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ハイコスパテレビのメーカーが実現するスマートホームの未来

QLEDや格安4Kテレビで話題!「TCL」の実態は? 深センのデモルームを訪問してきた


2019年、突如日本のテレビ市場に現れたブランド「TCL」(ティー・シー・エル)。格安4K/HDRテレビや高画質QLED液晶テレビが話題で、だんだんと認知度も高まってきたところだ。しかし、その実態は謎な部分が多い。単なる格安ブランドなのか?

そこで今回は、中国・深センのTCL拠点内にある同社製品の「デモルーム」を訪問調査。するとそこには、テレビだけではない、アジア人ビックリの最先端スマートホームが展開していたのだ! 以下より、現地で見た詳細をお伝えしていこう。

近代的な高層ビルが立ち並ぶ深センの風景。世界第4位の高さを誇る平安国際金融中心ビル展望フロア―(地上高541m)より撮影

TCLの沿革

まずは、ブランドの沿革を見ていこう。TCLの源流となる企業は、実は1981年にカセットテープ用磁気テープの製造販売で操業を開始した。1992年に大型カラーテレビを開発して急成長を遂げ、2004年にはフランスのトムソン社と協業してRCAブランドを取得して世界最大のテレビメーカーに上り詰める。

現在では、洗濯機やエアコンなど白モノを擁する世界的な総合家電メーカーとして知られ、グループ全体で75,000人の従業員、23の研究所および21の製造工場を擁し、年商は日本円換算で2兆円弱という超大企業に成長。注目の液晶テレビは、2018年に2,800万台を出荷し、世界第2位の座を獲得している。日本では未だ知名度が低いが、世界的な大企業であり、また祖業が黒モノで特にテレビを得意としているのがポイントだ。

中国現地にて、電器店でのテレビ売り場の様子。TCLを筆頭に、SAMSUNG、SKYWORTH、KONKA、SONY、CHANGHONGといったブランドが軒を連ねる

深センのTCLデモルームを訪問!

TCLは広東省恵州市に本社を構え、世界中に多数の拠点を設けているが、今回訪問するデモルーム(一般非公開・商談/取材用)がある「TCL Electronics」は、今や技術と情報の両面で世界的にも最先端の地と言える深センの南山地区にある。ここで、TCL家電の企画・開発・マーケティングを担っている。

現地に到着して驚いたのは規模の大きさ。TCLグループ企業を集積した「TCL国際E城」と呼ぶ巨大コロニーで、敷地面積は約43万m2、東京ドーム換算で約9個分という並々ならぬスケール。中庭やレストラン街もあるゆったりした造りは、シリコンバレーの巨大IT企業を連想させる。

Google Mapで見るTCL科学園国際E城はココ!

Google Mapで見る「TCL科学園国際E城」はココ!

「TCL国際E城」の案内地図

「TCL国際E城」の案内地図

TCL Electronicsが入るビル。緑のあふれる中庭的なスペースもあり、ゆったりした印象

TCL Electronicsが入るビル。緑のあふれる中庭的なスペースもあり、ゆったりした印象

TCL Electronics海外マーケティング担当Jason Yanさんが、さわやかな笑顔でお出迎え。日本の大学を卒業し、日本語が流暢だ。入社半年とフレッシュながら、会社に関する知識、礼儀やビジネスマナーもしっかり。若い人材が即戦力として活躍しているのも深セン流

いよいよデモルームへ!

スケールの大きさに圧倒されつつ、今回の目的であるデモルームへ。どうやら、扉からデモがスタートするらしい。ドアロックがTCLの製品で、指紋認証機能でスマートに解錠する。ジェイソンさん、ここで「つかみはOK」という笑顔(ドアノブだけに)。

扉のスマートロックがTCLの製品。指紋認証で開錠できる。ほかにも一般家庭でよく見かけるハンドルタイプなどもラインアップしている

さらに扉を開けると、自動でカーテンが開いて照明が点灯。そしてジェイソンさんがドヤ顔。筆者的にはスマートホームとしてはありきたりな光景なのでスルーしたいところだが……あいさつ代わりに大きく笑顔でうなずいてスルー。

デモルーム内全景。室内はさながらタワーマンションの一室といった仕立て。TCL製品によるスマートホームを実際の住環境に近い雰囲気で体験できる。

▼玄関とリビングにさっそく大型テレビ

玄関を入ると即大型テレビ。テレビが得意とは言え、いきなり過ぎて押しの強さを感じるが、「デジタル絵画兼情報の窓」という位置づけのようだ。もちろん音声で操作可能。ジェイソン氏がリモコンを片手にウェイクワード「シャオティー・シャオティー」と呼びかける。

ちなみに「シャオティー」は「小(xiao)-T」。小(xiao)は、中国で子どもを呼ぶ際に名前の先頭に付ける呼称で、日本語の感覚としては「Tちゃん、Tちゃん」といったところのようだ。音の響きがカワイイので、ぜひ日本版も「シャオティー」でお願いしたい。家庭が明るくなるかもしれない。

こちらが大型テレビ。ウェイクワード「シャオティー・シャオティー」で呼びかけ中のJasonさん

こちらが大型テレビ。ウェイクワード「シャオティー・シャオティー」で呼びかけ中のJasonさん

続いて広めのリビングには、堂々とした85インチテレビを中心とする5.1chホームシアターが鎮座。テレビのフレーム、台座、スピーカーのデザインが中国風なのも新鮮で、これは日本でもウケるかもしれないと思った。映画も視聴させてもらったが、85インチの巨大映像もサラウンドサウンドもなかなかのモノ。成長いちじるしい中国では、こうしたリッチな生活をしている人も少なくないはずだ。

テレビは堂々たる85インチで中国テイストのデザインも新鮮

テレビは堂々たる85インチで中国テイストのデザインも新鮮

ソファの後ろにはフロアスタンド付きのリアスピーカー

ソファの後ろにはフロアスタンド付きのリアスピーカー

こちらは書斎にテレビを設置したイメージの部屋

こちらは書斎にテレビを設置したイメージの部屋

▼ベッドルームや洗面台もスマート化!

次に、リビングからベッドルームに移動すると、かけ布団の上に何やらセンサーらしきモノが。いわゆる睡眠の状態を計測するもので、もちろん収集したデータはスマートホームの一環として一括管理される。

何の変哲もなさそうなベッドルームだが、センサーでIoT化。センサーが薄くコンパクトでシーツと一体型になっているのもスマート

洗面台の鏡はハーフミラータイプで、ディスプレイを内蔵。時間や天気といった情報に加え、睡眠状態など、室内で収集している情報がここに表示されるようになっている。朝の身支度時に、自身の健康状態も客観的に知ることができれば効率的だ。睡眠のほか、体重や歯みがき時間なども表示できる。

洗面台のミラーには各種情報を表示。電動歯ブラシの使用個所や時間までわかり、みがき残しも把握できる!

洗面台のミラーには各種情報を表示。電動歯ブラシの使用個所や時間までわかり、みがき残しも把握できる!

▼スマート洗濯システムがおもしろい

ここまではスマートホームの典型例であるが、おもしろく感じたのは洗濯システム。洗濯が終わって洗濯機の扉を開くと、今度は屋内に天吊り設置した干し機が自動的に降下してくるのである。ハイテクのようなローテクのような……一瞬脳内が混乱したが、干し台は乾燥や殺菌機能も搭載した立派な家電で、大量の洗濯物をどんどん連続して洗いたいなら合理的なあわせ技と言える。

おそらく、日本のように少子高齢化傾向ではなく、子どもが増えている中国ならではの重宝システムかもしれない。実際、現地の街中では赤ちゃん、子ども、若い人が多く、事情が変われば家電も変わるものだと痛感した。

こちらがドラム型全自動洗濯機。洗濯が終わって扉を開くと……

こちらがドラム型全自動洗濯機。洗濯が終わって扉を開くと……

上から物干し機が下がってくる!

上から物干し機が下がってくる!

物干し機には殺菌灯やヒーターも内蔵されている

物干し機には殺菌灯やヒーターも内蔵されている

▼センサー搭載! ネットワークで一括管理できるキッチン

また、キッチンにもIoTの波が。コンロを使用すると、換気扇のフードが自動で開いて換気をスタートするシステムだ。ガス漏れセンサー、水漏れセンサー、熱センサーなどもネットワークに組み込むことが可能で、安全面も一括して見守ることができるようになっている。

コンロを利用しないときは自動でフードが閉じるので、手軽に省スペース

コンロを利用しないときは自動でフードが閉じるので、手軽に省スペース

そのほかにも、TCLでは美顔器など理美容製品もラインアップしており、注力中とのこと。また併設されているBtoB(業務用)コーナーには、ホテル、オフィス、工場などでシステムとして導入される顔認証システムやエネルギー監視システムなどの展示もあり、TCLが最先端のIoT家電メーカーであることを理解できた。もちろん、現行テレビ製品をそろえたコーナーもあった。

こちらはテレビ専用コーナー。QLEDテレビの特長(高コントラストで色鮮やか)も手際よく解説するジェイソンさん

さいごに:TCLのQLED 8Kテレビ開発に期待!

TCLの直近の戦略は、日本とインドへの進出だという。特に日本には、祖業に近く自信のあるテレビ事業で参入し、ユーザーの品質への要求が厳しいとされる市場でさらなるブラッシュアップを図りたいとのこと。そして、2020年度は8Kテレビに注力するそうだ。

ここからは筆者の想像だが、ひょっとすると、未来のテレビと思っていた「8K」が、意外と早く手に入る状況になるかもしれない。グループ内に液晶パネルメーカー「CSOT(華星光電)」を擁し、垂直統合型の生産体制を構えるTCLの規模と勢いを持ってすれば、この機会に戦略的な値付けを行うことも十分にあり得るからだ。

深センのデモルームでも、「QLED 8K TV展示コーナー」を準備中だった。2020年に日本市場でチューナー内蔵モデルを発売すると発表済みで、1日も早いお披露目に期待だ

TCLがテレビ事業で成功を収めれば、同社製の白モノ家電や今回ご紹介したスマートホームも続々と投入され、日本の家電メーカーの勢力図を塗り替えるかもしれない。日本の家電市場に新たな風穴を開ける?? そんな期待を抱いた訪問だった!

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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