レビュー
ヘッドホンのカップの中にイヤホンを配置したユニークな形状を採用

耳の中を分析して最適な音を提供する新機軸ヘッドホン「nuraphone」が面白い

とてつもなく独創的、ユニークなヘッドホンが日本に上陸した。それが今回紹介する「nuraphone」だ。

nuraphone

こちらの製品、実は筆者は以前から気になっていたヘッドホンだったりする。というのも、以前クラウドファンディングのキックスターターにて展開し、当時、史上最大となる500万ドルの投資を記録した大注目の製品だったからだ。しかも、デザインも音響調整システムも、これまでに類のない独創性を持ち合わせている製品だったため、購入するか否か、とても迷ったからだ。結局、当時は購入まで至らなかったたが、それ以後も気になる存在であり続けたもの事実。今回の日本上陸は、筆者としても大変嬉しかったりする。

ということで、まずはnuraというブランドについて紹介していこう。

nuraは、2016年に「nuraphone」の開発により歴史をスタートしたオーストラリアの新しいオーディオブランド。オーストラリアの王立視覚聴覚専門病院に務めていたルーク・キャンベル氏が、「nuraphone」のアイディアを当時クアルコム・アセロス社に在籍していたドラガン・ペトロビーチに持ちかけたことがきっかけで、事業がスタートしたのだという。その後、「nuraphone」の発表/発売によって大きな注目を浴びたのは先に述べたとおり。現在は、イヤホンなどのオーディオ製品も開発している最中だという。

このような流れによって世に生み出された「nuraphone」だが、その音響調整機能はとても斬新なシステムとなっている。というのも、よくある手動で音響調整を行うタイプではなく、ノイズキャンセリングのようなあらかじめ補正内容が設定されている機能でもない。耳の中へ音を発し、それをマイクで集音することで、その人の耳がどんな音を聴いているかを計測し自動補正をかける、というシステムとなっているのだ。

実はこれ、乳児の難聴を確認するために使われるシステムだそうで、人間の感性に左右されず、物理的な特性のみを計測することができるシステムなのだという。これを活用し、その人がどんな音を聴いているのかをチェックし、個人個人で異なる耳の特性に左右されず、誰もが同じ音を体感することができる、というのが「nuraphone」最大のアドバンテージとなっているのだ。

「nuraphone」は、ヘッドホンの内部にカナル型イヤホンを配置したような不思議なデザインをしているのだが、これは“耳の中の計測”と“同じ音を作り出す”ために採用された構造だったりする。それだったら「イヤホンがいいんじゃない?」と多くの人が思うことだろう。筆者もそう思ったし、実際にイヤホンモデルも開発中のことだが、遮音性の向上や、低域用の振動ドライバーを配置するなど、このスタイルにはこのスタイルのメリットがあったりする。とてもよく考えられた、画期的なデザインといえるだろう。

ヘッドホンのカップの中にカナル型イヤホンを配置したような不思議なデザインを採用

ヘッドホンのカップの中にカナル型イヤホンを配置したような不思議なデザインを採用

イヤホンの背面に低域用の振動ドライバーを配置することで、耳の裏側で振動を感じられるようにしたという

イヤホンの背面に低域用の振動ドライバーを配置することで、耳の裏側で振動を感じられるようにしたという

また、用意されているスマートフォン用アプリも秀逸だ。まずは「nuraphone」を、リンクさせ、ガイドに従って耳の中を計測。そののち1分ほど待つと、自動的に音響補正を設定してくれ、誰もが同一のサウンドを手に入れることができる。この手軽さは、なかなかのものだ。また、設定後には低域ボリュームや帯域バランスなど、好みに応じた調整を行うこともできる。「nuraphone」が作り出した正確な音から、嗜好に合わせてチューニングできるのはありがたい限りだ。

最適化が完了すると、音響補正の結果をグラフィカルに表示してくれる。ちなみに、グラフは時計回りに20Hzから20kHまでの帯域を表現しているそうだ

もうひとつ、ソフトからはタッチボタンの操作内容を設定することもできる。実は、ヘッドホンバンドの留め金部分、ボタン上になっているところがタッチパネルとなっていて、左右2つずつ、合計4つの操作を指定することができるのだ。再生/停止、曲送り/曲戻し、音量調整など、いくつかの操作が自由に設定できるので、こちらもありがたい。タッチパネルであるため、実際の操作も簡単なので、使い勝手も良好だ。

左右のヘッドホンバンドの留め金部分がタッチセンサー式のボタンになっている

左右のヘッドホンバンドの留め金部分がタッチセンサー式のボタンになっている

ボタンで操作できる内容は専用アプリからカスタマイズ可能だ

ボタンで操作できる内容は専用アプリからカスタマイズ可能だ

ちなみに、「nuraphone」はaptX HDコーデックにも対応しているため、Bluetooth接続でありながらも良質なサウンドで楽しむことができる。また、「nuraphone」はスマートフォンとのBluetoothワイヤレス接続が前提だが、アプリで行った設定が本体内に保持されることや、別売のアナログ変換ケーブルなどが用意されていることもあって、ウォークマンなどのDAPとのaptX HD接続や有線接続も可能となっている。こういった、細やかな気遣いも嬉しい限りだ。

なお、付属品に関しては、専用のセミハードケースとその内部に収まるケーブル収納ケース、充電用のUSBケーブル(タイプA)が同梱されている。先に紹介したアナログ変換ケーブルなどは、別売オプションとなっている。

付属の専用キャリングケース

付属の専用キャリングケース

充電ケーブルのほか、イヤホン部分に取り付けるイヤーチップも付属する

充電ケーブルのほか、イヤホン部分に取り付けるイヤーチップも付属する

充電ケーブルは独自形状を採用する

充電ケーブルは独自形状を採用する

耳障りに感じる帯域をしっかりと把握し、しっかりと最適化

まずは、オンキヨーのスマートフォン「GRANBEAT」にアプリをダウンロードして起動、「nuraphone」をセットし(装着すると自動的に電源がオンになり外すとオフになる)Bluetoothで接続して音響調整を試みる。最初は慣れないため、耳孔にカナル型イヤホン上のノズルを甘くはめ込むことができず、何回か装着位置を調整することになったが、無事に計測が完了。コーデックがaptX HDに固定されたので、まずは自動調整の設定そのままに、音楽再生をスタートさせた。

驚いたのが、高域、特に2kHz前後と10kHzあたりがずいぶんと抑えられたサウンドに変化したことだ。いっぽうで、気持ち4〜5kHzが強調されている気がするのは、DF補正カーブも取り入れているのかもしれない。結果としては、耳障りに感じる高域の鋭さがなくなり、それでいてヌケのよさはしっかりと保たれているので、明瞭度の高い、それでいて聴き心地のよいサウンドとなった。特に、女性ボーカルが顕著で、基音のしっかりしたニュートラルな歌声で、しかも高域への伸びやかさが素晴らしい。ダイレクトさも強く、まるで目の前で歌ってくれているかのような距離感の近さがある。また、解像度感はかなり高い。おかけで、チェロの演奏もヴァイオリンも、ニュアンス表現が細やかに伝わってくる。

いっぽうで、低域はかなりパワフル、迫力満点のサウンドだ。しかも、振動ユニットを採用していることもあってか、フォーカス感の高い、ド迫力のサウンドを聴かせてくれる。しかしながら、アクション映画やゲームならともかく、音楽鑑賞には明らかにボリューム過多に思えたので、こちらは反響モードの設定を低めにすることでボリュームを抑え、バランスを整えている。トータルとしては、かなり良質なサウンドといっていいだろう。

このように、「nuraphone」は独創的なシステムによって、個人個人にベストなサウンドを提供してくれる、画期的なヘッドホンだ。装着することで電源がオンになったり、タッチパネルで操作できたり、ノイズキャンセリング機能が使えたり、使い勝手もなかなかの良質さを兼ね備えている。とても魅力的なヘッドホンだと断言しよう。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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