レビュー
フルサイズのプリメインとCDプレーヤーのセットが約4万円で手に入る!

高コスパで話題のCambridge Audio「Topaz AM5」&「Topaz CD5」を聴く

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英国ロンドンに本拠を構えるCambridge Audio (ケンブリッジオーディオ)は、1968年の創立以来50年の歴史を持つ、英国屈指の老舗オーディオブランドだ。フルサイズのピュアオーディオシステムやスピーカーなどを得意としているが、Bluetoothスピーカーやホームシアターシステムなど、幅広いジャンルのAV機器を取りそろえている。そんなCambridge Audioがリリースするエントリーユーザー向けのハイコストパフォーマンスモデルが、プリメインアンプ「Topaz AM5」とCDプレーヤー「Topaz CD5」だ。

プリメインアンプ「Topaz AM5」&CDプレーヤー「Topaz CD5」

こちらの製品、本国では以前からラインアップされていたようだが、日本では未発売となっていた。それが今回、輸入代理権がバリュートレードに移管されたことをきっかけに日本での発売が決定。この2017年12月下旬から実際の販売がスタートしている。

早くもオーディオファンから数多くの評判を集めている様子の「AM5」「CD5」だが、なんといっても最大の魅力は圧倒的なコストパフォーマンスの高さだろう。老舗のオーディオブランドの製品、しかも、アルミ製フロントパネルをはじめかなり堅牢な筐体を持つ本格派のピュアオーディオコンポーネントでありながら、「AM5」「CD5」ともに税抜きで19,800円という、驚くべきプライスタグが付けられているからだ。

これには、日本の輸入代理店であるバリュートレードの(流通コストを抑えるなど)価格努力も重要なファクターとなっているのも確かだが、何よりもCambridge Audioならではのポリシーやノウハウがあってこそ実現したもの。というのも、もともと同社では、“Sound First”音質最優先の設計思想を持つと同時に、“良質なサウンド”を“手ごろな価格”で提供することにもこだわり続けているからだ。その代表例ともいえるのが、この「AM5」「CD5」なのだ。

実際に本体を目の前にしてみると、Cambridge Audioならではの音質に対するこだわりやノウハウが、随所から垣間見られる。まず、フルサイズボディを選んでいることが、音質優先の表れのひとつといっていいだろう。というのも、このサイズを選ぶことで(同社にとっては)音質的な優位性を確保しやすいからだ。実は、「AM5」も「CD5」も、約430(幅)×340(奥行)×80(高さ)mmという、まったく同一の筐体サイズを採用していて、この数値は上位モデル「AM10」「CD10」とも変わらない。これは、「Topaz」シリーズとしての統一感、重ねて利用する際の一体感に配慮したものであると同時に、コスト削減の役割も果たしている。というのも、上級グレードで使われているボディをこの製品に流用できるからだ。また、内部スペースに余裕のあるフルサイズボディだと、理想的な回路設計やパーツ配置を行いやすく、部品の選択も自由度が高くなる。より、音質とコストに意識を集中できるようになるのだ。

実際、「AM5」の内部を見てみると、パーツ配置にずいぶんと余裕があるうえ、アルミ製のフロントパネルや厚さ1mm前後はあると思われる堅牢な底板など、この価格帯としては望外といえる質も見栄えもよい筐体を採用している。これも、筐体の流用などによってコストを抑えられた結果、実現したものだと推測できる。

写真下がプリメインアンプの「AM5」、上がCDプレーヤー「CD5」だ。税別19,800円とは思えない立派なアルミ製の筐体が採用されている

写真下がプリメインアンプの「AM5」、上がCDプレーヤー「CD5」だ。税別19,800円とは思えない立派なアルミ製の筐体が採用されている

さて、ここからは「AM5」と「CD5」、それぞれの詳細をチェックしていこう。

まず「AM5」は、25W+25W(8Ω)の定格出力を持つステレオプリメインアンプ。最新のアンプとしては出力がやや弱めであるものの、これはリスニング時の音量レベルで歪み感を低減するため、あえて出力も抑えているのだという。また、フロントパネルにトーンコントロール2種(Bass/Treble)を持つ以外はとてもオーソドックスに作りとなっていて、入出力も4系統のRCAと1系統のRCAプリアウト(本体にはRec Outと表記)が備わっているのみで、上位モデル「AM10」に用意されていたMMフォノ入力やヘッドホン出力は省かれている。電源ケーブルも直出しだ。このあたり、コスト削減の様子がうかがえる。

「AM5」のフロントパネルは、電源ボタンやボリュームノブ、トーンコントロールノブなどが並ぶオーソドックスなデザインだ

いっぽうで、「AM5」だけの装備も備わっている。フロントパネルに3.5mm入力端子を用意し、DAPやスマートフォンと手軽に接続して音楽を楽しむことができる。ヘッドホンアンプやDACはすでに持っているユーザーにとっては、もしかすると、こちらの方がありがたいかもしれない。

フロントパネルには、DAPやスマートフォンとの接続に便利な3.5mm入力端子も用意されている

フロントパネルには、DAPやスマートフォンとの接続に便利な3.5mm入力端子も用意されている

もうひとつ、特筆だったのが背面のRCA入力の表記だ。一般的なアンプの場合、RCAピンの下(もしくは上)に入力の種類がプリントされているが、加えて「AM5」では、RCAピンの上の部分にも天地逆の文字がプリントされているのだ。これは、アンプを上からのぞき込んだ状態の時に、それぞれの入力がどれか分かるよう配慮されたものなのだろう。これがケーブルの抜き差し時にはなかなか重宝した。こういった細やかな心遣いは、ありがたいかぎりだ。

バックパネルのインターフェイス。上から覗き込んだときにも接続ガイドが読めるように、RCAピンの上の部分にも天地逆の文字がプリントされている

いっぽうの「CD5」は、日本輸入モデルは最新版にアップグレードしているようで、本国の仕様とほんの少し異なっている。出力はRCAによるアナログ1系統のみで「CD10」のような同軸デジタル出力はないが、電源ケーブルは「CD10」と同じ着脱式となっている。また、DACはWolfson「WM8725」を搭載し、MP3やWMAファイルが記録されたCD-R、CD-RW、CD-ROMディスクの再生も可能となっている。

「CD5」のフロントパネルとバックパネル。「AM5」同様、こちらもオーソドックスなデザインに仕上がっている。電源ケーブルが着脱式なのは、オーディオ的にはありがたいところだ

「CD5」にはフルリモコンが同梱されており、遠隔操作も可能となっている

「CD5」にはフルリモコンが同梱されており、遠隔操作も可能となっている

ペアで約4万円とは思えない本格的なブリティッシュ・サウンドを楽しめる

ということで、肝心のサウンドをチェックした。まずは「AM5」と「CD5」を接続し、CDを再生してみる。ちなみに、スピーカーはELAC「BS72」(低価格ブックシェルフ)をメインに、ELAC「BS312」(上級ブックシェルフ)やAAD「E-48」(トールボーイ)など手元にあったいくつかのスピーカーも試してみた。

まずは「AM5」と「CD5」を接続し、CD再生時のサウンドからチェック

まずは「AM5」と「CD5」を接続し、CD再生時のサウンドからチェック

驚いたのは、鳴りっぷりのよさと抑揚表現の雄大さだ。「BS72」をつなぐと、メリハリのよい、勢いのある演奏を聴かせてくれる。エレキギターのカッティングなどはキレがよく、それでいて音の厚みもしっかりと保たれているため、エネルギッシュでパワフルな演奏を楽しませてくれる。ドラムやベースも、エッジが甘くなることなく明瞭なリズムを刻み続けるため、演奏のノリがとてもよい。25Wという比較的抑えめの出力だということを忘れてしまうくらい、パワフルで、グルーブ感の高いサウンドだ。実際、「BS72」との組み合わせではボリュームレベルも1/3以下しか使わず、それでもかなりの大音量となっていたので、パワー不足を不満に思う人はまずいないことだろう。

続いて聴いたアコースティック系も悪くなかった。チェロはボーイングがやや強め、線の太い音色を聴かせてくれるし、バイオリンのソロは音にハリがあって、いつもより力のこもった演奏に思えた。オーケストラよりも、小編成の方がキャラクターに合っているのか、ディテール表現はしっかり確保されているものの、パワフルさやエネルギッシュさが際立って感じられるため、演出力の高いサウンドにも思える。決して音色は変わっていないのだが、ここまでメリハリのよい、楽しい音楽をスピーカーに奏でさせてくれるアンプはいまどき珍しいかもしれない。どちらにしろ、なかなかの役者だ。

続いて、プレーヤーを「CD5」からIRIVERのハイレゾDAP「Astell&Kern KANN」に替えてみる。すると、解像感や表現のきめ細やかさがグッと向上し、広がり感の大きいサウンドへと変化した。ハイレゾ音源のメリットを、素直に引き出してくれている。

IRIVER「Astell&Kern KANN」と組み合わせ、ハイレゾ音源でもサウンドをチェックしてみた

IRIVER「Astell&Kern KANN」と組み合わせ、ハイレゾ音源でもサウンドをチェックしてみた

いっぽうで、スピーカーとの相性が多少なり存在していることも分かった。ELAC「BS312」との組み合わせでは、低域のフォーカス感はしっかりと確保されているものの押し出し感が弱まってしまい、やや腰高なサウンドバランスになってしまう。また、「E-48」との相性もベストとはいえず。こちらは低域が緩みすぎて、グルーブ感が削がれてしまっている。鳴らし方にコツのいる上級ブックシェルフやトールボーイだと、さすがに荷が重いのかもしれない。とはいえ、一般的なブックシェルフスピーカーであれば充分に実力を引き出し、「BS72」のような活気に満ちたサウンドを聴かせてくれるはず。

どちらにしろ、この価格帯でこのクオリティは望外といえるレベルだ。20年前はこういった“エントリー向け本格モデル”も存在していたが、いまはほとんど見かけないし、当時の価格でも1台4〜5万円は必要だった。そう思うと、いまラインアップされていることはとても貴重。もし、フルサイズのオーディオ製品を置くスペースが確保できるのであれば、この「AM5」&「CD5」セットをぜひおすすめしたい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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