パナソニックは2月26日、同社初となる完全ワイヤレスイヤホンを発表。Technicsブランドから「EAH-AZ70W」、パナソニックブランドから「RZ-S50W」「RZ-S30W」の計3モデルを4月中旬より発売する。市場想定価格は「EAH-AZ70W」が31,000円前後、「RZ-S50W」が21,000円前後、「RZ-S30W」が13,000円前後(いずれも税別)だ。
Technicsブランドから登場する「EAH-AZ70W」
パナソニックブランドから登場する「RZ-S50W」
同じくパナソニックブランドから登場する「RZ-S30W」
完全ワイヤレスイヤホン市場への参入は後発となる同社が、新製品のコンセプトとして掲げたのが“MCN”。Mは「Music」、Cは「Communication」、Nは「Noise Cancelling」のことを指しており、独自の音響技術で広がりと奥行きのある豊かな音体験(Music)、途切れにくい通信方式と高性能マイクで音楽も通話もストレスなく楽しめる(Communication)、業界最高クラスのノイズキャンセリングで静寂に浸るプライベート空間の実現(Noise Cancelling)をアピールしていくという。
今回登場した新製品の中で最上位モデルとなる「EAH-AZ70W」は、TechnicsのHi-Fiオーディオ機器や有線イヤホン「EAH-TZ700」の開発で培った音響技術により、音楽本来の躍動感と豊かな空間性の実現を狙って開発したというモデル。外出先でも宅内でステレオを聴いているときのような環境を実現するため、アクティブノイズキャンセリング機能も備えている。
ドライバーユニットは、完全ワイヤレスイヤホンとしては比較的大型な10mm口径のダイナミックドライバーを搭載。振動板には、強度アップと不要な共振を抑制するため、PEEK素材にグラフェンをコーティングしたグラフェンコートPEEK振動板を採用した。また、ドライバーユニットの持つ広帯域再生を最大限引き出すために、「EAH-TZ700」にも採用された、ドライバーユニット前後に空気の流れを精密にコントロールする「アコースティックコントロールチャンバー」も取り入れている。
「EAH-AZ70W」のイヤホン部分。ドライバーユニット径は10mmだ
アクティブノイズキャンセリング機能は、フィードフォワード方式とフィードバック方式を組み合わせたハイブリッドノイズキャンセリング方式を採用。外からの騒音を打ち消すフィードフォワード側に高精度な処理が得意なデジタル制御を、フィードバック側にデジタルよりも高速に処理できるアナログ制御を用いることで、高いノイズキャンセリング精度と音ズレのない高レスポンスな再生を実現したという。なお、専用アプリ「Technics Audio Connect」を使用することで、ノイズキャンセリングと外音取り込みのレベルは100段階で調整可能となっている。
専用アプリ「Technics Audio Connect」
ノイズキャンセリングと外音取り込みのレベルは100段階から調整可能だ
イヤホン本体は、再生コントロールなどを行うタッチセンサーとBluetoothアンテナを共用した「タッチセンサーアンテナ」を採用することで、比較的コンパクトなサイズ感を実現。アンテナ部分を広い面で確保するとともに、左右独立受信方式を採用することで、通信安定性も高めているという。通話に使用するマイクについても、電話機の開発チームと協力し、ビームフォーミング技術や風切り音対策を導入したということだ。
タッチセンサーでできること。楽曲再生コントロールやボリューム調整、ボイスアシスタントの起動といった主要な機能をほぼ網羅している
専用ケースは、外装にアルミ削り出しパーツを採用した高品位なデザインを採用。充電端子はUSB Type-Cで、15分の充電で約70分(NCオン/AAC接続時)使用できる急速充電機能も備えている。バッテリー駆動時間は、イヤホン単体で約6.5時間(NCオン/AAC接続時、オフの場合は約7.5時間)、専用ケースと組み合わせた状態で約19.5時間(NCオン/AAC接続時、オフの場合は約22.5時間)。カラーバリエーションは、シルバーとブラックの2色をラインアップする。
アルミパーツを使用した高級感のある専用ケース。Technicsロゴもかっこいい
パナソニックブランドの上位モデル「RZ-S50W」は、先に紹介した「EAH-AZ70W」同様、アクティブノイズキャンセリング機能を備えたモデルだ。「EAH-AZ70W」との違いは音響設計部分で、ドライバーユニットには、8mm径のダイナミックドライバーを採用。振動板にバイオセルロース素材を採用し、締りのある豊かな低域と明瞭なボーカルを楽しめるチューニングに仕上げたそうだ。なお、アクティブノイズキャンセリング機能や、タッチセンサーとBluetoothアンテナを共用した「タッチセンサーアンテナ」、マイク設計、バッテリー性能といった音響設計以外の特徴は「EAH-AZ70W」と共通。カラーバリエーションは、ブラックとホワイトの2色をラインアップする。
パナソニックブランドの上位モデル「RZ-S50W」。ドライバー口径は8mm
「RZ-S30W」は、コンパクトさと通話機能に注力して開発したというモデル。イヤホン本体が他の2モデルに比べて小さく、重さも他の2モデルが約7gなのに対し、「RZ-S30W」は約4gと非常に軽量となっている。小ささや軽さを追求したため、ドライバーユニットは6mmの小口径ダイナミックドライバーとなっているが、エアーダクトをハウジング内に配置することで、低域にも量感を感じられるサウンドに仕上げたそう。また、アクティブノイズキャンセリング機能やビームフォーミング機能は非搭載だが、外音取り込み機能や高性能マイクと風切り音対策など、日常使いに求められる機能はしっかりと押さえたそうだ。バッテリー駆動時間は、イヤホン単体で約7.5時間(AAC接続時)、専用ケースと組み合わせた状態で約30時間。カラーバリエーションは、定番のブラックとホワイトに加え、完全ワイヤレスイヤホンとしては珍しいグリーンをラインアップする。
「RZ-S30W」はコンパクトさが最大の特徴。ドライバーユニット径はもっとも小さい6mmだ
パナソニックブランドの2モデルで使用する専用アプリ「Panasonic Audio Connect」。GUIが若干異なるが、できることは「Technics Audio Connect」とほぼ同じ
短時間ではあるが、今回3モデルをそれぞれ試すことができた。Technicsブランドの「EAH-AZ70W」は、大口径ドライバーユニットを搭載したこともあり、余裕のある低域再生がとても印象的。中高域も比較的出ており、ロックやポップス、アコースティック系まで、どんなジャンルも気持ちよく音楽を楽しめた。「RZ-S50W」は明瞭なボーカルが特徴的で、歌ものとの相性が抜群。「RZ-S30W」は小口径ドライバーということで、低域にやや物足りなさを感じるものの、バランス感のある中音再生でナチュラルなボーカルが楽しめた。
ノイズキャンセリング機能については、「EAH-AZ70W」と「RZ-S50W」で同じものが搭載されているが、「EAH-AZ70W」は「アコースティックコントロールチャンバー」を搭載したことで、耳に触れる部分が「RZ-S50W」に比べて平らな形状になっていること、ドライバーユニット径の差による再生能力の差(ノイズ打ち消し効果の差)なのかもしれないが、個人的には「EAH-AZ70W」のほうが聴感的なノイズ低減効果が高いように感じた。耳の形状との相性もあるかと思うので、興味のある方は店頭などで実際に装着して試してみてほしい。
左から「RZ-S30W」、「RZ-S50W」、「EAH-AZ70W」
「EAH-AZ70W」は、ドライバーユニット径が大きいのと「アコースティックコントロールチャンバー」を搭載したことで、耳に入る部分が一番大きくなっている
AV家電とガジェット系をメインに担当。ポータブルオーディオ沼にどっぷりと浸かっており、家のイヤホン・ヘッドホンコレクションは100を超えました。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットも増えてます。家電製品総合アドバイザー資格所有。