レビュー
20年前のエアコンもスマホや声で遠隔操作できる

アンダー1万円で買える多機能スマートリモコン「Nature Remo mini」はここがスゴイ!

Nature Remoの弟分登場

メールや電話といったコミュニケーションはもちろん、最新のニュースやリアルタイムに近い災害情報の入手までスマートフォンに頼る時代。ひとつのデバイスに頼りすぎることへの警告も耳にするが、指紋や顔で正当な持ち主かどうか見分ける生体認証機能が搭載されるようになり、紛失時に悪用される危険性は大きく低下した。スマートフォンに施錠/解錠機能を持たせる「スマートロック」の出現は、その証明ともいえるだろう。

となると、家のあれやこれやをスマートフォンに任せたくなるのは当然のこと。特に酷暑が続くこの夏、自宅のエアコンを遠隔制御するニーズは相当高いと推測される。しかし、エアコンは工事が必須。遠隔制御対応機種へ買い替えようにも設置業者の予約がとれず、やむなくこのまま夏を乗り切る決断を下した向きは多いはずだ。

今回取り上げる「Nature Remo mini」は、スマートフォンで家電の遠隔操作/管理を可能にするスマートリモコンシステム。2017年秋に発売され話題を集めた「Nature Remo」と比較すると、センサー類は温度センサーのみ搭載と簡略化されているが、そのぶん本体は一回り小さく重量は半分以下。Nature Remoの弟分に位置付けられる製品だが、なかなかどうして、用途次第では兄貴分をも上回る使い勝手を実現する。

小さなスマートリモコンシステム「Nature Remo mini」

小さなスマートリモコンシステム「Nature Remo mini」

10円硬貨と比較すれば、そのコンパクトさがわかるはず

10円硬貨と比較すれば、そのコンパクトさがわかるはず

兄貴分「Nature Remo」と並べたところ

兄貴分「Nature Remo」と並べたところ

画鋲にぴったりの穴が用意されたため、壁に掛けて利用できる

画鋲にぴったりの穴が用意されたため、壁に掛けて利用できる

Nature RemoとNature Remo miniの比較

Nature RemoとNature Remo miniの比較

学習リモコンがエアコンに対応することの意味

Nature Remoを導入する目的は、赤外線方式のリモコンを備えた家電をコントロールすること。スマートフォンアプリを使いNature Remoを赤外線受信モードに切り替え、適当な家電のリモコンのボタンを押すと、そのボタンの信号がNature Remoに記録される。ユーザはその信号に対しなんらかの役割を割り当て、アプリにリモコンの代役を果たさせる"スマートフォン時代の学習リモコン"なのだ。

そのような機能を持つ製品は他にもあるが、Nature Remoには「温度センサー」というアドバンテージがある。一般的にエアコンは内蔵の温度センサー(サーミスタ)で室温を把握し、温度調整するなどの機能を実現しているため、温度センサーがなければ学習リモコンはただの“代わりのリモコン”になってしまうのだ。Nature Remo miniには湿度/照度/人感センサーは搭載されていないが、温度センサーさえあればエアコン用にはじゅうぶんだ。

ところで、学習リモコンにおいてエアコン対応は一筋縄ではいかない。どのボタンを押したかという情報にくわえ、温度や風量、冷房/暖房/除湿の動作モードといった付帯情報をまとめて送受信する必要があるからだ(リモコンに表示される情報とエアコンの運転状態が一致するのはそのため)。だからエアコン用リモコンはその多くが双方向タイプで、温度管理のためにも信号を送信するだけでなくエアコンからの信号を受信できなければならず、ほかの家電用リモコンに比べ信号が格段に長いという事情がある。

Nature Remo miniは、そのように少々厄介な処理を石けん程度の小さな筐体で実現した。しかも価格は9000円以下、アプリはAndroidとiOSどちらにも対応している。エアコンを宅外からオン/オフできればOKというユーザには、かなり魅力的なデバイスであることは確かだ。

このようにリモコン実機をNature Remo miniに向け、ボタンを押すとリモコンの登録が開始される

このようにリモコン実機をNature Remo miniに向け、ボタンを押すとリモコンの登録が開始される

緑と赤のLEDが内蔵されており、赤外線を受送信するときなどに淡く点灯する

緑と赤のLEDが内蔵されており、赤外線を受送信するときなどに淡く点灯する

20年前のエアコンも一発登録

Nature Remo miniのセットアップには、専用の管理アプリ「Remo」を利用する。アカウント作成やWi-Fiアクセスポイントへの接続など、画面の指示どおり操作すればOKだ。

その後(家電の)リモコン登録作業へ進むことになるが、ここはNature Remo miniとの相性が決まる分岐点かもしれない。最初に試したのはエアコン、それも約20年前に購入した日立「PAMエアコンRAS-2810KX」(リモコンの型番はRAR-2C2)という年季物。アプリにNature Remo miniに向けてリモコンの電源ボタンを押せと表示されたので、おそるおそる押してみると……すぐに「日立のエアコンが見つかりました」と表示され、「Hitachi AC 204」という名で登録された。

登録されたエアコンのボタンをタップすると、室温と覚しき数値にくわえて棒グラフ状の図と3つのボタンが表示された。3つあるボタンの左端は電源オン/オフ用、中央は運転モード変更用、右端は風量調節用だ。本物のリモコンには、ほかにも「上下風向」や「左右風向」、「空気清浄」や「PAMパワフル」といったボタンが用意されているのだが、それは登録されなかった。

個人的には「カラッと除湿」ボタンを愛用しているので、手動登録できないものかと調べてみたが、どうやらエアコン用リモコンはアプリに蓄えられた信号情報が適用され、手動登録しなくていい代わりアプリ側に機能が"決め打ち"されるようだ。WEBサイトの情報によれば、「ダイキン、Panasonic、三菱電機、日立、東芝、富士通、SHARP他のエアコンはプリセットされている」とのことで、具体的にどの製品/機能(ボタン)に対応しているかは公表されていないが、20年前の製品がすんなり認識されたということは相当の情報量が蓄えられているのだろう。

いっぽう、エアコン以外の家電のリモコンは“学習リモコン”そのまま。ボタンをひとつひとつ読み込ませて適切な機能をアサインしなければならず、テレビやビデオレコーダのようにボタン数が多いリモコンは、すべて登録しようとすると結構な作業量になる。

赤外線受発信器としての精度は上々で、壁掛けにしても(エアコンとの角度差は-15°程度)テーブルに置いても(エアコンとの角度差は-150°程度)すぐに反応した。赤外線の性質上、障害物があると反応が厳しくなることが予想されるが、壁掛けの位置に注意すれば十分だろう。

この画面を表示した状態で、登録したいリモコンのボタンを押す

この画面を表示した状態で、登録したいリモコンのボタンを押す

エアコンの場合、電源ボタンを押すとこのような画面が表示される(その他の家電はひとつひとつのボタンを手動登録)

エアコンのボタンには、現在の室温が表示される

エアコンのボタンには、現在の室温が表示される

一部登録されていないボタンはあるものの、モードの切り替えや風量調節のボタンは自動登録された

一部登録されていないボタンはあるものの、モードの切り替えや風量調節のボタンは自動登録された

テレビなどエアコン以外の家電は、リモコンのボタンをひとつひとつ登録する必要がある

テレビなどエアコン以外の家電は、リモコンのボタンをひとつひとつ登録する必要がある

クラウド連携を試す

iOS版とAndroid版が提供される管理アプリ「Remo」は、クラウド経由でNature Remo(mini)本体へ指示を伝えることができるため、外出先など同じLANに接続していないときでも家電を遠隔操作できる。エアコンのほかにもテレビ、扇風機など赤外線リモコンに対応した家電をコントロールできるので、工夫次第ではいろいろな使いかたが可能だ。

ユニークな機能としては、スマートフォンの位置情報を利用した自動制御が挙げられる。自宅周辺など特定のエリアから出た/入ったタイミングで登録した家電の電源をオン/オフできるので、帰宅数分前にエアコンのスイッチを入れる、外出時に家電のスイッチを自動で切るといった応用が可能だ。内蔵の温度センサーを利用し、一定の温度に達したタイミングで家電をオン/オフすることもできるから、ペットのいる部屋の温度制御にも活用できる。

試しに、帰宅10分前にエアコンの電源を自動オンにしようと「エリアに入る」をトリガーに選択、その検出範囲を筆者宅から最寄り駅までの距離(900m、筆者の歩くスピードで約10分)に設定した。用事を終えて最寄り駅に到着したタイミングで「Remo」の画面を見たところ、エアコンのボタンが回転しているのでどうやら動き始めたようだ。念のため自宅にいる家族に電話し、実際に動いているかどうか確認してもらったところ、つい数分前に自動で動き始めたという。確かに、期待どおり機能しているようだ。

「Remo」はIFTTTにも対応しており、異なるクラウドサービスを連携させることで新しい機能や使いかたを実現できる。どのように活用するかはユーザ次第だが、カレンダーにイベントを作成すると「Remo」に登録しておいた家電の電源がオンになる、SNSでメッセージを受け取ると家電がなんらかのアクションを起こす、といった活用が可能だ。iPhoneで試したところ、ウィジェットに家電の電源オン/オフ用のボタンを登録するという機能が用意されており、アプリを起動するよりスピーディーに家電の電源を制御できた。

スマートスピーカーとの連携も検証してみた。サポートされるアシスタントはGoogleアシスタントとAmazon Alexaだが、機材の都合でテストはGoogleアシスタント対応のGoogle Home miniで行った。アプリ(スキル)の登録はGogole Home miniに「ねえグーグル、ネイチャーリモにつないで」と話しかければ開始され、その後「Google Home」アプリでRemoとGoogleアカウントをリンクさせるという流れだ。

結論からいうと、スマートスピーカーを利用したNature Remo(mini)への指示は、意図どおり認識されないことが多い。Googleとリンクさせたうえでショートカットを作成すると、本来は「ねぇグーグル、ネイチャーリモを使ってエアコンをつけて」と言うべきところ、「ねぇグーグル、エアコンをつけて」のように「ネイチャーリモを使って」を省けるのだが、どういうわけか成功率が低い。命令をテキストで伝えても誤った命令が伝わりがちなため、問題はアプリ(Actions On Google)側にあるのだろうが、完成度を高めてほしい部分といえる。

位置情報や日時、温度を家電制御のトリガーにできる

位置情報や日時、温度を家電制御のトリガーにできる

スマートフォンと連携し、事前に設定したエリアに近づく/離れた情報をもとに家電を制御できる

スマートフォンと連携し、事前に設定したエリアに近づく/離れた情報をもとに家電を制御できる

IFTTTを利用すると、他のクラウドサービスと連携させることができる

IFTTTを利用すると、他のクラウドサービスと連携させることができる

Google Homeとリンクしてみたものの、命令の認識率はいまひとつだった

Google Homeとリンクしてみたものの、命令の認識率はいまひとつだった

家電遠隔制御入門機にぴったりな1台

Nature Remo miniは一部のセンサーこそ省略されているものの、温度センサーは搭載されているため、もっともニーズが高いと思われるエアコンの遠隔操作には対応できる。兄貴分のNature Remoと比べて3割以上安く、小型・軽量で壁掛け用のフックも備えるなど使い勝手がいい。「Remo」アプリには複数のNature Remo(mini)を登録でき、それぞれ混在させることもできるため、他の部屋にも設置したくなったときNature Remoを買い足すというスタンスでじゅうぶんではないだろうか。

エアコンと扇風機の遠隔操作を中心に10日ほどテストを行ったが、Google Homeによる命令の誤認識という問題を除けば、至って快適だった。気温が30度を超えるなか留守宅へ徒歩で帰るのは憂鬱なものだが、事前に設定した位置情報のトリガーが動作しエアコンの電源がオンになった通知が届く安堵感といったら。最新機種に買い替えることなくこのような恩恵を9千円程度で受けられるのだから、安いものだ。

テストには間に合わなかったものの、リモコン対応のコンセントが欲しくなった。ワイシャツにアイロンを掛けたあと外出し、その後アイロンの電源を切ったどうか自信がなくなり家に戻ることがときどきあるからだ(実際に電源オンのままだった経験がある)。そのようにエアコン以外の家電にまつわる切実な問題が増えれば、この手のデバイスに対するニーズはより高まるはず。Nature Remo miniは、その最初の1台として必要十分な機能を備えたハイコストパフォーマンス機といえるだろう。

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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