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HDRクオリティを満喫できる4K映画7選! HDR的見どころシーンを紹介

今や、「4K映像」は一般家庭でも身近なものになった。2018年12月からスタートした新4K8K衛星放送や、Ultra HD Blu-rayディスク(UHD BD)、そしてNetflixやAmazonプライムビデオなどの動画配信サービスも4Kに対応している。4Kテレビや4Kプロジェクターを用いれば、家庭でも高品位な映像を楽しめるのだ。

従来のフルハイビジョンに対して4倍もの高解像度映像を楽しめる4Kだが、そこには映像の臨場感を大きく上げるすばらしい技術が備わっている。それが「HDR」(High Dynamic Range/ハイダイナミックレンジ)だ。解像像度、色再現性、輝度という画質の印象を左右する主な3要素のうち、輝度の表現力を高める技術がこのHDRである。

今回は、そんな4K/HDR規格のクオリティを満喫できる注目の4K映画タイトルと、各作品の「HDR的見どころ」をご紹介したい。

HDRとは?

まずは、HDRという表示技術について簡単におさらいしよう。その特徴は、従来の2K映像で使われる「SDR」(スタンダードダイナミックレンジ)に比べ、明るい部分と暗い部分の幅(ダイナミックレンジ)を広く表現できること。画面の明るい部分はより明るく、暗い背景などは黒潰れが少なくなる。平たくいえば、画面を通して映像を見た時の印象が、目で実物を見たときのようなリアルな印象に近づくのだ。

※HDRとSDRの差を画像化したイメージ

※HDRとSDRの差を画像化したイメージ

HDRにはいくつかの種類が存在するが、現時点で意識したい規格は4種類ある。Ultra HD Blu-rayや動画配信サービスで使われる「HDR10」、そのHDR10をベースにした上位規格「HDR10+」、ドルビーが開発した「Dolby Vision」(ドルビービジョン)、そして新4K8K衛星放送など放送用に使われる「HLG」(ハイブリッド・ログ・ガンマ)だ。Dolby VisionとHDR10+の2つは、シーンやフレームごとに輝度を設定でき、より高品位な表示ができるよう開発されている。

この中で、HLGだけは放送用の規格となる。映画作品の場合は、Ultra HD Blu-rayでも配信サービスでも、基本はHDR10に対応していると考えてよい。Dolby VisionとHDR10+も映画作品で使用されるが、こちらはコンテンツやサービスによって対応状況が異なることに留意しておこう。

また、4K/HDRクオリティで映画を楽しむためには、それに対応するテレビやプロジェクター、プレーヤーなどの再生機器が必要となる。上述の通り、現在は4種類のHDR規格が存在するが、4K/HDR対応をうたう製品であれば、まず基本となるHDR10には対応している。しかし、Dolby VisionとHDR10+は機器により対応状況に違いがあるので、製品購入時にはそのあたりの仕様も確認しよう。

4K/HDR映像は、映画にどんな視聴感をもたらす?

うれしいことにHDRは映画の映像品質を高めるために生まれた規格だ。だから映画との相性が抜群である。たとえば「スター・ウォーズ」や一連のマーベル作品などでお決まりの派手なSF戦闘シーンでは、炎や爆発シーンなどのリアリティが上がり、ギラギラとした金属の質感などは肉眼で見たリアルな雰囲気に近づく。

反対にホラー映画など暗闇が多いシーンでも、黒潰れが減少して階調の高い映像を楽しめる。また、室内から太陽を直接見るようなシーンでは、明るい太陽と薄暗い空間のコントラストがしっかりと表現される。4Kの高精細とHDRによるリアルな輝度表現が組み合わされることで、映像のリアリティが増し、結果的に作品への没入感が大きく上がるのだ。

4K/HDRクオリティを満喫できる映画7選!

それでは以下より、HDRクオリティを楽しめる4K映画タイトルとHDR的見どころをご紹介しよう。HDRらしさ=高輝度部分の明るさや暗闇の階調表現に注目して、7作品を厳選してみた。

以下、自宅の試聴ルームにて、JVCの4K対応D-ILAプロジェクター「DLA-V9R」を使い120インチサイズで投影したインプレッションをレビューしている。HDR配信されている作品は「Apple TV」で、HDR版がディスクメディアにしかなっていない作品はUHD BDをソースにして視聴

1.「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」
(対応:HDR10/視聴ソース:UHD BD)

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』/4K UHD MovieNEX発売中/デジタル配信中/(c) 2020 & TM Lucasfilm Ltd./発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

▼あらすじ
「スター・ウォーズ」新3部作の3作目として2019年に公開された作品。1977年から始まった同シリーズの実写本編9作品目にあたる。監督は「フォースの覚醒」を手がけたJ・J・エイブラムス。主人公のレイを演じるデイジー・リドリー、カイロ・レン/ベン・ソロを演じたアダム・ドライバーなど、新3部作の主要キャストも引き続き登場している。

<HDRクオリティが感じられるシーン :02分57秒〜ほぼ全編にわたる>
「これぞHDRの真骨頂!」といえるHDR的見どころ満載な作品だ。2分57秒より、スター・ウォーズらしさの象徴であるライトセーバーのギラギラとした質感、そして幾度となく繰り返される銀河での戦闘シーンでは、レーザー兵器の光や派手な爆発シーンなどにHDR映像のアドバンテージを感じ取れる。戦艦を浮かび上がらせる落雷の明暗にもメリハリがつき、艦隊のスケール感が増している。今回ご紹介している作品の中でも、HDRによる高輝度の優位性を最も生かした1作だと思う。

2.「天気の子」
(対応:HDR10/視聴ソース:UHD BD)

「天気の子」Blu-ray&DVD 好評発売中/発売元STORY:東宝/販売元:東宝/(c)2019「天気の子」製作委員会

「天気の子」Blu-ray&DVD 好評発売中/発売元STORY:東宝/販売元:東宝/(c)2019「天気の子」製作委員会 (右のジャケット写真は通常版Blu-rayのものです)

▼あらすじ
2016年公開の「君の名は。」が社会的にヒットした新海誠監督による7作目の劇場用アニメーション映画。離島から東京に家出した高校1年生の帆高と、祈るだけで天気を晴れにできる少女の陽菜が織りなすストーリーを描く。

<HDRクオリティが感じられるシーン: 25分00秒〜>
本作品は随所にHDRの特性を生かした画作りが見て取れる。どんよりと曇った空の中にひと筋の光が漏れるさまや、空を見上げたシーンで直接描写される太陽光、さらに地上が明るくなる様子など、HDRによってもたらされる高輝度の再現性が作品のストーリー性さえ上げてしまうようだ。25分00秒で祈りを捧げる陽菜によって初めて空が晴れわたるシーンは、アニメと実写の垣根を越えるような緻密な背景描写と相乗効果を見せ、視聴者を圧倒する。

3.「ジョーカー」
(対応:HDR10/Dolby Vision/視聴ソース:Apple TV)

『ジョーカー』デジタルレンタル中、ダウンロード販売中/【初回仕様】<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組/ポストカード付)6,345 円+税/ブルーレイ&DVDセット ¥4,527 円+税(2枚組/ポストカード付)/ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント/TM & (c) DC. Joker (c) 2019 Warner Bros.Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.

▼あらすじ
人気DCコミックス映画「バットマン」の宿敵として知られるジョーカーの誕生秘話が描かれる。主人公、アーサー・フレック/ジョーカーを務めるのは、「グラディエーター」等への出演歴もあるホアキン・フェニックス。道化師のメイクで人々を恐怖に陥れる悪のカリスマを、豊かな演技力で演じている。惜しくも今年のアカデミー賞作品賞は逃したものの、ホアキンは主演男優賞を獲得。作品自体も、近年のアメコミ映画の中でも傑作との呼び声が高い。

<HDRクオリティが感じられるシーン:19分09秒付近など>
美しくこだわりのある高品位な映像作品で、HDRが生かされるシーンが随所に垣間見られる。14分25秒付近、テレビ撮影の舞台でトーマス・ウェインにあたるスポットライトの光が、当時の華々しい舞台感を強調する。19分09秒近辺、他人に盗まれた看板を自腹で補填しなくてはいけないことに憤りを覚えたアーサーが路地裏でうさ晴らしをするシーンでは、路地裏の暗い雑踏と明るい空がひとつの画面中で対比表現され、輝度を広く表現できるメリットが生きている。さらに作品最終部分で、ソーシャルワーカーを手にかけたアーサーがダンスをしながら逆光の廊下を歩くシーンでも、HDR効果がラストシーンの印象を大きく上げている。

4.「地獄の黙示録」
(対応:HDR10/視聴ソース:Apple TV)

『地獄の黙示録 ファイナル・カット 4K Ultra HD Blu-ray』/価格¥6,800+税/発売元・販売元 株式会社KADOKAWA

▼あらすじ
ベトナム戦争が激化する1960年代末。カンボジア奥地のジャングルで、暗殺の任務を与えられたアメリカ陸軍のウィラード大尉が目にする戦場の狂気を描く作品だ。3,150万ドルという膨大な製作費やVFXを使用しない撮影手法など、当時多くの逸話を残した作品である。

<HDRクオリティが感じられるシーン:2時間23分30秒付近>
本作はUHD BD化にあたって監督自身が望む形で再編集され、1970年に公開されたオリジナル版より30分長尺になっていることが映画ファンにはトピックだが、あわせて徹底的なデジタルリマスターが施されたことで画質が大きく向上していることも見逃せない。また、HDRというと主にギラギラとした明るいシーンにアドバンテージがある印象だが、実は本作品でのHDRの優位点は、黒潰れしない暗部表現にある。それを最も感じるのは、2時間23分付近で敵に捕らえられたウィラードが歩く薄暗い建物内における黒の沈み込みだ。さらにその暗闇の中で黒潰れしない人物を見事に描き出している。

5.「ブレードランナー 2049」
(対応:HDR10/Dolby Vision/視聴ソース:Apple TV)

『ブレードランナー 2049』発売中/Blu-ray 2,381円(税別)/DVD 1,886円(税別)/4K ULTRA HD & ブルーレイセット6,800円(税別)/発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

▼あらすじ
1982年に公開された人気SF映画「ブレードランナー」の35年ぶりとなる続編。監督は「メッセージ」「ボーダーライン」などで近年評価を上げているドゥニ・ビルヌーブ。2049年の近未来を舞台に、違法レプリカント(人造人間)とそれを処分する主人公「K」が大きな陰謀に巻き込まれるさまを描く。前作の主人公デッカードを演じたハリソン・フォードも引き続き登場するなど、熱狂的なファンが多い映画の世界観を引き継いでいるのがうれしい。

<HDRクオリティが感じられるシーン:15分22秒付近>
本作品は絵/音作りがよく練りこまれており、今でも画質評価に使用されることが多いのだが、4K版ではその魅力の一端をHDRが担保している。といっても本作では、派手にその効果がわかるというよりも、HDRによる階調のよさが質感表現に生きている印象だ。物語冒頭の太陽光発電と思われるパネルのギラギラとした機械らしい質感、そして15分22秒付近の薄暗い街中と車両のライトの明暗の対比、色彩豊かで派手なデザインの看板などにその効果が感じられる。

6. 「アリータ:バトル・エンジェル」
(対応:HDR10/ HDR10+/Dolby Vision/視聴ソース:Apple TV)

『アリータ: バトル・エンジェル』/<4K ULTRA HD+3D+2Dブルーレイ/3枚組> 発売中/デジタル配信中/(C)2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC./発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

▼あらすじ
1990年代に連載された日本の人気SF漫画「銃夢(ガンム)」を最先端のVFX技術で実写化したSF映画。アバターのジェームズ・キャメロンと鬼才ロバート・ロドリゲスが脚本を手がけ、そのままロドリゲスが監督を務めた。300年前の没落戦争で唯一残った空中浮遊都市「ザレム」と、クズ鉄が散らばる荒廃した街「アイアンシティ」が舞台。スクラップの山の中から頭部を拾われたサイボーグ少女アリータ(原作ではガリィ)が活躍する。

<HDRクオリティが感じられるシーン:88分25秒〜>
本作の見所はアイアンマンなどの「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品」などを手がけたニュージーランドのWETA Digital社と、同社のニック・エプスタインの手による驚愕のVFX映像だ。HDR映像の効果を強く感じられるのは、1時間20分25秒から始まるモーターボールのシーン。ドーム型の競技場を照らすライトの光量感が大きく増して、本作最大の盛り上がりシーンの印象を高めてくれる。なお余談だが、本作品のUHD BD版はHDR10、HDR10+、Dolby Visionという3種類のHDRに対応した数少ないタイトルである。

7.「フォードvsフェラーリ」
(対応:HDR10/Dolby Vision/視聴ソース:Apple TV)

『フォードvsフェラーリ』/4K UHD発売中/デジタル配信中/(c)2020 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC./発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

▼あらすじ
世界3大自動車レースである「ル・マン24時間レース」を舞台に、絶対王者フェラーリを倒すアメリカの巨人自動車メーカー、フォードを描いた作品。マット・デイモンとクリスチャン・ベールがダブル主演し、伝説のレーシングカー、フォード「GT40」が疾走する1960年代のサーキット描写やフォード上層部とレーシングドライバーのシリアスな人間関係など、実話に基づく脚本は出色の仕上がり。第92回アカデミー賞で音響編集賞を受賞しただけあり、サラウンドデザインも秀逸だ。

<HDRクオリティが感じられるシーン:01分08秒〜>
300kmオーバーのレースシーンが多く、さらに夜間の走行シーンも長時間収録されている。作品冒頭の01分08秒付近では、レース車両のスピードを感じる巧みなカメラワークに加え、HDRによって光量感が増したレーシングカーのライトが夜間レースの過酷さを伝え、視聴者を引き込んでくれる。さらに1時間17分19秒からの、マジックアワーシーンのなだらかな階調表現と、その後のテスト中に起こる爆発の表現に、HDRクオリティならではの優位性が感じ取れる。

さいごに

というわけで、HDRクオリティを感じさせる映画タイトルを選択してみたが、改めて感じたのは大作や人気作が多いことだった。HDRの魅力がわかりやすいコンテンツは、撮影から編集まで画作りにこだわりがある作品が多いということでもあるのだろう(もちろん例外もあるだろうが)。

なお上述の通り、4K/HDR映画を視聴するためには対応機器を揃える必要があり、最後にそのポイントについて語りたい。筆者の個人的な考えとして、現時点ではテレビでHDR映画を楽しむなら、ベースとなるHDR10に加えて、できれば高品位なDolby Visionにも対応するApple TV端末やUHD BDプレーヤーをソース機器にして、同じくDolby Vision対応のテレビを導入すると、その魅力をより享受できると思う。

HDR10/HLG/Dolby Visionに対応するソニー「BRAVIA X9500H」

HDR10/HLG/Dolby Visionに対応するソニー「BRAVIA X9500H」

なお筆者が調べた限り、2020年8月24日時点ではDolby VisionとHDR10+に対応するプロジェクターは発売されていないが、JVCの上位モデルに備わる「Frame. Adapt HDR」機能について参考までに紹介しておこう。こちらは、基本のHDR10コンテンツをフレームごとに解析、最適化する技術で、プロジェクター環境でHDRクオリティの映像表現をより感じ取れるものだ。

「Frame. Adapt HDR」機能を備えるJVCの4K対応D-ILAプロジェクター「DLA-V9R」

「Frame. Adapt HDR」機能を備えるJVCの4K対応D-ILAプロジェクター「DLA-V9R」

今後、4K規格の普及とともに良質な4K/HDRコンテンツが増えてくるのは間違いない。今回はご紹介できなかったが、映像配信サービス各社が提供する独自コンテンツの中にもHDRのアドバンテージを生かした臨場感豊かな作品が増えている。HDRによって高められた美しい映画を、自宅でどんどん楽しんでいこう。

土方久明

土方久明

ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのコンピューター/ネットワークエンジニアを経て、ハイエンドオーディオやカーAVの評論家として活躍中。

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