レビュー
コンパクトさ、音質、コストパフォーマンスのバランスが光る注目機種

イヤホンジャックのないスマホとの相性抜群! iBasso Audioの小型USBアダプター「DC01」「DC02」

スマートフォンで音楽を楽しむというと、真っ先にBluetoothイヤホンが思い浮かんでくるが、そのいっぽうで、ワイヤレスの弱点である遅延や音切れのないことや、手持ちの有線イヤホンが活用できることを理由として、USBアダプターも人気を集めていたりする。そんなUSBアダプターのなかでも、サイズのコンパクトさ、音質、コストパフォーマンスのバランスのよさで注目といえるのが、iBasso Audioの「DC01」「DC02」だ。

iBasso Audio「DC01」と「DC02」

iBasso Audio「DC01」と「DC02」

こちら、スマートフォンとの接続端子にUSB Type-Cコネクターを持つ超小型のUSBアダプターで、ヘッドホン出力側は「DC01」が2.5mm4極バランス端子、「DC02」は3.5mmステレオミニ端子を採用する。USB Type-C端子を持つことから、基本的にはAndroidスマートフォン/タブレットをメインターゲットとした製品だが、製品にはUSB Type-Cメス−USB Type A変換プラグも同梱されており、パソコンでも利用できるようになっている。

スマートフォンとの接続端子はUSB Type-Cコネクターだ

スマートフォンとの接続端子はUSB Type-Cコネクターだ

付属のUSB Type-A変換アダプターで一般的なパソコンなどにも接続できる

付属のUSB Type-A変換アダプターで一般的なパソコンなどにも接続できる

本体のサイズはかなり小さい。イヤホンジャックを挿すDACアンプ部が長さ40mm、幅15mmと、ちょっと大きめのインラインリモコン程度のサイズにとどまっている。全体の重さも「DC01」で11g、「DC02」にいたっては8gと、実際に使用していてもまったく意識しない重量感となっている。

「DC01」「DC02」はパソコンやスマートフォンとの接続も簡単。Android OSだと、「設定」→「その他の設定」→「OTG接続」をオンにして、「DC01」「DC02」を接続するだけですぐに認識されるため、手軽に音楽を楽しみ始めることができる。

また、専用のアプリ「UAC iBasso」も用意されており、こちらを利用することで、64段階となるハードウェア側のボリューム調整を行うことができるようになっている。細かい音量調整が行える点はもちろんのこと、もうひとつ、音質面でもメリットがある点も見逃せない。実は、スマートフォンなどのデフォルトのボリューム調整では、音量を大きくするとフロアノイズ(暗騒音)も大きくなってしまうことがままあるが、このアプリで「DC01」「DC02」内のボリュームをコントロールすることで、こういったマイナスポイントを回避できるようになるのだ。こういった音質優先の設計思想も、DAPやポータブル・ヘッドホンアンプを手がけるiBassoらしさの現れといえるだろう。

それ以外にも、音質に対するこだわりは随所に見られる。まず、2.5mmのバランス端子を採用する「DC01」は、DACにAKM社製「AK4493EQ」を搭載。384kHz/32bitまでのリニアPCMと11.2MHzまでのDSD音源をネイティブ再生する。こちら、一般的には据え置き型のオーディオ製品に採用されているDACチップだが、「DC01」では音質のためにあえてこちらをチョイスし、超コンパクトサイズの本体に内蔵。さらに、バランス駆動のアンプも搭載。このサイズからは想像できない、良質なサウンドを実現したとアピールしている。ちなみに、「DC01」の本体とコネクター部の間には8芯のケーブルが採用されているが、こちらは音質面と耐久性の両面に配慮したチョイスとなっている。

2.5mmのバランス端子を採用する「DC01」。搭載DACは据え置きオーディオなどにも使われている「AK4493EQ」だ

2.5mmのバランス端子を採用する「DC01」。搭載DACは据え置きオーディオなどにも使われている「AK4493EQ」だ

いっぽう、3.5mm端子を採用する「DC02」は、DACに「AK4490EQ」を採用。最大出力などの基本性能は「DC01」に多少劣るものの、384kHz/32bitまでのリニアPCMと11.2MHzまでのDSD音源をネイティブ再生するなど、機能面ではまったくそん色ない内容となっている。

3.5mm端子を採用する「DC02」は、DACに「AK4490EQ」をチョイス

3.5mm端子を採用する「DC02」は、DACに「AK4490EQ」をチョイス

なお、本体部分は「DC02」の方がより薄型になっている。これは、「DC01」採用の2.5mmジャックのコネクターベース部分が大きいため。そのため、「DC02」の方がよりコンパクトな印象となっているが、実際の使い勝手は大差ない。逆に、横から見ると3角形となる「DC1」の方が、ややデザイン的には凝った作りにも見える。さらに、ケーブルも異なっていて、「DC01」の8芯に対して「DC02」は4芯タイプを採用している。

ケーブルは「DC01」が8芯、「DC02」が4芯タイプになっている

ケーブルは「DC01」が8芯、「DC02」が4芯タイプになっている

さて、実際のサウンドはいかがなものだろうか。まずは「DC01」から聴いてみる。スマートフォンは手持ちのOPPO「Reno A」を、イヤホンは、まずは2.5mmバランス端子を採用するbeyerdynamicとAstell&Kernのコラボモデル「AK T9iE」で試してみた。

ひと言でいい表すならば、とてもダイレクトな音。とてもキレがよく、ドラムのキックがノリのいいリズムを刻み、ボーカルはハキハキとした歌声を聴かせてくれる。女性ボーカルは、ややハスキーな声質で、とても距離感の近い、あけすけで表情豊かな歌声を楽しませてくれる。いっぽう、男性ボーカルも、声の厚み、深みを持つ歌声が、普段より力強く、メリハリも強めで、より感動的な表現にシフトしてくれる。

試聴機が新品だったためか、楽曲によっては荒々しい表現にも感じられたが、音のクリアさ、ダイレクト感の高さに関しては、かなりのレベルの高さを持つ。正直、スマートフォン直はもちろんのこと、一般的な低価格USBアダプターとは一線を画すクオリティを持ち合わせている。これはいい。

さらに鳴りにくそうなイヤホンを試してみよう、ということで、JVC「FW10000」ウッドドームに交換する。こちらとの相性もなかなかによい。サラサラとした上品で上質な高域と、やわらかく広がる(それでいてフォーカス感はしっかり確保された)低域によって、心地よいサウンドを楽しむことができた。

次に試したacountune「HS1670SS」は、さらに相性がよかった。「HS1670SS」ならでは、ダイレクト感が高く、それでいて細やかなニュアンスがしっかり伝わる繊細な表現のサウンドキャラクターがしっかり表現されている。独特の、やや量感多めの低域も心地よく響く。この3イヤホンのなかでは、ベストな組み合わせだと思う。

続いて「DC02」を試してみる。イヤホンは、先ほどと同じく「AK T9iE」から。サウンドキャラクターは基本的に変わらないが、ややていねいな表現にシフト。ダイナミックさもややこぢんまりしたが、それでもグルーヴ感の高さ、ボーカルの距離感の近さは変わらず。「AK T9iE」ならではのダイレクト感あふれるサウンドを楽しませてくれる。

続いて「FW10000」を聴く。音色的な相性のよさは、こちらの方が上かもしれない。もちろん「DC01」の方が解像感も高くあきらかに良音質だが、音色の心地よさ、全体的なまとまりのよさに関しては、「DC02」との組み合わせが良好だ。「FW10000」をよく利用するようであれば、あえてこちらを選ぶ選択肢もあるだろう。「HS1670SS」は、「DC01」同様、バランスのよさとダイレクト感の高さの調和が光った。「HS1670SS」に関しては、どちらを選んでも充分満足できそうだ。

最後に、ちょっとだけヘッドホンも試してみることにした。AKG「K240 studio-Y3」を接続して試してみると、十全、とまでは行かないものの、なかなか表現力のあるサウンドを聴くことができた。特に、ウォーミーで艶やかな女性ボーカルの表情が好ましい。どちらかというとボーカルなどセンター&中域メインのフォーカスだが、これはこれで、なかなか心地いいと思う。

このように、iBasso Audio「DC01」「DC02」は、そのコンパクトなサイズからは想像できない、良質なサウンドを持ち合わせている。おかげで、手持ちの高級イヤホンも、スマートフォンで充分に楽しむことができる。いつでも何処でもいい音が楽しめるという点で、なかなかうれしい製品だ。7000円未満という価格は、とてもリーズナブルに思える。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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