レビュー
GreenFanの風のごとくやわらかな音……

新しい360度サウンド!「BALMUDA The Speaker」は“らしさ全開”のスピーカー


白物家電の世界でさまざまな革命を起こしてきたバルミューダから、まさかの黒物家電、Bluetoothスピーカーが登場しました。そこで、普段から同社の「The GreenFan」を愛用するバルミューダ大好きオーディオライターが、さっそくチェック。すると、バルミューダの独自性と完成度はオーディオでも健在だったんです! 心地よいサウンドを部屋中に広げるそのポイントを紹介しましょう。

あのバルミューダからスピーカーが登場!

先日、バルミューダの家電製品の大ファンであり、オーディオを専門分野とするライターでもある僕にとって衝撃的なリリースが飛び込んできました。

「バルミューダからワイヤレススピーカー登場!」

まずティザーサイトが公開され、そこからあまりじらさずに発表されたその製品がこちら、「BALMUDA The Speaker」(型番:M01A-BK)です!

このオシャレ感! さすがバルミューダといった面持ち

このオシャレ感! さすがバルミューダといった面持ち

筆者宅へ設置してみたところ。アレなお部屋でこそ発揮されるバルミューダデザインの適応力!

筆者宅へ設置してみたところ。アレなお部屋でこそ発揮されるバルミューダデザインの適応力!

パッと見で「ライティングで演出する系のスピーカーか。そんな目新しいものではないよね」なんて感じた方もいるかもしれません。しかしバルミューダファンなら初見からこう思ったことでしょう。「確かに一見おかしなところはない。しかしバルミューダのことだから、普通じゃないこだわりが詰め込まれているはずだ」。バルミューダはそう思わせてくるメーカーなのです。

1.5〜2.0Lペットボトルの下2/3くらいのサイズ。バッテリー駆動も生かしておうちの中での設置や持ち運びの自由度も高い

普通であって普通じゃない! それがバルミューダ

バルミューダがこれまでに世に送り出してきた家電全般の特徴をざっくり二言にまとめるなら、「その家電の本質的な機能の向上に注力!」「シンプルな機能性をデザイン面でも表現」といったところでしょうか。

たとえば扇風機という枯れた市場に、まさに新しい風を吹き込んだ「Green Fan」シリーズであれば、「立体首振りや空気浄化などの機能を付け足すのではなく、風の質や運転音の静かさを突き詰めることでこれまでになかった『心地よい風』を実現」「個性を主張せず部屋になじむモノトーンのルックス」となります。

製品サイトより引用。本来のおしゃれな設置イメージ

製品サイトより引用。本来のおしゃれな設置イメージ

しかし筆者の雑然とした部屋にも違和感なく溶け込みます

しかし筆者の雑然とした部屋にも違和感なく溶け込みます

「いや、それ「普通の扇風機」なのでは?」なんて気もしますよね? そう、バルミューダ製品って「何ができる家電なのか」の表層を言葉で説明される分には本当に普通なんです! 「BALMUDA The Toaster」なんて「パンをおいしく焼けます」だけで説明が終わってしまいます!

こいつの機能としては……パンをおいしく焼けます!

こいつの機能としては……パンをおいしく焼けます!

でも、その「パンをおいしく焼けます」のために、蒸気を利用したり秒単位での温度制御を行なったりする「スチームテクノロジー」なんて技術を開発し、単機能だからこそのわかりやすい操作性も含めて、その家電の基本形を体現するかのようにシンプルなデザインにまとめたもの。それがBALMUDA The Toasterなのです!

というように詳しく説明されれば、あるいは実際に体験すれば、バルミューダ製品が「普通であって普通ではない」ことを理解できるかと思います。あ、でも「立体首振り」による部屋の空気のかくはんは扇風機の基本機能になってほしい快適さ&便利さなので、GreenFanシリーズ愛用者としては「次世代GreenFanにはぜひ立体首振りを!」と希望します。

ちなみに、2017年に登場した同社の電子レンジ「BALMUDA The Range」は、レンジの温めが終わったことを知らせるアラーム音が、「チン♪」ではなく、ギターの「ジャラ〜ン♪」という音になっている製品でした。本物のギター音を録音してサンプリングした音源をレンジ本体に内蔵したそうです。今にして思えばこの頃から、バルミューダの音に対するこだわりが見えてきていたのかも……

新しいアプローチの360°サウンド

さて、ではこのBALMUDA The Speakerにおいては何が「普通じゃない」のでしょうか? それは、「サウンドの狙いとそれを実現しているアイデア」「ライティングへのこだわり」です!

パッと見から気になるのはライティングのほうかと思いますが、実はこのスピーカー、音作りも普通じゃない! というわけで僕の専門分野もそちらですし、この記事ではサウンドのほうを重点的に紹介してみましょう。そのポイントをまず簡潔に伝えると、「音を真上に向けて放出する360°サウンド! それによって実現される、やわらかでやさしい耳心地!」です。

操作ボタンは本体側面の下側に配置。電源オンすると、The Beatles「Day Tripper」っぽい雰囲気のベースフレーズが流れます

電源入力はUSB Type-C。バッテリー駆動時間は7時間

電源入力はUSB Type-C。バッテリー駆動時間は7時間

製品サイトより。「一般的な横向きのスピーカー」と「BALMUDA The Speaker」の音の広がり型のイメージ

製品サイトより。「一般的な横向きのスピーカー」と「BALMUDA The Speaker」の音の広がり型のイメージ

部屋中に音を届けてくれる360°サウンドのスピーカーはほかにもいろいろありますよね。でもこのBALMUDA The Speakerのように、スピーカーを完全に上に向けて設置して、そのまんま真上に向けて放出するスピーカーはめずらしいです。

スピーカーは金属のパンチングでがっつり保護されているので上向きでも安心

スピーカーは金属のパンチングでがっつり保護されているので上向きでも安心

360°スピーカーの代表製品「BOSE SoundLink Revolve」も、「スピーカーは下向きに搭載」「スピーカーから出た音を内部の音響拡散パーツに反射させることで360°に放出」という仕組み、構造を採っています。逆にスピーカーが上向きの製品でも、「スピーカーから出た音を内部の音響拡散パーツに反射させることで360°に放出」の部分は共通であることが大半です。

「BOSE SoundLink Revolve」は、下に向けたスピーカーからの音を筐体内部で拡散させてメッシュ部分から360°に放射(https://kakakumag.com/av-kaden/?id=11005)

音を天井に向けることでやわらかな反射音を広げる

では音を真上に放出すると、その音にはどういった特徴が現れるのでしょう? ざっくり言うと、スピーカーから耳にダイレクトに届く直接音よりも、天井等にぶつかってから耳に届く反射音の成分のほうが際立つことで、音の耳当たりがいい感じにやわらかくなります。

以下はバルミューダがそのように解説しているわけではなく、筆者が体感した音を分析しての推測ですが……

音が真上に放出されると、スピーカーから直接耳に届いてくる成分よりも、天井にぶつかってそこに反射して部屋に広がってから耳に届いてくる成分の割合が多くなります。

上向きのスピーカーのその先にあるのは見知らぬ……じゃなくて見知った天井

上向きのスピーカーのその先にあるのは見知らぬ……じゃなくて見知った天井

天井や壁からの反射音は、耳に直接届く音よりも、往復分で長い距離を行き来してから耳に届きます。すると音って、低音側よりも高音側のほうが距離によって大きく減衰するので、高域側がおだやかになるんです。大きなホールの響きってやわらかくて耳心地よいですよね? 極端な例としてはあんな感じです。ほかに「音は低音側ほど指向性が低い」というのも、高域がおだやかになる要因かもしれません。

とにかく結果、BALMUDA The Speakerから放たれた音は、耳障りになりがちな嫌な高音がぼやけたりモヤッたりしておらず、いい感じにやわらげられています。電気的な処理とかではなくて空間音響によって自然に高域を減衰させていることが、この「いい感じなやわらぎ」の秘密なのではないでしょうか?

反射の違いで音が変わる! 体感実験

BALMUDA The Speakerの上向きスピーカーの効果を確かめてみたいなら、こんな方法があります。BALMUDA The Speakerの上に適当な板、スマホや手のひらなどを適当な角度でかざして、音がそれに反射して自分の耳に飛び込んでくるようにしてみてください。スピーカーの直近、筐体内部の拡散器で音を広げる構造のスピーカーを少しマネてみるわけです。

音を聴きながら角度を動かしてみるのもおもしろいです

音を聴きながら角度を動かしてみるのもおもしろいです

こうすると音のダイレクト感が強まるというか、耳当たりがくっきりするかと思います。これはこれで悪くはないですよね? でも、BALMUDA The Speakerらしい、やさしく広がる音とは違ってくるのもわかったかと思います。

ちなみに……ここまでの写真でお気づきかもしれませんが、今回の筆者自宅でのテストでは、このスピーカーを主にベッドのヘッド部分のスペースに設置していました。就寝時には頭の直近にスピーカーがあったわけですが、でも聴こえてくる音の距離感としては、すぐ近くから直で聴こえてくる感じではないんです。適度な距離感があります。なのでぜんぜんうるさくなく、入眠のじゃまにもなりませんでした。

スピーカー側の音量設定とスマホ側の音量設定を組み合わせて細かく音量調整できます

スピーカー側の音量設定とスマホ側の音量設定を組み合わせて細かく音量調整できます

サブスクにもラジオにもぴったり!

その聴き疲れしない音のおかげで、Bluetooth伝送やストリーミング配信の圧縮による超高域の歪みや損失が目立ちにくいことも、BALMUDA The Speakerの強みと言えるでしょう。「1日中スマホでサブスクを流しっぱなし」なんて使い方をしても、耳のじゃまにならず快適です。対応するBluetoothコーデックがSBCのみで、高音質コーデックに非対応な点も、同じ理由から気になりません。

BALMUDA The Speakerのそんな音作りについて、公式サイトの製品ページ「ストーリー」ではこう語られています。

「The Speakerの音づくりで目指したのは、シンガーの声が感動的に聴こえること。楽曲、そして歌へのリスペクトから音のチューニングがなされました。そしてこれは半ば偶然なのですが…大きなスピーカーを上向きに配置した構造と、ボーカル中心の音作りによって、その他の楽器の輪郭もはっきり聴こえ、かつ抜けが良いというマジックも生まれました」(以上、一部中略して抜粋)

これもたしかにその通り。「ボーカルが主役! だけど耳を傾ければほかの楽器もしっかりそこにいてくれる」というわけです。密閉型構造のおかげか、ベースやドラムスなどの中低域がボワンとふくらみすぎることもなく、バシッとキレのよいリズム表現も好ましいところです。キレはよいけど当たりは強すぎず、ガツガツした感じにはなりません。

そして「ボーカル重視=人の声の再生重視」ですから、ラジオなどのトークコンテンツにもフィット。今はradiko.jpを筆頭にさまざまな音声コンテンツも充実していますから、音楽だけではなくそちらにも目を、いや耳を向けてみるのもおすすめです。

有機ガラスの密閉型キャビネットは、照明効果のみならず、その強度でスピーカーの制動にも貢献しています

有機ガラスの密閉型キャビネットは、照明効果のみならず、その強度でスピーカーの制動にも貢献しています

派手じゃない「日常系」ライティング

ライティングのほうも、簡単にではありますがポイントを紹介しておきましょう。

ライティングで雰囲気を演出する系スピーカーの方向性は大きく2つに分けられます。まずひとつは、非日常を演出するド派手なライティング。もうひとつは日常に溶け込むようなやさしいライティングです。

ソニー「SRS-XB40」は、価格.comマガジン編集部記事いわく「パリピ製造スピーカー」(https://kakakumag.com/av-kaden/?id=10222)

同じソニーでもグラスサラウンドスピーカー「LSPX-S2」は日常をシックに演出(https://kakakumag.com/av-kaden/?id=13449)

ド派手な演出が得意な製品も、ライティングパターン切り替え機能を使えば、ある程度は落ち着いた雰囲気に調整することもできます。ですが、ド派手が得意な製品はいちばん落ち着いたモードに設定しても「いやそれでもまだ派手だよ!」って感じだったりしがちですし、逆もまた然り。

というのを踏まえたうえで、BALMUDA The Speakerはもちろん後者、日常に溶け込むやさしい雰囲気を志向したライティングです。

バンド感とデザインとしてのバランスからの検討によって、メインライトはトリオ編成となっています

バンド感とデザインとしてのバランスからの検討によって、メインライトはトリオ編成となっています

デザインモチーフとしている真空管、あるいはロウソクの光がそうであるように、そのLEDから放たれるのはやわらかな温かみを備えた光です。どんなモードにしてどんな音楽を流しても、光の色合いが緑とか黄色とかに派手に変わることはありません。あくまでもおだやかです。

灯りの強さも、最大でもシーリングライトの常夜灯くらいと想像しておいてもらえればだいたいそんな感じ。なので音楽を流しっぱなし=光りっぱなしでベッドに入っても、部屋が明るすぎて眠れないなんてことはないと思います。本当に真っ暗にしないと眠れない人は別ですが。

やさしく適度な距離感を保ってくれるサウンドと同じく、ライティングも、たとえベッドで頭のすぐそばに置いても、うるさくもまぶしくもないのです。

音楽と光のシンクロも「いい感じ」!

そのライティングのパターンは3種類が用意されています。

Beat:楽曲に合わせてダイナミックに明滅。もっとも臨場感があります。
Ambient:楽曲に合わせてほどよい抑揚をつけ明滅します。
Candle:楽曲を問わず、常にゆらぎのある落ち着いた光を灯します。
→ライティングの詳細はこちら!

たとえば、「音楽を聴くぞ!」というときはBeatモードで視覚的にも音楽を楽しみ、BGM的に音楽を流しておくときには目立ちすぎないようにAmbientモード、「ベッドで音楽を聴くときにはCandleかな?」みたいに使い分けたりするのがよさげです。

ちなみに音楽再生停止中でも電源がオンなら各モードの雰囲気でのライティングが維持されるので、音楽再生中じゃなくてもおしゃれなライティングアイテムとして雰囲気を作ってくれます。

ライティングモード切替ボタン。操作音のフィードバックがあり、音が鳴る回数によって、3回=Beat、2回=Ambient、1回=Candleとなります

そしてその「いい感じに」を実現しているのが「LiveLight」技術。特に前者の2つ、音楽にシンクロするモードで活躍しています。再生中の音楽を解析して、曲に合わせて、強さと明滅のタイミングだけでなく色も微妙に変えるなどして、音楽の抑揚、グルーヴを光で表現します。独自のアルゴリズムによって0.004秒の速さで音を光に変換しているとのことです。

実際のライティングを観察してみると、おおまかには、音の大小の幅や音の隙間、休符の使い方がはっきりしているアレンジのほうが、ライティングもはっきりとしたものになるようです。

また、3本の照明とその足元からの照明は、それぞれ異なるタイミングで変化する場面もあります。たとえばそれぞれに「低音に強く反応/高音に強く反応」「細かな動きにも敏感に反応/おおらかに反応」などの役割分担があるのかもしれません。

GreenFanの風のごとくやわらかな音。身近に置き続けたくなるスピーカー

ライティング機能を備えたBluetoothスピーカーはそちらに注目が集まりがちですし、実際にBALMUDA The Speakerが持つライティングの雰囲気のよさは、もちろん注目に値するのも事実。

でもこのBALMUDA The Speaker、ぜひサウンドにも注目してください! お部屋のどこにおいても、お部屋のどこから聴いても、常に心地よいサウンドを提供してくれます。それこそ「GreenFanが送り出す風のように」です。バルミューダはオーディオでもバルミューダだった。身近に置きたくなる、置き続けたくなる、そんなスピーカーです。

高橋敦

高橋敦

オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る