レビュー
話題の翻訳デバイス、2大人気製品を使い比べてみた

翻訳機「ポケトーク」と「イリー」を比較! ソウル2泊3日の旅で便利だったのはどっち?

海外旅行はもちろん楽しみだけれど、言葉が通じないゆえの不安もつきもの。そこで便利なのが最近話題の翻訳機ですが、実際どの程度使えるものなのでしょう。今回は翻訳デバイスとして人気を2分している、ソースネクスト「Pocketalk(ポケトーク)」と、ログバー「ili(イリー)」を持って、韓国・ソウル2泊3日の旅に行ってみました。

※本記事で使用しているのは初代「ポケトーク」です。2018年9月発売の「ポケトーク W」とは仕様が異なりますので、あらかじめご了承ください。
<関連記事>翻訳機「ポケトーク」が早くも進化! eSIM搭載だから世界105の国と地域ですぐ使える

ポケトークは双方向通訳可能。イリーは一方向通訳だけど、ネット環境がなくても使える

今回ソウル旅行に携帯する「ポケトーク」と「イリー」はどちらも翻訳機なのですが、対応言語の数や使用する際の条件など、下の表のような違いがあります。

2018年7月現在

2018年7月現在

ポケトークの魅力は双方向通訳できる点と、対応言語の多さ

ポケトークの特徴は、双方向通訳が可能なことと、その対応言語の豊富さ。言語1←→言語2というように、双方向から入力と出力が可能で、2018年7月現在、なんと63言語に対応しています。なお、翻訳はクラウド上の翻訳エンジンを介すため、利用にはネット環境が必須。本体にはWi-Fiが搭載されており、Wi-Fiルーターなどと接続すれば使えるほか、専用グローバルSIMを装着すれば世界105の国と地域で使用することができます。

モバイルWi-Fiルーターのようなデザインとサイズで、重さは約90g。液晶下にある5つのボタンをタップして操作します。満充電の状態で待機時間が約5日間、連続翻訳時間は約6時間です

今回使用したのは、専用グローバルSIM(2年間使い放題)がセットになったモデル

今回使用したのは、専用グローバルSIM(2年間使い放題)がセットになったモデル

SIMの接続方法は説明書を読めば簡単。電源を入れ、4〜5タップで完了します

SIMの接続方法は説明書を読めば簡単。電源を入れ、4〜5タップで完了します

入力言語と出力言語はリストから選んで設定します。63言語に対応するだけあって、中国語は繁体字と簡体字に分かれているほか、イディッシュ語(ドイツ語のひとつ)やヨルバ語(ナイジェリアなどで使用)など、聞いたことがないような言語もたくさん。言語がアルファベット順に並んでいますが、63言語もあると目当ての言語を探すのに少々時間がかかります

使用する際は、入力言語に対応する国旗マークの下の「<」もしくは「>」マークをタップしてから話しかけます

使用する際は、入力言語に対応する国旗マークの下の「<」もしくは「>」マークをタップしてから話しかけます

20件まで履歴を残すことができるので、行きたい場所やよく使うフレーズを先に入れておくとすぐに再生できて便利

下の動画は、ホテルのシャワーが壊れていた設定で、「シャワーのお湯が出ません」を英語に翻訳してみたところ。「The hot water of the shower does not come out.」と訳されました。

話した言葉がディスプレイにまず日本語で表示されるので、間違った認識をされていないかを確認することができます。日本語を話してからポケトークが英語に翻訳してくれるまでおよそ2秒。翻訳された言葉はディスプレイに英語で表示されます。最悪聞き取ってもらえなくても、文字を見せれば大体理解してもらえる点は大きな安心材料になります。

2センテンス以上のやや複雑な会話もOK

ポケトークがすごいのは、言語ごとに最適な翻訳エンジンを使用しているため、翻訳精度が高いこと。2センテンス以上で、やや要素の多い言葉も翻訳可能です。

動画は、「お菓子を買いたいです。スーパーマーケットはどこですか?」と韓国語に翻訳してみた様子。韓国人の友人に確認してもらったところ、問題なく訳せているそう

もうちょっと複雑に、「浅草と東京タワーに行きたいです。タクシーを半日貸し切るといくらですか?」という言葉を訳してみました。こちらの翻訳結果は、「浅草“は”東京タワーに行きたいです」になっているのと、文と文の区切りがはっきりせず、やや不自然な言い回しになっているそう。1回聞いただけでは理解してもらえないかもしれないけれど、意味は合っているので、表示された韓国語を見せれば十分伝わるはず、とのことでした。

外国語→日本語の翻訳は精度がいまいち?

ポケトークは双方向翻訳が可能なので、「浅草と東京タワーに行きたいです。タクシーを半日貸し切るといくらですか?」と韓国語で話してもらい、日本語に訳してみました。「タクシー」「半日」などのキーワードから言いたいことを予想できなくはないけれど……という感じですね。日本語入力のほうが翻訳精度は高い気がします。

イリーは対応言語が少なく一方向通訳しかできないけど、オフラインで使用できる

今回使用した日本語入力モデルのイリーの場合、翻訳は日本語→英語or韓国語or中国語の一方向のみ。「ポケトーク」に比べると対応言語はかなり少ないですが、オフラインで使用できる点は大きな魅力です。

2018年7月現在、日本語入力モデルのほか、「英語から日本語、中国語、スペイン語の3か国語」に翻訳できる英語入力モデルと、「中国語から日本語、英語の2か国語」に翻訳できる中国語入力モデルが発売されています。いずれも1台での双方向通訳はできませんが、互いが別のタイプを1台ずつ持っていれば、会話をすることも可能になります。

ディスプレイはなく、ボタンは電源ボタンを入れても3つのみとシンプル。重さは42gでポケトークの半分以下。満充電から約3日間使用できるそうです

正面のボタンを押し、ピッとなったらボタンを押したまま話します。話した言葉の確認、出力言語の切り替えは側面のボタンで行います

ポケトーク同様、「シャワーのお湯が出ません」を英語に翻訳してみたところ、「There is no hot water for the shower.」と訳されました。

日本語を話してから英語を発するまでおよそ1秒。液晶画面はないため、どのような言葉として認識されたか確認したい場合は、側面のボタンを押すと萌え声でリピートしてくれます。ただ気になるのが、イリーの音量は大きいうえに調節できないこと。静かな場面では使用しづらいので、調整できるようにしてほしい……。

2センテンス以上の翻訳は、要素が多すぎなければ可能

イリーの場合、2センテンス以上の文も翻訳できないことはないですが、要素が多くなると精度がガクッと下がります。

下の動画は、「お菓子を買いたいです。スーパーマーケットはどこですか」を韓国語に訳したところ。韓国人の友人によると、「スーパーマーケットが“マーケット”になっているけれど、ポケトークよりシンプルで聞きやすい」とのこと。

では、「浅草と東京タワーに行きたいです。タクシーを半日貸し切るといくらですか」はどうでしょうか。「浅草と東京タワーに行きたいです」までは完璧なものの、タクシーを「クシー」と訳してしまっていて、それ以降が崩れてほとんど意味がわからない文になっているそう。

同音異義語は、文脈で判断しやすい言い回しで誤訳を回避

「雨」と「飴」といった、日本語で同音異義になる言葉は正しく訳してくれるのでしょうか。それぞれ英語で試してみました。結論から言うと、どちらも単語のみの場合は誤訳されてしまいましたが、文になると文脈から判断できるのか、正しく訳してくれました。同音異義語を含む場合は、文脈から単語の意味を判断しやすい言い回しを心がけるといいかもしれません。

ポケトーク
「雨が降りそうです」→「It is going to rain.」
「飴を食べたいです」→「I want to eat candy.」
「飴を食べたいです」は、最初「飴“が”食べたいです」と入力したら「I want to eat rain.」と訳されてしまったので、助詞(てにをは)の使い方には気をつけたほうがよさそうです。

イリー
「雨が降りそうです」→「It looks like it is going to rain.」
「飴を食べたいです」→「I want to eat candy.」

いざ実践。飛行機の中やソウルの街で使ってみた

ポケトークとイリーの出力言語を韓国語に切り替え、ソウルへ出発!

イリーは機内でも使える

せっかくなので、韓国人の客室乗務員にイリーで話しかけてみました。「ブランケットをください」「ヘッドフォンが使えません」といった超簡単な会話ではありますが、聞き返されることなく対応してもらえました。地上では大きすぎるイリーの音量は、ゴーという音が終始響いている機内でやっとちょうどいいくらい。

外資系の航空会社の場合、日本人クルーが乗務していない便もあるので、飛行機の中でも使用できるのは安心感があります。機内Wi-Fiが利用できる便であれば、ポケトークも使用できるはず

タクシーでさっそくピンチ。双方向通訳のありがたみを知る

ソウルに降り立ち、まずはタクシーでホテルへ。プリントアウトした地図を見せながら、「このホテルに行ってください」という簡単な言葉をイリーで伝えれば完璧だろうと気を抜いていたのですが……。

地図を見て何やら訴えるタクシー運転手。場所がわからないのか、通れない道があるのか、何を言っているのかまったくわからないうえにイライラ感を出してくるのでかなり焦りました。ポケトークを差し出して言葉を拾ってみると、「どこだここ」と言っているらしい。「地図じゃわからないのか」と、ホテルの電話番号を伝えることで事なきを得ました。最初にして、この旅でもっとも双方向通訳が役に立った瞬間でした。

強い口調で訴えられているけど、何を言っているのかわからないってけっこう恐怖

強い口調で訴えられているけど、何を言っているのかわからないってけっこう恐怖

韓国語で質問すると、日本語で答えてくれちゃうソウルの人々。買い物と食事くらいなら、イリーで十分

ポケトークのおかげで無事ホテルに到着。チェックインの時間まで余裕があったので、荷物をフロントに預かってもらい遊びに出ることに。ポケトークで「荷物を預かってもらえますか(韓国語)」と伝えると、やさしいホテルマンは、「ハイ、オアズカリシマ〜ス。イッテラッシャーイ!」と日本語で返してくれます。そうだ、ここは日本人観光客慣れしたソウル。しかも2泊3日の買い物旅行なので、イリーで十分、いや、むしろ翻訳機なんていらないのかもしれません。

「それ、見たことありますよ! 便利だね〜^^」と声をかけてくれました

「それ、見たことありますよ! 便利だね〜^^」と声をかけてくれました

そして街に出ると、「韓国語で聞くと日本語で答えてくれる」どころか、最初から日本語で話かけられます。筆者自身も、「大きいサイズはありますか?」「ほかの色はありますか?」など、超簡単な言葉以外使うこともありません。

食事をしても、「これをください」「会計お願いします」など、間違いようがないくらいのフレーズしか使わない筆者レベルの旅行者なら、イリーで十分

それでも「ポケトーク」を使っていた理由は

好みの問題もあると思いますが、筆者の場合、ポケトークとイリーが2台手元にあったら手に取ってしまうのはポケトークでした。長文で何かを話すことがあるかも、あちらからの返事を日本語に翻訳したい場面に出くわしたら……という気持ちはもちろんあったのですが、自分が発した言葉が文字で確認できる点がやはり大きいです。さらに、しつこいようですが、イリーは音量が大きすぎて場所によっては使うのが恥ずかしいんですよ……。

文字で確認できる安心感から、途中からポケトークばかり使っていました

文字で確認できる安心感から、途中からポケトークばかり使っていました

イエス、ノーで答えられない質問にはポケトークが便利だけど、外国語を話す側の協力はかなり重要

ソウルの街にポケトークはオーバースペックかと思っていたのですが、気楽な買い物旅行でも、双方向翻訳に助けられるシーンはありました。たとえば洋服屋です。韓国ではほとんどの表記がハングル。もちろん服の表示ラベルもです。英語や中国語ならなんとかなりそうですが、ハングルはお手上げ。そんな時に、ショップスタッフに何と書いてあるのかを教えてもらうことができました。

服の素材を聞いてみたところ、「化学繊維です。洗えます」と答えてくれました。ただし、意味がわかる日本語に翻訳されるまでに3回話してもらわなければならなかったので、なかなか難しいものだなと思いました

コスメ大国の韓国。日本では見慣れないコスメもたくさん売っています。スタッフに使い方を聞いてみたのですが、説明が意外と長くて、翻訳しても意味がほとんどわかりません。1センテンスずつ区切って聞き直したかったのですが、店内が混雑していたのでそうもいかず、購入断念。コスメの使い方は工程が多いので翻訳が難しいですが、薬など、「いつ何錠ずつ飲んだらいいか」くらいのシンプルなやりとりをするには重宝しそうです。

「これに向かって、1文ずつゆっくりしゃべってください」という現地の言葉を覚えていくか、書いた紙を用意しておくと、コミュニケーションが取りやすいと思います

ポケトークは機動力に不満を感じる場面も

ただ、ポケトークがすべてにおいてイリーよりすぐれているかといえばそうでもなく、弱点はあります。それは、SIMカードによる通信接続がちょこちょこ切れること。使いたい時に取り出してみると接続が切れており、思うようなやりとりができない場面がありました。ぱっと取り出してさっと使える機動力という点では、イリーに軍配が上がります。

エレベーターや地下のお店などでは、満足に接続できないことがありました

エレベーターや地下のお店などでは、満足に接続できないことがありました

自分に買うなら「ポケトーク」、機械が苦手な両親にプレゼントしたいのは「イリー」

実際に使ってみると、なかなか思ったようにはいかないなーというのが率直なところ。どちらも、「浅草と東京タワーに行きたいです」「タクシーを半日貸し切りたいです」「いくらかかりますか?」というようにワンセンテンスずつ、ゆっくりと話すことで“伝わる度”は上がりますが、相手のあることなのでつねにマイペースでというわけにはいきません。今回の旅行でも、ゆっくり聞いてくれたり、何度も韓国語を話し直してくれた現地の方には感謝しかないです。

それでも、ソウルの街で両機を使用すると、「それ知ってるー!」と言ってくれる人は多かったので、観光客が多く訪れる地域では、意外とすぐ普及するかも。お互いが翻訳機を介して会話をすることに慣れ、より便利に使用できる日も近いのではないでしょうか。

前述の通り、今回の旅行では途中からずっとポケトークを使っていたのですが、イリーが役に立たないのかと言われると、まったくそんなことはありません。ソウルのような、日本人観光客慣れしている場所では、正直イリーで十分だと思います。ネット環境なしで使えるためテンポがいいですし、ポケトークに比べて軽量なのもいいです。機械が苦手で、旅先でネットへの接続が切れてしまうとパニックに陥るであろう両親にプレゼントするなら、イリーのほうが現実的だと思いました。

自分に買うならポケトークだと思うのは、やはりこれからいろいろな国を訪れたいという思いがあるから。63言語に対応しているというお得感・ワクワク感は魅力的です。また、双方向翻訳ができて文字で表示されるので、外国語での簡単な会話を勉強するためのツールとしても使えそうです。

ポケトークとイリー、どちらも使用する際の工夫と割り切りは必要ですが、旅行好きだけど言葉に不安があるという方なら、持っていて損はないと思います。レンタルも行われているようなので、まずはそこから試してみるのもいいかもしれません。

大泉瑠梨(編集部)

大泉瑠梨(編集部)

美容・健康家電を中心に新製品レポートやレビュー記事を担当。時には体を張って製品の実力をチェックします。

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