レビュー
映像との組み合わせだけじゃもったいない!

音楽ストリーミングにも対応したデノンの多機能サウンドバー「HEOS HomeCinema」

手軽ながらも存分に迫力あるシアターサウンドが楽しめる製品として人気のある“サラウンドバー”タイプのスピーカー。“一体型フロントスピーカー”などとも呼ばれ、一時期はかなり注目を集めていたこのカテゴリーの製品だが、近年また、売れ行きが好調になってきているという。エントリーから上級クラスまでさまざまなラインアップが出そろったことやデジタルサウンドシステムの進化による音質の向上、シアターだけでなく音楽コンテンツも楽しめる多機能製など、好評を博しているポイントはいくつか想定できるが、そういった“魅力”をいくつも持ち合わせている“最新サラウンドバー”の代表格といえる製品が登場した。それが、デノンの「HEOS HomeCinema」である。

「HEOS HomeCinema」は、デノンから久々に登場したワイヤレスサブウーハー付きのサウンドバーだ。発売は4月下旬を予定。市場想定価格は9万円前後だ

デノンとしては久々、数年ぶりのサラウンドバー製品復活となった「HEOS HomeCinema」だが、なかなかに特徴的な製品に作り上げられている。まず、名前から分かる通り“HEOS”ファミリーに属する製品であることが最大のアピールポイントだろう。

HEOSといえば、Wi-Fiネットワークで各製品を結び、スマホやパソコン、NASなど機器内にある音源を再生したり、スピーカーを指定して音楽を再生したり、いくつものスピーカーから同じ楽曲を再生できたりと、インテリジェントなホームオーディオシステムを提供するシステムとなっている。この「HEOS HomeCinema」も、ファミリーの一員だけあってテレビの音声や音楽をほかのスピーカーから再生することが可能だ。

また、アップルの「AirPlay」への対応をはじめ、スマートフォンアプリとの連動によって「AWA」や「Spotify」、「Amazon music」といった音楽サービスや、インターネットラジオ「TuneIn」などの各種ストリーミングサービスを活用できるなど、オーディオ用スピーカーとしてもかなり使い勝手がよい機能性を持ち合わせている。

Wi-Fi機能を内蔵し、「AWA」や「Spotify」、「Amazon music」といった音楽ストリーミングサービスにサウンドバー単体で対応

とはいえ、「HEOS HomeCinema」の真骨頂といえば、やはりホームシアター向けスピーカーとしての実力だろう。メインスピーカーは、51mm×127mmケブラー繊維入り振動板採用楕円型スピーカー+16mmソフトドームツイーターによる2ウェイシステムが、本体左右にステレオ配置されている。

サラウンドバーといえば、3.1chや5.1chなどのスピーカー配置を持つ製品もあるが、「HEOS HomeCinema」が2.1ch配置を採用したのは、HEOSシリーズの一員であるが故に音楽(ステレオ)再生も重視されていることや、デジタルコントロールによる音のまとまりが良好だったことなど、さまざまなパターンをテストした結果の様子。単なるコスト優先でなく、クオリティにも配慮されているあたり、老舗のオーディオメーカーたるデノンらしいこだわりといえる。

サウンドバー本体

サウンドバー本体。一緒に写っているテレビが40インチクラスの小型モデルのため、サウンドバー本体が大きく見えるが、本体サイズはこのクラスの製品としては一般的な大きさといえる

テレビの前に設置して使うことの多いサウンドバーは本体の高さがどうしても制限させてしまうが、「HEOS HomeCinema」は限られた高さのなかで最大限音質に振ったスピーカー設計を採用

また、入力端子の多彩さも「HEOS HomeCinema」の特徴だ。最新の4K UHD/HDCP2.2/HDRにも対応しつつ、HDMIスタンバイパススルーやARC対応もフォローしたHDMI端子に加え、同軸/光デジタル、USB、アナログライン入力端子なども備え、BluetoothやWi-Fiレシーバーも内蔵。多彩なAV機器を接続することができる。

さらに「HEOS HomeCinema」には、IRエミッターケーブルも用意されている。これは、リモコン受信部が低い位置にあるテレビ対策のもので、「HEOS HomeCinema」を置いたためにリモコンが効かなくなった、というこの頃よく目につく事象を回避するためのもの。こういった細やかな心遣いも、ありがたい限りだ。

HDMI入力は1系統。4K UHD/HDCP2.2/HDR/HDMIスタンバイパススルー/ARC対応などフルスペックをカバー

HDMI入力は1系統。4K UHD/HDCP2.2/HDR/HDMIスタンバイパススルー/ARC対応などフルスペックをカバー

同軸/光デジタル入力やUSB、アナログライン入力、ネットワーク入力端子も設けられており、この手の製品としては接続性はかなり高いといえる

さらに、本体は薄型テレビにマッチする高さを抑えたデザインを採用していることに加え、
いっぽう.1chの部分、サブウーハーには130mm口径のユニットを2基搭載し、コンパクトなサイズとフォーカスの高い低域の両立を追求。縦置き、横置きどちらの可能となっているため、設置場所の自由度が高くなっている。また、本体との接続もワイヤレスであるため、ラインケーブルまたはスピーカーケーブル配線の手間もない。この手軽さは、なんとも嬉しいかぎりだ。

付属のサブウーハーは縦置き/横置き両対応。ワイヤレスタイプで設置の自由度も高い

付属のサブウーハーは縦置き/横置き両対応。ワイヤレスタイプで設置の自由度も高い

さて、実際のサウンドを試してみることにする。まずは、シアター系コンテンツから。

まずはシアター系コンテンツを組み合わせて実力をテスト

まずはシアター系コンテンツを組み合わせて実力をテスト

このサイズからは望外といえる、堂々とした鳴りっぷりが特徴。本体自身の低域もしっかりした量感が確保されており、そのうえフォーカス感も良好なため、パワフルで勢いのある効果音が楽しめる。本体とサブウーファーとの音色的な統制も巧みに整えられており、違和感がない。

さらに、スマートフォン用アプリから設定できるサラウンドモードもなかなかの完成度。バーチャルサラウンドモード「Movie」をオンにすると、音の空間移動がスムーズな音場が出現、包まれ感のあるサラウンドフィールドを楽しむことができる。こちらなかなか優秀なので、ハリウッド系アクション映画などにはもってこい。いっぽう、自然なサラウンド感をよしとするおとなしめの映画などは、あえてオフにして楽しむのもいい。

もうひとつ、バーチャルサラウンドモードには「Music」というものもある。こちらは、「Movie」寄りもフラットな帯域特性が与えられているようで、ライブ映像などとの相性がよかった。作品によっては、ライブ会場にいるかのような臨場感が味わえるので、いろいろと試してみて欲しい。このほか、セリフやボーカルを聞き取りやすくする「ダイアログエンハンサー」や小音量でも明瞭感のある「ナイトモード」なども用意されているので、シチュエーションや好みに応じて使いこなすのも手だろう。

専用アプリ「HEOS」を使えば、手元のスマートフォンから各種サウンド調整を行える

専用アプリ「HEOS」を使えば、手元のスマートフォンから各種サウンド調整を行える

続いて、音楽コンテンツを試してみる。こちらは、スマートフォンをBluetooth接続にして聴いてみた。

ちょっとビックリしたのは、とても自然な音をしていることだ。一般的に、サラウンドバータイプのスピーカーは映画コンテンツをメインに想定しており、そういった製品で音楽を聴こうとすると、やたら元気な、メリハリ重視のサウンドになってしまうことが多い。しかしながら、「HEOS HomeCinema」では一体型ミニコンポのような、自然な音色の、ほどよく整ったサウンドを聴かせてくれるのだ。おかげで、ボーカルの歌声がなかなかにリアルだし、ピアノの音色も自然な響きを持ち合わせている。なかなか絶妙なまとめ上げだ。

このように、「HEOS HomeCinema」は本来の姿であるシアター用スピーカーとしての実力も十分だが、HEOSファミリーとしての利便性と音色傾向から、ストリーミングサービスやWi-Fi接続などで音楽環境も楽しみたいという人にもピッタリの製品。リビングのBGMスピーカーとしても幅広く活用できそうな、使い勝手のよい製品だ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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