新製品レポート
人気モデルの後継機「MDR-Z7M2」も

音楽リスニングにも最適! ソニーのステージモニターイヤホン「IER-M9」「IER-M7」

ソニーが“ステージ用”に開発した新しいモニターイヤホン「IER-M9」「IER-M7」が、2018年10月6日に発売されることがわかった。先日、ドイツで開催されたヨーロッパ最大の家電見本市「IFA2018」にて公開されたプロダクトが、早くも正式発表された格好だ(IFAの速報レポートはこちら!)。

ソニーのヘッドホン製品は、いわゆるコンシューマー向けの音楽リスニング用から、プロが使うスタジオモニターまで、多くをラインアップしている。今回発表されたIER-M9/IER-M7は、上述の通り「ステージ上で使用するモニターイヤホン」として、プロ向けのラインアップに新しく加わる。しかし同時に、音楽リスニング用としてコンシューマー向けにも展開されるのが特徴だ。

ソニーの業務用イヤホン「MDR-EX800ST」の流れを汲むステージモニター

ちなみに、ソニーの過去モデルで「MDR-EX800ST」というモニターイヤホンがあったが、その流れを汲んだ新モデルが今回のIER-M9/IER-M7という位置づけだ。MDR-EX800STは型番に“ST”が付く業務用モデルだったが、IER-M9/IER-M7はステージモニターのサウンドを音楽リスニング用にも楽しめるイヤホンとして、「プロ」と「一般の音楽ファン」両方にアピールする製品として開発されている。

上位モデルのIER-M9。市場想定価格は130,000円前後(税別)

上位モデルのIER-M9。市場想定価格は130,000円前後(税別)

下位モデルのIER-M7。市場想定価格は75,000円前後(税別)

下位モデルのIER-M7。市場想定価格は75,000円前後(税別)

設計にあたっては、グループ会社であるソニーミュージックの所属アーティストや、PAエンジニアらによるステージモニタリングのノウハウもフィードバックされているという。ソニーのヘッドホン開発陣が蓄積してきた技術と、ソニーミュージックが持つプロの意見を融合しているというのがポイントだ。

IER-M9(左)と、IER-M7(右)の筐体。いずれも、遮音性を徹底追求した「ノイズブック構造」で、周囲の騒音と音漏れを抑制する。ドライバー前面部は完全密閉構造で、背面部も音抜け孔以外は密閉されている

ステージモニターを音楽リスニングに使用する価値

ステージモニターの持つ価値とは、第一に、声や楽器の響きをありのまま明瞭にダイレクトに聴き取れること。この特徴を音楽リスニングに置き換えてみると、ボーカルや楽器の音の粒立ちがよく、瞬発力の高い元気なサウンドが得られることになる。

それにステージモニターは、演者に不要な周囲の音を遮断できるよう遮音性がよく、演奏中に動き回っても外れないよう装着性も高い設計になっている。つまり、屋外で音楽を楽しむ場合でも音楽に没頭できる設計であり、ズレにくいので安定して音楽を聴くことができるのだ。

簡単に言うと、そんなステージモニターならではのアドバンテージが、IER-M9/IER-M7の特徴である。それでは、少し前置きが長くなったが、以下より2機種のスペックを紹介していこう。

5基BA・5ウェイ構成の上位モデル「IER-M9」

まず上位機種のIER-M9は、5基のバランスドアーマチュアドライバーを搭載するモデル。各ドライバーを「低域」「中域1」「中域2」「高域1」「高域2」の5帯域に割り当てた、5ウェイ仕様としている。剛性の高いマグネシウム材のハウジングを採用するなど、上位モデルとしての高品位設計が特徴だ。

IER-M9は、ハウジング部に超軽量金属であるマグネシウム材を採用している。ハードな使用環境にも耐えうる高剛性設計だ。最大入力は100mWで、インピーダンスは20Ω(1kW)、感度は103dB。重量は約11g(ケーブル除く)

IER-M9を装着したところ。耳にすっぽりと収まり装着性が高い。イヤーフック部がやわらかく、さまざまな耳の形状にあわせて追従する

IER-M9だけ! 新開発の高音域用BAユニット搭載

上述の通りIER-M9は5基のBAユニットを搭載するが、大きなポイントは最高域用に新開発のBAユニットを1基搭載すること。音質チューニングも、特に高域再生の美しさに注力して行われたという。

この新開発BAユニットは、振動板にマグネシウム合金を採用するほか、ボイスコイルには伝送効率の高い銀コート銅線を使用し、さらに端子部に金メッキを施すことで導電性も向上させるなど高品位な仕様としている。

また、新開発のマルチBAシステムにより、5基のユニットがそれぞれの役割を補間し合い、最適なミックスバランスを実現するよう設計されている。これにより、音色の豊かさや楽器の空間性、リズムの正確さといった、音楽リスニングに大きく影響する要素を向上させたのが特徴だ。

IER-M9の構造イメージ。フィルムコンデンサーを採用したネットワーク回路や、ソニー専用の高音質ハンダを採用するなどした高品位設計を投入している

5基のBAドライバーを搭載し、再生周波数帯域は5Hz〜40kHzをカバー。画像の1番手前にあるのが、IER-M9のみに搭載される新開発の高域用BAドライバーユニットのイメージ図だ

新開発の高域用BAドライバーユニットは、実用金属中でもっとも比剛性が高いというマグネシウム合金を採用した振動板や、銀コート銅線ボイスコイル、端子部の金メッキ仕上げという3点がポイント。これらの設計により、色づけのないクリアな音質の再現を図っている

BAユニットを格納するインナーハウジング素材には、剛性と内部損失が高いマグネシウム合金を採用。さらに、各BAユニットの音を最適化する「オプティマイズドサウンドパス」構造により、ナチュラルな高音域再生を図っている

4基BA・4ウェイ構成の下位モデル「IER-M7」

続いて、下位モデルのIER-M7を紹介しよう。こちらは、4基のバランスドアーマチュアドライバーを搭載し、「低域」「中域1」「中域2」「高域1」の4ウェイ仕様としている。IER-M9の5基BA設計から、最高域用のBAユニットを省略した構造とも言える。

しかし、4基のユニットがそれぞれの役割を補間し合い、最適なミックスバランスを実現するマルチBAシステムや、自然な高音の再現を行う「オプティマイズドサウンドパス」構造など、基本技術はIER-M9と同じ。上位モデルと共通の技術を備えながら、ユニットの構成やハウジング素材などの細部を調整することで、価格帯を半分近くまで下げているのがポイントだ。

IER-M7。最大入力は100mWで、インピーダンスは24Ω(1kW)、感度は103dB。重量は約9g(ケーブル除く)

IER-M7。最大入力は100mWで、インピーダンスは24Ω(1kW)、感度は103dB。重量は約9g(ケーブル除く)

装着性の高さはIER-M9と共通。写真は女性の小さな耳に装着した様子だが、安定して収まっている

装着性の高さはIER-M9と共通。写真は女性の小さな耳に装着した様子だが、安定して収まっている

IER-M7の内部構造イメージ。基本構造はIER-M9と共通だ

IER-M7の内部構造イメージ。基本構造はIER-M9と共通だ

IER-M9とは搭載するBAユニットの数が異なり、こちらは最高域用の新開発BAユニットを省略した4基を備えている。こちらも再生周波数帯域は5Hz〜40kHzをカバー。そのほか、マグネシウム合金を採用したインナーハウジングや、「オプティマイズドサウンドパス」構造などの基本技術はIER-M9と共通している

2モデル共通の充実した付属品。IER-M9はケーブルのグレードも1段上

2機種とも製品はハードケースに収められ、イヤホンケーブルやキャリングケースなど充実した付属品を同梱する。イヤーピースは、ソニー独自の「トリプルコンフォートイヤーピース」と「ハイブリッドイヤーピース」の2種類を用意している。

またIER-M9のみ、付属ケーブルのグレードが高いこともポイント。銀コードOFC線を採用するのは2機種とも同じだが、さらにIER-M9のほうはタッチノイズを軽減するシルク編組を採用。また、プラグ部が非磁性体金メッキ仕様になるなど細部が“上位モデル仕様”になっている。

2機種ともリケーブルに対応していて、製品には3.5mmステレオミニケーブルと4.4mmバランスケーブルの2種類が同梱される。いずれもケーブル長は約1.2m。IER-M9のみ、プラグ部が非磁性体金メッキ仕様になっている

付属ケーブルには、OFCの表面に純銀コードを施した二重構造の導体を使用。IER-M9のみシルク編組を採用している。信号ロスを最小限に抑える構造としつつ、取り回しのよさも確保

こちらが同梱物。2種類のケーブルのほか、専用キャリングケースやイヤーピースが付属する

こちらが同梱物。2種類のケーブルのほか、専用キャリングケースやイヤーピースが付属する

イヤーピースは、トリプルコンフォートイヤーピースとハイブリッドイヤーピースの各サイズをあわせて全13種類

イヤホンをキレイにしまって持ち運べるケーブルホルダー付きの専用キャリングケース。IER-M9のケースのみ、天面に金属パネルを採用し耐衝撃性能を高めた

音楽リスニング用ヘッドホン「MDR-Z7M2」も同日に発売

ちなみに、同じくIFAで公開されていたヘッドホン「MDR-Z7M2」も、同じ2018年10月6日に発売されることが発表された。こちらは、音楽リスニング用ヘッドホンの従来機種「MDR-Z7」の後継機となる。とはいえ、ただの「マーク2」モデルではなく、内部ドライバーを大きく改良してブラッシュアップしているのがポイントだ。

「MDR-Z7M2」。市場想定価格は75,000円前後(税別)。アルミ合金製のハンガーとスライダーを備え、可動部のガタつきを低減するサイレントジョイント機構など、装着性や耐久性に配慮した設計としている

MDR-Z7M2を装着したところ。イヤーパッドが内側に倒れ込む構造とすることで、耳を包み込むような装着感と気密性を追求した

内部には大口径70mmのHDドライバーユニットを搭載し、4Hz〜100kHzの広帯域をカバーする。このスペックだけを見ると従来モデルと同じだが、実は同社ヘッドホンの上位モデル「MDR-Z1R」の技術を取り入れて進化しているのが特徴だ。

大きく変わったのはドライバーユニット内に配置された「振動板」「ネオジウムマグネット」「フィボナッチパターングリル」の3点。特にフィボナッチパターングリルは、MDR-Z1Rに採用されたのと同じものが搭載されており、これによって開口を均等化することで原音に忠実な再生を図っている。

また振動板の素材は、LCP(液晶ポリマー)にアルミニウム薄膜をコーティングしたもので、双方の相互作用によって、全体域で高くフラットな内部損失特性を実現するという。加えて、ドーム全体を大型化し、形状を最適化することで、中低域の表現を向上させているのもポイント。

厚みのある低反発ウレタンフォームを採用した、エルゴノミック立体裁縫のイヤーパッドで装着性にも配慮。その中には、MDR-Z1Rから受け継いだフィボナッチパターングリルが見える

左から、MDR-Z7、MDR-Z7M2、MDR-Z1Rのグリル。MDR-Z7M2とMDR-Z1Rは、フィボナッチ数列を参考にした曲線のパターンを採用し、開口を均等化する効果を持つというフィボナッチパターングリルとなっている。高剛性素材を採用し、桟を可能な限り補足することで、空気の伝播を阻害しない構造としている。これによって、色づけのない原音に忠実なサウンドの再生を図っている

ネオジウムマグネットも体積が2倍に大型化。入力信号に高い感度で対応する

ネオジウムマグネットも体積が2倍に大型化。入力信号に高い感度で対応する。こちらも、左からMDR-Z7、MDR-Z7M2、MDR-Z1Rのもの

そのほか、ハウジング部にポート(通気孔)を設けて空気の流れをコントロールする「ビートレスポンスコントロール」も進化し、ハウジングの周囲全体にポートを配置する構造になった。これによって振動板の動作をより最適化し、低域の過度特性を改善している。MDR-Z1Rをベンチマークに、全体的に中域の見通しがよく、リアルな再現を狙ってサウンドチューニングを行っているのが特徴だ。

従来モデルではハウジングの下側にのみ配置されていたポート(通気孔)を、ハウジングの周囲全体に配置。低域の過度特性を改善することで、リズムの正確な再現を図っている

ケーブル接続部には、強度にすぐれるというコルソン合金製ジャックを採用。端子表面は、非磁性合金メッキの上に金メッキを施す仕様としている。ちなみに製品には、約3.0mのアンバランスケーブルと、約1.2mのバランス接続ケーブルが付属

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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