選び方・特集

《2022年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

Appleが「iPhone」シリーズからヘッドホン出力端子を廃止して以降、Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急激に普及している。実際、ここ数年で過去の数倍に匹敵する新製品が各社から登場。いまやヘッドホン&イヤホンの主流となっている。

そのなかでも、高い人気を誇っているのが完全ワイヤレスイヤホンと呼ばれる、左右別体のイヤホンだ。「トゥルーワイヤレスイヤホン(TWS)」「フルワイヤレスイヤホン」「耳栓型イヤホン」「左右分離型イヤホン」など、いろいろな呼ばれ方をしているこちらのタイプ。一般的なBluetoothイヤホンがプレーヤーとはワイヤレスながら左右本体がケーブルでつながっているのに対して、完全ワイヤレスイヤホンは左右間もワイヤレス接続となっており、ケーブルがいっさい使用されていない。その名のとおり、“完全”“完璧”なワイヤレスイヤホンとなっているのだ。その代表例といえるのがアップルのAirPodsで、こちらが発売されて以降、大きく注目を集めるようになり、現在はさまざまなメーカー/ブランドから数多くの製品がラインアップされている。

ヘッドホン出力端子が廃止されたiPhoneの登場で、Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急速に拡大している(写真はApple「iPhone X」と「AirPods Pro」)

ヘッドホン出力端子が廃止されたiPhoneの登場で、Bluetooth方式のワイヤレスヘッドホン&イヤホンが急速に拡大している(写はApple「iPhone X」と「AirPods Pro」)

本特集では、そんな大注目の完全ワイヤレスイヤホンの選び方を4つのポイントにわけてわかりやすく解説するとともに、話題の最新モデルから人気の定番モデルまで、全40モデルの一気レビューをお届けする。レビューでは、音質をメインとしつつも、接続時の手間などユーザビリティも含めて紹介させていただくので、自分にとってのベストワンを選び出す参考にしていただけたらと思う。

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完全ワイヤレスイヤホンの選び方

1.装着感(耳にフィットしてこぼれ落ちないモデルを選ぶ)

特集の冒頭でも述べたとおり、完全ワイヤレスイヤホンの最大のメリットは、ケーブルがいっさいないため、屋外でとても扱いやすい製品になっているということだ。一般的なBluetoothイヤホンは左右間をケーブルで接続しているため、移動時何かに引っかかったり収納時に絡まったり、時には断線など、有線イヤホンと同じトラブルが発生する可能性がある。もちろん、ケーブルの長さは圧倒的に短いし、ネットバンドを採用するなどの工夫によってケーブルにまつわるトラブルは格段に少ないが、わずかながら可能性は残る。また、これは気分の問題だが、左右がつながっているのがうっとうしく感じるユーザーもいるだろう。対して完全ワイヤレスイヤホンは、左右が独立していて、ケーブルにまつわるトラブルやストレスから完全に解放される。これだけでも十分な魅力といえる。

これは同時に、完全ワイヤレスイヤホンのデメリットともなっている。それは、落としやすくなくしやすいことだ。実際、通勤時などに完全ワイヤレスイヤホンが耳からこぼれ落ちてしまう人に少なからず遭遇する。筆者も、電車とホームのすき間に落ちてしまい絶望的な顔をしている人に会ったことがある。それも、ひとりやふたりではない。

完全ワイヤレスイヤホンは、本体内ですべての構成が完結しなければならないため、有線タイプのイヤホンに対して本体が大きくなりがちで、どうしても落ちやすい傾向があるのだ。そのため、女性など耳穴の小さい人などは頻繁に耳からこぼれ落ちやすく、なくしたり壊したりする可能性が高くなってしまう。また、本体が小さいことから、自宅などの室内でも思っている以上に見つかりにくいという思わぬ落とし穴もある。そういった事態への対策として、メーカーは本体の形状を最適化したり、収納用のケースを付属したりとさまざまな工夫を行っている。とはいえ、やはり重要なのは実際の装着感だ。自分の耳にちゃんとフィットしているか、実際に製品に触れる機会があるなら確認しておいたほうがいいだろう。

ちなみに、イヤホン本体の紛失への対策として、一部メーカーの製品には片方紛失/故障時の有償サービスが付いているモデルもあったりする。いざというときに大変ありがたいので、製品選びの際のチェック項目として加えておくものいいだろう。

完全ワイヤレスイヤホンは製品によって大きさや形状もさまざま。耳の形状や耳穴の大きさも人によって大きく異なるので、実際に装着して自分の耳にフィットするモデルを選ぶのが鉄則だ

完全ワイヤレスイヤホンは製品によって大きさや形状もさまざま。耳の形状や耳穴の大きさも人によって大きく異なるので、実際に装着して自分の耳にフィットするモデルを選ぶのが鉄則だ

2.ワイヤレスの接続性(切れにくいもの、復帰がスムーズなものを選ぶ)

もうひとつ、完全ワイヤレスイヤホンのデメリットとしてあげられるのが接続状況だ。プレーヤーと左右本体の2か所をワイヤレスで接続するうえ、左右の間にある人間そのものが電波を通しづらい傾向があるため、音切れが発生しやすい。各社ともアンテナの形状を工夫したり、左右間の接続方式を工夫したりと、さまざまな方法で音切れの回避を行っているが、有線のように完璧な安定接続は不可能であるため、多少の音切れは容認せざるを得ない。

それよりも、音切れの頻度や復帰のスムーズさを気にしたいところだ。最新チップを搭載したモデルは接続の安定性が高くなっているが、やはり最大のポイントは本体内蔵アンテナのデザインで、ワイヤレス技術にすぐれたメーカーが安心だ。ただ、通信の安定性の良し悪しは実際に試してみないと分からないのが歯痒いところ。なので、技術スペックはあくまでも参考程度に踏まえておいた方がよいだろう。

3.再生時間(急速充電機能やトータルの再生時間をチェック)

次に重要なポイントとなるのが、バッテリーの持続時間だ。本体サイズがコンパクトな完全ワイヤレスイヤホンは、大きなバッテリーを搭載することができず、再生時間は一般的なBluetoothイヤホンに対してかなり短くなってしまっている。現在発売されている製品を見てみると、5〜8時間のバッテリー駆動時間をうたっているモデルが多い。そのため、収納ケースがそのまま充電ケースとなっていて、トータルで10時間以上の使用できるよう工夫されているが、それでも“聴きたいときにバッテリー切れで聴けない”可能性があるのも確かだ。

それをできるかぎり回避するため、製品選びの際はケースに“急速充電”機能がある製品を有力候補としよう。15分で1時間ほどの使用が可能な急速充電対応の製品を購入していれば、聴きたいときに聴けない事態をうまく回避することも可能になるからだ。また、最近では大容量のバッテリーを搭載し、モバイルバッテリーのようにスマートフォンに給電できるモデルも登場してきている。完全ワイヤレスイヤホンとモバイルバッテリーの2台持ちが大変という人は、こういった製品をチョイスするというのもアリだろう。

最近では超大型のバッテリーを内蔵し、ケースと合わせて最大100時間以上音楽再生やスマートフォンへの充電を行えるモデルなども登場してきている(写真はag「AG-TWS04K」)

最近では超大型のバッテリーを内蔵し、ケースと合わせて最大100時間以上音楽再生やスマートフォンへの充電を行えるモデルなども登場してきている(写真はag「AG-TWS04K」)

4.音質(自分好みの音色傾向を選ぶ)

最後に、音質についてもぜひチェックしてほしいところだ。これまで完全ワイヤレスイヤホンは、本体内にアンテナやバッテリーを搭載しなければならないスペース的な制限によって音質的に不利と言われてきた。しかし、各社が音質に対してさまざまな工夫を凝らした結果、ここ数年で完全ワイヤレスイヤホン全体の音質レベルはかなり引き上げられている。Bluetoothの「便利だけど音が悪い」というイメージはかなり払拭されつつあるのだ。こういった状況からも旧モデルよりも最新モデルを選ぶほうが音質的に有利なことが多いことは確かだが、やはり最終的には自分好みの音色傾向を選ぶというのが一番だろう。一気レビューのパートには、製品ごとの音質傾向を詳しく掲載しているので、ぜひ参考にしていただければと思う。

完全ワイヤレスイヤホン注目機種レビュー

1. ソニー「WF-1000XM4」
ノイキャン性能だけじゃなく全方位で進化を遂げた定番ノイキャンTWS

ソニーのアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能搭載完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000X」シリーズの最新モデルが「WF-1000XM4」だ。2019年に発売された「WF-1000XM3」の後継に位置するモデルで、イヤホン本体も専用ケースもデザインが一新され、どちらもかなりの小型化が押し進められた。また、好評のノイズキャンセリング機能をさらに向上させるため、フィードフォワード+フィードバックのハイブリッド方式マイク構成はそのままに、下記のような進化を遂げている。

・BluetoothSoCとノイズキャンセリングプロセッサーを統合した「V1」チップを採用することで処理能力を向上させ低遅延での処理を実現
・独自開発のポリウレタンフォーム素材を使用する新開発ノイズアイソレーションイヤーピースを採用
・新開発6mm口径ドライバーユニットによって低音域のノイズキャンセリング性能を向上

これらの全面的な改良によって、先代の「WF-1000XM3」を大きく上回るノイズキャンセリング性能を実現したという。

また、ノイズキャンセリング性能以外にも、風を検知すると自動的にフィードフォワード(イヤホン本体外側)マイクがオフとなる「風ノイズ低減機能」の搭載や、高いノイズキャンセリング効果を確保するためにアプリによる装着状態テスト機能の導入、片耳だけでの使用に新たに対応するなど、新機能を多数搭載。外音の取り込み量を増やすことでより自然な集音を実現した「アンビエントサウンドモード」、周囲の音を取り込みつつ一時的に音楽の音量を絞って聴き取りやすくする「クイックアテンションモード」など、使い勝手の面においてもきめ細やかな追及がなされている。

「WF-1000XM3」に対してかなりの小型化を実現した専用ケースは、ワイヤレス充電機能を搭載。Qi対応充電器などから手軽に充電を行うことができる。また、ケースを「Xperia 1 III」の背面に置くだけでスマートフォンから給電される「おすそわけ充電」も可能となっているようだ。バッテリー性能は、イヤホン単体・ANCオンで最長8時間(ANCオフの場合は最長12時間)、専用ケースを含めると最長24時間(ANCオフの場合は最長36時間)と、十分なスペックを持ち合わせている。1分間の充電で60分再生が可能なクイック充電にも対応しているので、バッテリー切れで困ることはまずないだろう。

いっぽうで、音質面での最大のトピックは、完全ワイヤレスイヤホン初となるLDACコーデックの対応だろう。これまでの完全ワイヤレスイヤホンは、ソニー製だけでなく他社製品も含めてaptXコーデックが最高音質となっていたが、「WF-1000XM4」はハイレゾ音源にも対応した高音質コーデックであるLDACに対応。さらなる高音質サウンドを楽しめるようになった。これはなかなかにうれしいトピックだ。この「WF-1000XM4」を皮切りに、今後は完全ワイヤレスイヤホンにおいてもLDACなど高音質コーデックの普及が押し進められることを期待したい。

このように、ソニーとしてかなり力の入っている「WF-1000XM4」だが、実際の製品を手にしてみると、完成度の高い仕上がりであるように感じられた。まず、「WF-1000XM3」に対してイヤホン本体がかなり小さくなり、イヤーピースの恩恵もあってか、格段に装着時の安定感がよくなっている。それに合わせてノイズキャンセリング性能も向上、かなりの静けさを提供してくれるようになった。同時に、外音取り込みの音がずいぶんと自然に感じられるようになった点も好ましい。リアルの音に比べると少し高音よりの帯域バランスというか、キーボードを叩く音はカチャカチャするが、それでも音色や方向などでかなりのリアリティを持ち合わせている。ANC関連については、現在の最高レベルの1台と言えるだろう。

さて、期待の音質については、CD音源もハイレゾ音源も、格段のきめ細やかな表現を持ち合わせている。特にハイレゾ音源がその本領を発揮してくれるのがうれしい。結城アイラ「Leading role」などシンプルな構成の楽曲を聴くとよくわかるが、ピアノの音は単に伸びやかなだけでなく、録音した場所の空気感も伝わってくる豊かな表情を持ち合わせているし、ボーカルは声のリアルさが如実に感じられる。

いっぽう、音色傾向については、流行とは異なる普遍的な独自のキャラクターにまとめ上げられている。高域が伸びやかであるにもかかわらず、まったくといっていいほど尖りを感じないためとても聴き心地がよい。こんなに聴きやすい上坂すみれ「POP TEAM EPIC」は初めてかもしれない。比較的長時間使い続けても、聴き疲れすることはまずないだろう。唯一、低域の量感は今風にやや多めとなっているが、フォーカス感が保たれた質のよい音なので、アプリのイコライザーなどで好み合わせて調整すればよいだろう。ANC機能、装着感、音質ともにとても良質で、非常に完成度の高い製品だ。

イヤホン重量(片耳):7.3g
再生時間:最大8時間(ANCオン時、ANCオフ時は最大12時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/LDAC
カラーバリエーション:ブラック/プラチナシルバー

2. アップル「AirPods Pro」
カナル型デザインになり、待望のノイズキャンセル機能も搭載した大人気モデル

数多ある完全ワイヤレスイヤホンの中でも、圧倒的な人気でナンバーワンのシェアを保ち続けているアップル「AirPods」シリーズ。その中でも特に人気の高いモデルが「AirPods Pro」だ。

「AirPods Pro」は、「AirPods」シリーズの上位に位置するモデルで、イヤホン本体のデザインやアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能など、デザインや機能性を大きく変更したのが特徴となっている。また、操作にコツがいるマルチタップシステムも感圧センサーに変更され、一段とわかりやすく扱いやすい操作方法となった。要するに、ユーザーから要望があがっていたさまざまなポイントに改良を施し、より高機能でより扱いやすい製品へと進化しているのが「AirPods Pro」の特徴といえる。加えて、カナル型イヤホンとなったことによりホールド感も格段に向上し、IPX4レベルの耐汗防滴性能と合わせて、フィットネスやランニング等のスポーツユースにも活用できるようになった。まさに、うれしい改良が施された使い勝手のよい製品といえる。

特に、カナル型イヤホンとなってくれたのは大いに歓迎したい。耳掛け型だったこれまでの「AirPods」は、筆者はもちろん、利用者の多くが“使用中に耳からポロリとこぼれ落ちてしまう”ことがあり、紛失が深刻なレベルでの問題となっていた。また、音漏れに関してもかなりの音量となっていて、正直、混雑時の電車内などでは周囲の迷惑を考えると使いづらかった。日本人および日本の都会の環境には適合しにくい部分があったのだが、カナル型イヤホンとなった「AirPods Pro」は、装着感や音漏れの面でもかなりの良好さを持ち合わせるようになっている。

とはいえ、「AirPods Pro」のノズル部分はそれほど長くなく、緩くはめ込むカタチとなっていて、サイズをしっかり合わせないと外れやすい。筆者は普段MかMSサイズのイヤーピースを使用しているのだが、「AirPods Pro」ではLサイズでピッタリだった。一般的なカナル型イヤホンとはホールドされる位置が異なっているので、同梱されているS/M/Lイヤーピースのうち、どのサイズがベストか、しっかりと試して欲しい。ちなみに、「AirPods Pro」にはうれしいことにイヤーピースの装着状態テストも用意されている(設定アプリの「Bluetooth」をタップして接続中の「○○ 's AirPods Pro」の横の「i」をタップするとAirPods Proの設定画面が表示されるのでその中の「イヤーチップ装着状態テスト」をタップ)ので、こちらを使ってフィット感を確認してほしい。

「AirPods Pro」のイヤーピースは、楕円形の独自デザインが採用されていて、台座部分も一体化されており、イヤホン本体から簡単に外れないようになっている。イヤホンを外した際に耳からこぼれ落ちたり耳穴に残ったりしない点は大歓迎だが、その代わりにサイズ交換がかなりしづらい。実際、サイズ交換のため何回か試してみたが、シリコン部分を破ってしまわないか、かなりヒヤヒヤした。交換の際には十分注意してほしい。

さて、音漏れに関してはもうひとつ、構造だけではなく新機能のノイズキャンセリングシステムもある程度の効果を発揮してくれている。「AirPods Pro」のノイズキャンセリング機能は、かなり強力なもので、環境騒音の中心である低域はもちろん、中域など人の声のあたりも含め、全体的に強く効かせている傾向にある。そのため、静粛性が高く、音楽の音量を自然と抑えるようになるため、音漏れが圧倒的に減ってくれるのだ。さすがに、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車では厳しいだろうが、多少混んでるくらいであれば大丈夫だろう。また、ノイズキャンセリング機能は外部音取り込みモードも用意されていて、こちらに変更すると外部の音がしっかりと届いてくれる。しかも、とても周囲の音がとても自然に感じられるので、徒歩などの移動中には積極的に活用したくなる。製品によっては、この外音取り込みモードがかなり不自然な音になるため、あまり活用したい気持ちにはならないのだが、「AirPods Pro」では普段から利用したくなる質の高さがある。このあたりも「AirPods Pro」ならではのアドバンテージといえるだろう。

もうひとつ、専用ケースは「AirPods」に比べて横幅が広がり、多少大きくなった印象があるが、持ち運びの点で特に不満はない。ただし、イヤホン本体の取り出しには多少コツが必要で、手前にくるりと回すようにして取り出すため、慣れるまではポロリと落としてしまう場合があるので気を付けてほしい。

さて、肝心のサウンドはというと、基本的にはジェントルなサウンドキャラクターといえるもの。荒々しさをまったく感じさせない、ていねいな抑揚表現によって、落ち着きのある、聴き心地のよいサウンドを楽しませてくれる。男性ボーカルも女性ボーカルも、どちらかというとしっとりとした印象の朗々とした歌声て、聴き心地のよさはなかなかのもの。解像感はそれほど高くはないが、あまり気にならない良質な表現を持ち合わせている。その代わりに、ややパワー感に欠ける傾向はあるが、ハードロックばかり聴く人でもないかぎりは、それほど気にならないだろう。Jポップとの相性もまずまず良好なので、サウンドキャラクターを不満に思う人はそれほどいないだろう。

アップの初のノイズキャンセリング機能搭載カナル型イヤホン「AirPods Pro」は、なかなかに完成度の高い、充実した内容を持つ製品といえる。

イヤホン重量(片耳):約5.4g(片耳)
再生時間:最大4.5時間(アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードをオフにした場合は最大5時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで24時間以上の再生が可能)
対応コーデック:SBC、AAC
カラーバリエーション:ホワイト

3. JVC「HA-A5T」
機能を絞り込み、圧倒的コスパを実現したJVCの完全ワイヤレスイヤホン入門機

手ごろな価格ながらも良質なサウンドを持ち合わせていることで好評を博していたハイコストパフォーマンス機「HA-A11T」の、さらに下位に位置するエントリークラスの完全ワイヤレスイヤホンとして投入された「HA-A5T」は、機能性を必要十分な内容に絞り込むことでさらなる低価格を実現したのが特徴だ。とはいえ、Bluetooth Ver.5.1およびPower Class1に対応するとともにアンテナ位置を最適化することで安定した接続性を実現。連続再生もイヤホン本体で最長5時間、専用ケースからの充電を合わせると最長15時間の利用が可能、IPX4相当の防滴性能を備え、ハンズフリー機能を持ち合わせているなど、機能性はしっかり確保されている。

また、イヤホン本体は約3.9gと超軽量で装着感も良好だ。専用ケースも小柄で、持ち運びしやすくなっている。コーデックはSBCのみ。カラーバリエーションは定番のホワイトとブラックに加えてグリーン、ブルー、レッドの全5色を用意する。

Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」と接続してさっそく試聴してみる。ひと言で表すならば、ていねいな表現のサウンド。ダイナミックレンジの幅は狭くディテール表現もさほど細かくはないものの、嫌なピークが目立つことなく、どんな音楽ジャンルもそつなくこなす優秀さを持ち合わせている。ボーカルの距離感が近く、声が明瞭に感じられる点には好感が持てる。いっぽう、低音はやや強めとなっていて、屋外でも音が痩せることなく、十分な迫力を楽しませてくれる。価格と音質のバランスのよい手ごろな製品で、完全ワイヤレスイヤホン入門機としてもうってつけの1台だ。

イヤホン重量(片耳):3.9g
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC
カラーバリエーション:グリーン/ブルー/レッド/ホワイト/ブラック

4. Technics「EAH-AZ60」
LDACに対応。装着感もアップしたTechnics最新ノイキャンTWS

日本の老舗オーディオブランドであるTechnics(テクニクス)より、完全ワイヤレスイヤホンの新製品「EAH-AZ60」「EAH-AZ40」が発売された。こちらの2製品、製品名から「EAH-AZ70W」の下位モデルのようにも思えるが、なかでも「EAH-AZ60」は、音質と機能の両面で並び立つ上級モデルとして作り上げられている様子がうかがえる。

たとえば「EAH-AZ60」は、8mm口径と「EAH-AZ70W」に対して小口径ではあるものの、完全ワイヤレスイヤホンとしては比較的大型のドライバーユニットを搭載しつつ、耳側のデザインを追求したり、内部レイアウトを工夫することで耳からの飛び出しを少なくするなど、フィット感の高いデザインを作り上げている。さらに、BluetoothはLDACコーデックに対応するなど、デジタルパートでのグレードアップも押し進められている。このように、「EAH-AZ70W」に対しては第2世代に相当する進化が押し進められているのだ。両者は上下としてとらえるのではなく、並び立つ製品としてとらえ、音の好みと機能性でどちらを是とするか、というのがよさそうだ。

ということで、今回は「EAH-AZ60」の機能性やサウンドについて紹介していこうと思う。「EAH-AZ60」最大の注目ポイントといえば、メーカーが高性能さをアピールするアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能だろう。「EAH-AZ60」では、フィードフォワードマイクによるデジタル制御と、フィードバックマイクによるアナログ制御を組み合わせた「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」を採用している。こちら、「EAH-AZ70W」にも採用されているTechnicsの独自技術だが、さらなるクオリティアップを押し進めることで、「EAH-AZ60」は業界最高クラス(2021年8月14日時点でのTechnics調べ)のANC性能を実現しているという。

また、「トランスペアレントモード」と「アテンションモード」という2つの外音取り込み機能を用意。屋外にいるときや周囲の会話やアナウンスを聴きたいときなど、さまざまなシチュエーションで重宝してくれる。ただし、2つの外音取り込みモードの切り替えはアプリから行うようで、このあたり、イヤホン本体から簡単にできるとよかったかもしれない。

また、マイク性能のよさも「EAH-AZ60」の特徴だ。ビームフォーミング技術や音声解析技術などを組み合わせることで作り上げた独自のマイク音声処理技術「JustMyVoice」を搭載。独自の音声解析によって発話者の声とノイズを切り分け、ノイズのみを低減することで相手にしっかりと声が伝わる快適な通話を実現しているという。実際に試してみたが、確かに、なかなかのクオリティを持ち合わせている。トーンの低い男性の声であっても、言葉のニュアンスが明瞭に伝わってくれるのはありがたいかぎりだ。また、自分の声をリアルタイム録音&ディレイ再生してくれる「JustMyVoice」も重宝する。

さて、肝心のサウンドはというと、メリハリのよいダイレクトな表現と、きめ細やかなディテール表現の両立が巧みで驚く。低域は量感があり、十分な迫力を持ち合わせているのだが、同時に中高域がとてもていねいな表現なので、演奏や歌声のディテールがしっかりと届いてくれる。高域に嫌なざらつき感もなく、聴き心地もよい。このあたりは、LDACコーデックの恩恵も大きいのだろう。結果として、女性ボーカルが存分に魅力的な歌声を楽しむことができるし、Jポップとの相性もよく、AimerやMYTH & ROIDは普段よりも力強い、それでいてどことなく透明感を感じるのびのびとした歌声を聴かせてくれる。音楽ジャンルを選ばない、懐の深いチューニングといえる。ANCやマイク性能を重視したい、けれども音質には妥協したくない、という人にはぜひ注目してほしい製品だ。

イヤホン重量(片耳):7g
再生時間:最大7時間(ノイズキャンセリングON、AAC接続時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約2.4回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/LDAC
カラーバリエーション:ブラック/シルバー

5. ソニー「WF-C500」
アンダー1万円。コスパ重視のソニー完全ワイヤレスイヤホン

ソニーの新しいスタンダードクラスにして、同社が初めてリリースする1万円前後の価格帯となるコストパフォーマンスモデルがこの「WF-C500」だ。

とはいえ、その内容に手抜かりはない。ソニーが推進する立体音響「360 Reality Audio」認定モデルとなっているうえ、圧縮音源の高音域をクリアに再現する高音質技術「DSEE」も無印ながら搭載されている。また、ワイヤレストランスミッター「WLA-NS7」を組み合わせることで、BRAVIA XR対応テレビでDolby Atmosを楽しむこともできるようになっている。専用アプリ「Headphones Connect」を活用することで、イコライザー機能、通知音や音声ガイダンスの変更、ソフトウェアのアップデートなど、さまざまな便利機能を活用することも可能だ。

イヤホン本体がかなり小柄にまとめられているのも特徴だ。フラッグシップモデル「WF-1000XM4」のイメージを受け継ぐデザインのイヤホン本体は、耳からの出っ張りを抑え、耳との接触面を増やす「エルゴノミック・サーフェース・デザイン」を採用することで、装着感の高さが追求されている。実際に装着してみると、確かに、フィット感の高い装着をしてくれる。ただし1点、イヤーピースのノズル部が太いためか(イヤホン本体のノズル部はいたって普通の径)、耳穴を押し広げる力が強く、耳穴の小さい女性などは少々違和感をおぼえるかもしれない。このあたりは、可能であれば実機を試してみるなど、購入前にいちど確認してほしい。

連続再生時間は最長で10時間、専用ケースからの充電を含めると最長20時間使い続けることができる。また、10分の充電で1時間の再生が可能なクイック充電にも対応する。このほか、左右同時伝送による安定した接続性を確保していたり、左右どちらかの片側使用も可能、IPX4相当の防滴機能など、この価格帯の製品としては十分な機能性を持つ合わせている。

さて、肝心のサウンドはいかがなものだろう。Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」とAACコーデックで接続して試聴した。きめ細やかなディテールをしっかりと再現してくれる、ていねいな表現の中高域が特徴。女性ボーカルはややクールだが、やさしく語りかけてくるかのような聴き心地のよい歌声を楽しませてくれる。いっぽう、低域はちょっと多め量感をもち、ロックやJポップなどは普段よりも少しばかりパワフルな演奏に感じられる。屋外でも演奏が迫力を失うことのない、絶妙なバランスだ。また、音色の変化が少ないストレートな表現のため、音楽ジャンルを選ばない点も好感が持てる。

装着感のよさや、この価格帯の製品としては良質なサウンド、質感のよいイヤホン本体外観の仕上げなど、多方面において満足度の高い製品だ。

イヤホン重量(片耳):5.4g
再生時間:最大10時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで1回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:アイスグリーン/コーラルオレンジ/ホワイト/ブラック

6. アップル「AirPods」(第3世代モデル)
装着感と音質が大きく進化したAirPodsシリーズの最新モデル

現在の完全ワイヤレスイヤホン全盛時代の立役者であり、発売以来、いまも変わらずベストセラーを続けているAirPodsが、第3世代へとリニューアルされた。

今回のモデルでは、インナーイヤー型の軽快な装着感はそのままに、筐体デザインを大きく変更。全体的にはカナル型を採用した「AirPods Pro」に近いデザインとなり、やっと同世代の最新モデルへと並んだ印象だ。スティック部分に操作用の圧力センサーを配置するなど、操作系も同じ。これにより、ユーザーは2つのAirPodsから好みの装着感を選べるようになった、と考えていいだろう。

ちなみに、耳に収まる部分もリデザインされ、変更されたバーの角度と相まって、高い装着感を実現しているという。正直な話、これまでの「AirPods」は俗称で“うどん”などと言われてきたように、バーの部分が長めで、その部分ばかりが変に目立つデザインだったが、「AirPods 第3世代」ではそれがずいぶんと普通な印象へと生まれ変わっている。こういった装着時の見かけのよさだけでも、うれしいアップデートと思える。

機能面でも、最新「AirPods Pro」とほとんど同じ内容を持つようになった。まず、これまで「AirPods Pro」と「AirPods Max」のみだった空間オーディオやヘッドトラッキング機能が搭載され、映画やゲームで没入感の高いサウンドを楽しめるようになった。また、耳の形に合わせて音を自動調節してくれる「アダプティブイコライゼーション」も「AirPods Pro」同様に搭載されている。こういったパーソナライズ機能は、音楽を聴き続けるうえでのストレスが低減される(人間は脳内で音を本能的に調整する機能を持っているため長時間それなりの音量を聴き続けると疲れやすい)ので、「AirPods 第3世代」を購入する大きなメリットのひとつといえるだろう。

このほか、イヤホン単体で約6時間の音楽再生が可能、専用ケースからの充電を合わせると、約30時間の連続使用が可能となっている。ちなみに、専用ケースは同サイズながらも横長レイアウトとなり、イヤホン本体の出し入れもかなりやりやすくなった。IPX4の防滴機能を持ち合わせるようになったことも、うれしい進化といえるだろう。また、マイクに関しても風切り音を低減するシステムを導入するなど、さらなる進化が押し進められている。

独自のダイナミックドライバーとパワフルなカスタムアンプを搭載したという、「AirPods 第3世代」のサウンドはというと、第2世代に比べて大きく進化。解像感があきらかに高まり、細かいニュアンスまでしっかりと伝わってくるようになった。歪み感が少なくなったことに加え、やや迫力重視だった帯域バランスも、よりニュートラルなイメージへと生まれ変わったため、ずいぶん聴きやすくもなった。あえて第2世代を選ぶ必要のない、完成度の高い製品だ。

イヤホン重量(片耳):4.28g
再生時間:最大6時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで4回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ホワイト

7. BOSE「Bose QuietComfort Earbuds」
BOSE初となる大注目のノイキャン付き完全ワイヤレスイヤホン

BOSEから、第2世代と呼べる完全ワイヤレスイヤホンが2製品同時にリリースされた。そのひとつが「Bose QuietComfort Earbuds」だ。こちら、BOSE初の“アクティブノイズキャンセリング機能”搭載完全ワイヤレスイヤホンで、ノイズキャンセリングに定評のあるBOSEでありながら、意外にも完全ワイヤレスイヤホンとしてはこの製品が初となっている。

イヤホン本体は、装着時にやや横長となるデザインを採用している。これは、装着感と操作性に配慮した結果なのだろう。また、耳に装着する部分はBOSEユーザーにとってはおなじみの、ノズル部分のイヤーピースがカナル型に近いインナーイヤー型を採用。良好な装着感を持ち合わせている。なお、イヤーピースには同社がスタビライザーと呼ぶイヤーフィックが一体となったものが採用されていて、装着格の高さが求められている。

重さは8.4gと、イマドキの製品としてはやや軽快さにかけるものの、同社ファーストモデル(の完全ワイヤレスイヤホン)に比べると圧倒的に軽く、サイズも大幅にコンパクト化されている。このほか、コーデックはSBCとAACに対応。IPX4の防滴性能も持ち合わせている。

操作系は、音量調整がない点は残念だが、そのほかはアクティブノイズキャンセリング機能の調整(11段階で10−5−0の順)も含めてイヤホン本体から行える。とはいえ、おすすめは専用アプリ「BOSE MUSIC」からの操作。こちらを使用することで11段階のノイズキャンセリングのレベル調整が行え、しかもレベル10だと強めのノイズキャンセリング、レベル0にすると自然な外音取り込みといったように、実際の使い勝手がとてもよかったりする。いかにもBOSEらしい、ユーザーフレンドリーなユーザビリティだ。

さて、実際のサウンドを聴いてみる。いい意味でとても普通な音。解像感はそれほど高くないけれど、音色が据え置き型のスピーカーを聴いているかのような自然さを持ち合わせている。おかげで、女性ボーカルは実体感のあるニュートラルな歌声を聴かせてくれる。ハスキーな声の人はハスキーに、かわいらしい声の人はかわいらしく、本来の歌声の魅力を存分に楽しませてくれる。ただひとつ、100〜120Hzあたりの低域にピークを感じる部分があるため、楽曲によっては(特にJポップなどは)リズムパートのフォーカスがにじんでしまうこともある。このあたりは、好みが分かれそうだ。

専用ケースがやや大きいのが気になるところではあるが、ノイズキャンセリングを日常的に活用したい人にとってはかなり使い勝手のよい優秀な製品と言えるだろう。

イヤホン重量(片耳):8.5g
再生時間:最大6時間(ANC ON)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:トリプルブラック/ソープストーン

8. ソニー「WF-1000XM3」
ノイキャン性能や接続安定性を高めたソニーのロングセラー完全ワイヤレスイヤホン

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」の特徴をひとことで表すならば、それはズバリ、コンセプトの完璧な実現、といったイメージだろうか。先代「WF-1000X」は、完全ワイヤレスイヤホンとして世界初となったノイズキャンセリング機能の搭載や、上質なサウンドで大いに人気を得ることとなったが、ソニーとしては初めて手がける完全ワイヤレスイヤホンだということもあってか、接続安定性や装着感などで、ユーザーから不満の声が上がることもままあった。そういった部分をすべてしらみつぶしに解消していき、“理想の”完全ワイヤレスイヤホンを作り出そうとした様子が「WF-1000XM3」の随所からうかがえるのだ。

たとえば、イヤホン本体のデザインは、ハウジング部のオーバル形状など基本的なスタイルこそキープコンセプトであるものの、まったくの新造形となっているし、さらに耳側、ノズルまわりの形状はまったく異なるデザインへと変わっている。これによって、先代に対して格別となる、高い装着感を実現していることを確認できた。また、内部に目を移しても、Bluetoothチップセットを新規に開発するなど、徹底した改良が行われている。名前は“M3”だが、完全新作といっていいほどのブラッシュアップが行われているのは確かだ。

ちなみに、2代目なのに何故“3”なのか疑問に思ったのだが、その旨をたずねてみると、ノイズキャンセリング機能搭載ヘッドホン「WH-1000XM3」のイヤホン版という位置付けとなっているため、この名前を採用したようだ。正直、M3をマーク3ととらえると多少の違和感をもつが、ソニーとしてはマーク3の略と明言している訳ではなく、世代で製品名末尾を揃えるのは製品特徴としてわかりやすい面もあるので、これはこれでわかりやすいかも、とも思えた。

いっぽう、機能面でも先代モデルに対しての進化がいくつも見られる。ノイズキャンセリング機能は、新たにヘッドホンの外側と内側に配置した2つのマイクを配置した「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を完全ワイヤレスイヤホンとして初めて採用。さらに、ヘッドホン「WH-1000XM3」用のノイズキャンセリングプロセッサー「QN1」を省電力/小型化した「QN1e」を新たに搭載することで、ノイズキャンセリング機能の精度も高めている。さらに、ノイズキャンセリング機能のON/OFFに加え、「アンビエントサウンド(外音取り込み)モード」も、イヤホン本体のタッチパッドから操作できるようになった。もちろん、スマートフォン用アプリからの操作も引き続き行えるようになっていて、こちらは外音取り込みレベルを22段階で調整可能なほか、ボイスフォーカスをONにすることで外のノイズを低減しつつ人やアナウンス音のみを聞きやすくすることもできる。また、ペアリングしているスマートフォンの加速度センサーを読んで、止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時の4パターンを検出して、あらかじめ設定したノイズキャンセリング&外音取り込みのモードを自動で切り替えてくる「アダプティブサウンドコントロール」も健在。使い勝手については、大いに満足のいくレベルだ。

なお、付属の専用ケースは先代に比べると多少コンパクトになった印象だが、他社製品の最新状況を踏まえると、大柄と感じてしまうサイズかもしれない。とはいえ、NFC機能が付属してくれているのはとても便利だし、約3回分のフル充電が行えることを考えると、許容できる範囲かもしれない。ちなみに、バッテリー持続時間は、イヤホン本体で約6時間、ケースからの充電もあわせると最大24時間使い続けることができるようになっている。

さて、実際の使い勝手はというと、装着感についてはなかなかのもの。ホールド感がしっかりしていて、耳からポロリとこぼれ落ちることはまずない。先代では、安定した装着が適わなかった筆者としてはありがたいかぎり。また、接続安定性に関しても、特に気になるほどではなかった。ヘッドホンイベント会場という、かなり劣悪な環境でも試してみたが、他社製品に比べると優秀といえる接続安定性を示してくれた。もちろん、相当な悪環境だったので接続が切れることは何回もあったが、クアルコム社製「QCC3026」搭載モデルなど接続安定性をアピールする製品と同等か、それ以上のクオリティは持ち合わせていたように思う。

肝心のサウンドはというと、SBC、AACコーデックのみの対応とは思えないほど、質感のよい表現を持ち合わせている。ピアノはタッチのニュアンスがしっかりと伝わってくることに加えて、倍音がしっかりと乗っているので、のびのびとした演奏に感じられる。ボーカルも迫力のある、メリハリのよい歌声を聴かせてくれる。アコースティック楽器が得意だった先代に比べると、オールラウンダータイプにシフトしたというべきか。ボーカルの押し出し感や、ドラムやベースのグルーヴ感の高さなど、メリハリのしっかりしたサウンドとなっている。幅広いジャンルの音楽が楽しめるようになったのは嬉しいかぎり。これでSBC/AACコーデックのみの対応というのはもったいない、もしLDAC対応であればさらに良質なサウンドが楽しめただろうと、少々残念な気持ちにはなっている。とはいえ、「WH-1000XM3」の音質、機能性は一級品といえるもの。上級クラス完全ワイヤレスイヤホンのリファレンスといえる、とても優秀な製品だ。

イヤホン重量(片耳):約8.5g
再生時間:最大6時間(NC ON)/最大8時間(NC OFF)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/プラチナシルバー

9. アップル「AirPods」(第2世代モデル)
「Siri」による音声操作に対応したAirPodsの第2世代モデル

完全ワイヤレスイヤホンのけん引役にして、ジャンル最大の販売数を誇るアップル純正モデル「AirPods」の第2世代モデル。本体に関して外観の変更は第1世代からほとんど見られず、ケースも同じデザインながら、Qiによるワイヤレス充電に対応したこと(非対応ケース付属の製品も用意される)、LEDが外部に移動されて充電状況が外からわかりやすくなったことなど、いくつかの利便性向上が図られている。

とはいえ、イヤホン本体も情報をよく見てみると、いくつかの性能アップが盛り込まれているのがわかる。「AirPods」はもともと、取り出すだけでiPhoneと簡単に接続でき、左右を意識せず(実際形状的にはLRはあるが)装着するだけで音楽再生を楽しむことができるうえ、同じApple IDを登録したiPadやMacなどとペアリング情報が共有されるため、機器ごとに設定する必要もない。これまでもアップル製品のユーザーには、とても使い勝手のよい製品となっていたのだが、新世代の製品では声で音声アシスタント「Siri」を呼び出せるなど、いくつかの機能性アップも行われている。

これは、ワイヤレスモジュールの変更によって実現した機能性だと思われる。初代「AirPods」では「W1」というチップを採用していたが、新モデルでは「H1」へと変更され、低消費電力化や接続機器の切り替え速度向上など、主に使い勝手の面でグレードアップが行われている。使いやすさを重視した製品作りは、アップルらしい方向性だといえる。

しかしながら、「AirPods」も純然たるオーディオ機器であるのも確か。一番重要なのは、その音質だろう。ということで、さっそくiPhoneに接続して、そのサウンドをチェックしたが、初代「AirPods」に対して、ややニュートラルなサウンドキャラクターにシフトしたイメージだ。初代「AirPods」は、昔のBoseのようなアメリカ東海岸サウンドとも呼ぶべき音色傾向を持ち合わせていたが、最新の「AirPods」は、逆に中域重視のキャラクターが強まり、奔放さよりもまとまりのよさを重視したような印象となった。

ややウォーミーな音色傾向を持ち、女性ボーカルはいつもよりハスキーだが、高域への伸びやかさはしっかりと保たれていて、印象的な歌声を聴かせてくれる。ピアノの響きも伸びやかだ。解像感も高まってくれているのだろう、楽器の音色もリアリティが高まっている。音質については、確実なグレードアップを果たしている印象を持った。機能性といい音質といい、グっと完成度の高まった製品に生まれ変わったと思う。

インナーイヤー型なので、当然音漏れはある。また、街中で耳からポロリとこぼれ落ちた人を何人も見ている(そのうち2人の女性は線路に吸い込まれていった)。電車内で使用する際は音量に気を使う必要があり、歩きながらの使用は(こぼれ落ちるのを回避するためにも)避けてもらいたい製品だが、いっぽうでこの扱いやすさは大きな魅力といえる。特にアップル製品ユーザーにとっては、最有力候補となる製品だ。

イヤホン重量(片耳):約4g(片耳)
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(15分の充電で最大3時間の再生、内蔵バッテリーで24時間以上の再生が可能)
対応コーデック:SBC、AAC
カラーバリエーション:ホワイト

10. Beats by Dr. Dre「Beats Fit Pro」
高いフィット感と充実の機能性を備えたBeatsの最新完全ワイヤレスイヤホン

「Beats Fit Pro」は、Beats(Beats by Dr. Dre)ブランドのアクティブノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホン。2019年発売の「Powerbeats Pro」、2021年夏発売の「Beats Studio Buds」に続く第3のモデルで、価格的には両者の中間に位置している。基本的にはごく一般的なイヤーモニター系のスタイルを採用しているものの、Beatsが長年にわたって集めてきた耳型を元にした本体デザインやイヤーチップ採用によって、性別や耳のサイズを問わず、誰でも自然で心地よいフィット感が得られるという。なお、「Beats Fit Pro」は専用アプリも用意され、こちらを活用することで最適なイヤーチップのサイズをチョイスできるようになっている。

機能面では、Apple H1チップを搭載し、アップルが手がける「空間オーディオ」にフル対応していることが大きなポイントとなっている。立体的な音響空間を楽しめるだけでなく、ヘッドトラッキングにも対応しているなど、「AirPods Pro」などと同等の最新機能を楽しむことができる。また、アクティブノイズキャンセリング機能に関しては、マイク数こそ公表されていないものの、実際にテストしてみると、必要十分な効果のほどを持ち合わせていた。それほど強くはないが、とても自然な消音、といった印象だった。いっぽう、外音取り込みに関しては、比較的自然な音に感じられるなかなかの優れもので、使い勝手がよさそうだ。

連続再生時間は、イヤホン本体のみで最大6時間、専用ケースからの充電を含めると最大24時間の再生が可能と、数値的には十分と言える。また、同社が「Fast Fuel」と呼ぶ急速充電により、5分で1時間の再生ができるようになっているのもうれしいポイントだ。ちなみに、防滴性能はIPX4となっていることから、名前の“Fit”はガチなフィットネス(スポーツ)用ということではなく、あくまでもフィット感のよさを強調している製品なのだろう。ボディカラーは4色が用意されている。なお、Bluetoothコーデックは、SBCとAACに対応している。

そのサウンドは、Beatsブランドとしては意外にも自然で聴き心地のよい音色傾向だった。もちろん、高域は鋭く伸び、低域も量感たっぷりだが、ボーカルなどの中域がしっかり届くバランスを持ち合わせているなど、アップル製品の音作りと共通する方向性が垣間見られる。そのため、音楽ジャンルはEDMやポップスが一番得意であるものの、クラシックやハードロックなども“普段よりもちょっとメリハリ重視かな?”といった印象だけで、十分に楽しむことができる。強いこだわりを持つ装着感の良好さも含めて、なかなか魅力的な製品だと思う。

イヤホン重量(片耳):5.6g
再生時間:最大6時間(ANC ONの場合)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:Beatsブラック/Beatsホワイト/セージグレイ/ストーンパープル

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