選び方・特集
最新モデルを含む全10機種を実際に聴いてみました

実際の効果や音質への影響は? ノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンの実力をチェック!

実際の効果や音質への影響は? 最新ノイズキャンセリング機能搭載完全イヤホンのノイキャン性能をチェック!

いま、ノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンが注目を集めている。ソニーが先駆け、アップル「AirPods Pro」の登場によって一気に認知を広げたノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホンだが、2020年に入ってからは、さまざまなメーカーから製品がラインアップされるようになった。

実は、これにはちょっとした事情がある。ごくシンプルな話なのだが、BluetoothチップSoCを提供しているメジャーメーカーのうち、クアルコムとアイロハから、ノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホン用BluetoothチップSoCの提供がスタートしたからだ。以降、ノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンは、急速に種類が増え、普及をし始めている。

いっぽう、完全ワイヤレスイヤホンにノイズキャンセリング機能を搭載することに関して、ユーザーは諸手を上げての歓迎というわけでもなく、人によって賛否が分かれている傾向にある。というのも、アップルの「AirPods」(ノイキャンのないオリジナル)をはじめとするインナーイヤー型と呼ばれるタイプを除き、完全ワイヤレスイヤホンは、基本的にカナル型(耳穴に耳栓のように入れ込むタイプ)を採用していて、そのままでも10〜15dB程の遮音性能があり、ノイズキャンセリング機能は必要ない、という意見も根強くあるからだ(確かに遮音性能の低いカナル型イヤホンは存在意義としてどうなのかとは思う)。また、ノイズキャンセリング機能をオンにすると、騒音を打ち消すための音が発生するため、製品によっては音質が変化してしまう場合もある。

とはいえ、飛行機内や電車内など、パッシブ(カナル形状)だけでは騒音の侵入を抑えきれない環境はあるし、ファンノイズや暗騒音など、特定の騒音だけ除去するのはかなり難しい。そういった点で、完全ワイヤレスイヤホンにおけるノイズキャンセリング機能は、音楽をどこでもよりよい音で楽しむために、そして、どんな場所であっても騒音の少ない環境を作り上げるには、もってこいの機能性なのだ。

よって、ノイズキャンセリング機能は多くの人に求められるものではないが、都市や街中を中心に生活する人にとって、なかなかに重宝する機能だったりする。また、そういった使い方をする故に、ノイズキャンセリングの効き方も重要になってくる。騒音レベルの高い環境ではかなり強い効き方をしてくれる必要があるし、いっぽうでそれほどでもない環境だと、効き過ぎによる耳鳴りがかえって気になってしまう場合もある。

ということで、今回の記事では人気の最新ノイズキャンセリング機能を搭載する完全イヤホンを10機種ピックアップ。どういったノイズキャンセリング機能を持っていて、効果の程はいかなるものか、ノイズキャンセリング機能のオンオフで音質は変わるか変わらないかなどを紹介していこうと思う。また、製品によってはノイズキャンセリング機能を通話用マイクに生かしているものもあるので、そういった製品の場合はその点についてもご紹介していきたいと思う。

1. ソニー「WF-1000XM3」

ソニー「WF-1000XM3」 中央に大きく配置されたフィードフォワード(外側)マイク

ノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンという、今注目のカテゴリーを作り上げたソニー。ノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホンも多数ラインアップするが、「WF-1000XM3」はラインアップの中でも最高性能のノイズキャンセリング性能を有するモデルだ。

専用アプリ「Headphones Connect」を使い、細かくノイズキャンセリング機能の効き方を設定できるほか、自動的に周りの環境を判断して切り替えてくれるので、飛行機内などの騒音レベルの高い環境から街中、オフィス内まで、さまざまな場所で最適に利用することができる。実際、ノイズキャンセリング機能の調整はかなり詳細に行えるため、どんな環境にも対応することができる。

ノイズキャンセリング機能搭載のイヤホンのなかでも、王道の製品であり、不満のない優等性といえる。最新モデルになってからは装着感も向上しているので、多くの人が満足できるはずだ。

2. アップル「AirPods Pro」

アップル「AirPods Pro」 フォードフォワードマイクは、スティック部分にかかる感じで配置されている 専用ケース。イヤーピースが特殊形状のため、サードパーティ製イヤーピースを取り付けたときに収納できない可能性がある点は注意

完全ワイヤレスイヤホンの大ヒットモデル「AirPods」の上位モデルにして、ノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホン。ノイズキャンセリング機能を搭載したためか、カナル型を採用している。

ノイズキャンセリング機能に関しては、とてもインテリジェントな効用が体験できる。それほど細かく設定できるわけではないのだが、環境に応じて効き方を自動調整してくれるため、いつでもどこでも“ちょうどいい塩梅”に騒音の侵入を防いでくれる。ちなみに、効き方についてはちょっと強めというか、ハッキリとわかる印象。実際、そのままでも幅広いシチュエーションで利用できるが、効き方の強さがどうしても好みに合わない、という人は、別の製品と比較してどちらを選択するか検討することをオススメしたい。

3.ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless 2」

ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless 2」 イヤーピースはゼンハイザーおなじみの内側にクロスのデザインが入ったオリジナルのものが付属 専用ケース。外装にはファブリック素材を採用し、手触りが気持ちいい

ゼンハイザー初の完全ワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless」のイメージはそのままに、ノイズキャンセリング機能搭載モデルにアップグレード。とはいえ、イヤホン本体の装着感が向上していたり、スマートフォン用アプリの内容が充実していたりと、細かい部分での進化が随所に見られる。

肝心のノイズキャンセリング機能に関しては、メーカーが“いい音で音楽を楽しむために”とうたっている通り、低域側の暗騒音をメインとしつつも全体的な騒音を抑えるイメージ。強すぎず、弱くもない絶妙なバランスにチューニングされている。とはいえ、デジタル式の4マイクを使用していることもあってか、ノイズキャンセリング機能の精度も良好で、MOMENTUMシリーズらしい迫力のサウンドを楽しむことができる。オンオフによる音質の差もそれほど気にならない。いつでもどこでも楽しく音楽を聴きたい、という人に注目してほしいモデルだ。

4.Technics「EAH-AZ70W」

Technics「EAH-AZ70W」 マイクはイヤホン本体の側面あたりに配置されている アンテナとタッチセンサーを一体化し、通信の安定性を高めているのもポイント 専用ケースはオーソドックスなクラムシェルタイプ。上部にメタリックパーツを採用し、高級感もある

Technicsブランド初の完全ワイヤレスイヤホン。4マイク式のノイズキャンセリング機能に関しては、音質確保のために内側がアナログ、外側がデジタルのハイブリッド方式を採用している。また、スマートフォン用アプリから設定を100段階で調整することもできる。

効き具合については、それほど強すぎず、でもしっかりとした効き具合は確保しているといった、絶妙なセッティングに仕立てられている。オンオフで多少音色傾向が変わるし、クオリティ面ではオン状態が当然のごとく不利になるが、それは音質に注力しているという証明でもある。どちらも帯域バランス/抑揚表現ともにしっかりしているので、まったく忌避感はない。

いっぽうで、マイク性能の良好さも印象に残った。風切り音を除去する特殊な配置を採用していることだけでなく、調整も見事で、明瞭な音声を届けてくれる。接続安定性も含め、コードレスホンの担当者が開発に携わったというが、それを実感できる良質さだ。

5.パナソニック「RZ-S50W」

パナソニック「RZ-S50W」 同時発表されたTechnics「EAH-AZ70W」に比べると、イヤホン本体はひと回りコンパクト こちらもアンテナとタッチセンサーを一体化したことで、高い通信安定性を確保している 専用ケース。軽さを優先するため、全体的に樹脂素材が使われている

Technics初の完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ70W」と同タイミングで、パナソニックからも初となるノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンが登場した。こちら、機能面はTechnicsとほぼ同じで、搭載ドライバーやサウンドチューニングなど、音質においてのみの違いとなっている。

ゆえに、ノイズキャンセリング機能については十分に満足の得られるレベル。騒音はしっかり抑えられ、どんな場所でも音楽を存分に楽しめる。効き具合についても、強すぎず弱すぎず。オンオフによる音質の変化は生じるが、それぞれにバランスよく整えられているので、不満はない。マイク性能のよさも含め、完成度の高い製品だ。

6.ソニー「WF-SP800N」

ソニー「WF-SP800N」 激しいスポーツでもイヤホンが耳から外れないように、イヤーフィンが用意されている イヤホンの操作はタッチセンサー式を採用

現在のところはなかなか希少な、ノイズキャンセリング機能搭載のスポーツユースの完全ワイヤレスイヤホン。コンパクトなイヤホン本体とイヤーフィンによって、スポーツ中であっても耳からこぼれ落ちることのない装着感の確かさが追求されている。

ノイズキャンセリング機能については、「WF-1000XM3」と異なりやや緩めの設定に感じられる。アプリによって調整可能だが、それほど大きな変化は望めない。オンオフで音質の変化もあるため、必要時にノイズキャンセリングを利用する、という程度に留めておくのがよさそうだ。

7.オーディオテクニカ「ATH-ANC300TW」

オーディオテクニカ「ATH-ANC300TW」 ノイズキャンセリング用マイクはイヤホンの操作部付近に配置されている フィット感を高めるためか、イヤホン本体の形状はかなりこだわっている 専用ケースは、イヤホンを縦に収納する形。スティック形状以外でこの形は珍しい

オーディオテクニカ初のノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン。数字から想像するに、ミドルくらいに位置付けられている製品のようにも思えるが、それは今後のラインアップの追加次第であろう。

音質に関しては、近年のオーディオテクニカらしい、フォーカスよくスピード感のある、キレのよいサウンドが楽しめる。ノイズキャンセリング機能をオンにしてもその傾向は変わらない(やや解像感が落ちる程度)ので、どんな環境でもこの音を楽しむことができる。

特筆は、通話マイクのクリアさだ。さすがマイクを製造するメーカーというべきか、完全ワイヤレスイヤホンの中でも別格というくらい、クリアで通りのよい声を聴くことができる。通話はもちろん、Zoom会議などのテレワークでも十分に利用できる、なかなかのすぐれものだ。

8.House of Marley「REDEMPTION ANC」

House of Marley「REDEMPTION ANC」 スティック形状のイヤホン本体。竹素材を使用した珍しいデザインだ マイクはイヤホン上部に配置されている 専用ケース。スティック状のイヤホン本体を、イヤーピース側を下にして収納する形だ

House of Marley初となる、ノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン。「AirPods Pro」のように、アンテナを内蔵した部分がスティック状に伸びたデザインを採用する。装着感は、なかなかに良好だ。

ノイズキャンセリングは、あくまでも音楽を優先した程度の効き具合で、それほど強くない。周囲の暗騒音が弱まって、音楽がより躍動的に感じられるようになる程度のものだ。また、もともとの音質がかなり良好のこともあってか、ノイズキャンセリング機能をオンにしたときの音質劣化がそれほど気にならない。装着感も含めて、まとまりのよい製品と言える。

9. Master&Dynamic「MW07 PLUS」

Master&Dynamic「MW07 PLUS」 イヤホン本体はアセテート素材を使用したユニークなデザインが特徴 イヤーウィングと呼ばれるギザギザの切り込みのおかげで、装着感も悪くない

ソニー、アップルに続き、いち早くノイズキャンセリング機能搭載モデルをラインアップしたMaster&Dynamic。この「MW07 PLUS」は、個性的なデザインを持つ既存モデル「MW07」とほとんど外観は変わらず、ノイズキャンセリング機能を搭載(追加!?)したモデルに仕立てられている。

大口径ドライバーユニットによって、余裕ある抑揚表現やきめ細やかなディテール再現を持つオリジナルだったが、この「MW07 PLUS」になってさらに解像感が向上し、とても魅力的な製品へと進化した。ノイズキャンセリング機能の効き具合はあくまでも音楽を優先したもので、暗騒音を控えめにしてくれるレベル。そのチューニングのおかげもあってか、オンオフでの音の違いもそれほど気にならない。たまにノイズキャンセリング機能を利用する、というレベルの人にちょうどいい1台だ。

10.Mpow Japan「X3 ANC」

Mpow Japan「X3 ANC」 スティック形状のイヤホン本体。ノイキャンのON/OFFはスティック部分のタッチセンサーから操作する形 専用ケースはイヤホンを縦に収納する形。この価格帯でUSB Type-Cを採用しているのはうれしいところ

中国広東省深センに本社を構えるPatozonグループのオーディオブランド、MPOWから登場した初のノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン。デザインは、「AirPods Pro」のような、アンテナ部がスティック状に伸びたスタイルを採用している。驚くべきはその価格設定。1万円を切るプライスタグが付けられているので、ライバルはほとんどおらず、手頃な価格で最新のノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンを入手することができる。

効き具合については、フィードフォワード方式の2マイクなので、強くもなく弱くもなく、精度は高くないが悪くもなく、必要十分なレベルは持ち合わせているといったイメージ。騒音レベルの高い場所でのストレス低減には役立ってくれそう。コストを優先したい人や、手軽にノイズキャンセリング機能を試してみたいという人にはぴったりだ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る