レビュー
魔法瓶の真空技術を採用したスピーカーに最新音響技術を融合!

想像を超える迫力に大満足!サーモスのBluetoothスピーカー「VECLOS SPW-500WP」

魔法瓶の真空技術を生かしたワイヤレススピーカー

熱湯を入れても冷めない「魔法瓶(まほうびん)」。一説によれば、100年ほど前にある人物が便利な道具の比喩として用いた言葉だそうだが、製品としての起源は液化ガス保存用に開発されたガラス瓶にある。壁間の空気を抜いた二重壁により熱の移動を遮断するという画期的なアイデアは改良され、1904年にはドイツ企業が量産化に成功、商品名を「テルモス(Thermos)」とした。その英語読みが「サーモス」で、いまやステンレス魔法瓶の代名詞となっている。

買収によりその名を継いだ日本企業・サーモスが、魔法瓶で培った技術をオーディオ製品に生かす取り組みを続けている。「VECLOS」はそのために設立されたオーディオブランドで、2015年に第1弾製品のワイヤレスポータブルスピーカー「SSA-40」を発売、真空エンクロージャがもたらす箱鳴りの少なさは大いに注目を集めた。その後もイヤホン「EPT-700」やヘッドホン「HPT-700」を送り出すなど、真空技術を生かした製品展開が話題だ。

9月上旬発売予定の「SPW-500WP」は、Bluetoothに対応したワイヤレスアクティブスピーカー。円筒形ボディはVECLOSのアイデンティティである二重構造/真空エンクロージャだが、直径4cmのドライバーを搭載する左右ユニットは独立し中央で連結する構造を採用している。そこにパッシブラジエーターを据えることで、低域を増強しようという狙いなのだろう。

サーモスの真空技術が生かされたワイヤレススピーカー「VECLOS SPW-500WP」

サーモスの真空技術が生かされたワイヤレススピーカー「VECLOS SPW-500WP」

カラーはブラックとホワイトの2色展開だ

カラーはブラックとホワイトの2色展開だ

本機では新しい試みとして、「Dirac HD Sound」と「Dirac Panorama Sound」を採用した。スウェーデンDirac Researchが開発した音響特性を補正する技術で、前者は周波数特性とインパルス応答を補正しスピーカーの筐体構造による音の乱れを改善するもの。後者は、左右スピーカーの音が耳へ届くまでに生じるクロストークを取り除き、ステレオ効果を高めることが目的だ。

さらに、パイオニアの低音増強技術「BEAT BLASTER」も採用。小型ユニットでは物理的に再生困難な低音がある場合、その倍音成分を再生することで再生困難な低音があると錯覚させるというものだが、それがどのような効果をもたらすか。Dirac HD SoundとDirac Panorama Soundとの"掛け合わせ"による効果という意味でも興味深い。

ユニットには最大出力8W×2chのアンプを搭載、最大48kHz/16bitのUSB DACも備える。3.5mmミニプラグの入力にも対応しているので、PCやテレビの外部スピーカーとしても活用可能だ。充電は付属のUSB-ACアダプターはもちろん、micro-B端子を備えたモバイルバッテリーを利用してもいい。IPX5相当の防水性能もあり、どこへでも持ち出せる安心感がある。

裏面中央にはパッシブラジエーター×1が据えられる

裏面中央にはパッシブラジエーター×1が据えられる

幅約26cmの両端に直径4cmのドライバーを搭載

幅約26cmの両端に直径4cmのドライバーを搭載

PCで見るNetflixやAmazon Primeが大迫力に

新たに導入した音響効果の掛け合わせは、4パターンの中から選べる。MODEボタンを押すつどDirac HDのみ(LED点灯なし)→Dirac HD/Beat Blaster(LED下のみ点灯)→Dirac HD/Panorama Sound(LED上のみ点灯)→Dirac HD/Beat Blaster/Panorama Sound(LED上下点灯)の順に切り替わるので、そのときどきの気分で選べばいい。

前面のMODEボタンで音響効果の組み合わせを切り替える

前面のMODEボタンで音響効果の組み合わせを切り替える

コーデックはSBC/AACに加えaptXにも対応

コーデックはSBC/AACに加えaptXにも対応

SPW-500WPの音だが、全部入り(Dirac HD/Beat Blaster/Panorama Soundすべて有効)に関していえば、従来のワイヤレススピーカーとはいい意味で一線を画した個性的なものだ。大半のワイヤレススピーカーは、前面に左右ユニットを並べる構造上(よほど横長のボディでないかぎり)ステレオ感が不足しがちだが、本機は違う。曲の再生を開始するや否や音場が左右・奥行き方向へすっと広がり、幅26cmで左右ユニットが正反対の方向を向いた構造とは思えないほど広大な空間を感じさせてくれる。

一般的にステレオ再生(2ch)といえば、左右スピーカーの中央手前あたりに音像が現れるものだが、本機の場合ボディの向こう側に感じられる。リスニングポジションは前方約1m・目線より下、Dirac HD SoundとDirac Panorama Soundとも有効にしたときの印象であり、体の位置を変えると音像も移動するが、自分の体を含め1畳足らずの空間でこれだけの音場感・定位感を得られることは驚きだ。

その"全部入り"が本領を発揮するのは、ノートPCでNetflixなどストリーミング映像を楽しむとき。本機をキーボードの手前ではなく、ディスプレイ裏に置くのだ。幅約26cmというボディの左右両端にユニットを備える本機ならではの芸当で、前面にユニットを備えるスピーカーではこうはいかない。前面にせり出てくる音場ではないが、広い音場は映像に説得力を加える。アクション映画の爆発音も、Beat Blasterの重低音で迫力が増す。

ユニットが左右に向いているため、ノートPCのディスプレイ裏に設置できる

ユニットが左右に向いているため、ノートPCのディスプレイ裏に設置できる

なかでもハマったのが、Amazon Primeオリジナルの「ジャン=クロード・ヴァン・ジョンソン」。家族が興味を示さないためリビングシアターを確保できず、13インチのMacBook Airで一人寂しく見ることになったが、基本コメディだがアクションありという内容のためMac内蔵のスピーカーではどうにも物足りない。そこでSPW-500WPを起用した次第だが、Dirac Panorama SoundをONにして再生すると、広い音場と低域の情報量がくわわりアクションシーンの迫力が内蔵スピーカーとは別次元。スマートフォンやPCで気軽に楽しめるストリーミングサービスだが、音にこだわったほうが断然楽しめるということを改めて思い知らされた。

あらゆる音源に適しているわけではないものの、Dirac Panorama SoundとBeat BlasterはこのSPW-500WPというワイヤレススピーカーを際立たせる機能であることは確か。1人で動画ストリーミングサービスを見る機会が多いのであれば、PCにスマートフォン、タブレットどれでも組み合わせができて広い音場と迫力の低音を楽しめる本機は、格好の選択肢になること請け合いだ。

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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