レビュー
機能や使い勝手、音質の違いを詳しく解説

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-H800」は買い? 「WF-1000XM3」と徹底比較してみた

ソニーから、「h.ear」シリーズ初の完全ワイヤレスイヤホン「h.ear in 3 Truly Wireless WF-H800」が発売された。

圧縮音源の高音域を補完する「DSEE HX」や左右同時伝送方式による高い接続安定性、音声アシスタント機能(GoogleアシスタントやAmazon Alexaなど)への対応、装着検出機能による音楽再生のオンオフ、左または右だけの片側使用、アプリによるイコライザー調整など、盛りだくさんの機能性を持ち合わせているのが特徴で、大いに注目を集めている新製品となっている。

ソニー「h.ear in 3 Truly Wireless WF-H800」

ソニー「h.ear in 3 Truly Wireless WF-H800」

そのいっぽうで、価格差が1万円以内ということもあってか、先に登場した大人気モデル、アクティブノイズキャンセリング機能搭載の「WF-1000XM3」とどちらを選べばいいのか悩んでいる人も多いと聞く。(半年程度の差とはいえ)最新モデルを選ぶか、はたまたちょっと高くても大人気モデルを選択するべきか。

ということで、今回は「WF-H800」と「WF-1000XM3」ではどういった違いがあり、どういったメリットがあるのか、機能や使い勝手、音質の面で比較してみた。

未だに根強い人気を誇る「WF-1000XM3」と、最新モデル「WF-H800」のどっちを選べばいいか、徹底比較してみた

【機能性】アクティブノイキャンと外音取り込みの有無が最大の違い。それ以外の機能性は両者互角

まずは機能面からチェックしていこう。

冒頭でも述べた通り、両者の機能面での大きな差となっているのが、アクティブノイズキャンセリング機能の有無だ。「WF-1000XM3」はイヤホン本体の外側(フィードフォワード)と内側(フィードバック)、2系統4つのマイクを搭載し、デジタル処理によってノイズキャンセリングを行っている。また、外音取り込みモードも用意されていて、こちら調整を自動的に切り替えることができる「アダプティブサウンドコントロール」も搭載。そして、これらはアプリによるレベル調整が可能となっていて、なかなかに使い勝手のいいシステムとなっている。

対して「WF-H800」は、これら機能性(アクティブノイズキャンセリング&外音取り込み機能)を持ち合わせていない。なので、ノイズキャンセリング機能が欲しい人は必然的に「WF-1000XM3」を選ぶことになる。

とはいえ、両者の差はノイズキャンセリングまわりの機能性くらいで、先にも述べた「DSEE HX」や左右同時伝送方式、音声アシスタント対応、装着検出機能による音楽再生のオンオフ、左または右だけの片側使用、アプリによるイコライザー調整やボタン操作のカスタマイズなど、そのほかの機能性に関してはまったくといっていいほど同一だ。こと機能性に関しては、アクティブノイズキャンセリング機能の要不要が製品選びを分けることになるだろう。

「WF-H800」にはノイズキャンセリング機能や外部マイクを使った外音取り込み機能こそないものの、装着検出機能による音楽再生のオンオフやイコライザー調整機能などは「WF-1000XM3」とまったく同じ

ノイズキャンセリングオフ時のイヤホン単体のバッテリー駆動時間は、「WF-H800」と「WF-1000XM3」の間で差はなく約8時間だ。いっぽう、ケース込みのカタログスペックも、両機種とも約24時間だが、「WF-1000XM3」はノイズキャンセリングONで24時間を達成するため、ケース内のバッテリーを大きくしているようで、ケースは一回りほど大きくなっている点は注意したい

【デザイン・装着性】かわいらしい「WF-H800」とシックな装いの「WF-1000XM3」

続いては、デザインや装着感について。基本的なスタイルは共通だけれどコンセプトはまったくの別物、といった印象がある。

というのも、「WF-1000XM3」はひとことでいえば大人っぽいデザインとカラーが与えられ、「WF-H800」はウォークマンA100シリーズとも共通する、ポップな色合いの5色カラー展開を行っているからだ。イマドキは世代でターゲットをしぼるのは難しいかもしれないが、少なくとも「WF-1000XM3」は社会人の男性をメインにしたシックなデザインと色調でまとめ上げられていて、「WF-H800」は学生から社会人まで男性女性問わず若者をメインとしている印象がある。

ウォークマンAシリーズと同じブラック、レッド、ブルー、オレンジ、アッシュグリーンの全5色のカラバリからも、「WF-H800」が狙っているターゲット層が垣間見える

よって、「WF-H800」の方がカラフルでかわいい、「WF-1000XM3」はちょっと渋すぎて好みに合わない、と思うのであれば「WF-H800」を、「WF-1000XM3」の方が上品&上質に感じる、「WF-H800」は自分にはかわいらしさが強すぎる、と思ってしまう人だったら「WF-1000XM3」を選ぶほうがよさそうだ。

ちなみに、「WF-H800」「WF-1000XM3」どちらも一般的な完全ワイヤレスイヤホンとはやや趣(おもむき)の異なる、独特のデザインを採用しているが、3つのポイントで装着を支持する筐体デザイン「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」を採用しているため、装着感はどちらも良好な部類に入る。「WF-H800」のほうが、ノズルの根元部分がほんの少し細くなっているので、耳穴の小さい女性だと「WF-H800」はギリギリセーフだけど「WF-1000XM3」は装着感がキツい、ということが場合によってはあるかもしれない。心配な人は、チャンスを見て量販店などで試してみて欲しい。

「WF-H800」と「WF-1000XM3」は、独自の「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」で本体とノズルだけで高いフィット感を得られるという基本的な構造は同じだが、ノズルの先の太さなどは大きく異なる

ちなみに、イヤホン本体の操作系も若干異なっており、「WF-H800」は物理ボタンによる操作、「WF-1000XM3」はタッチセンサーによる操作となっている

【音質】サウンドキャラクターが大きく異なる「WF-H800」と「WF-1000XM3」

さて、もしかすると、アクティブノイズキャンセリング機能やデザイン以上に「WF-H800」と「WF-1000XM3」の違いを感じるのがサウンドキャラクターかもしれない。

今回、ウォークマン「NW-ZX507」と音質優先で接続し、2製品を聴き比べてみたが、「WF-1000XM3」は勢いのある、パワフルなサウンドが印象的だった。低域も充分な量感があり、それでいてキレもあるのでノリのよいサウンドが楽しめた。いっぽう「WF-H800」の方はというと、中域の表現を重視した、バランスのよいサウンドが楽しめる。音色は刺激的過ぎず、曲によってはややライトな印象になるものの、そのぶん音色表現の多彩な、最新のトレンドに近いサウンドが楽しめる。ボーカルの立ち位置も近く、男性ボーカルも女性ボーカルもなかなか表情豊か。聴いていて、とても楽しいサウンドといえるだろう。

なお、解像感について今回の試聴では「WF-1000XM3」がやや有利に感じられたが、単に借用した「WF-H800」の個体が新品のため、エージング不足だった様子もうかがえる(中域にちょっとしたざらつきというか荒れがあったが以前試聴した個体とはそのあたりの表現が異なっていた……MYTH & ROID曲でいえば「VORACITY」の音数やコンプだったらギリギリセーフだが「JINGO JUNGLE」だと厳しい感じ)ので、本来の基礎体力としてはほぼ差がない可能性もある。このあたりは、あまり気にしなくても大丈夫かもしれない。

こと音色傾向に関していうならば、両者は確実な違いがあり、単純に好みに合わせて選べばよいと思う。使いこなし的な見地からすると、屋外でも家でもメインモデルとして活用するならば「WF-H800」のほうが疲れなさそうだし、電車内など騒音の高い場所で使うときが多いのであれば、アクティブノイズキャンセリング機能の有無だけでなく、音色傾向的にも「WF-1000XM3」の方がマッチするだろう。

結論としては、屋外でも室内でもメインモデルとして活用する予定の人か、Jポップやアニソンとのマッチングがよい現代的なサウンドキャラクター、定位感の近い中域重視の音が好みという人は「WF-H800」を、屋外がメイン、しかも騒音レベルの高い場所で利用することが多い、またはメリハリのハッキリした音が好みという人は「WF-1000XM3」が相性ピッタリだと思う。

できれば、購入する前にオーディオイベント等で試聴および装着テストを行ってみることをオススメしたい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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