レビュー
第4世代進化型ミリンクスドライバーやPentaconn Earコネクターを採用

マニアからも一目置かれるAcoustuneの最新イヤホン「HS1697TI」「HS1677SS」「HS1657CU」を聴き比べ

2013年に香港にて創業したAcoustuneは、近年大いに注目を集めているイヤホンブランドのひとつ。ラインアップは有線イヤホンがメインとなっていて、人工皮膚や手術縫合糸などに使われるポリマーバイオマテリアルを振動板素材に採用した「ミリンクス(Myrinx)ドライバー」や、ドライバーが格納される音響チャンバー部とコネクターなどを格納する機構ハウジング部を完全に分離したモジュラー構造ボディ、音響チャンバー部の金属素材を変更してサウンドキャラクターにバリエーションを持たせるなど、同ブランドならではの特徴的なラインアップ展開を行っている。

そんなAcoustuneから、有線イヤホンの新モデルが3製品同時に発売された。それが今回紹介する「HS1697TI」「HS1677SS」「HS1657CU」の3モデルだ。

Acoustuneが7月に発売した最新イヤホン。左から「HS1657CU」、「HS1697TI」、「HS1677SS」

Acoustuneが7月に発売した最新イヤホン。左から「HS1657CU」、「HS1697TI」、「HS1677SS」

実は今回の新製品、「HS1697TI」はチタン音響チャンバーと金メッキ機構ハウジングを組み合わせた限定モデル「HS1695Ti Gold」のレギュラーバージョンとして、「HS1677SS」はステンレス音響チャンバーを採用する「HS1670SS」のアップデートモデルとして、「HS1657CU」は真鍮製音響チャンバーを採用した限定モデル「HS1655CU White」のアップデート&レギュラー化モデルに位置付けられている。

音響チャンバー素材やミリンクスドライバーなど、それぞれのモデルの特徴をしっかり受け継ぎつつ、全モデルがミリンクスドライバーは医療用合成基材と薄膜加工したチタンドームを組み合わせた複合膜構成の「第4世代進化型ミリンクスドライバー」を搭載(「HS1695 Ti Gold」に採用されたもので4.5世代ともいえるもの)。さらに、着脱式ケーブルは8芯構造のシルバーコートOFC線と極細OFC線のハイブリッドケーブル「ARC51」となり、ケーブルのイヤホン側コネクターは「Pentaconn Ear(ペンタコンイヤー)」に統一された。

また、「HS1697TI」では、新形状のダンパーロッドを採用することで、さらに共振を抑制したともアピールしている。なお、ケーブル以外の付属品に関しては、4種類のオリジナルイヤーピースやアルミ製を含め2種類のキャリングケースが付属するなど、充実した内容はそのまま受け継がれている。

イヤホン本体やアクセサリーなどは、アルミ製の重厚なケースの中に収められている

イヤホン本体やアクセサリーなどは、アルミ製の重厚なケースの中に収められている

アルミ製ケースの中はこんな感じだ。なお、ケーブルは8芯構造のシルバーコートOFC線と極細OFC線のハイブリッドケーブル「ARC51」が新たに付属するようになった

4種類のオリジナルイヤーピースやキャリングポーチなど、アクセサリーも充実している

4種類のオリジナルイヤーピースやキャリングポーチなど、アクセサリーも充実している

さて、実際の製品を見てみると、外観からはそれほど大きな違いは感じられない。新モデル「HS1677SS」とこれまでの「HS1670SS」とを見比べても、“ほんの少し色合いが変わったかな?(微妙に青みが濃くなった??)”という個体差の範囲内といえるレベルで、外観からほとんど区別が付かない。特徴的な、メカメカしいデザインは健在だ。

ただし、着脱式ケーブルのイヤホン側コネクターが「Pentaconn Ear」に統一されたため、よく見れば違いが分かるようになっている。また、「Pentaconn Ear」については、MMCXと同じ同軸レイアウトの端子となっているが、中心部分のピンがかなり丈夫そうなうえ、メス側中心部分にゴム素材のような緩衝材が利用されているようで、着脱時の不安が少ない。このしっかり感は大いに歓迎だ。まだまだ広がり始めたばかりの端子なので、市販ケーブルでの採用実績はほとんどないが、今後広まって行ってくれることに期待したい。

着脱式ケーブルのイヤホン側コネクターが「Pentaconn Ear」に変更されたのもポイント。なお、MMCXに形状は似ているが、MMCXとは互換性はないので注意したい

さて、Acoustuneといえば、コストパフォーマンスの高い上質なサウンドだろう。ということで、早速試聴を行ってみた。まずは、ベースとなった「HS1670SS」と新モデル「HS1677SS」とを聴き比べてみる。

新モデルの中でちょうど真ん中のグレードとなる「HS1677SS」から試聴を開始

新モデルの中でちょうど真ん中のグレードとなる「HS1677SS」から試聴を開始

ドライバーを格納する音響チャンバー部にステンレスを、機構ハウジング部にアルミニウムを採用している

ドライバーを格納する音響チャンバー部にステンレスを、機構ハウジング部にアルミニウムを採用している

「HS1670SS」はひとことでいえばハイスピードでキレのよい音。中高域に渡って高い解像度を保ち、楽曲本来の表現が伝わってくる、良質なサウンドを楽しませてくれた。対して新モデル「HS1677SS」は、キレのよさを保ちつつも、さらに一段と歪み感を抑えた、クリアネスなサウンドに変化している。結果として、「HS1670SS」で特徴的だった高域の鋭さが少しばかり控え、帯域バランスのよい音に感じられるとともに、音そのものの聴き心地もいくぶんよくなっている。

また、低域もしっかりした押し出し感が感じられる。筆者は「HS1670SS」を使用する際、低域側の量感とバランスを取るため、ダブルフランジのイヤーピース「AET06」を使用していたが、「HS1677SS」ではリファレンスである「AET07」との組み合わせが最良だと感じられた。また、結果的に音のリアルさが増して、ボーカルがハスキーにもウォーミーにもならずニュートラルな歌声を聴かせてくれるなど、音質的にはかなりのアップグレードを感じられた。筆者を含めた「HS1670SS」ユーザーは、買い替えを本気で考えさせられてしまう、とても魅力的な製品だ。

続いて、チタンハウジング採用「HS1697TI」を聴いてみる。こちらは、「HS1677SS」の完璧版といったイメージのサウンド。(「HS1677SS」では)随分クセがなくなったものの、それでもほんの少し感じられた高域の音色的特徴が完全に取り払われ、さらにニュートラルなキャラクターにシフトしている。付帯音のない、とてもクリアなサウンドだ。おかげで、どんなジャンルの音楽を聴いても、分け隔てなく楽しむことができる。

続いて、チタンハウジングを採用した最上位モデル「HS1697TI」を試聴

続いて、チタンハウジングを採用した最上位モデル「HS1697TI」を試聴

音響チャンバー部はチタン、機構ハウジング部はアルミニウムを採用。チタンの鈍い煌めきがかっこいい

音響チャンバー部はチタン、機構ハウジング部はアルミニウムを採用。チタンの鈍い煌めきがかっこいい

また、高域が軽やかで、低域が余計な押し出し感を持たないため、長時間聞き続けられそうな心地よさも感じられた。「第4世代進化型ミリンクスドライバー」の魅力や特徴を、いちばん発揮しているのがこの「HS1697TI」かもしれない。予算さえ許せば、「HS1697TI」をイチオシにしたいところだ。

最後に「HS1657CU」を聴いてみた。こちらは他の2モデルに対して聴感上の解像感がやや落ちるような印象があるものの、奔放で伸び伸びとした表現のサウンドを楽しませてくれた。おかげで、ジャズやロックなどはドラムやベースの存在感が強く感じられ、とてもリズミカルな、グルーヴ感の高いサウンドに感じられた。

最後は「HS1657CU」を試聴

最後は「HS1657CU」を試聴

「HS1657CU」は音響チャンバー部にブラス(真鍮)、機構ハウジング部にアルミニウムを採用

「HS1657CU」は音響チャンバー部にブラス(真鍮)、機構ハウジング部にアルミニウムを採用

いっぽう、ボーカルも存在感が強く、歌い方がとても闊達(かったつ)に感じられる。よく“音楽性の高い音”と例えられる、元気のあるサウンドだ。特に男性ボーカルは、ほんのちょっとハスキーな、力強い歌声を聴かせてくれるので、男性ボーカルのハードロックがメインの人はこちらがいいだろう。

このように、「第4世代進化型ミリンクスドライバー」や「Pentaconn Ear」コネクターなど、最新世代の技術に統一された3製品だが、サウンドキャラクターはそれぞれで異なっていて、ユーザーの好みに合わせてチョイスできるようになっている。緻密な表現や自然な音色を求める人は「HS1697TI」を、スピード感あふれるサウンドが好ましい人は「HS1677SS」、臨場感のあるサウンドが好きな人は「HS1657CU」を選べばいいし、さらに微妙にバランスを変えたいという人は、付属のイヤーピースを色々試してみるのもいいだろう。

元々の製品も完成度は高かったが、新モデルはハッキリと音質が向上。さらに魅力的な製品へと進化した。好みによってどれがベストかは異なるが、どれを選んでも十分に満足できるはず。かくゆう筆者も、3つのうちどれを自分のものにするか、大いに迷っているところだ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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