レビュー
大ヒットモデル「E2000」「E3000」との音の違いは?

隠れた名機の予感!final Eシリーズ最新モデル「E4000」「E5000」の実力チェック

圧倒的なコストパフォーマンスの高さで瞬く間に大ヒットモデルとなったfinalのカナル型イヤホン「E2000」「E3000」。その実力のほどは以前記事でご紹介させていただいたが、今回は、「E2000」「E3000」と同じEシリーズに上位モデルとして今年5月に新たに追加された「E4000」「E5000」を取り上げたい。

final「E4000」「E5000」

細身の円筒形デザインの筐体や、その内部に納められている6.4mm口径のダイナミック型ドライバーユニットなど、基本的なEシリーズとしてのアイデンティティは踏襲しつつ、コストパフォーマンスへの配慮で為しえなかった妥協のない高音質を追求したモデルへと仕立てられているのが最大の特徴だ。

たとえば、フィット感のよい小柄な円筒形の金属筐体は、「E2000」「E3000」と大差ないイメージにも思えるが、よく見るとほんの少し長くなっているうえ、エンド側にスリットが入っていたりもする。表面仕上げの丁寧さとも相まって、かなりの高級感が感じられるようになった。

「E3000」と「E5000」の大きさを比較。「E5000」は本体がほんの少し長くなっているのがわかる

「E3000」と「E5000」の大きさを比較。「E5000」は本体がほんの少し長くなっているのがわかる

しかしながら、筐体における最大のポイントは、その内部構造だ。「E4000」「E5000」には、新たにアコースティックチャンバーという機構が採用されていて、ドライバーの背面を2室構造としつつその境目にアコースティックフィルターを設けることで、低域を巧みにコントロールし、理想的なサウンドバランスを作り上げることができたという。さらに、肝心のドライバーユニットも6.4mmという口径こそ変わらないものの、振動板まわりにグレードアップを施すことで、上質なサウンドを生み出している。

また、外見ではMMCXコネクタによる着脱式ケーブルを採用している点も、「E4000」「E5000」ならではの特徴だ。特に「E5000」では、「LAB II」や「FI-BA-SST」などの高級モデルで採用されている、潤工社製ジュンフロン(PFAフッ素ポリマー)絶縁被膜を使ったシルバーコートOFCケーブルを、この価格帯では初めて標準ケーブルとして付属している。

さらに、このシルバーコートOFCケーブル、Fシリーズ用としてオプション設定されているが、こちらは2.5万円前後のプライスタグがつけられている高級ケーブルで、太さや編み方が異なっているとはいえ、3万円前後の「E5000」に標準添付されているのは破格といえる。上級モデルとなっても、Eシリーズならではのコストパフォーマンスの高さは健在ということかもしれない。また、MMCXコネクタにもさらなる改良が加えられており、耐久性やかみ合いのよさを大きく向上させたアピールする。

「E5000」に付属するシルバーコートOFCケーブル。オプションケーブルとしての販売価格は2.5万円前後なので、「E5000」の価格がいかにお買い得であることがおわかりいただけるはずだ

もうひとつ、見逃してはならないのが、イヤーピーススウィングフィット機構だ。こちら、Eシリーズに共通するシステムで、イヤーピースが左右に首振りすることで耳道の傾きにジャストフィットして、イヤーピース開口部の変形を防いでくれるというすぐれもの。これによって、イヤホンの音のよさがダイレクトに伝わってくれるため、人によって音質が劣化することがほとんど生じることがない。

また、5サイズが同梱されるfinalオリジナルのイヤーピースは、音導管部分と耳に触れる部分とで硬度が異なるシリコンを採用することで、装着感の良さと遮音性の高さを両立している。ちなみに「E4000」「E5000」に付属するイヤーピースは、音道管部分の色を2色(レッドとグレー)用意されており、ひとめでLRが把握できるようになっている。こういった細やかな心遣いは、ありがたいかぎりだ。

付属のイヤーピースは左右で軸の色が分かれており、左右の判別がすぐに行える

付属のイヤーピースは左右で軸の色が分かれており、左右の判別がすぐに行える

金属筐体は「E4000」がアルミ削り出し/アルマイト仕上げ、「E5000」がステンレス削り出し/鏡面仕上げとなっているので、同じ素材という点では「E4000」が「E2000」の兄貴分、「E5000」が「E3000」の兄貴分+高級ケーブルが付属するスペシャルなモデル、というポジションだと捉えるのが妥当かもしれない。

しかしながら、実際のサウンドもそういったキャラクターに分けられているのだろうか。「E4000」「E5000」では、コスト的に諦めた部分を大いに盛り込みつつ、「万人が認める良い音の一線をさらに超えたサウンド」を追求したというコンセプトのうえで作られたとアピールしているため、そのサウンドがいかなるものに仕上がっているのか、大いに興味が惹かれる。ということで、さっそく弟分の「E2000」「E3000」と比較試聴してみることにした。

まずは「E4000」から。ひとことで表現するならば、素晴らしい完成度のサウンド。低域がほどよく締まっていて、フォーカスが高く、グルーヴ感の高い演奏が楽しめるのは確かに「E2000」と共通するキャラクターだか、表現の丁寧さ、細やかなニュアンスまでしっかり伝わってくる音質のよさなど、まるで別次元のレベルへと大きく進化しているのだ。おかげで、バンド演奏などでは格段にリアリティが増し、熱気ある演奏が楽しめる。打ち込み系のサウンドを聴いても、とてもリズムのキレがよいため、「E2000」に対して格段にノリのよいサウンドが楽しめる。

さらに、ボーカルの歌声がいい。男性ボーカルを聴くと、歌詞の1ワード1ワードに思いを込めて歌っている様子がありありと感じられる。「E2000」に対して、プラス1万円前後のプライスタグにはなるが、それが納得できるクオリティの高さだし、聴こえてくる音楽の楽しさから考えると、これが1.5万円程度で入手できるのは喜ばしいかぎり。さすがfinalのEシリーズだけあって、コストパフォーマンスの高さは健在だ。

「E4000」と「E2000」を聴き比べ

「E4000」と「E2000」を聴き比べ

そして、「E4000」以上のさらなるハイクオリティサウンドを存分に楽しませてくれるのが「E5000」だ。こちらも、「E3000」に近い艶やかな高域と上品な低域をあわせ持つサウンドキャラクターではあるが、全体域の解像度が向上したうえ低域のフォーカス感も高まり、メリハリのよさを持ち合わせているのにとてもクリアな印象のサウンドへとグレードアップしている。おかげで、チェロの演奏はとてもリアリティが高まってくれたし、ピアノもヌケのよさを保ちつつ広がり感のよい自然な音色となった。

加えて、音楽ジャンルの得手不得手がない、万能選手になってくれたのもポイントだ。「E3000」が得意としていたアコースティック楽器、クラシック演奏などはもとより、Jポップやハードロックなどの音楽ジャンルもしっかり魅力を引き出してくれるようになっている。たとえばハードロックを聴くと、リズムパートのキレのよさをしっかり再現して、グルーヴ感の高いサウンドを聴かせてくれる。それと同時に、オーバードライブ強めのギター演奏であってもけっして破綻せず、分厚い演奏を存分に楽しませてくれるのだ。

ロックからクラシックまで幅広い音楽ジャンルを聴く人にとって、この懐の深さはありがたいかぎり。この、ほんのちょっと艶やかの乗っている生き生きとしたサウンドと、多彩な表現力は、大いに魅力的だ。

続いて「E5000」と「E3000」を比較試聴

続いて「E5000」と「E3000」を比較試聴

最後に、ちょっとした実験をしてみた。「E4000」にはOFC素材のケーブルが採用されているが、これを「E5000」のシルバーコートOFCケーブルに交換してみたのだ。これがまた、素晴らしかった。低域のフォーカス感がさらに高まり、それでいて量感は標準ケーブル以上に高められた結果、迫力がぐっと増した演奏を楽しむことができた。

また、高域方向にも張りが生まれ、ピアノの音色もヌケのよい凜とした響きが加わってくれた。なかなか相性のよい組み合わせなので、Eシリーズ用のシルバーコートOFCケーブルが別売されるか、シルバーコートOFCケーブル付属の「E4000」バリエーションモデルの登場に期待したくなる。是非とも検討してみて欲しい案件だ。

「E4000」に「E5000」に付属するシルバーコートOFCケーブルを装着。この組み合わせも非常に素晴らしかった

「E4000」に「E5000」に付属するシルバーコートOFCケーブルを装着。この組み合わせも非常に素晴らしかった

このように、finalの新しいEシリーズ、「E4000」「E5000」は、そのコストアップをはるかに凌駕する良質なサウンドをも多合わせていることが確認できた。「E2000」「E3000」も価格を考えるとかなりすばらしいモデルであったが、もし予算に余裕があれば「E2000」「E3000」でなく「E4000」「E5000」をオススメしたいし、それなりの価格でありながらも“安い”といいたくなる音質的な実力を持ち合わせている。実際のサウンドがいかなるものか、機会があったらぜひ試聴してみて欲しい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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