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フィット感や音質が大きく改善! イヤホンの実力を引き出すイヤーピースの選び方と注目モデル9選

フィット感や音質が大きく改善! イヤホンの実力を引き出すイヤーピースの選び方と注目モデル9選

このところ、市販イヤーピースへの交換が大いに盛り上がっている。

元々イヤーピース、またはイヤーチップと呼ばれる部分とは、カナル型イヤホンの先端に付属している傘のような(マッシュルームキノコのような!?)カタチをしたパーツのこと。シリコンなどやわらかい素材を採用することで、カナル型イヤホンのノズル先端部分を耳穴にしっかりフィットさせている。これによって、イヤホン本来のサウンドを楽しめるようになり、同時に音漏れも防いでくれる、とても重要な役割を担っている。

そのため、耳穴にきちんとフィットさせられないと、イヤホン本来の実力が発揮できなかったり、イヤーピースの特徴ひとつで音が大きく変わってしまうこともある。そういった事情もあって、昨今のイヤーピースブームがさまざまなイヤーピースを試して自分にとってベストな製品を選びたい、という機運が上がり、現在のようなさまざまな市販製品が並ぶ状況となったのである。

そこで今回は、改めてイヤーピースの役割を紹介するとともに、人気メーカーや最新のおすすめの製品など、市販イヤーピース購入初心者にも分かりやすい実践講座的な記事を書かせていただこうと思う。

イヤーピースの基礎知識をおさらい

ということで、まずはイヤーピースの基礎知識について紹介していこう。

イヤーピースには、大まかにいって2つの役割がある。「耳としっかりフィットさせること」と「イヤホン本来の音を妨げずリスナーに伝える」ことだ。しかしながら、フィット、音質ともに、こちらを立てればあちらが立たずといったような、互いに矛盾する内容となっているのがイヤーピース選びの難しさにつながっている。

というのも、耳穴へしっかりフィットさせたいのであれば、ある程度の堅さがあり、サイズが大きめのイヤーピースを装着するのがベターだ。そうすることで、耳穴からポロリとこぼれ落ちることもなく、音漏れもかなり低減できる。ただ、こういったイヤーピースでは装着しているうちにだんだんと痛くなってきてしまうことがある。耳穴への負担や装着感を気にするのだったら、やわらかめでサイズ小さめのイヤーピースを選んだ方がよい。いっぽうで、こういったタイプのイヤーピースでは音漏れが発生しやすく、さらに音質面でもイヤホン本来の実力を満喫することができない。機能性の高さを優先するか快適性を選ぶか、大きな課題がイヤーピースには存在しているのだ。

そもそも、製品に付属しているイヤーピースはサイズ違いが用意されているだけで、S、M、Lの3サイズというモデルが多い。しかも、海外製品と同じサイズのものが付属だったりするため、女性など耳穴の小さめな人にはSサイズですら大きすぎだったりもする。近頃は6サイズのイヤーピースを付属している製品なども登場してきたが、それらは高級モデルが中心で、人によってはピッタリフィットできないということも多い。実際、筆者もカナル型イヤホンがよく耳からこぼれ落ちることがあり、さりとて大きめのイヤーピースを付けると痛くて10分と聴いていられず、とても困った末にカスタムIEM(耳型を採取して本体をオーダーメイドするイヤホン製品)へと走ってしまった経緯もある。

イヤーピースの装着感については、帯に短したすきに長し、ということが生じやすい。さらに、イヤーピースの堅さを選ぶ選択肢にいたっては、はなからない。自分にベストマッチするイヤーピースを手に入れるには、どうしても市販の製品の力を借りる必要があるのだ。

6サイズのイヤーピースを付属している製品は非常に限られており、今のところ高級イヤホンが中心だ

6サイズのイヤーピースを付属している製品は非常に限られており、今のところ高級イヤホンが中心だ

多くのイヤホンは市販のイヤーピースの力を借り、ベストなイヤーピースを探す必要がある

多くのイヤホンは市販のイヤーピースの力を借り、ベストなイヤーピースを探す必要がある

また、純正イヤーピースは装着感が優先され、音質面の配慮が後回しになっているタイプが多い点も気になるところ。装着時の心地よさに配慮した結果、素材がやわらかすぎる場合がままあるのだ。こういったイヤーピースは、すき間なく耳穴にフィットできなかったり、中心軸が押しつぶされてしまったりと、音質に対しても悪影響を及ぼす可能性がある。

このように、装着感を好みに合わせることと、音質的なクオリティアップ(あるいは本来の実力を発揮させるためのカスタマイズ)、さらに上級者は自分好みの音を作り上げるのに市販イヤーピースは利用していたりする。こういった市販イヤーピースを持つ可能性の高さ、製品探しの面白さなどが、現在の市販イヤーピースの盛り上がりにつながっているのは確かだ。

自分にとってもイヤホンにとってもベストなイヤーピースの条件

さて、ここからは具体的な話をしていこう。

イヤーピースを選ぶ際は、自分にとってのベストな製品であることも重要だが、同時に、使用するイヤホンにとってもベストな存在であることも重要だ。といっても、決して難しい話ではない。「ノズル口径がマッチしているか」「ノズル長がマッチしているか」の2つだ。

ノズル口径のマッチングについては、イヤホンがおおよそ3タイプに分類され、大半の市販イヤーピースが最も多数派の中間サイズに合わせられているため、ほとんど困ることはないだろう。ただし、Shureなどノズルが細い製品は専用モデルが用意されている製品のみに限られるし、ユニバーサルIEMなどノズルの太い製品はほとんどラインアップがなく、中間サイズを無理矢理取り付けるとイヤーピースのノズル内側が逆ホーン状態になってしまい、音質に悪影響を与えかねない。ことノズルが太いイヤホンについては、純正イヤーピース以外の選択肢がまだ少ないのが残念なところだ。

イヤホンのノズルの太さや長さによっては、市販のイヤーピースの取り付けが難しいモデルがある。購入前にノズルの太さや長さは確認しておこう

このように、市販イヤーピース選びに関しては、

1.自分とのフィット感(堅さや大きさ)
2.イヤホンとのフィット感(軸のサイズや長さ)

の2つに注意しつつ、製品を選んでみて欲しい。本当は一度装着してみてから、といいたいのだが、ものがものだけに、試聴/試装着サンプルというのはなかなか用意されていない。今回の記事で目星を付けたのち、実際の製品を購入して試してみて欲しい。

イヤーピース注目モデル9選

ここからは具体的な製品について紹介していこう。先にも述べたとおり、今回は人気メーカーや、注目度の高い最新製品に的を絞っている。製品はまだまだ沢山あるものの、まずは今回紹介する製品あたりから、色々試してみて欲しい。

ちなみに、今回は完全ワイヤレスイヤホン用の製品にはあまり注力していない。こちらについては、リクエストを多くいただけるようだったら改めて機会を設けたいと思う。

1. JVC「スパイラルドット++ EP-FX10」

JVC「スパイラルドット++ EP-FX10」 JVC「スパイラルドット++ EP-FX10」 JVC「スパイラルドット++ EP-FX10」

サイズ:S/MS/M/ML/L
素材:シリコンタイプ

市販イヤーピースブームの先駆けとなった製品のひとつ。イヤーピースの軸の内壁に、ディンプル(半円の穴)をスパイラルレイアウトで配置。イヤーピース内の反射音を拡散させることで、音質の場外になるピークや濁りを解消している。第3世代となる“++”は、肌に近い力学特性を持つ素材SMP iFitと高品質シリコンを組み合わせたハイブリッド構成を新たに採用することで、装着感とサウンドの両立を追求している。

実際、音質面ではかなり評判のよい、ニュートラルなサウンドが特徴。以前は軸がやわらかくて組み合わせる製品によっては上手くいかないこともあったが、この++ではハイブリッド構成を採用することで、幅広いイヤホンで利用できるようになった。

2. ソニー「トリプルコンフォートイヤーピース EP-TC50」

ソニー「トリプルコンフォートイヤーピース EP-TC50」 ソニー「トリプルコンフォートイヤーピース EP-TC50」

サイズ:SS/S/M/L
素材:ハイブリッドタイプ

元々ソニー製品用の純正交換イヤーピースだが、他社製品と組み合わせて使う人がいるなど、以前から単体としても人気の高い製品。2種類の硬化シリコンとフォーム素材を組み合わせたトリプル素材構成が特徴で、これによって密閉度の高い装着を実現している。

結果として、ピュア度の高い良質なサウンドが楽しむことができる。装着感も良好なので、どちらも重視したいという人は気に入りそう。また、装着感はいいけど低域が強調されすぎ、というイヤホンには、同じくソニーのハイブリッドイヤーピース「EP-EX11」も試して欲しい。

3. SpinFit「CPシリーズ」

SpinFit「CPシリーズ」 SpinFit「CPシリーズ」

サイズ:SS/S/M/L/XL(CP100とCP360以外はS/M/L)
素材:シリコンタイプ

中心軸がクッション構造になっていて、比較的自由に角度が変化できるため、耳奥にしっかりフィットしてくれるのが特徴。また、軸の内部がイヤホン全体をしっかりとホールドしてくれる構造となっているため、イヤーピースが外れにくくなっている点もうれしいポイントだ。軸の太さや長さもさまざまなタイプが用意されているなど、Shureなどの特殊なイヤホンから完全ワイヤレスイヤホンまで、さまざまな製品にマッチするバリエーションの豊富さも魅力となっている。

耳穴のカーブに合わせて傘の部分が斜めを向いてくれるので、音は気に入っているけど装着感がしっくりこないイヤホンなどにベストな製品。特にShureのイヤホンなどはこのあたりから試してみることをおすすめする。

4. AZLA「SednaEarfitシリーズ」

AZLA「SednaEarfitシリーズ」 AZLA「SednaEarfitシリーズ」

サイズ:SS/S/MS/M/ML/L
素材:シリコンタイプ

発売以降現在まで、装着感の良好さと音質の両面から大いに人気を集めている製品。788人の外耳道を分析したデータを元にしてデザインを設計し、サイズ違いであっても軸の長さはまったく同じにして確かな装着位置を確保。さらに、医療用LSRシリコンを採用することで良好な装着感を実現している。軸の堅さが2タイプ、実の長さが2タイプの合計4タイプのバリエーションが用意されている。また、サイズも6種類が用意されるなど、バリエーションの豊富さも魅力となっている。

イヤホンを変えても音質的な良し悪しがそう変わらない、安定した装着感を持ち合わせているのが魅力。好みに応じて軸部分に2種類の堅さが用意されているが、こと音質の安定感に関してはノーマルモデルの方がやや有利かも。

5. final「TYPE E」

final「TYPE E」 final「TYPE E」 final「TYPE E」

サイズ:SS/S/M/L/LL
素材:シリコンタイプ

finalの純正イヤーピース。サイズごとに適切な縦横比を用意し、傘と軸とで異なる硬度のシリコンを採用することで快適な装着感と音質の確保を巧みにバランスしたモデル。幅広いカラーバリエーションを用意するほか、軸色を左右で変えているため(片方をグレー 、もう一方を赤としているため)、イヤーピースでLRの判別ができるようになっているのも便利だったりする。さらに、隣のサイズとは軸色が微妙に異なっているためサイズの判別もしやすいなど、細やかな気遣いがうれしい。

やや固めなこと、傘の頂点部分の穴径が少し細めのため、イヤホンによっては音質的にマッチングしないものもあるが、基本的には良音質の、扱いやすい製品に仕上げられている。高さの低い完全ワイヤレスイヤホン用のバリエーションも開発されており(agブランドの「TWS04K」に採用されている)近々発売予定だというのでそちらも楽しみだ。

6. Acoustune「Ear-Tipsシリーズ」

Acoustune「Ear-Tipsシリーズ」 Acoustune「Ear-Tipsシリーズ」

サイズ:S/M/L(AET06はS+/M+、AET07はS/M-/M/L)
素材:シリコンタイプ

元々はAcoustuneイヤホン用に作られたイヤーピースだが、標準となる「AET07」に加え、低域強調タイプの「AET08」、密閉性を高めたダブルフランジタイプの「AET06」、Westone/Shureなど軸部が細いタイプのイヤホン向けに最適化した「AET16」など、いくつかのバリエーションが用意されている。

装着感、音質面でもごくごくオーソドックスなタイプだが、その分、さまざまなイヤホンと良好な相性を示してくれたりする。特にダブルフランジタイプ「AET06」は、S+とM+形状が若干異なるため、マッチするイヤホンも異なっていて興味深い。こちらの全バリエーションを所有し、リファレンスとして活用するのも楽しそうだ。

7. COMPLY「T-type」

COMPLY「T-type」 COMPLY「T-type」

サイズ:S/M/L
素材:フォームタイプ

独自開発の低反発ウレタンを採用した、フォームタイプのイヤーピース。シリコンタイプが主流になる前から、交換用の市販イヤーピースとして大いに人気を博してきた。

低反発ウレタンによって、どんな人でも確実にフィットし、さらに、高い密閉性により(カナル型イヤホンでも生じる)低域のマスク効果が薄れ、理想的な帯域バランスのサウンドを聴かせてくれるようになる。イヤーピースとして、まさに理想的な存在といっていい。ただし、シリコンタイプに比べると寿命が短いため、好みが分かれる傾向もある。とはいえ、心地よい装着感、密閉性の高さにおいては、大きなアドバンテージを持つ製品といえる。

近年はアジアンフィットの「Ts-type」や完全ワイヤレスイヤホン用、スポーツ用など、バリエーションも増えているので、自分にマッチする製品も見つけやすいはずだ。

8. LIZER LAB「JIJU」

LIZER LAB「JIJU」 LIZER LAB「JIJU」

サイズ:S/M/L
素材:シリコンタイプ

新進気鋭の国内ブランド、LIZER LABがリリースする超個性派のイヤーピース。普通のイヤーピースとはまったく反対の耳側に向かって広がる形状を採用し、その中心には金属製のフェースプラグを配置。それによって、一般的なイヤホンとは異なる音場表現、頭外定位、前方定位を実現している。

実際に試聴してみると、頭外定位とまでは言わないまでも、これまでのイヤホンでは感じ取れなかったニュートラルな広がり感と正確な定位を聴かせてくれる。まるでスピーカーを超近距離で聴いているかのような、音場の正しさがある。一般的なイヤーピースに比べると高価ではあるが、このサウンドの魅力には叶わない。筆者も気がついたら購入していた、とても画期的ですばらしい製品だ。

9. eイヤホン「eA-R」

eイヤホン「eA-R」 eイヤホン「eA-R」

サイズ:カスタム
素材:アクリル

カスタムIEMのように、耳型をとって自分にベストなイヤーピースをオーダーメイドする、という手段もある。eイヤホンのオリジナル製品、カスタムイヤーピース「eA-R」もそんなひとつで、これ以上にない最高のフィット感をもたらしてくれる。イヤホンとのマッチング、イヤーピースを付けた状態でイヤホン本体がどの位置にくるかまで徹底的に配慮された専用製作が行われるため、違和感のまったくない、良好な装着感を実現している点もすばらしい。

一般的なイヤーピースに比べるとかなり高価だが、カスタムIEMをオーダーすることに比べれば、圧倒的な(安価な製品に対しても1/5以下の)コストパフォーマンスを持ち合わせている。また、実際に試聴してみると、フィット感の高さのおかげもあってか、イヤホン本来の実力をしっかりと引き出してくれる。愛用のイヤホンが、「ああこんな音まで聴かせてくれるんだ」と新たな実力を垣間見せてくれるようになる。価格をふまえても、大いに魅力的な製品だ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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