4K有機ELと4K液晶テレビの熾烈な高画質競争で常にトップの座を争うソニーのBRAVIA。昨年12月1日にスタートした新4K衛星放送対応では一歩出遅れていた同社だが、2019年モデルはついに新4K衛星放送チューナー搭載4Kテレビを投入する。
2019年夏のソニーBRAVIAのラインアップは、4K有機ELテレビで新4K衛星放送チューナー搭載の「A9G」(77/65/55型)、新4K衛星放送チューナー非搭載の「A8G」(65/55型)、4K液晶テレビで新4K衛星放送チューナー搭載の「X9500G」(85/75/65/55/49型)と「X8550G」(75/65/55型)、「X8500G」(49/43型)、新4K衛星放送チューナー非搭載の「X8000G」(65/55/49/43型)の合計6シリーズ。発売日と市場想定価格は以下の通りだ。
【4K有機ELテレビラインアップ】
■A9G
77型:KJ-77A9G(6月15日発売、市場想定価格100万円前後)
65型:KJ-65A9G(6月8日発売、市場想定価格55万円前後)
55型:KJ-55A9G(6月8日発売、市場想定価格35万円前後)
■A8G
65型:KJ-65A8G(7月13日発売、市場想定価格50万円前後)
55型:KJ-55A8G(7月13日発売、市場想定価格30万円前後)
【4K液晶テレビラインアップ】
■X9500G
85型:KJ-85X9500G(6月8日発売、市場想定価格70万円前後)
75型:KJ-75X9500G(6月8日発売、市場想定価格55万円前後)
65型:KJ-65X9500G(6月8日発売、市場想定価格33万円前後)
55型:KJ-55X9500G(6月8日発売、市場想定価格23万円前後)
49型:KJ-49X9500G(6月8日発売、市場想定価格18万円前後)
■X8550G
75型:KJ-75X8550G(6月8日発売、市場想定価格45万円前後)
65型:KJ-65X8550G(6月8日発売、市場想定価格28万円前後)
55型:KJ-55X8550G(6月8日発売、市場想定価格20万円前後)
■X8500G
49型:KJ-49X8500G(6月8日発売、市場想定価格16万円前後)
43型:KJ-43X8500G(6月8日発売、市場想定価格14.5万円前後)
■X8000G
65型:KJ-65X8000G(5月25日発売、市場想定価格22万円前後)
55型:KJ-55X8000G(5月25日発売、市場想定価格16万円前後)
49型:KJ-49X8000G(5月25日発売、市場想定価格13万円前後)
45型:KJ-43X8000G(5月25日発売、市場想定価格11万円前後)
このタイミングで新4K衛星放送チューナーを搭載しないモデルも登場したのはやや意外ではあるが、主力ラインアップはやはり新4K衛星放送チューナー搭載の有機ELテレビ「A9G」と、4K液晶テレビの「X9500G」「X8550G」「X8500G」。新4K衛星放送チューナー非搭載の廉価版(新4K衛星放送チューナー以外にも画質性能や機能に差がある)が有機ELテレビ「A8G」、4K液晶テレビ「X8000G」と理解すると分かりやすいだろう。
さっそく新ラインアップの詳細を見ていこう。
有機ELテレビ搭載BRAVIAの最新上位モデルが新4K衛星放送チューナー搭載の「A9G」だ。
新4K衛星放送チューナー搭載モデル「A9G」
77/65/55型の3サイズで展開する「A9G」は、2018年モデル「A9F」の後継機にあたるモデルで、引き続き4K/120kHz駆動倍速有機ELパネルに、同社が開発した次世代高画質プロセッサー「X1 Ultimate」を搭載する。
「A9F」や「Z9F」でも採用された次世代高画質プロセッサー「X1 Ultimate」を搭載
「X1 Ultimate」は2018年秋に“MASTER Series”として発売した「A9F」「Z9F」で採用済みの8K映像処理にも対応したソニー自慢の高画質プロセッサーだが、「A9G」にはBS4K映像向けのアルゴリズム向上が図られた2019年仕様のものが搭載されている。有機ELパネル制御技術でシーンの色表現、またHDRの画面の突き上げを可能とする独自の「ピクセル コントラスト ブースター」も継承。ついにソニーの最高画質と新4K衛星放送チューナーの全部入り4K有機ELモデルとして登場したのだ。
実際にデモ映像で「A9G」の画質をチェックしてみたが、有機ELの黒色の沈み込み、暗部階調の安定感は圧倒的。引き続き最高画質のテレビの有力候補となっていくだろう。
そして、実機を見て気づく重要なアップデートが、デザインの変更だろう。ソニーは有機ELテレビ参入時から写真立てのような上向きに角度の付いた一枚板のデザインを採用していたが、「A9G」ではデザインイメージはそのままに直立スタンド式となった。これにより設置スペースの奥行きは昨年モデル「A9F」の320mmから「A9G」では255mmとコンパクト化。日本の家庭に設置する現実的な問題として、天井照明の画面への映り込みを避けられるようになったことは歓迎したいところだ。
「A9G」も垂直に立つスタンドに変更された
4Kチューナー非搭載の「A8G」は高画質エンジンが「X1 Extreme」で「ピクセル コントラスト ブースター」も搭載しない廉価版。2018年春モデルの「A8F」とスペック面ではほぼ同じで、スタンドデザインもこちらも垂直に直立する。「A8G」も実際にデモ映像で画質をチェックしてみたが、映像エンジンは一世代古い「X1 Extreme」ではあるものの、高画質で評価の高い2018年春モデルと機能的にはほぼ同じで、黒の沈みも階調も精細感も十分過ぎるほど高画質。4Kチューナー非搭載で問題なければ予算次第で選択肢に入るだろう。
サウンドについては画面が振動をして音を鳴らし、映像と音の一体感を高める「Acoustic Surface Audio+(アコースティックサーフェースオーディオプラス)」を採用。画面を振動させる構造は従来の左右それぞれ2つで1セット13W+13Wから、左右それぞれ1基の強力なアクチュエーターを採用することで20W+20Wの構造となり、音の明瞭感と広がりを向上させている。サブウーハーについても従来と同じ10W+10Wの出力を維持しながら、スタンド型のデザインの背面に省スペースに収まる構造に変更。なお、発売後のアップデートで「DolbyAtmos」への対応も予定している。
左が「A9G」、右が「A9F」のアクチュエーター。2つで1対となっていたアクチュエーターを1つにすることで、音の明瞭感と広がりを改善している
サブウーハーも薄型になり、設置スペースは奥行き255mmと省スペース化
4Kチューナー非搭載の「A8G」は昨年春までと同じ「Acoustic Surface Audio」(+が付かない)、また総合出力40W、「DolbyAtmos」も非対応と差別化が図られている。
新4K衛星放送チューナー非搭載の「A8G」