特別企画
リビングシアターの第一歩は壁投影から

プロジェクターを壁に直接投影するときのポイント! スクリーンなしで手軽にシアター

スクリーンなしで、簡単&お手軽におうちシアターを楽しむコツとは?(※画像はイメージです)

スクリーンなしで、簡単&お手軽におうちシアターを楽しもう(※画像はイメージです)

休日も家で過ごす時間が増えている今、「Netflix」など映像配信サービスの契約者数が世界的に増加している。自宅でゆっくり映画やドラマなどを楽しみたいと思う人が多いのだろう。そんな中で注目を集めているのがプロジェクターだ。簡単に設置できる小型プロジェクターを使えば、普段過ごしているリビングでも手軽に100インチクラスの大画面投影が実現できる。

しかし、プロジェクターだけなら比較的簡単に導入できるが、「スクリーン」を設置する場所がなくて悩む人も多いと聞く。そこで手っ取り早いのが、スクリーンを使わず、プロジェクターの映像を壁に直接投影するスタイルだ。

というわけで今回は、「プロジェクターを壁に直接投影する」がテーマ。そのメリット、デメリット、重要ポイントをまとめて解説しよう。もちろん、スクリーンがあればベストなことは間違いない。「壁に直接投影すると、映像の見え方が甘くなる」と思う人もいるだろう。しかし、投影する壁やプロジェクター選びのポイントに気を付ければ、壁への直接投影でも十分に大画面映像を楽しむことができる。

記事の後半では、スクリーンなしのお手軽ホームシアターに使えるプロジェクター製品もざっくりご紹介

記事の後半では、スクリーンなしのお手軽ホームシアターに使えるプロジェクター製品もざっくりご紹介

スクリーンなしで始めよう! 壁投影のメリットとデメリット

さて、プロジェクターの映像を壁に直接投影する最大のメリットは、本企画の主旨である「スクリーン設置の手間が省けること」だ。普段暮らしている部屋の壁にスペースさえあれば投影できる。いわゆるホームシアター専用ルームがいらないのはとても手軽だし、スクリーンに映像を合わせるための厳密な位置調整も必要ないので、楽に大画面投影をスタートできる。

プロジェクターの設置位置を決めたら、電源を入れてすぐに投影を始められるのが手軽! 投影映像をスクリーンにぴっちり合わせる厳密な位置調整をしないでいいのもメリット

では、スクリーンを使わないデメリットは何かといえば、最も大きいのは、投影される映像の画質である。映像の明るさやコントラスト、色乗りなどは、どうしてもスクリーン使用時に比べて低下する。

しかしそのディスアドバンテージは、あとからスクリーンを加えれば解決できる。つまり、今すぐにスクリーンが置けないからとあきらめず、「まずは壁投影からスタートしよう!」ということ。プロジェクター単体でホームシアターを始めて、あとからいくらでも環境をアップデートすることが可能なので、最初に投入したコストもムダにならない。

▼プロジェクター1台でホームシアターが楽しめる時代に

ちなみに筆者が壁投影を推す理由のひとつとして、最近はプロジェクター単体でホームシアター機能をまかなえるようになっている製品が多いこともある。

まず多くの家庭用プロジェクターにはスピーカーが内蔵されているので、簡易的ではあるが、別途スピーカーを用意しなくても音声を鳴らせる。

スピーカー内蔵プロジェクターなら、スピーカーなしでひとまず音声を鳴らせる。もちろん、どうしても音声の迫力は落ちるので、スクリーンと同じくグレードアップしたくなったらあとからスピーカーを買い足してもいい

そうなると、プロジェクターのほかに用意するものはソース機器(と接続ケーブル)のみでよい。従来のブルーレイプレーヤーのほか、HDMI出力を装備するノートパソコンもソース機器になるし、最近はNetflixなどを再生できるストリーミングデバイス「Apple TV 4K」「Fire TV Stick」や、PC/スマホの画面を伝送できる「Chromecast」をプロジェクターのHDMI入力に接続するだけでも、手軽に映像コンテンツを再生できる。

プロジェクターのHDMI入力端子にストリーミングデバイスを接続すればよい

プロジェクターのHDMI入力端子にストリーミングデバイスを接続すればよい

さらに、一部のプロジェクターはAndroid TVなどのOSを内蔵しているものもあり、本体にNetflixやYouTubeのアプリをインストールできる。これならプレーヤー機器すらいらないというわけだ。こういったモデルを使って壁投影すれば、本当にプロジェクター1台だけで、手軽なおうちシアターが実現できるのである。

プロジェクター本体にAndroid OSを搭載するBenQ「GV1」

プロジェクター本体にAndroid OSを搭載するBenQ「GV1」

GV1を投影したところ。YouTubeやNetflixアプリをインストールできる

GV1を投影したところ。YouTubeやNetflixアプリをインストールできる

プロジェクター壁投影のポイント:白い壁

少々前置きが長くなったが、いよいよプロジェクターを壁投影するときのポイントをお伝えしよう。最も大切なことは、非常にシンプルなのだが、「白い壁」もしくは「白に近い壁」に投影することだ。壁表面の仕様はもちろん凹凸の少ないほうが有利ではあるものの、極端な凹凸がなければある程度は大丈夫。

以下の画像は、筆者宅のリビングの白壁を使って、BenQのプロジェクター「TH685」の映像を現実的なサイズの80インチ(画面縦横比16:9で画面の幅約1.8m、高さ約1m)で直接投影してみたところ。壁投影で懸念する明るさの減少はなく、第一印象としてはなかなかイイ感じであった。

筆者宅では7年前にリビングをリフォームして白い壁紙に張り替えたので、ちょうど壁投影に使いやすい

筆者宅では7年前にリビングをリフォームして白い壁紙に張り替えたので、ちょうど壁投影に使いやすい。日本の住宅は多くがこういった白系の壁だと思うので、スペースさえあれば活用できる環境の人が多いだろう

こちらが、白壁に投影したところである。思っていたほどの明るさの低下もなく、イイ感じで映画を楽しむことができた

▼白壁とスクリーンはどれくらい画質が違う?

おそらくみなさんが気になるのは、壁投影とスクリーン投影でどれくらい画質に変化があるかだろう。そこで、筆者宅のAV視聴室に設置しているスクリーンに80インチで投影した場合と比較してみたのが、以下の画像だ。写真だと少々わかりづらいかもしれないが、パッと見た感じ、壁投影とスクリーン投影で最も顕著な違いが出るのはコントラストだった。

スクリーンに投影ところと、白壁に投影したところを比べてみる

スクリーンに投影ところと、白壁に投影したところを比べてみる

最近ストリーミングサービスで配信が始まった、スター・ウォーズ最新作「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を再生して、スクリーン投影と壁投影を見比べてみたのだが、暗部から明部のコントラストの描き分けや、映像の立体感は、さすがに壁投影とスクリーン投影で差が出た。しかし、明るさの減少はそこまで差が感じられなかった。

また、さすがに近距離から見ると、壁投影のほうは特に白い画の個所で凹凸がわかる。ただ、一定の距離を取って映画鑑賞している分にはそこまで目立たなかった

▼アイボリーで模様が入っている壁紙ではどうなる?

続いて、アイボリーで若干模様が入っている壁にも投影してみた。当然カラーバランスが若干黄色に寄り、特に黄色いテクスチャー模様が白部分で目立つ。やはり白壁のほうが有利なことは間違いない。画作りに芸術性のある作品だと少々厳しい面も出てくるかもしれないが、手軽に大画面で映画を楽しむという目的は達成できる。また、どうしても色の入った壁に直接投影せざるを得ない場合は、室内をできる限り真っ暗にするなどして工夫するとよいだろう。

少し柄も入っているアイボリーの壁に投影してみると……

少し柄も入っているアイボリーの壁に投影してみると……

こうして並べてみると、壁の色の影響を受けているのがわかる

こうして並べてみると、壁の色の影響を受けているのがわかる

ちなみに、プロジェクター投影用に適した壁紙も発売されている。高品位なスクリーンほどの画質は望めないものの、通常の壁紙よりも大幅に画質が向上するので、どうしてもスクリーンを設置できない環境では候補に入れたいところ。

壁投影を想定したプロジェクター選びのポイント

続いては、壁投影を想定したプロジェクター選びのポイントを書き出してみた。なお、壁投影と言いつつ、スクリーンに投影する場合でも共通の要素が多いので参考になると思う。

最近のプロジェクターは、据え置きタイプからモバイルタイプ、手のひらサイズのコンパクトモデルまで種類が豊富である。なので、下記のポイントを踏まえつつ、「設置性を重視してコンパクトさを優先にする」とか、「スペースには余裕があるので明るさを重視する」といったように、最終的には自宅の環境に合わせて好みの製品を選ぶとよいだろう。

▼焦点距離とズーム

まずは、プロジェクターを設置したい部屋の大きさと、それに合わせた焦点距離を持つプロジェクターを見つけること。これが基本だ。特に壁投影する場合は、リビングなどホームシアター専用室ではない部屋で使用するシーンが多いだろうから、必ず室内の環境と実現可能な投影距離は把握しておこう。

プロジェクターの焦点距離(映像の投影に必要な距離)は、製品によって異なる。特に狭い部屋なら、短い距離でも投影できる短焦点モデルを利用したい。価格は上がるものの、壁からほぼ垂直に映像を立ち上げる「超単焦点プロジェクター」 を利用できればより便利。さらにズーム機能がついているプロジェクターを選ぶと、画面に対して前後の設置性が大きく上がる。

一部のメーカー公式サイトでは、「壁からの設置距離や画面サイズからお目当てのプロジェクターが使用できるか?」を確認できる「投影シミュレーター」が用意されているので、事前に確認すると便利だ。

こちらは、BenQの公式サイトに用意されているWebシミュレーター。必ずお目当ての製品を出しているメーカーのサイトで事前にチェックしよう

ズーム機能で画面サイズを調整できるモデルであれば、より使い勝手がよい。ちなみにズームは光学とデジタルの2種類あり、デジタルズームは画面劣化が起きることにも注意

▼明るさ

プロジェクターは、製品ごとに輝度(明るさ)に違いがある。この明るさは、壁投影時にどれだけ影響があるのだろうか? そこで、BenQの入門クラスのプロジェクターとしてそれぞれ人気の「GV1」(200lm)と「TH685」(3500lm)を約70インチサイズで壁投影して見比べてみた。

3500lmと輝度の高いTH685では、壁投影でもその明るさのアドバンテージが生きる。実際に映画を見てみると、特に画面光量の多いシーンでの印象がよく、壁投影したときに生じるコントラストの低下も比較的カバーできた。いっぽう輝度200lmのGV1でも、真っ暗な部屋であれば映画を楽しめた。ただ、リビングなどどうしても真っ暗にできない環境で壁投影したい場合は、可能な限り輝度が高いモデルを選ぶほうがよい。

輝度3500lmのプロジェクターTH685を使用すると、室内を完全に真っ暗にできなくても明るい映像が得られた

輝度3500lmのプロジェクターTH685を使用すると、室内を完全に真っ暗にできなくても明るい映像が得られた

こちらはGV1を壁投影している様子。輝度200lmでも、室内を可能な限り真っ暗にすれば楽しめる

こちらはGV1を壁投影している様子。輝度200lmでも、室内を可能な限り真っ暗にすれば楽しめる

▼解像度

もうひとつ重要なポイントが解像度だ。スクリーンを使わない壁投影でも、解像度が高ければ精細感が増して細かいディテールが上がって見える。もちろん映す作品にもよるのだが、大体60インチ以上になってくると、解像度による画質差を大きく感じる。

プロジェクターの解像度は、おおよそ製品価格に比例するので、投入できるコストや設置スペース、視聴するコンテンツ、使い勝手との兼ね合いで決めるとよい。たとえば、映画を見るためであれば1280×720ピクセル以上あるほうが望ましい。いっぽうで、イベントなどさまざまな場所に持ち運ぶ手軽さを優先するなら、必要最低ラインである800×600ピクセルくらいでコンパクトなポータブルプロジェクターを選ぶというのもアリだろう。

▼スピーカーの音量

壁に投影するお手軽シアターの場合、上述の通り、スピーカーはプロジェクター内蔵のものを利用するのが最も簡単。なので、そのサウンドスペックもちゃんとチェックしておこう。音量の大まかな基準としてW数があるが、8畳ほどの部屋なら5Wくらいを確保しておけば音量不足は生じないはず。音質のクオリティはモデルによってまちまちで、低音の迫力を重視した製品なども発売されているので、好みに合わせて選ぼう。

お手軽シアターを始めるなら、最初はプロジェクター内蔵スピーカーに頼ってしまおう。なお、今回テストに使用したTH685とGV1は、ともに音質はなかなかのものだった。「スター・ウォーズ」を見たときは、戦闘シーンなどでの爆発音に音量的な不足はなく、セリフも予想以上に明瞭に聞こえた

▼設置性・脚部の高さ調整

そして重要なのが設置性だ。従来の専用室を使ったホームシアターであれば、プロジェクターは定位置に固定しておく。しかしリビングで壁投影するお手軽シアターだと、普段はプロジェクターをどこかにしまっておいて、使用するたびに毎回取り出して設置する場合も多いだろう。そこで、脚部の傾き調整機能の有無が使いやすさに大きく関わってくる。

多くのプロジェクターは、フロントに1か所、リアに2か所の高さ調整を兼ねた脚部があるはずだが、モデルによって異なる場合がある。最低でもフロント1か所、リア1か所を調整できると便利だ。

こんな感じで、フロント1か所、リア2か所の3点支持で脚部が付いているプロジェクターが多い

こんな感じで、フロント1か所、リア2か所の3点支持で脚部が付いているプロジェクターが多い

特にホームシアター専用室ではない普通の部屋で壁投影する場合、脚部の高さを調整しやすいかどうかは重要ポイント

さらに横方向の台形補正機能(キーストーン)が付いているモデルであれば、斜め方向からの投影が可能となり、設置の自由度が大幅にアップする。設置スペースに限りがあることを理由に壁投影を選択するなら、台形補正機能はあったほうがよい。

そのほか、壁投影に限らないポイントとしては、画面のピントを自動で合わせるオートフォーカス機能があるとなおよい。必須とは言わないものの、付いていると便利だ。また、ゲーム機と接続する場合は、低遅延を売りにしたモデルを選択するのがマストである。

壁投影するお手軽シアターで使えるプロジェクター製品例

ここからは、壁投影によさそうなプロジェクターの製品例をご紹介しよう。価格.comで販売されている製品の中から、10万円以下で買える短焦点モデルをピックアップしてみた。

▼BenQ「BenQ GV1」

手のひらサイズのポータブルプロジェクター。Android OSを内蔵しており、単体でYouTubeやNetflixを再生できる。画面解像度は854×480ピクセル、輝度は200lmだが、レンズ部の角度が変えられるチルトヒンジ機能と自動台形補正機能のおかげで設置性が高い。約2.5mで100インチサイズの投影が可能。アンプ出力は5W。とにかく手軽に壁投影を始めてみたい人にぴったり

▼ANKER「Nebula Capsule II D2421J11」

ペットボトルサイズを実現したコンパクトなポータブルプロジェクター。輝度200lm、解像度1280×720で、約3m距離で100インチサイズの投影が可能となる。こちらもAndroid TVを搭載しており、NetflixやYouTubeアプリを本体にインストールできる。さらにChromecastやGoogleアシスタントによるボイスコントロールに対応するなど、多機能さも魅力

▼LGエレクトロニクス「Minibeam PH550G」

バッグに入れて持ち運べるサイズのコンパクトなプロジェクターで、バッテリーを内蔵しており屋外でも使用できる。解像度は1280×720で、輝度は550lm。約3.1m距離で100インチサイズの投影が可能だ。ランプ寿命が長いLED光源を採用。スマホ画面のミラーリング機能や、Bluetoothスピーカーとの接続機能も搭載する

▼LGエレクトロニクス「CineBeam HF60LS」

小型ながら、フルHD解像度と明るさ1400lmを実現するモデル。ランプ寿命3万時間のLED光源を採用。約2.5mで80インチ、約3mで100インチを投影可能で、最大120インチサイズまで投影できる。1.1倍の光学ズームも搭載。独自OSの「Web OS」やマジックリモコンの採用により、操作性に配慮しているのもポイント

▼EPSON「dreamio EF-100」

A4サイズの小型筐体で、リビングにも設置しやすいスクエアデザインが魅力のモデル。解像度は1280×800。レーザー光源採用により天井に向けての投影も可能で、2.3mの投写距離で100インチサイズの大画面を実現する。1.35倍のデジタルズームと縦横両方向の台形補正を搭載しており、明るさも2000lmと申し分なく、内蔵スピーカーの音質も良好だ。Android TV端末同梱モデルもラインアップ

▼BenQ「TH685」

1920×1080のフルHDプロジェクター。8.3ms@120Hzの低入力ラグにより、ゲーム用途に強いのも魅力の1台。約2.5mで100インチサイズの投影が可能で、輝度3500 ルーメンと大変明るく、リビングなどにも設置しやすい。スピーカーはモノラル5W

まとめ

いかがだったろうか? プロジェクターに興味があるなら、まずは普段過ごしている部屋の壁を使った超お手軽シアターで、大画面再生の楽しさを満喫しよう。この世界を楽しんで、さらに映像品質と音質をグレードアップしたくなったら、スクリーンやサラウンドシステムを追加していくといい。そうやってどんどんステップアップしていった先には、映画館のような臨場感ある映像と音の体験が待っている。

土方久明

土方久明

ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのコンピューター/ネットワークエンジニアを経て、ハイエンドオーディオやカーAVの評論家として活躍中。

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