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リスニングユースでも使えるモデルを厳選ピックアップ

個性派ズラリ! 普段使いも楽しい新時代モニターヘッドホン10選

個性派ズラリ! 普段使いも楽しい新時代モニターヘッドホン10選

モニターヘッドホンというと、ソニー「MDR-CD900ST」やゼンハイザー「HD25」「HD650」、AKG「K240 Studio」、Shure「SRH1840」あたりの製品名が思い浮かんでくるかもしれない。また、そのサウンドは「(低域が強調されていないことも含めて)フラット志向の帯域バランス」であることや「高解像度」を持ち合わせていることなど、聴き心地よりもわかりやすさを重視した音作りの印象が強いことだろう。

実際、ソニー「MDR-CD900ST」などはイメージどおりのサウンドキャラクターを持ち合わせている。もしかすると、日本人がもつモニターヘッドホンのイメージは「MDR-CD900ST」の印象そのものなのかもしれない。しかしながら、それは部分的には正解ではあるもののすべてではなく、世界にはもっと幅広いキャラクターをもつ数多のモニターヘッドホンが存在している。

実は、現在のこういった状況、数多のモニターヘッドホンが存在する状況は、30年程前から続く“モニターヘッドホンのリスニングユース”というユーザーニーズが大いに関係していると思われる。「アーティストやエンジニアが聴いている音そのものを体験したい」という憧れもあってか、モニターヘッドホンをリスニング用途に活用するちょっとしたブームがあった。実際、30年前すでにAKG「K240 Studio」の祖先である「K240DF」がリスニング用としても活用されていたり、「MDR-CD900ST」などはユーザーのリクエストによって(それまで業務向け専売だったものが)一般販売が始まったほど。こういった、業務用だけではない使われ方によって、数多のモニターヘッドホンが誕生できたのは確かだ。

たとえばインピーダンス特性について、古いモニターヘッドホンは600Ω前後で揃えられていたが、現在は50Ω前後など比較的扱いやすいインピーダンス特性を持つ製品が大半となっている(リスニングユース配慮が業務機器に対して影響を及ぼした!?)など、プロユース、リスニングユースのどちらにも利用可能な製品が多い。

いっぽう、サウンドキャラクターに関しては、メーカーによって千差万別だったりする。モニターヘッドホンとしてこうあるべき、というクオリティ面での(プロユーザーからの)選別はあるものの、要は使っている本人が音の違いを把握できればよかったりする。そのため、常識的な音色であればあとはユーザーの好み次第となり、メーカー各社からさまざまな製品が登場することとなった。

そういった背景もあり、現在ではガチガチの本格派モニターヘッドホンからリスニングユースも念頭に置いたモデルまで、さまざまな製品が世の中に混在している。今回はその中から、リスニングユースをメインに据えた場合でも大いに活躍する、新世代モニターヘッドホンと呼べるモデル全10機種を紹介していこう。

新世代モニターヘッドホン厳選10機種

1. AUDEZE「LCD-1」

 AUDEZE「LCD-1」

AUDEZE「LCD-1」

マニアからの根強い人気をもつ高級ヘッドホンブランド、AUDEZEの最新モデルにしてプロモニター向けとなるヘッドホン。新設計となる開放型ハウジングデザインを採用し、その内部にはAUDEZEおなじみの平面駆動型振動板が搭載されている。また、約250gの軽量さとメモリーフォームイヤーパッドにより、長時間のリスニングもストレスなく活用できるとアピールする。

インピーダンス特性が16Ωだったりと、ポータブルオーディオにも配慮された仕様となっている部分もあったりするが、そのサウンドはモニターヘッドホンとして正当なもの。ドライバー特性の優位さもあるのだろう、そつのない帯域バランスを持ち、広がり感がよく、なによりも歪み感のないクリアネスなサウンドがとても聴き心地よい。平面駆動型ヘッドホンは他社ではFOSTEXがラインアップしているが、平面駆動型振動板はモニターヘッドホンに向いているシステムなのかもしれない。さらにこの「LCD-1」は、リスニング用途としても魅力的なサウンドとなっている。モニターヘッドホンらしさをしっかりと体験できる秀作と言えそうだ。

2. Marshall「MONITOR II A.N.C」

Marshall「MONITOR II A.N.C」

Marshall「MONITOR II A.N.C」

ワイヤレス、かつアクティブノイズキャンセリング機能も搭載されているという、とても現代的なモニターヘッドホン。正直、モニターという名前は付いているが、製品仕様としては完全にリスニング向けに感じられる。

ところがどっこい、そのサウンドはかなりソリッドでゴリゴリのハードロックが楽しめたりする。Marshallブランドらしい、ギターアンプなどのイメージを彷彿とさせてくれるダイレクト感の高い、楽器系ブランドならではの特徴的なサウンドを聴かせてくれるのだ。特に、ギターとベースの音は細部の表現までしっかり把握できる。そのあたりを気にして音楽を聴いている人には大いにオススメできるモデルだ。

3. final「D8000 Pro Edition」

final「D8000 Pro Edition」

final「D8000 Pro Edition」

finalのフラッグシップヘッドホン「D8000」のプロフェッショナル向けモデル。国内製造されている独自の平面振動板はそのままに、一般的なコンシューマーより大きめの音量で聴取したいという録音のプロからの要望を受けて「エアフィルムダンピングシステム(AFDS)」を再チューニングしているという。

その結果として、ロックやポップスなどの現代音楽がとても躍動的に感じられる、わかりやすいサウンドにまとめ上げられている。解像感も超絶といいたくなるほど高い。金額を考えると当然のクオリティと思われるかもしれないが、現代音楽にここまでマッチしているハイクオリティヘッドホンはそうそうない。とても貴重、かつとても魅力的な製品といえる。

4. オーディオテクニカ「ATH-R70x」

オーディオテクニカ「ATH-R70x」

オーディオテクニカ「ATH-R70x」

オーディオテクニカからはスタジオモニターやDJモニター、密閉型や開放型などさまざまなタイプのプロ向けモニターヘッドホンがリリースされており、その中でも定番モデルといえる「ATH-M50x」はスタジオやラジオブースなどでとても重宝しているが、ことリスニングユースを前提とした場合、開放型ハウジングを持つ「ATH-R70x」がうってつけだろう。

同社開放型(かつリスニング向け)ヘッドホンであるADシリーズのノウハウを投入しつつ、使い勝手のよいサイズに認め上げられている絶妙なバランスを持つ製品となっている。そのサウンドも、開放型ならではの自然な音色と音場の広がり感がとても好ましい。モニターヘッドホンとしては反主流派かもしれないが、リスニング用途にも配慮すると俄然注目度が高まるという、なかなか魅力的な製品だ。

5. AKG「K245-Y3」

AKG「K245-Y3」

AKG「K245-Y3」

往年の名機ばかりが目立つAKGだが、実は最新モデルの中でも注目モデルがある。それが「K245-Y3」だ。既存モデルのイメージを受け継ぎつつも現代的なデザインにリファインされた「K245-Y3」は、セルフアジャスト機能付ヘッドバンドや片出しの5mカールコード着脱式ケーブルなど、どちらかというとプロユースがメインの製品だが、32Ωのインピーダンス特性や折りたたみ&スイーベル機構、密閉性と装着感向上のために採用された低反発素材のイヤーパッドなど、リスニング用途にもしっかり対応する汎用性の高さも持ち合わせている。

そのサウンドも、AKGならではの音の広がり感やボーカルの艶やかさを保ちつつ、現代的なクオリティにブラッシュアップされている。音質、使い勝手ともに大いに満足できる製品だ。

6. TAGO STUDIO「T3-01」

TAGO STUDIO「T3-01」

TAGO STUDIO「T3-01」

ソニー「MDR-CD900ST」フォロワーの最有力候補といえるのがこの「T3-01」だ。密閉型ハウジングを持つプロユース大前提の製品で、「MDR-CD900ST」の特徴である音のわかりやすさを現代的にリファインし、さらに高解像度化したサウンドを持つハイグレード製品に仕立てられている。

そのいっぽうで、外観は楓材無垢のウッドハウジングがなかなかに美しかったりもする。ケーブルも着脱できるので、長期間にわたって使い続けられることに加え、リスニング用途的には市販ケーブルをいろいろ試して音の好みを自分に合わせていくこともできる。「MDR-CD900ST」の音が好き、という人にとって(いまのところ)これ以上はないといえるほどのベストな選択肢だろう。

7. JVC「Victor HA-MX100V」

JVC「Victor HA-MX100V」

JVC「Victor HA-MX100V」

「Victor HA-MX100V」は、ビクタースタジオでの使用を前提として開発されたヘッドホン。ハウジングは密閉型で、ケーブルは直出しとなっている。最新モデルでは、ハウジングにビクターブランドの象徴である「犬のマーク」を刻印するなどの小変更が行われた。

ビクタースタジオエンジニアによる音質チューニングが行われたというそのサウンドは、ボーカル、特に女性ボーカルが伸びやかで心地よい響きの歌声を聴かせてくれるのが特徴。弦楽器も厚みのある美しい音色を奏でてくれる。モニターヘッドホンという名前からイメージされる客観性や冷静さは皆無で、どちらかというと逆の方向性、臨場感や熱気の高さを強く感じるサウンドキャラクターだ。リスニング用途でも存分に楽しめる製品だと思う。

8. FOSTEX「T60RP」

FOSTEX「T60RP」

FOSTEX「T60RP」

FOSTEXならではの平面駆動型振動板を搭載したモニターヘッドホン、RPシリーズの派生モデル。リスニングユースを前提とした製品にまとめ上げられているが、ドライバーユニットを含め基本の部分はモニターヘッドホンと同じ仕様が踏襲されている。それに加えて、セミオープン型のウッドハウジングやバランス接続対応の着脱式ケーブルを採用した豪華仕様、といったイメージでとらえるのがわかりやすいかもしれない。

そのサウンドは、ダイレクト感の高かった「T50RP」などに対してやや厚みのあるふくよかな表現が特徴で、確かにリスニングに向いた聴き心地のよいサウンドキャラクターを持ち合わせている。もちろん、ガチのモニターヘッドホン「T50RP MK3」をチョイスするという手もあるが、「T60RP」のサウンドもなかなかに魅力的なので一度聴いてみてほしい。

9. ソニー「MDR-1AM2」

ソニー「MDR-1AM2」

ソニー「MDR-1AM2」

本来はリスニング向けをメインとしたヘッドホンではあるが、実際にプロユースとしても利用されることの多い製品なので、ここで紹介しておこう。

40mmHDドライバーユニットを搭載し、最新のハイレゾ音源の魅力をあまさず再現してくれるのが特徴。合成皮革+低反発ウレタンのイヤーパッドは、長時間のリスニングでも疲れず蒸れにくい点がうれしい。また、4.4mmバランス端子採用のヘッドホンケーブルも同梱されているため、さらなる高音質サウンドをすぐに楽しむこともできる。

10. Beyerdynamic「DT 1990 PRO」

Beyerdynamic「DT 1990 PRO」

Beyerdynamic「DT 1990 PRO」

有名モニターヘッドホンメーカーのひとつ、Beyerdynamicのプロ向けモニターヘッドホン。開放型ハウジングに同ブランドの特徴である45mmテスラ2.0ドライバーを搭載し、キレのよいメリハリに富んだサウンドを聴かせてくれる。思いっきり分析的なサウンドなので、慣れている人でないと長時間聴き続けるのは厳しいかもしれない。

また、250Ωのインピーダンス特性や、着脱式ケーブルはコイルタイプ(5m)とストレートタイプ(3m)が付属するなど、製品内容も完全にプロユースメインなっている。なお、密閉型ハウジングを持つ「DT 1770 PRO」も用意されているので、音の好みや使用環境に合わせてチョイスしてほしい。

【番外編】定番モニターヘッドホン厳選4機種

今回は比較的新しいモデルを中心に紹介したが、ロングセラーを続ける定番モニターヘッドホンも注目モデルがたくさんある。最後はオマケとして、定番モニターヘッドホンの名から厳選4モデルをご紹介しよう。

ソニー「MDR-CD900ST」

ソニー「MDR-CD900ST」

ソニー「MDR-CD900ST」

モニターヘッドホンとして定番中の定番といえる密閉型ハウジングを持つ製品。一度はその音を体験してみてほしい1台だ。ボーカルやギターなどフロントラインのディテールが把握しやすい特徴があるため、そういったパートをじっくり聴き込みたい人にオススメだ。

AKG「240 MKU-Y3」

AKG「240 MKU-Y3」

AKG「240 MKU-Y3」

AKGの名機であるK240シリーズの最終進化モデル。現代の音源に合わせて高域の特性を改良しているため、音の特徴がわかりやすい。加えて、AKGならではの熱気ある音色傾向、広がり感のある音場表現など、表現力の高さも魅力的といえる。セミオープンタイプなので、音漏れがしてもよい環境での利用が推奨だ。

ゼンハイザー「HD600」

ゼンハイザー「HD600」

ゼンハイザー「HD600」

HD600シリーズの元祖といえる製品だが、DFカーブに則った帯域バランスは音楽の特徴がとてもわかりやすく、いまだに根強い人気を保ち続けている。高域が刺さりすぎない音色的特徴を持ち合わせているなど、リスニング用途としても悪くない使い勝手だったりする。このシリーズは現在「HD600」「HD650」「HD660S」の3モデルがラインアップされており、それぞれ音色傾向が異なるため、自分の環境にマッチした製品をチョイスしてほしい。

AKG「K712 PRO-Y3」

AKG「K712 PRO-Y3」

AKG「K712 PRO-Y3」

K240シリーズと並ぶ人気をもつK701シリーズの最新モデル。この製品自体が発売から8年以上経過している(当時はオーストリア製だったが現在は中国製となる)ため、すでに定番モデルといっていい存在となっている。個性的なデザインの開放型ハウジングによる恩恵か、大きく広がる音場感はお見事といいたくなるほど。ボーカルも芯があって滑舌のよい、それでいて艶っぽさも持ち合わせている魅力的な歌声を聴かせてくれる。本体重量も300g弱と軽く、着脱式ケーブルも便利。多くの人に一度は体験してほしい名機だ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどのオーディオビジュアル系をメインに活躍するライター。TBSテレビ開運音楽堂にアドバイザーとして、レインボータウンFM「みケらじ!」にメインパーソナリティとしてレギュラー出演。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める。

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