、それでいてどことなく透明感を感じるのびのびとした歌声を聴かせてくれる。音楽ジャンルを選ばない、懐の深いチューニングといえる。ANCやマイク性能を重視したい、けれども音質には妥協したくない、という人にはぜひ注目してほしい製品だ。

イヤホン重量(片耳):7g
再生時間:最大7時間(ノイズキャンセリングON、AAC接続時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約2.4回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/LDAC
カラーバリエーション:ブラック/シルバー

10. アップル「AirPods」(第3世代モデル)
装着感と音質が大きく進化したAirPodsシリーズの最新モデル

現在の完全ワイヤレスイヤホン全盛時代の立役者であり、発売以来、いまも変わらずベストセラーを続けているAirPodsが、第3世代へとリニューアルされた。

今回のモデルでは、インナーイヤー型の軽快な装着感はそのままに、筐体デザインを大きく変更。全体的にはカナル型を採用した「AirPods Pro」に近いデザインとなり、やっと同世代の最新モデルへと並んだ印象だ。スティック部分に操作用の圧力センサーを配置するなど、操作系も同じ。これにより、ユーザーは2つのAirPodsから好みの装着感を選べるようになった、と考えていいだろう。

ちなみに、耳に収まる部分もリデザインされ、変更されたバーの角度と相まって、高い装着感を実現しているという。正直な話、これまでの「AirPods」は俗称で“うどん”などと言われてきたように、バーの部分が長めで、その部分ばかりが変に目立つデザインだったが、「AirPods 第3世代」ではそれがずいぶんと普通な印象へと生まれ変わっている。こういった装着時の見かけのよさだけでも、うれしいアップデートと思える。

機能面でも、最新「AirPods Pro」とほとんど同じ内容を持つようになった。まず、これまで「AirPods Pro」と「AirPods Max」のみだった空間オーディオやヘッドトラッキング機能が搭載され、映画やゲームで没入感の高いサウンドを楽しめるようになった。また、耳の形に合わせて音を自動調節してくれる「アダプティブイコライゼーション」も「AirPods Pro」同様に搭載されている。こういったパーソナライズ機能は、音楽を聴き続けるうえでのストレスが低減される(人間は脳内で音を本能的に調整する機能を持っているため長時間それなりの音量を聴き続けると疲れやすい)ので、「AirPods 第3世代」を購入する大きなメリットのひとつといえるだろう。

このほか、イヤホン単体で約6時間の音楽再生が可能、専用ケースからの充電を合わせると、約30時間の連続使用が可能となっている。ちなみに、専用ケースは同サイズながらも横長レイアウトとなり、イヤホン本体の出し入れもかなりやりやすくなった。IPX4の防滴機能を持ち合わせるようになったことも、うれしい進化といえるだろう。また、マイクに関しても風切り音を低減するシステムを導入するなど、さらなる進化が押し進められている。

独自のダイナミックドライバーとパワフルなカスタムアンプを搭載したという、「AirPods 第3世代」のサウンドはというと、第2世代に比べて大きく進化。解像感があきらかに高まり、細かいニュアンスまでしっかりと伝わってくるようになった。歪み感が少なくなったことに加え、やや迫力重視だった帯域バランスも、よりニュートラルなイメージへと生まれ変わったため、ずいぶん聴きやすくもなった。あえて第2世代を選ぶ必要のない、完成度の高い製品だ。

イヤホン重量(片耳):4.28g
再生時間:最大6時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで4回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ホワイト

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