選び方・特集
音質や使い勝手、機能性などをモデルごとに徹底解説

2020年は手頃な価格のモデルが熱い! 価格帯別ハイレゾ対応DAP厳選注目モデル

2020年は手頃な価格のモデルが熱い! 価格帯別ハイレゾ対応DAP厳選注目モデル

2020年は手頃な価格のモデルが熱い! 価格帯別ハイレゾ対応DAP厳選注目モデル

音楽ストリーミングサービスの充実も相まって、この頃はスマートフォン+完全ワイヤレスイヤホンというリスニングスタイルが急激に普及しつつある。スマートフォンもワイヤレスイヤホンも確かに便利で、手軽にどこでも音楽を楽しめるという点では推薦したいスタイルだが、そのいっぽうで、情報を調べたり映像を楽しんだりする場合などは画面サイズの大きいタブレットのほうが、音楽再生に関しては専用のハイレゾ対応DAP(デジタルオーディオプレーヤー)のほうが、何かと有利な点が多かったりする。

実際、DAPは何もしなくても音がいい。さまざまな機能性を詰め込まなければならないスマートフォンに対して、音質を最優先できるDAPは、当然ながら格段に音をよくできるし、同時にコストパフォーマンスも優位となる。屋外でBluetoothイヤホンを使い環境音楽的に楽しむ、という使い方だったらスマートフォンでも十分役割を果たしてくれるが、音楽に集中して存分に楽しみたい、という人にはやはり専用DAPの活用を推奨したい。

もうひとつ、スマートフォンと大きく異なる点として、使い勝手のよさがあげられる。スマートフォンの音楽再生アプリも使い勝手は悪くないが、音楽再生“のみ”に特化したDAPは、タッチパネルはもとより、ボリュームなどのハードウェアキー含めて音楽再生のために作り込まれているので、使い勝手は格段によい。

また、このごろのDAPはAndroid OSを採用している製品が多く、ストリーミングサービスを利用できるものも増えてきている。なかには、SIMなしWi-Fi接続のみということ以外、スマートフォンと大差ないモデルまで登場してきている。ハイレゾ音源の再生に関しても、アプリをダウンロードしたり設定したりする必要もなく、かえって手軽だったりもする。

そして、バッテリーの持続時間も見逃せない。スマートフォンで音楽を聴くと多少なり消費電力が高まるため、いざ電話したいときにバッテリー切れになってしまうことも考えられる。モバイルバッテリーを持ち歩いて対処する方法もあるが、音楽プレーヤーをスマートフォンと分けることでこういった心配は激減するし、逆に、ハイレゾ対応DAPもモバイルバッテリーから充電できるため、(スマートフォンとの)2台使いはとても便利だ。

このように、音楽再生に関しては何かと有利なDAPだが、ここ1年の間に登場した最新モデルは、なかなかに魅力的な製品が多かったりする。特に、2万円クラス、4万円クラス、8万円クラスの3つは、多くの注目モデルがラインアップされている。

ということで、今回はその3つの価格帯の中から、音質はもとより、使い勝手やコストパフォーマンスなど、トータルで魅力的な製品を選びだしてみた。また、3つの価格帯からは外れるが、注目してほしい2モデルを番外編として取り上げている。ぜひとも充実した音楽ライフを送るための参考にしてもらえたらうれしい。

2万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

2万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

2万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

2万円クラスは、コンパクトサイズで扱いやすい、ハイレゾ対応DAP初心者でも扱いやすい製品が揃っている。また、中国メーカーの躍進もあってか、音質面でも格段のグレードアップが押し進められている。LinuxベースのオリジナルOSを搭載する製品が多いため、アプリ拡張は望めないが、使いやすさ、コストパフォーマンスに関してはかなりの注目価格帯といっていいだろう。

SHANLING「Q1」

SHANLING「Q1」

SHANLING「Q1」

中国・深センに本社を構え、30年を越える歴史を持つオーディオブランド、SHANLING(シャンリン)のエントリークラスモデル。DACチップは、ESS社製「ES9218P」のシングル搭載だ。

まるで“ティントイ(ブリキのおもちゃ)”のようなデザインが特徴の小柄なDAP。1940〜1950年代のデザインにインスピレーションを受けて作り上げられたという外観は、中間色のボディカラーとシルバーメッキ調のダイヤル&操作ボタンなどと相まって、レトロ感漂う独特の雰囲気を持ち合わせている。

そのいっぽうで、USB DAC機能(パソコンやスマートフォンと接続して音楽再生ができる)やBluetooth機能など、最新の便利機能はしっかりと対応していたりする。小柄なボディのため、画面は2.7インチとそれほど大きくはないが、アイコンが大柄なのでタッチパネル操作はしやすい。

そのサウンドは、定評あるSHANLINGならではのクオリティをしっかり確保。しっかりした造りのボディが功を奏しているのか、フロアノイズが少なく、細かい描写までしっかりと伝わってくる。また、抑揚表現もしっかりしていて、臨場感あふれる歌声や演奏が楽しめる。
価格、デザイン、サウンドと、この価格帯では群を抜く完成度の高さだ。

HiBy Music「HiBy R3Pro」「HiBy R3Pro Saber」

HiBy Music「HiBy R3Pro」

HiBy Music「HiBy R3Pro」

中国に本拠を構えるHiBy Musicは、これまで数多くのオーディオブランド製DAPを研究開発・生産をしていた実績を持つポータブルオーディオブランド。いっぽうで、自社開発アプリ「HiByMusicPlayer」も有名で、ソフトウェア開発に関しても定評のあるメーカーだったりする。そんなHiByのエントリー向けに位置する製品「R3」の、グレードアップ版として登場したのがHiBy「R3Pro」だ。

外観に関してはまったくといっていいほど変化はない。音質の要となるDACチップは、オリジナル「R3」で採用されていたESS社製「ES9028Q2M」シングル搭載から、シーラス・ロジック社製「CS43131」をデュアル構成へと変更。384kHz/32bitまでのリニアPCM音源と11.2MHzまでのDSD音源、MQAファイルの再生に対応している。ヘッドホン端子は、オリジナルモデル同様、3.5mmに加え2.5mmバランス端子も搭載されているが、端子まわりに金属リングが見られるなど、2.5mm端子そのものがアップデートされているようだ。

OSは自社製の「HiBy 3.0」を搭載。プレーヤーソフトにはパラメトリックイコライザーと複数の音響調整アルゴリズムを組み合わせた「Mage Sound 8-Ball Tuning」が用意され、自分好みのサウンドに調整可能となっている。そのほかにも、USBオーディオ出力やUSD DAC機能、LDACやaptXコーデックに対応する双方向Bluetooth接続、Wi-Fi搭載によるDLNAとAirPlayのサポート、「HiBy Link」によるスマートフォンからのコントロールなど、機能面でもかなりの多彩さを誇っている。搭載バッテリーは1600mAhと変わらないものの、SoCやアンプ回路のブラッシュアップにより、オリジナルの11時間から最長20時間まで大きく延長された。

このサイズで最大20時間もの再生時間を実現したのはうれしいかぎりだが、もっとも喜ばしいのはそのサウンドの進化だ。DACチップの変更、デュアル化による恩恵だろう、ダイナミックレンジの幅が大きく拡大し、解像感も一段と高まっている。また、音色もニュートラル志向へとややシフト。メリハリのしっかりした、臨場感あふれるサウンドが楽しめるようになった。特に女性ボーカルは、曲によってはゾクッとするくらいの熱気をはらんだ歌声が楽しめる。オリジナル「R3」のサウンドも相当よかったが、「R3Pro」は格別といえる。このサイズ、この価格帯としては望外といえるクオリティを持っている。手軽にいい音を楽しみたい、という人にぜひ注目してほしい製品だ。

そして、原稿執筆中にHiBy「R3」のさらなる派生モデルの情報が飛び込んできた。急遽お願いしたところ、サンプルを借用することができたので、こちらも紹介していこう。

この7月に日本での発売が決定した「R3Pro Saber」は、「R3Pro」のバリエーションモデルで、DACチップがESS社製「ES9218P」のデュアル搭載に変更されている。そのほかの部分は、外観や機能性、2.5mmバランス+3.5mmアンバランス端子搭載など、基本的な部分は「R3Pro」と変わらない。

2モデルで大きく異なっているのが、サウンドキャラクターだ。熱気あるパワフルなサウンドを持つ「R3Pro」に対して、「R3Pro Saber」はもう少し冷静で客観的な、バランスのよいサウンドとなっている。また、奥行き方向の距離感もこちらのほうが自然だ(「R3Pro」はややオーバーな傾向を持つ)。もちろん、他社製に比べてハードロックが似合いそうなパワフルでキレのよい基本キャラクターは同じなのだが、高域表現のきめ細やかさが異なっていて、サウンド“クオリティ”に関しては「R3Pro Saber」のほうに分があるように感じられる。

よく聴く楽曲やイヤホンとの組み合わせ、音の好みなどによってベストといえる製品は異なるだろうから、チャンスがあればぜひ「R3Pro」「R3Pro Saber」の2製品を聴き比べてほしい。

Hidizs「AP80 Pro」

Hidizs「AP80 Pro」

Hidizs「AP80 Pro」

2009年に設立し、2014年よりハイレゾ対応DAPをリリースしているオーディオブランド。Hidizsの最新モデル。名前からわかるとおり、人気を集めた「AP80」のブラッシュアップモデルに位置付けされている。

小型軽量の外観はほぼそのままながら、DACチップはESS製「ES9218P」をデュアルで搭載。384kHz/32bitまでのリニアPCM音源と11.2MHzまでのDSD音源に対応するほか、2.5mm端子のバランス出力も新たに搭載されている。このほか、Bluetoothもバージョン4.2へと進化し、aptXやLDACに加え、HiBy独自のコーデックであるUATにも対応するようになった。

また、OSにLinuxベースの「HiBy 3.0」を採用。プレーヤーソフトには、パラメトリックイコライザーと複数の音響調整アルゴリズムを組み合わせた「Mage Sound 8-Ball Tuning」が用意され、自分好みのサウンドに調整することも可能となっている。また、HiBy Link機能を使って、スマートフォンのHiBy Musicアプリから操作ができるようにもなっている。

そのサウンドは、オリジナルのジェントルな音色傾向はそのままに、フォーカス感、解像度感がグッと高まったイメージ。ボーカルもアコースティック楽器の演奏も、ニュートラル志向のキャラクターを基本に、ほんのちょっと高域にスパイスを加えた、聴き心地のよいサウンドを持ち合わせている。おかげで、女性ボーカルはのびのびとした歌声が楽しめるし、ピアノの音もヌケがよい。コンパクトなサイズといい手頃な価格といい、良バランスの製品だ。

4万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

4万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

4万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

ソニーのウォークマンAシリーズがAndroid OS搭載となり、価格帯が上にシフトしたことから再注目されるようになったクラス。Aシリーズのほか、5万円クラスの弟機などが位置している。これから、さまざまな製品が登場してきそうな、注目の価格帯といっていい。

ソニー「ウォークマン NW-A106」

ソニー「ウォークマン NW-A106」

ソニー「ウォークマン NW-A106」

これまでのオリジナルOSに代わり、新たにAndroid 9を搭載したモデル。外観は先代となるA55シリーズと共通するデザイン観を持つが、実際にはまったく新しいボディとなり、特にハードキーは大きくなりつつも上位モデル(「ZX500」シリーズなど)と同じ一体化デザインとなった。

機能面では、AIが再生中の楽曲をリアルタイムで解析し、最適なハイレゾ級音質にアップスケーリングする「DSEE HX」を搭載。また、「バイナルプロセッサー」「DCフェーズリニアライザー」「クリアオーディオプラス」など独自のサウンド調整機能を持ち合わせている。NFC対応のBluetooth機能は、これまでのSBC/LDAC/aptX/aptX HDに加えて、新たにAACコーデックにも対応。どんな製品であっても、最良のサウンドを楽しめるようになった。

さらに、ノイズキャンセリング機能も持ち合わせていて、対応イヤホンを使って手軽に騒音を回避できるのもうれしい。Google Play ストアに対応しているので、YouTubeやGoogle Play、AppleMusicなどを楽しむこともできる。また、先日のアップデートで、mora qualitasのハイレゾ再生にも対応することとなった。

先代A50シリーズに対して、よりジェントルなサウンドへとシフト。細部の表現がしっかりと伝わる、明瞭度の高いサウンドとなった。Android OSに代わり、音質的にどうなったか不安はあったが、さらにクオリティをアップしてきて、驚いたのは確かだ。Google Play ストア対応である拡張性の高さも含めて、とても使いやすい、完成度の高い製品だ。

iBasso Audio「DX160 ver.2020」

iBasso Audio「DX160 ver.2020」

iBasso Audio「DX160 ver.2020」

大人気モデル「DX160」の最新バージョン。「DX150」の後継に位置するモデルとして登場したが、メーカーの予想以上のヒット作となったためか、ディスプレイなどの主要部品が調達不可能となり、惜しまれながらも製造が終了してしまった。その人気に応えるべく、パーツを一部変更して再登場したのがこの「DX160 ver.2020」だ。

「DX150」とは異なり、アンプ交換機能はなく標準で4.4mmバランス出力を搭載(もちろん3.5mm出力もある)した薄型ボディや、Android 8.1採用によってストリーミング系のアプリも利用できるなど、基本的な部分はほとんど変わらないが、ヘッドホンアンプのパーツが変更されるなど、音質向上のためのさらなるブラッシュアップが(小規模ながらも)行われている。音質の要となるDACも、同じシーラス・ロジック製ながら「CS43198」のデュアル搭載へと変更されている(384kHz/32bitのリニアPCM、11.2MHzのDSDネイティブ再生対応は同じ)。このほか、DAC機能、Bluetoothレシーバー&トランスミッター機能、フルHDの5インチタッチパネルなど、機能性についてはスペックダウンすることなく継承されている。内蔵メモリーも32GBと変わりない。

そのサウンドは、一聴しただけでもわかるほど、クオリティを向上させてきている。キレがよく、細部のニュアンス表現もしっかり伝わってくるようになった。オリジナルモデルは、音質面では十分に満足できるものの、楽曲によってはやや眠い(高域が控えめすぎる)印象もあったが、「DX160 ver.2020」では明瞭で明快な、清々しいサウンドへとグレードアップしている。こと音質に関しては、この価格でこのクオリティは望外といえる。コストパフォーマンスの高い製品だ。

8万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

8万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

8万円クラスのハイレゾ対応DAP注目モデル

ミドル〜上級に位置する価格帯だけ合って、音質面でも機能性でも太鼓判を押せる製品が出揃っている。先々の買い換えを考えると、予算に余裕があれば、いきなりこの価格帯からスタートしてみるのもアリだ。

ソニー「ウォークマン NW-ZX507」

ソニー「ウォークマン NW-ZX507」

ソニー「ウォークマン NW-ZX507」

幅広い人気を誇ったミドルハイクラスのウォークマン、「ZX300」の後継に位置するモデル。Android OS(9.0)を搭載し、Google playストアのアプリダウンロードにも対応。ハイレゾ音源だけでなく、ストリーミングアプリなども活用できる“ストリーミングウォークマン”としてまったく新しく生まれ変わっている。
いっぽう、外観デザインは「ZX300」のイメージを踏襲しつつ、下側が丸められて持ったときの感触がよくなっていたり、ボタンのカーブがボディ一体となってよりスマートな印象になっていたりと、パーツ単位ではまったくの別物といっていいほどに印象は変わっている。

機能面では、Android OS採用による汎用性の高さが特徴だ。特に、Google playストアに対応することで、多くのアプリを活用できるのがいい。さらに、先日のアップデートでmora qualitasなどハイレゾ音源のストリーミングサービスにも対応している。

そのほか、384kHz/32bitのリニアPCMと11.2MHzのDSDネイティブ再生に対応していたり、「DSEE HX」「バイナルプロセッサー」「DCフェーズリニアライザー」「クリアオーディオプラス」など独自のサウンド調整機能を持つなど、機能性は先代ほぼそのまま。OSが変わっていることをまったくといっていいほど意識させられない。また、NFC対応のBluetooth機能に、これまでのSBC/LDAC/aptX/aptX HDに加えて、新たにAACコーデックが追加されている点も、同時発表の「A100」シリーズ同様だ。

そのサウンドは、先代に対して確実な進化が押し進められていて、特にSN感、音のクリアさが高まっている。特に3.5mmアンバランスは、SN感がグッと高まり、歪み感が抑えられた見通しのよい表現となった。また、4.4mmバランスもSN感のよさが向上したおかげで、キレのよい、グルーブ感あふれる演奏が楽しめた。Android OSの採用による音質的なデメリットをいっさい感じさせない、絶妙なサウンドチューニングといえる。

ただし注意点がひとつ。実はこの「NW-ZX507」、新品の状態ではかなりつるっとした、メリハリの弱い音になっていた。数10時間もエージングするとだんだんよくなり、150時間ほどで上記のようなサウンドへと変化した。どうも、コンデンサなどのパーツがある程度エージングが必要の様子。購入後は、積極的に聴き続ける、またはエージングすることをオススメしたい。いずれにしろ、機能性と音質の両面で大いに満足できる製品であることには間違いない。

SHANLING「M6 PRO」

SHANLING「M6 PRO」

SHANLING「M6 PRO」

SHANLINGの最新フラッグシップモデル。ベースとなった「M6」からは、搭載DACを同じ旭化成エレクトロニクス製ながら「AK4495SEQ」デュアル搭載から「AK4497EQ」デュアル搭載に変更したり、アンプ回路の構成デバイスを見直すなど各部をブラッシュアップ。さらなる音高音質が追求されている。

ボディデザインは右上の部分の丸まり(SHANLING共通のボディデザインだった)がなくなるなど、わずかながら変更されている。4.4mmと2.5mmというふたつのバランス接続端子を持つ点は受け継がれ、プッシュ式の電源&音量調整機構も健在だ。

オリジナル「M6」に比べると、当然ながら、明らかに音質が向上している。なかでもSN感の向上、ダイナミックレンジの幅広さが顕著で、フロアノイズが低減された、よりキレのあるサウンドとなっている。同時に、表現のきめ細やかさ、歪み感の少なさが向上したため、持ち前の自然な音色との相乗効果で、音がリアルに感じられる。女性ボーカルは、なんとも活気のある、それでいて聴き心地のよい絶妙な歌声だ。いっぽう、音像の輪郭がハッキリしているため、JポップなどBPMの早い楽曲とも相性がよい。こと音質に関しては、オリジナル「M6」との価格差を十分納得できる、上出来のモデルだ。

FiiO「M11 Pro」

FiiO「M11 Pro」

FiiO「M11 Pro」

人気を博した「M11」のブラッシュアップモデル。現在はフラッグシップモデル「M15」に続くアッパークラスに位置付けされた製品となっている。

外観デザインやAndroidベースの独自OS採用、2.5mmと4.4mmの両方が搭載されたバランス・ヘッドホン出力などはそのままに、DACチップに旭化成エレクトロニクス製「AK4497EQ」をデュアル搭載するなど、音質面でのグレードアップが押し進められている。特にフルバランス構成のヘッドホンアンプ回路は、「THX AAA-78」と名付けられた、THX対応のバージョンが搭載されている。また、MQAフルデコーダー機能も搭載。Bluetoothレシーバー/トランスミッターとしても利用可能な点など、機能性の多彩さも特徴となっている。

音質面でのグレードアップのおかげもあって、かなり良質なサウンドが楽しめる。特に、定位感がしっかりしたおかげで、スムーズ広がり感のあるサウンドを楽しむことができるようになった。いっぽうで、特に中高域の解像感も高まっていて、口調のしっかりしたボーカルの、ハキハキとした元気な歌声を聴かせてくれる。歌声自身は、カラッとした、やや高域成分強めの傾向といえる。いっぽう、低域はしっかりとしたフォーカス感が確保され、メタルやハードロックを聴いてもノリのよいドラム&ベースが楽しめる。機能も音質も、なかなかに良質な製品といえる。

Astell&Kern「A&norma SR25」

Astell&Kern「A&norma SR25」

Astell&Kern「A&norma SR25」

Astell&Kernの新製品にして、もっともリーズナブルな価格帯に位置する製品だった「SR15」の後継モデル。液晶モニターが斜めになっているユニークなデザインは継承されているものの、液晶サイズ&解像度が向上して格段に操作しやすくなっていたり、音量ダイヤルなどディテールのデザインが上質になっていたりと、かなりクオリティアップしている。それでいて、価格は「SR15」の発売当初より抑えられているので、ななり魅力的な製品へと生まれ変わった印象がある。

音質の要となるDACはシーラス・ロジック製「CS43198」をデュアルで搭載。最大PCM 384kHz/32bit、DSD256 (11.2MHz/1bit)のネイティブ再生をサポートする。「SR15」ではDSDの再生対応が5.6MHz止まりだったので、これはうれしい。また、基盤設計も位置から見直され、さらなる高音質が追求されている様子がうかがえる。

実際のサウンドを聴くと、確かに、先代とは別物とさえ思える音質面の向上が感じられた。特にダイナミックレンジの向上が著しく、メリハリのハッキリしたサウンドに生まれ変わっている。また、高域の歪み感もしっかりと抑えられていて、ピュアな印象の、スピード感のあるサウンドが楽しめる。どちらかというと、「SR15」よりも「SA700」と共通するサウンドキャラクターなのかもしれない。

音質とマテリアルの質感を向上させつつも、価格を抑えてくれた「SR25」。連続再生時間も約21時間と、Astell&Kern史上最長となっていたりもする。なかなかに魅力的なモデルといっていいだろう。

【番外編その1】ソニー「ウォークマン「NW-A55」

ソニー「ウォークマン「NW-A55」

ソニー「ウォークマン「NW-A55」

A100シリーズの登場で旧シリーズとなったが、まだ販売が継続されているA50シリーズも捨てがたい存在なので紹介しよう。Android OS採用のA100シリーズのような多彩さはないものの、プレーヤーの機能性はほとんど変わらないため、使い勝手の面でも十分な内容を持ち合わせている。手の中に収まる小柄なボディも魅力的だ。

実際、エントリークラスとしては望外の音質。中域にしっかりとした厚みがあり、躍動感あふれるサウンドによって、音楽をトコトン楽しむことができる。使い勝手のよさも含め、完成度の高い製品といえる。そのうち生産が終了してしまうことは明らかなので、気になる人はぜひ早めに入手してほしい。

【番外編その2】iBasso Audio「DX220MAX」

iBasso Audio「DX220MAX」

iBasso Audio「DX220MAX」

初心者にまったくオススメできない、それでいてDAPユーザーには大注目となっている製品も紹介しよう。それがiBasso Audioの「DX220MAX」だ。

2017年に発売されたフラッグシップDAP「DX220」をベースに、いまできる最高の音質向上を盛り込んだというスペシャルモデル。ESS社製「ES9028PRO」デュアル搭載を生かすべく、アナログ/デジタル部を電源回路まですべてセパレートするなど、徹底した音質改善が行われている。

充電端子まで完全セパレートされた電源まわり、アナログボリュームの採用、ステンレススティール製のポータブルとはいいがたい筐体サイズなど、どこもかしこも音質を優先したモデルで、クセのある使い勝手は幅広い層にはオススメできないものの、その音を一聴すれば、そういったウイークポイントを度外視して購入を真剣に検討したくなる。384kHz/32bitまでのPCMのビットパーフェクト再生に加えて、22.4MHzまでのDSDのネイティブ再生に対応している点も魅力だ。また、USB DACとしても活用できるほか、5GHz対応のWi-FiやBluetooth 5.0対応のレシーバー機能も搭載されているなど、使い勝手に関しては思っていたよりも良好だったりする。多くの人にはオススメできないものの、ぜひ一度その音を体験してほしい製品だ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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