レビュー
どれを買うのが一番お買い得!?

Technicsのアナログターンテーブル「SL-1500C」「SL-1200MK7」「SL-1200GR」を聴き比べてみた

Technicsのターンテーブル「SL-1500C」「SL-1200MK7」「SL-1200GR」を聴き比べてみた

近年のアナログレコードブームに呼応して、ここ数年、オーディオメーカー各社からアナログレコードプレーヤーが発売されている。製品の選択肢が増えることはとてもうれしいのだが、ラインアップを眺めると1〜2万円のエントリークラスと30万円以上の高級モデルが大半となっていたり、かなり極端な状況になっている。

実際、新たにアナログレコードプレーヤーを買ってみよう、という人には1〜2万円クラスがありがたいし、アナログレコード再生の難しさを知る既存ユーザーにとっては、高級モデルでないと音質的に納得できる製品にたどり着けない、という気持ちになりがちなのもわかる。とはいえ、その間の選択肢が乏しいのは残念。というのも、1〜2万円クラスではアナログレコードの魅力を存分に心地よいサウンドを引き出すまでには至らず、あと数万円の予算をかければ、格段に魅力的なサウンドを楽しめるようになるからだ。

そんな、コストとサウンドのバランスがちょうどいいモデルが、あのTechnics(テクニクス)から、しかも2モデルがほぼ同時に誕生した。それがダイレクトドライブターンテーブルシステム「SL-1500C」と「SL-1200MK7」だ。

ほぼ同時に発売となった「SL-1500C」(写真上)と「SL-1200MK7」(写真下)

ほぼ同時に発売となった「SL-1500C」(写真上)と「SL-1200MK7」(写真下)

Technics製ダイレクトドライブターンテーブルシステム、特に「SL-1200」シリーズは、DJ用途をメインに多くのユーザーから絶大な人気を集めていたが、2010年にいったん販売を終了。しかしながら、アナログレコード人気の再燃に合わせるように、2016年に「SL-1200」シリーズ直系の高級モデル「SL-1200G」を発売。さらに、ミドルアッパークラス「SL-1200GR」やハイエンドモデル「SL-1000R」などを矢継ぎ早にリリース。幅広いラインアップ展開をスタートさせていた。そして、今回追加されたのが、Technicsブランドとしてはスタンダードクラス(一般的には上級クラス)に位置するモデルだ。

「SL-1500C」と「SL-1200MK7」、どちらも10万円前後の価格に設定されており、格段に入手しやすくなったこの2台。“ほぼ同時期にリリース”されていることからお察しいただけると思うが、この2台は製品コンセプトがかなり異なっている。

「SL-1500C」はMMカートリッジ&ヘッドシェルが付属、MMフォノイコライザーが付属したお手軽セッティングモデルであるのに対して、「SL-1200MK7」はその名のとおり正真正銘「SL-1200」シリーズの最新モデルといえるもので、DJユースなどにも配慮された作りとなっている。2016年以降発売された“新世代SL-1200”とも異なるコンセプト、異なる使い勝手を持ち合わせているのだ。

ということで、それぞれがどのような特徴を持ち合わせているのか、ズバリどれが“お買い得”に感じられるか、ミドルクラス「SL-1200GR」を含む3台を借用して、比較試聴を行ってみた。

「SL-1200MK7」(写真左)と「SL-1500C」(写真中央)、「SL-1200GR」(写真右)の3台で比較試聴を実施

「SL-1200MK7」(写真左)と「SL-1500C」(写真中央)、「SL-1200GR」(写真右)の3台で比較試聴を実施

なお、今回の試聴では、KEFからミドルクラスのブックシェルフ型スピーカー「R3」とデスクトップ・ワイヤレススピーカー「LSX」を借用して組み合わせている。また、「R3」用のアンプとして、筆者のもつケンブリッジ・オーディオ「CXA80」を使用した。

KEFのスピーカーと組み合わせて試聴を行った

KEFのスピーカーと組み合わせて試聴を行った

SL-1500C

まずは、「SL-1500C」から。こちらは、2017年発売「SL-1200GR」に採用されているシングルローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーターや、アルミダイキャストとデッドニングラバーによる2層構造のプラッター、アルミダイキャストとABS+ガラス素材による2層構造の筐体などの基本設計をベースとして、新たなチューニングを施したもの。また、フォノイコライザーも内蔵されていて、PHONO入力のないオーディオ機器に直接接続することが可能となっている。さらに、オルトフォン製MMカートリッジ「2M Red」が同梱されているため、パッケージを開いて設置すれば、すぐに使い始められる手軽さがある。再生が終了すると自動的にトーンアームを持ち上げるオートリフトアップ機能も搭載されていて、針を痛めることもない。おなじみのピッチ調整などは省かれているものの、使い勝手を配慮された、巧みなパッケージングを持つ製品だ。

Technics「SL-1500C」

Technics「SL-1500C」

オルトフォンのMM型カートリッジ「2M RED」が標準で付属

オルトフォンのMM型カートリッジ「2M RED」が標準で付属

オーディオファイル向けの製品ということで、ボタン周りはかなりシンプル

オーディオファイル向けの製品ということで、ボタン周りはかなりシンプル

実際、製品を組み立ててみたのだが、ダイレクトドライブモーター採用のおかげもあって、組み立てはとても楽だった。音声出力もLINE出力とPHONO出力、2つのRCA出力端子が用意されていて、どちらを使用するかスイッチで切り替えるだけなのでわかりやすい。細かい作業が必要だったのは針圧調整くらい。なかなかに、扱いやすいモデルだった。

入出力端子は背面に集約。LINE出力とPHONO出力を独立して備えるほか、内蔵のフォノイコライザーの機能を完全にカットできるスイッチも用意されている

さて、肝心のサウンドはというと、一聴して音のまとまりのよさに驚かされた。「メイドインアビス」劇伴を聴くと、音場的な広がりはそれほど大きくないものの、各楽器が整然と並んでいる様子がうかがえるし、全体のハーモニーがとても美しい響きを奏でている。スティングの「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」を聴くと、いつもよりまとまりのよい演奏に感じられ、歌声とサックスが普段より印象的に感じられる。楽曲としての完成度の高さがうかがい知れる、絶妙なバランスだ。アース・ウィンド&ファイアー「LET'S GROOVE」も各楽器のバランスがよく、明るく朗らかな演奏を聴かせてくれた。

ポン、と置いただけでこの音が手に入るのは、素晴らしいかぎり。特に、KEF「LSX」との組み合わせは音質的にもなかなかのマッチングだったし、設置が簡単なうえ場所を選ばないなど、ライフスタイル面でもアドバンテージを持っていた。気軽にいい音でアナログレコードのよさを楽しみたいという人には、この「SL-1500C」をおすすめしたい。

Technics「SL-1500C」とKEF「LSX」のマッチングがなかなかのものだった

Technics「SL-1500C」とKEF「LSX」のマッチングがなかなかのものだった

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