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邦楽コンテンツの配信も近日スタート

ソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」が日本でも本格展開! 対応スピーカーは4月16日発売

2020年3月23日、ソニーは今春以降発売予定とアナウンスしていた独自の立体音響技術「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ、以下360 Reality Audio)」に対応したワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」を4月16日に発売すると発表した。カラーバリエーションは、「SRS-RA5000」がブラック、「SRS-RA3000」がブラックとホワイトを用意。市場想定価格は、「SRS-RA5000」が66,000円前後、「SRS-RA3000」が36,000円前後だ。

ソニーの360 Reality Audio対応ワイヤレススピーカー「SRS-RA3000」(写真左)と「SRS-RA5000」(写真右)

ソニーの360 Reality Audio対応ワイヤレススピーカー「SRS-RA3000」(写真左)と「SRS-RA5000」(写真右)

360 Reality Audioとは、オブジェクトベースの立体音響技術を生かし、まるで全方位から音が降り注ぐようなまったく新しい音楽体験を提供するというソニーが開発したイマーシブオーディオ体験のこと。「CES 2021」に先駆けて2021年1月8日に発表したリリースでは、対応コンテンツの制作環境の整備、対応コンテンツを提供するストリーミングサービスの拡充、対応コンテンツを再生できる機器の拡充に向けた技術ライセンスの提供拡大などを明らかにしていたが、今回の対応製品発表に合わせて360 Reality Audioのエコシステムに関する詳細も明らかになったので、それらを交えながら新製品の特徴を紹介していこう。

360 Reality Audioって何? 使えるサービスやデバイスは?

新製品の特徴を紹介する前に、まずは「360 Reality Audioって何?」という人に向けて、360 Reality Audioの概要、現時点で明らかになっている対応サービスやデバイスについて解説しておこう。

冒頭でも軽く触れたが、360 Reality Audioとはソニーが開発したイマーシブオーディオ体験のことで、「対応コンテンツ」「対応するストリーミングサービス事業者などが提供する専用アプリから再生」することで、まるで臨場感豊かで立体的な音場を体験できるというのが最大の特徴だ。

この360 Reality Audioの体験を生み出すためのコアになっている技術が、高音質符号化技術頭部伝達関数(Head-Related Transfer Function、HRTF)を利用した個人最適化技術で、前者はボーカルや楽器などの音源の位置情報を記録した対応コンテンツを音質を保ちながらストリーミングに適したビットレートに符号化するために、後者はヘッドホンやイヤホンでも臨場感豊かで立体的な音場を実現するために用いられている。

対応コンテンツについては、3Dオーディオの国際標準規格になっている「MPEG-H 3D Audio」をフォーマットに採用。360°に広がる球体空間に最大24オブジェクトの音源を配置でき、それらを球体空間で自由に動かすことができるそうだ。ちなみに、先述したコア技術のひとつである高音質符号化技術はここに用いられており、24bit/48kHz相当のイマーシブサウンドを1.5Mbps程度のビットレートで提供できるという。

対応コンテンツを提供する事業者は、現時点ではストリーミングサービスが中心だ。日本国内では、Amazon Music HD、Deezer HiFiやnugs.netなどで360 Reality Audio対応コンテンツを楽しめるという。なお、すでに一部サービス事業者では360 Reality Audio対応コンテンツのストリーミング配信が開始されているが、360 Reality Audio対応ワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」の発売日となる4月16日からは、邦楽コンテンツ(約700曲程度、サービス事業者によりコンテンツ数は異なる)の配信もスタートするそうだ。

日本での360 Reality Audio対応ストリーミングサービスは、Amazon Music HD(対応スピーカーでのみ再生可能)、Deezer HiFi(イヤホン・ヘッドホン、対応スピーカーで再生可能)、nugs.net(イヤホン・ヘッドホン、対応スピーカーで再生可能、一部LIVEコンテンツのみ配信予定)を予定している

日本での360 Reality Audio対応ストリーミングサービスは、Amazon Music HD(対応スピーカーでのみ再生可能)、Deezer HiFi(イヤホン・ヘッドホン、対応スピーカーで再生可能)、nugs.net(イヤホン・ヘッドホン、対応スピーカーで再生可能、一部LIVEコンテンツのみ配信予定)を予定している

360 Reality Audioコンテンツを再生できるデバイスは、現時点ではイヤホン・ヘッドホンや対応スピーカー、一部ウォークマンが対応となっている。

イヤホン・ヘッドホンについては、ストリーミングサービス事業者などが提供する専用アプリ側で360 Reality Audio対応コンテンツのデコードやレンダラー、オブジェクトを2ch化するバーチャライザーを受け持つ形になっており、アプリ側が対応していれば基本的にすべてのイヤホン・ヘッドホンで360 Reality Audioを楽しめるようになっている。

いっぽうで、360 Reality Audio認定を取得しているソニー製の一部イヤホン・ヘッドホンには、360 Reality Audioをよりよい体験に引き上げることができる独自の仕掛けが用意されている。それがもうひとつのコア技術、頭部伝達関数(Head-Related Transfer Function、HRTF)を利用した個人最適化技術だ。

具体的には、スマートフォン向けに無償提供されている「Sony | Headphones Connect」アプリ経由でスマートフォンのカメラを使用し、イヤホン・ヘッドホンを装着する人の左右の耳を撮影。撮影したデータをクラウドにアップして解析したデータと、装着するイヤホン・ヘッドホンの特性から導き出した最適化パラメーターをストリーミングサービス事業者などが提供する専用アプリ側に連携させることで、360 Reality Audioの効果を高めている。

通常のステレオ音源再生と360 Reality Audio音源の再生イメージ。アプリ側には、一般的な耳の形状から頭部伝達関数を用いて計算した標準的なパラメーターがあらかじめ利用できるようになっているそうで、アプリ側が360 Reality Audio対応していれば基本的にすべてのイヤホン・ヘッドホンで360 Reality Audioを楽しめる

通常のステレオ音源再生と360 Reality Audio音源の再生イメージ。アプリ側には、一般的な耳の形状から頭部伝達関数を用いて計算した標準的なパラメーターがあらかじめ利用できるようになっているそうで、アプリ側が360 Reality Audio対応していれば基本的にすべてのイヤホン・ヘッドホンで360 Reality Audioを楽しめる

360 Reality Audio認定を取得しているソニー製の一部イヤホン・ヘッドホンでは、「Sony | Headphones Connect」アプリを使用し、耳の形状とイヤホン・ヘッドホンの特性に合わせた個人最適化(パーソナライザー)を利用できる。個人最適化の有無で、360 Reality Audioの体験はかなり変わるそうなので、360 Reality Audioを余すことなく体験したいのであれば、個人最適化(パーソナライザー)に対応したイヤホン・ヘッドホンを使用するのがいいだろう

360 Reality Audio認定を取得しているソニー製の一部イヤホン・ヘッドホンでは、「Sony | Headphones Connect」アプリを使用し、耳の形状とイヤホン・ヘッドホンの特性に合わせた個人最適化(パーソナライザー)を利用できる。個人最適化の有無で、360 Reality Audioの体験はかなり変わるそうなので、360 Reality Audioを余すことなく体験したいのであれば、個人最適化(パーソナライザー)に対応したイヤホン・ヘッドホンを使用するのがいいだろう

ちなみに、360 Reality Audioのエコシステム拡充に向け、ソニーはクラウドにアップした耳の形状を撮影したデータから個人に最適化する仕組み(パーソナライザー)を外部メーカーにも提供する予定。360 Reality Audioエコシステムに賛同するデバイスメーカーには、オーディオテクニカやラディウスといったイヤホン・ヘッドホンメーカーも名を連ねているので、今後、同様の仕組みを使ったイヤホン・ヘッドホンがこれらサードパーティーから登場する可能性もありそうだ。

ウォークマンについては、Android OS搭載モデルに限られるものの、イヤホン・ヘッドホン同様に、「Sony | Headphones Connect」アプリを経由して対応する形となる。ただし、Android OS搭載ウォークマンにはカメラが搭載されていないため、「360 Spatial Sound Personalizer」というアプリを使い、カメラを搭載するスマートフォンにインストールされた「Sony | Headphones Connect」アプリと紐付けるという作業が必要になるそうだ。

カメラのないウォークマンでも、「360 Spatial Sound Personalizer」という専用アプリを活用することで、「Sony | Headphones Connect」アプリへのデータ紐付けが可能。この紐付けたデータをストリーミングサービス事業者などが提供する専用アプリ側に連携させることで、360 Reality Audioを体験できるというわけだ

カメラのないウォークマンでも、「360 Spatial Sound Personalizer」という専用アプリを活用することで、「Sony | Headphones Connect」アプリへのデータ紐付けが可能。この紐付けたデータをストリーミングサービス事業者などが提供する専用アプリ側に連携させることで、360 Reality Audioを体験できるというわけだ

スピーカーについては、スピーカー側に360 Reality Audio対応コンテンツのデコーダー/レンダラー/バーチャライザーのハードウェア的な実装と、ソニーが定めた音質テストのクリアが条件になるという。これまで日本国内では、対応スピーカーがAmazonのスマートスピーカー「Echo Studio」のみと、スピーカーで再生できる環境が非常に限られてきたわけだが、こういった条件があることなどが背景にありそうだ。とはいえ、今回ソニー純正のワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」が加わったことで、ユーザーの選択肢が増えたことは歓迎したい。

ソニー純正の360 Reality Audio対応ワイヤレススピーカーがついに登場し、「Echo Studio」以外でのスピーカーを使った360 Reality Audio体験の選択肢が増えた

ソニー純正の360 Reality Audio対応ワイヤレススピーカーがついに登場し、「Echo Studio」以外でのスピーカーを使った360 Reality Audio体験の選択肢が増えた

なお、現状の360 Reality Audio対応スピーカーは、それ1台で立体的な音場を実現できる完結する360°タイプのワイヤレススピーカーしか展開されていないが、ソニーによれば、今後はサウンドバーや車載オーディオなどへの展開も検討しているそうだ。

ソニー純正の360 Reality Audio対応スピーカーは2種類。目指したのは、空間を音楽で包み込む「Ambient Room-Filling Sound」

というわけで、ここからは4月16日に発売する360 Reality Audio対応のワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」について解説していこう。

360 Reality Audio対応ワイヤレススピーカー上位モデル「SRS-RA5000」。市場想定価格は66,000円前後

360 Reality Audio対応ワイヤレススピーカー上位モデル「SRS-RA5000」。市場想定価格は66,000円前後

下位モデルの「SRS-RA3000」。市場想定価格は36,000円前後

下位モデルの「SRS-RA3000」。市場想定価格は36,000円前後

今回登場する「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」は、1台で360 Reality Audioの目指す全方位から音が降り注ぐような音楽体験を実現するために開発されたスピーカーだ。グラスサウンドスピーカー「LSPX-S2」や、Bluetoothスピーカー「SRS-XB23」のように、360°に音を放出するスピーカーはこれまでにもラインアップされていたが、従来の360°スピーカーが水平方向に対して音が広がるのに対し、「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」は水平だけでなく高さ方向にも音が広がるようにさまざまな工夫が盛り込まれているのが大きなポイントとなっている。

具体的には、従来のスピーカーとは異なるスピーカー配置を採用。「SRS-RA5000」は高さ方向の音を再現するΦ46mmの上向きスピーカー×3、音を水平方向に広げるΦ46mmのミッドスピーカー×3、低音再生用のΦ70mmのサブウーハー×1を組み合わせた6.1chのスピーカーシステムを、「SRS-RA3000」は、Φ80mmのフルレンジスピーカーに、全方位に音を拡散させるオムニディフューザーと、天井へと効果的に音を反射させるビームツイーター×2、低音を増強させるパッシブラジエーター×2を組み合わせたスピーカー構成を採用し、それぞれ部屋の壁や天井の音の反射などをうまく活用することで、全方位に広がる音で空間を包み込む「Ambient Room-Filling Sound」を実現したという。

6.1chのスピーカーシステムを採用した「SRS-RA5000」

6.1chのスピーカーシステムを採用した「SRS-RA5000」

本体天面には、高さ方向の音を再現する上向きスピーカーが大きくレイアウトされている

本体天面には、高さ方向の音を再現する上向きスピーカーが大きくレイアウトされている

「SRS-RA3000」はフルレンジスピーカー×1という構成だが、ビームツイーターやパッシブラジエーター、オムニディフューザーなどを組み合わせることで、空間を包み込むような広がりのある音を実現している

「SRS-RA3000」はフルレンジスピーカー×1という構成だが、ビームツイーターやパッシブラジエーター、オムニディフューザーなどを組み合わせることで、空間を包み込むような広がりのある音を実現している

また、ユーザーごとに異なる視聴環境でも最適なバランスで360 Reality Audio体験を実現するために、サウンドキャリブレーション機能も搭載されている。なお、キャリブレーション機能は、「SRS-RA5000」と「SRS-RA3000」で若干差異があり、「SRS-RA5000」は、キャリブレーション機能をユーザーが明示的に行う形(初回電源オン時はセットアップ時に自動起動)、「SRS-RA3000」は音楽再生中に自動で補正を行う形となっている。

さらに、360 Reality Audio対応コンテンツ以外にも、2chのコンテンツなどを独自のアルゴリズムで処理し、臨場感のあるサウンドで楽しめる「Immersive Audio Enhancement(イマーシブ・オーディオ・エンハンスメント)」や、曲と曲の間での急激な音量変化を回避する「自動音量調整」といった機能も備えている。

独自アルゴリズムによるImmersive Audio Enhancementは、本体に搭載されている♪マークを押すことで有効になる(出荷時はデフォルトでON)

独自アルゴリズムによるImmersive Audio Enhancementは、本体に搭載されている♪マークを押すことで有効になる(出荷時はデフォルトでON)

360 Reality Audio対応コンテンツを再生している場合は青、2chコンテンツをImmersive Audio Enhancement有効で再生している場合は白、2chコンテンツをそのまま再生している場合はLED点灯なしといった具合に、現在の再生状況は本体に搭載されているLEDの色で判別することができる

360 Reality Audio対応コンテンツを再生している場合は青、2chコンテンツをImmersive Audio Enhancement有効で再生している場合は白、2chコンテンツをそのまま再生している場合はLED点灯なしといった具合に、現在の再生状況は本体に搭載されているLEDの色で判別することができる

入力については、Wi-Fi、Bluetooth、アナログ接続をサポート。Works with Google AssistantやWorks with Amazon Alexaに対応するほか、Spotify ConnectやGoogle Chrome castなども利用できる。また、Bluetoothを活用し、対応するBRAVIAシリーズと低遅延で接続できるワイヤレステレビ接続も利用可能だ。

このほか、「SRS-RA5000」はハイレゾに対応しており、圧縮音源をハイレゾ相当の高音質にアップスケーリングする「DSEE HX」にも対応。対応スマートフォンなどと簡単に接続できるNFC機能も備えている。「SRS-RA3000」はハイレゾ非対応のため、圧縮音源をCD音源相当までアップスケーリングする「DSEE」までの対応だが、「SRS-RA5000」にはない防湿仕様となっており、シンクなどの水回りでも安心して使用できるという特徴を備えている。

「SRS-RA5000」は、本体側面に操作ボタンをレイアウト

「SRS-RA5000」は、本体側面に操作ボタンをレイアウト

「SRS-RA3000」の操作ボタンは本体天面部分に集約されている

「SRS-RA3000」の操作ボタンは本体天面部分に集約されている

「SRS-RA5000」の背面部分。アナログ入力やNFCなども用意されている

「SRS-RA5000」の背面部分。アナログ入力やNFCなども用意されている

今回、短時間ながら「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」で通常の2chコンテンツをImmersive Audio Enhancementを有効にして再生ものと、360 Reality Audio対応コンテンツを聴き比べすることができたのだが、通常の2chコンテンツに比べると高さ方向の再現性がかなり向上していることが確認できた。特に、上方向に抜ける楽器の響きや余韻は段違いによくなっており、臨場感がグッと増すイメージだ。

スイートスポットについても、スピーカーを中心に上下左右さまざまなポジションに移動しながら音楽を聴いてみたが、360 Reality Audio対応コンテンツのほうがしっかりと空間を感じられ、ボーカルや演奏している楽器の位置からしっかりと音が聴こえる。部屋の形状や天井の高さなどのさまざまな条件によって異なるものの、「SRS-RA5000」なら12〜15畳程度、「SRS-RA3000」なら6〜8畳程度のエリアをしっかりと音で満たすことができるそう。今回は音源のみの体験だったが、大画面テレビやVRゴーグルなどを使用して映像コンテンツとの組み合わせてみると、かなり面白い体験になりそうだ。

ハイレゾなどのこれまでの音質とは別次元の音楽体験を提供する360 Reality Audio。これまでは対応デバイスが限られていたり、コンテンツも洋楽が中心だったりと、本格的な展開という部分では日本ではいまひとつだったが、対応スピーカー「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」の登場、対応コンテンツの拡大で今後ますます日本での導入拡大が期待できそうだ。

なお、3月24日から全国のソニーストアで「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」の先行体験ができるそうだ。360 Reality Audioをいち早く体験したいという人は、ぜひ足を運んでみてほしい。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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