レビュー
電源ケーブル1本で視聴できる手軽さが魅力的!

本体にAmazon Fire TV Stickを格納できるエプソンの新機軸プロジェクター「EF-100」

本体にスティック型映像デバイスを格納できるプロジェクター登場

プロジェクターといえばホームシアター、自宅で大画面・高画質を楽しむためのもの。映画好きにとっては垂涎の的だが、いざ導入となると二の足を踏む消費者が多いデバイスでもある。設置場所をどうするか、スクリーンをどこに張るか、映像ソースをどのように入力するか。日本の住宅事情ではなかなか厳しいのが現実だ。

そこに、ホームプロジェクター"dreamio"シリーズを展開するエプソンから新提案が。今般発売された「EF-100」は、家中どこにでも気軽に持ち運べるコンパクトサイズでありながら、明るく長寿命のレーザー光源を搭載、しかも投写には定評ある3LCD方式を採用という本格派。価格も10万円前後と、レーザー光源搭載モデルとしてはかなり挑戦的なプライスタグを引っさげている。

レーザー光源搭載、3LCD方式を採用したエプソンの小型プロジェクター「EF-100」

レーザー光源搭載、3LCD方式を採用したエプソンの小型プロジェクター「EF-100」

最大の目玉は映像ソース。一般的なホームプロジェクターは、背面にいくつか用意されたHDMIポートに据え置き型のプレーヤーをつなぐことが想定されているが、EF-100はスティック型映像デバイスに特化している。背面のサランネットを外すと現れる細長い凹みに、Amazon Fire TV Stickのようなデバイスを格納して利用できるのだ。5Wモノラルスピーカーも内蔵されており、電源ケーブル以外はワイヤレスの視聴環境となるわけで、この割り切りは従来のプロジェクターにありそうでなかった部分といえる。

背面の凹み付近には細かい配慮も。映像信号入力用HDMIケーブルにくわえ、電源供給専用のUSB Micro-Bケーブルが用意されているのだ。Amazon Fire TV Stickは瞬間的にUSBの電源規格(5V/0.5A)を超えることがあるため、テレビやプロジェクターのUSBポートは電源用に使えないことがあるが、EF-100のMicro-Bケーブルは5V/2Aを供給できるのでその心配はない。だからわずらわしいACアダプターは不要、部屋を移動することも苦にならないはずだ。

EF-100の前面

EF-100の前面

EF-100の背面

EF-100の背面

背面のカバーを外すと、スティック型映像デバイスが収まりそうな凹みが目に入る

背面のカバーを外すと、スティック型映像デバイスが収まりそうな凹みが目に入る

ところで、エプソンの公式情報によれば、凹みに格納できるスティック型映像デバイスはAmazon Fire TV Stickの2Kモデル(第1/2世代)とのこと。縦横とも約1cm大きい4Kモデルは格納できない。凹み部分は長方形のため、端が丸みを帯びたGoogle Chromecastもアウトだ。もちろんFire TV Stick 4KやChromecast Ultraも接続することは可能だが、格納できなければEF-100の移動性・収納性という魅力をスポイルしてしまうため、ここはFire TV Stick 第1/2世代を選ぶことが現実的だ。

場所を選ばずストリーミング映像を楽しめる

EF-100を箱から出すと、まず目に入るのは外観のテイスト。この価格帯の製品にありがちなオール樹脂ではなくレザー風素材で覆われ、シボが入り高級感があるうえに持ち運ぶとき指紋がつきにくそうな安心感がある。カラーバリエーションはホワイト(EF-100W)とブラック(EF-100B)の2色、レビュー用にはホワイトを借りたが、インテリアにあわせて色を選べるのはうれしい。

視聴のソースはもちろんスティック型映像デバイス、第2世代のFire TV Stickを選択した。サランネットを取り外し、Micro-Bの次にHDMIという順番で取り付ければOKだ。特にコツのようなものはなく、ここまでは説明書なしでも作業できる。

第2世代Fire TV StickにHDMIとMicro-Bケーブルをつなげば準備完了

第2世代Fire TV StickにHDMIとMicro-Bケーブルをつなげば準備完了

このとおり、Fire TV Stickがぴったり収まった

このとおり、Fire TV Stickがぴったり収まった

電源を投入しピントを調整すると、すぐに引き締まった映像が目に入る。この起ち上がりの速さは、レーザー光源ならではだ。あえてスクリーンを設置していないリビングの壁(細かい凹凸がついた薄いベージュの壁紙が貼られている)に1mの距離から投写してみたが、250ルクスほどの照度にもかかわらずじゅうぶん明るい。スペック的には最大2,000ルーメンと、同クラスのプロジェクターと比べやや控えめだが、この距離ではまったく不足を感じない。

なお、本機のカラーモードはもっとも明るい「ダイナミック」、明るさ・鮮やかさを重視した「ブライトシネマ」、暗い部屋での投写に適した「ナチュラル」、そして映画鑑賞用の「シネマ」の4種類がある。どれを選ぶかはお好みだが、リビングシアター用途が本機の身上と考えると、ブライトシネマを重宝することになりそうだ。

昼間のリビング(約250ルクス)でもじゅうぶん明るい映像が得られた

昼間のリビング(約250ルクス)でもじゅうぶん明るい映像が得られた

場所を変え、カーテンを閉め切っただけの"インスタント暗室"でナチュラルモードに変えて試してみたが、くっきり明るいという印象は大きく変わらない。投写距離を約2.5m(スクリーンサイズは約110インチ)に延ばしてもじゅうぶん明るく、プロジェクターならではの大画面を堪能できる。距離1mのときと同様スクリーンを使わず壁紙に投写したが、映像の細かいディテールはともかく、100インチ超えの大画面を気軽に持ち運べることのインパクトは大きい。

カーテンを閉め切っただけの

カーテンを閉め切っただけの"インスタント暗室"でテスト。気軽にストリーミング映像を楽しめる

最大5W(モノラル)の内蔵スピーカーによる音声出力は、移動後すぐに大画面を楽しめるという本機のコンセプトに必要なものだが、やはり映画やスポーツ番組には迫力不足。できれば、大口径のBluetoothスピーカーを利用したいところだ。ただし、3.5mmのヘッドホンジャックも用意されているので、深夜の映画鑑賞にはこちらを生かしたほうがいいだろう。

ヘッドホンをつなげば夜でも楽しめる

ヘッドホンをつなげば夜でも楽しめる

Amazon Primeの映画・ドラマを数本鑑賞したが、レーザー光源/3LCDの相性はバツグン。最大2,500,000:1というコントラスト比が生み出す映像は鮮度が高く、暗部からピークまでしっかり階調を描く。解像度こそWXGA(1280×800ピクセル)だが、RGBそれぞれのLCDを制御して色を合成するため鮮やかさとグラデーションの滑らかさがある。人肌や衣服の色合い、質感ともにキツさがなくナチュラルで、なによりレインボーノイズが発生しないことがいい。この点、DLP方式のモバイルプロジェクターに対する大きなアドバンテージといえる。

気になることがあるとすれば、設置場所だろうか。本機はズームレンズ非搭載のため(リモコンでズーム可能だが1.35倍デジタルズーム)、画面サイズの調整は本体を動かすことが基本であり、目的の画面サイズが得られる場所にプロジェクター置き場を確保できるかどうかということになる。手ごろな台・テーブルを用意できるか、導入前にしっかり確認しておきたい。

ズームレンズ非搭載のため、壁からの距離で画面サイズが決まる

ズームレンズ非搭載のため、壁からの距離で画面サイズが決まる

ちなみに、フォーカスと台形補正、内蔵スピーカーの音量調整は本体のボタンから操作が可能だ

ちなみに、フォーカス調整と台形補正、内蔵スピーカーの音量調整は本体から直接操作できる

それにしても、本体にスティック型映像デバイスを格納するというアイデアは秀逸だ。モバイルプロジェクターのシアター利用における課題は映像ソースの手配であり、従来はUSBメモリーに保存したファイルを再生したりスマートフォンの映像をキャストしたりしていたが、本機では電源供給を含めスマートに解決する。スティック型映像デバイスは別製品だから、よりすぐれた製品が出たときには乗り換えればいいわけで、映像ソースが陳腐化しないという解釈もできる。移り変わりの激しい配信サービスとうまく付き合うには、現状ベストな方法といえるのではないか。レーザー光源搭載のわりに価格は手ごろで、プロジェクター入門機としてもぴったりな1台だ。

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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