新製品レポート
36年ぶりの“GT思想”投入モデル発表

ヤマハ“GTシリーズ”復活! 旗艦レコードプレーヤー「GT-5000」が継ぐ伝統と進化

ヤマハHi-Fiの最上級ライン“5000”シリーズに追加されるハイエンドレコードプレーヤー「GT-5000」。メーカー希望小売価格は600,000円(税別)

アナログ愛好家にとっては懐かしい名称であろう、ヤマハのレコードプレーヤー“GTシリーズ”が、およそ36年ぶりに復活する。同社は、現在開発中の新しいフラッグシップ・レコードプレーヤー「GT-5000」の製品化を正式発表し、来年2019年4月に発売することを明らかにした。

GTシリーズとは、ヤマハが1980年代まで開発していたレコードプレーヤー(ターンテーブル)の名称だ。独自の設計コンセプト「GT思想」(GT=Gigantic & Tremendous)を掲げ、「音の本質をオーソドックスかつシンプルに、基本に忠実に追求する」というのがそのモットー。シリーズとしては、1982年に発売された「GT-2000」(1989年まで販売・1991年に復刻版が限定生産)で最後になっていたが、近年アナログブームが加速する流れの中でついに新モデルが追加される運びとなった。

新たに登場するGT-5000は、かつてのGT思想を“継承”しつつ、新世代のGTシリーズとして“進化”を遂げているのが特徴だ。店頭に並ぶのは来春なので少し待たなくてはならないが、ひと足先にその詳細を見ていこう。

GT-5000のほか、同じく5000シリーズの新モデルとして、セパレートアンプも同時発表された。詳細は後述する

GT-5000のほか、同じく5000シリーズの新モデルとして、セパレートアンプも同時発表された。詳細は後述する

伝統の重量級木製キャビネットに、現代ならではの新構造を投入

GT-5000の位置づけを簡単に言うと、現代のヤマハ開発陣が、往年のGT思想をベースに手がけたベルトドライブ式・マニュアル操作の高級ターンテーブル。音楽再生時のエモーショナルさやグルーブ感を徹底的に追求し、「音楽的な低域表現」にこだわって開発されたという。

GTシリーズといえば、まずは“重量級の木質系キャビネット”のイメージが強い。木質系素材特有の均質さとすばやい減衰特性を生かした構造である。もちろんGT-5000もその特徴を受け継いでおり、横幅546mmの木製キャビネットに、重量7.2kgの大径重量級プラッターを搭載する大型設計としている。

GTシリーズ直系のシンプルなデザインも特徴のGT-5000。本体サイズは546(幅)×221(高さ)×411(奥行き)mm、重量26.5kg(脚部、突起物含む)。回転数は33 1/3と45回転の2種類に対応する。ターンテーブルシートはフェルトとシリコンの2種類を付属

音声出力端子には、通常のRCAアンバランスのほかにXLRバランスも1系統装備しており、後述するセパレートアンプと組み合わせて完全バランス伝送環境が構築できるようになっている。また、別売のダストカバーが用意されており、背面のヒンジに取り付けることが可能

キャビネットは樺天然木黒色塗装仕上げで、「電源オン/オフ」「回転/停止」「回転数切り替え」の3種類のボタンだけを装備。プラッターの右手前には、手の平がプラッターに触れることを防ぐフィンガーレストを備える。ここには、±1.5%の範囲で回転数を微調整できるピッチコントロールノブをビルトイン

しかし、外観イメージこそ往年のGTシリーズとシンクロするが、そこに現代ならではの最新技術や素材が投入されているのがGT-5000のポイント。たとえば、木製キャビネットに使用されるバーティクル材には、従来モデルと比較してやわらかい木材を採用している。内部損失が大きいので、以前よりも振動を早く吸収するようになっている。

またインシュレーターには、特許機器株式会社が開発した新構造のレッグを採用。従来のスパイク式とは違い、縦・横・水平の3次元方向に動いて振動を吸収する構造が特徴だ。こういった、音質に影響を与える細部のギミックが現代ならではのものに進化している。

キャビネットの木材は、高密度バーティクルボードを4層積層で圧着したもの。GT-2000と比較してやわらかめの素材を採用しており、内部損失が大きい。なお、時期は未定だがブラック仕上げの限定モデルも発売される予定だ

オーディオファンの間ではインシュレーター「Wind Bell」シリーズでおなじみ、特許機器株式会社が新開発した特製レッグを採用した脚部

GT-5000がベルトドライブ式を採用した理由とは?

GT-5000は、駆動方式にベルトドライブ式を採用し、クォーツ制御のACシンクロナスモーターで駆動する仕組みとしている。GT-2000がダイレクトドライブ式だったので、なぜ今回はベルトドライブ式にしたのかと思う方も多いだろう。理由は、ヤマハがGT-5000の開発で特に重要視した「音楽的な低域表現のクオリティ」を高めるためだという。

もう少し具体的に言うと、「抜けのよい開放的な音を狙い、コギングの吸収を最優先にした」のだそうだ。ダイレクトドライブ式の弱点はコギングの発生だが、ベルトドライブ式の場合はベルトによってコギングが吸収され、ACモーター駆動によるなめらかな回転が得られる。「理想の低域表現のために、コギングの吸収とフィードバック制御の抑制を最優先にしよう」ということで、GT-5000ではベルトドライブ式の道を選んだ。(※2018/9/30追記:記事初出時、ベルトドライブ式を選んだ理由について発表された内容を筆者が誤って認識し、一部情報が事実とは異なって記載されておりましたため、正しい内容に修正いたしました。お詫び申し上げます)

ヤマハの資料より、ダイレクトドライブ式とベルトドライブ式のコギングおよびフィードバック制御の影響イメージ

ちなみにプラッターは重量7.2kgという大径重量級で、2重構造になっている。真ちゅう削り出しのインナーターンテーブルの上に、アルミ削り出しのメインターンテーブルを重ね合わせる設計だ。プラッター自体の重量で回転を安定させ、電気的フィードバックを駆動系から排除しているのがポイント。これにより、抜けのよい開放的なサウンド再生を図っている。

24極2相ACシンクロナスモーターを、水晶精度のクロックを基準に生成した正確な正弦波で駆動するベルトドライブ式。回転数偏差は±0.1%、回転数の調整ステップは0.1%、調整範囲は±1.5%をカバーする。ワウフラッターは0.04%以下(WRMS)

インナーターンテーブル(直径143mm・重量2.0kg)の上に、メインターンテーブル(直径350mm・重量5.2kg)を重ねる2重構造のプラッター。固有の共振点を分散しながら0.92t・cm2に達する巨大なイナーシャ(慣性モーメント)を確保している

新開発! スタティックバランス型のストレートトーンアーム

トーンアームも新開発されており、外側にテーパードカーボンパイプ、内側に銅メッキアルミパイプを組み合わせた2重構造の「ピュアストレート・トーンアーム」を搭載する。ヤマハではストレート型の優位性として、スタイラス・カンチレバー・支点が一直線に配置され、重量的・力学的バランスにすぐれる点を挙げている。

また、トーンアーム内部の全ての配線に、高品位なPC-Triple C導体を使用するという現代ならではの設計もポイント。全帯域にわたる情報量の豊かさ、低域表現の向上を図っている。なお、これらトーンアーム内部の配線は、背面のRCAアンバランス/XLRバランス端子に接続されているわけだが、アーム部を取り外して直出しすることも可能となっている。

製品にはカートリッジは付属しない。適用カートリッジ質量は13.5〜36g。実効アーム長は223mmで、オーバーハングは-17mm。ヘッドシェルは交換可能で、付属ヘッドシェルの重量は14g(ネジ、ナット、ワイヤー含む)。内部配線を直出しするためには、緑矢印の部分を取り外す

GT-5000と組み合わせてバランス伝送できる旗艦セパレートアンプも

本記事では、久しぶりに登場したGTシリーズをメインにフィーチャーしたが、ヤマハからは同時にセパレートアンプのフラッグシップライン「C-5000」「M-5000」も発表されたので、こちらも簡単に紹介しよう。2機種とも2018年12月上旬の発売を予定している。

M-5000(左)とC-5000(右)は、GT-5000と同じくヤマハHi-Fiオーディオの最上級ラインである“5000”シリーズの新モデルとなる。ともにメーカー希望小売価格は900,000円(税別)

C-5000/M-5000とも、ヤマハの特許技術である「フローティング&バランス方式」を全ての増幅回路に採用し、全信号経路を完全バランス化したのが大きなポイント。つまり上述のGT-5000と組み合わせることで、フォノカートリッジからスピーカー出力まで、レコード再生時の完全なバランス伝送が可能となる。GT-5000も含めて、ヤマハみずから「これまでに蓄積した独自のオーディオ技術を集大成した」と語る新しいフラッグシップラインが出揃った形だ。

プリアンプのC-5000は、信号経路を純化する「ブックマッチ・コンストラクション」を採用。全オーディオ回路をチャンネルごとにワンボード化して背中合わせに配置するのが特徴

パワーアンプのM-5000は、パラレルMOS FET出力段を装備する。中央に電源部、左右にパワーアンプブロックを配置し、信号経路と給電経路を最短化する左右完全対称のシャーシレイアウトを採用した

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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