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2020年代のデノン製品開発のベースとなる新モデル

デノン110周年記念! 4つのアニバーサリーモデル「A110」シリーズが誕生


デノンは、2020年10月に同社が創業110周年を迎えることを記念して開発された4つのアニバーサリーモデルを発表した。ラインアップは、SACDプレーヤー「DCD-A110」、プリメインアンプ「PMA-A110」、AVアンプ「AVC-A110」、ヘッドシェル付きMCカートリッジ「DL-A110」。いずれも、デノンの過去モデルにはなかった新色のグラファイトシルバーを採用した筐体が印象的な製品である。

2020年代のデノン製品のベースとなる、アニバーサリーモデル設計思想

デノンというブランドの成り立ちには、1910年に創業した日本初の音楽会社「日本コロムビア」と、1939年に創業した日本初の放送用録音機器メーカー「日本電音機製作所」という2つの潮流がある。両者が1963年に日本コロムビア株式会社へ合併し、民生ブランドの「DENON」(デンオン/デノン)が誕生した。創業110周年というのは、大元の日本コロムビアの創業から数えたものとなる。

これまでにも同社は、創業80周年にあたる1990年から10年ごとにアニバーサリーモデルを開発しており、そこで採用された設計思想がその先10年の製品開発へ生かされてきた。つまり、今回発表された110周年記念モデルの技術が、今後2020年代に登場するデノン製品のベースとなっていくわけだ。それでは以下より、モデルごとに特徴を見ていこう。いずれも、創業月となる10月の発売を予定している。

いずれのモデルも、本体に創業110周年ロゴを配置する

いずれのモデルも、本体に創業110周年ロゴを配置する

SACDプレーヤー「DCD-A110」

まずは、SACDプレーヤーの「DCD-A110」から。ベースになっているのは既存モデルの「DCD-2500NE」だが、内部の信号処理回路と採用パーツを最新世代に一新することでアニバーサリー仕様としているのが特徴だ。デノンHi-Fiコンポーネントの開発を手がけてきたサウンドマネージャー・山内慎一氏によって、徹底したサウンドチューニングが行われた。

アルマイト加工のアルミ製フロントパネルが特徴的。メーカー希望小売価格は280,000円(税別)

アルマイト加工のアルミ製フロントパネルが特徴的。メーカー希望小売価格は280,000円(税別)

特に今後の製品開発につながる技術的なポイントは、アナログ波形再現技術「AL32 Processing」の最新バージョン「Ultra AL32 Processing」を採用すること。独自のアルゴリズムによるアップサンプリング&ビット拡張処理で、従来比2倍となる32倍のオーバーサンプリングを行う仕様になった。デノンによれば、PCM入力信号の補間処理を行う帯域を768kHzから1536MHzへ拡張することで、SN比を理論上3dBも改善(従来比)したという。

DACチップは、192kHz/32bit対応の「PCM1795」を1chあたり2基・合計4基並列するというぜいたくなQuad-DAC構成で、上述のUltra AL32 Processingを最大限生かす設計に。さらに、DACの出力を受けるI/V変換アンプ回路と差動合成アンプ回路にはOPアンプによるポストフィルター回路を使用せず、山内氏が厳選した高音質パーツやフラッグシップモデルSX1シリーズゆずりのカスタムパーツを搭載してフルディスクリート化。内部を完全シンメトリー化した構成としている。

すべての基板をボトムシャーシに固定するシンプルレイアウト

すべての基板をボトムシャーシに固定するシンプルレイアウト

そのほかパーツ類にもこだわっており、上級モデル「DCD-SX1 LTD」に採用されているコンデンサーや、オーディオ&オーディオ電源回路にAMRSとMELF抵抗を使用するなどしている。電源部は、デジタル回路とアナログ回路の電源をトランスから独立させた2トランス構成とすることで、相互干渉とノイズの回り込みを低減。また、DCD-2500NEに対して約5倍の出力を誇る高出力EIコアトランスを搭載することにより、より動作の安定化を実現した。アナログオーディオ回路用の電源ユニットには、3,300μFの大容量カスタムブロックコンデンサーを採用し、アナログオーディオ回路に最適化したフルディスクリート設計とした。

ドライブメカにはオリジナルの「Advanced S.V.H Mechanism」を採用

ディスクドライブには、上位モデルから受け継いだ「Advanced S.V.H Mechanism」を採用。信号経路を極力短くし、回路を小型化することで、余分な電流やノイズを発生させない設計としている

信号の性質の異なるデジタル回路とアナログ回路の電源をトランスから独立させた2トランス設計

信号の性質の異なるデジタル回路とアナログ回路の電源をトランスから独立させた2トランス設計

プリメインアンプ「PMA-A110」

「PMA-A110」は、上述のDCD-A110と同じく、2500NEシリーズをベースに内部を大幅刷新したプリメインアンプ。USB-DAC機能を搭載するほか、MM/MC両対応のCR型フォノイコライザーを搭載しておりレコードプレーヤーとの接続も行える。本機も、山内氏による徹底したサウンドチューニングが行われたモデルとなる。

デノンの伝統と最新技術を融合させたというプリメインアンプ。メーカー希望小売価格は330,000円(税別)

デノンの伝統と最新技術を融合させたというプリメインアンプ。メーカー希望小売価格は330,000円(税別)

技術的ポイントはいくつかあるのだが、まずはデノン製Hi-Fiアンプの根幹を担ってきた伝統の大電流素子「Ultra High Current MOSシングルプッシュプル増幅回路」の最新版を採用したことがあげられる。ミドルレンジの「PMA-SX11」にも搭載された差動2段アンプ構成を採用し、UHC-MOSの大電流出力と安定性の高い回路構成により、よりよいスピーカー駆動性を確保した。また、ベースモデルの「PMA-2500NE」では固定利得アンプを採用していたが、本機ではFLAT AMPとPOWER AMPによる2段構成に変更することにより、通常のボリューム領域でのノイズを従来比で最大-16.5dBも抑えている。

フラッグシップモデル「PMA-SX1 LTD」に採用されるパーツ類も多く継承しており、開発者である山内氏の名に由来する「SYコンデンサー」を含む専用カスタムパーツを多数搭載することにも注目

また、可変ゲインアンプを搭載した新型の電子ボリュームを搭載することで、機械式ボリュームに起因する高減衰領域でのギャングエラー発生を回避。さらに、ボリュームを電子化したことでフロントパネル上のノブとプリアンプ基板を行き来していた信号ラインを短縮することも可能となり、理想的なミニマムシグナルパスを実現した。

ボリューム部は、アナログらしい操作フィーリングを追求しているのもポイント

ボリューム部は、アナログらしい操作フィーリングを追求しているのもポイント

加えて本機は、PCと直接接続できるUSB-B入力を搭載し、最大384kHz/32bit PCMおよび 11.2MHz DSDに対応するUSB-DAC機能を搭載する。そこで内部には、DCD-A110同様に最新の「Ultra AL32Prodessing」を採用し、高性能DACを4基使用したQuad-DAC構成を採用。さらにアイソレーター回路を改善することによって、USB-DAC回路とそのほかのデジタル/アナログ回路を電気的に絶縁。USB-DAC用の電源、回路、GNDが独立した構成となっている。

電源回路は、2つのトランスを対向配置するLC(リーケージ・キャンセリング)マウント方式。整流回路には低損失、低ノイズのショットキーバリアダイオードを採用する。ブロックコンデンサーにはPMA-A110専用の大容量カスタムコンデンサーを搭載し、十分かつクリーンな電流供給を実現した

AVアンプ「AVC-A110」

続いてはAVアンプ「AVC-A110」を見ていこう。本機は、最大出力260Wのモノリスコンストラクションパワーアンプを搭載する13.2ch出力モデル。高い完成度で定評のあるフラッグシップモデル「AVC-X8500H」をベースに、110周年記念としてコストの制約を取り去り、徹底的な高音質設計を施したハイグレード機だ。

デノン製AVアンプの音決めを担当してきた高橋佑規氏が、フラッグシップモデルのAVC-X8500Hを超えるパフォーマンスの実現を目指して開発した入魂の1台。メーカー希望小売価格は680,000円(税別)。

AVアンプとしてのスペックはいわゆる“全部入り”。HDMIは8入力/3出力を備え、うち1入力/2出力で8K/60p、4K/120pのパススルー伝送やHDR10+など、最新のAV規格に対応している。ホームシアター用音声フォーマットも、「Dolby Atmos」や「DTS:X Pro」(アップデートにより対応予定)のほか、「DTS Virtual:X」や「Dolby Atmos Height Virtualizer」、さらに「Auro-3D」「IMAX Enhanced」にも準拠。BS 4K/8K放送で使用される音声フォーマット「MPEG-4 AAC」(ステレオ、5.1ch)のネイティブ再生にも対応する。また、デノン独自の「HEOSテクノロジー」により、ハイレゾ再生やストリーミング再生などを含むネットワーク再生機能もフルサポートしている。

機能面はもちろんのこと、やはり大きいのはコストの制約を考えずにサウンドを追求したというその中身である。ひとつの筐体に13chのパワーアンプを搭載するために、内部のパワーアンプ回路をチャンネルごとに個別の基板に独立させたモノリス・コンストラクション構成を採用。増幅素子には、デノンHi-Fiアンプの設計思想を踏襲した大電流タイプのパワートランジスタ「Denon High Current Transistor(DHCT)」を採用し、ヒートシンク上に格子状にレイアウトする高品位設計としている。

「深淵」をキーワードにサウンド設計が行われたという本機のトップカバーを開けると、内部基板はグリーンでなくブラック一色。中身にまで「深淵」のコンセプトを感じられる構成になっているという。ヒーシンク全体をカバーする2mm厚の銅板によって放熱効率を高め、発熱が大きくなる大音量再生時であっても安定性の高いスピーカー駆動を実現する

DSP部には、高性能32bitデュアルコアDSP「SHARC」プロセッサーを2基搭載しており、13.2ch分のデコードやアップミックス、アナログ波形再現技術「AL 32 Processing Multi Channel」、音場補正などの高負荷処理に対応する。また、本機は15.2chプリアウトも装備しており、パワーアンプを追加してシステムの拡張や音質のグレードアップも行える。

デノンAVサラウンド回路設計の中核技術「D.D.S.C.-HD32」は、32ビットプロセッシングを行う最上位バージョンを搭載。サラウンド再生のために必要な信号処理回路を1つひとつのブロックに独立させ、32bitフローティングポイントDSPなど高性能な専用デバイスを用いてディスクリート化

DAC部には、リスニングテストを繰り返して厳選したという32bit対応プレミアムステレオD/Aコンバーターを8基搭載する

また、ブロックコンデンサーや電源トランス、鋳鉄製フットのほか、純銅製のトランスベース、パワーアンプ回路のフィルムコンデンサーやインダクターなど、数百点におよぶ専用音質パーツを再設計・改良して搭載している。

特に、13chの同時出力時にもクリーンかつ安定した電源供給を行うために電源部を強化しており、AVC-A110のために専用開発されたEIコアトランスを搭載するのがポイント。トランス単体で8kgを超えるという強力なもので、マウント時には純銅製のトランスベースを追加し放熱性も向上させた。

電源部のブロックコンデンサーには、AVC-A110専用にチューニングされた大容量22,000uFのカスタムコンデンサーを2基使用。余裕のある電源供給能力はそのままに、AVC-X8500Hと比較してもさらに低い重心と豊かなスケール感を目指した

ヘッドシェル付きMCカートリッジ「DL-A110」

最後にご紹介するのは、ヘッドシェル付きのMC型カートリッジ「DL-A110」。カートリッジというと、かつて「DENON」ブランドがNHKと共同開発した業務用ピックアップカートリッジ「DL103」が有名(1970年には民生用として発売している)。現在に至るまでDL-103は放送用のスタンダードカートリッジとしてその仕様を変更することなく生産・販売されてきたわけだが、このDL-103の110周年記念バージョンパッケージがDL-A110だ。

メーカー希望小売価格は62,000円(税別)

メーカー希望小売価格は62,000円(税別)

カートリッジ本体の内部構成は元のDL-103から変更がないものの、カートリッジの設計思想を最大限に生かす樹脂素材ベースの専用ヘッドシェルが付属するのが特徴となる。このヘッドシェルを装着すると、一般的なユニバーサルタイプのアームに取り付けたときに正しいオーバーハング長を実現する設計となっている。樹脂製のヘッドシェルはわずか6gと軽量で、不要な振動を抑え、深みのある低音と繊細で透明感の高いサウンドを実現する。

特別仕様の110周年記念ロゴプレート付きの収納ケースと、ヘッドシェルと同色の針先清掃用ブラシが付属する

特別仕様の110周年記念ロゴプレート付きの収納ケースと、ヘッドシェルと同色の針先清掃用ブラシが付属する

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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