6月25日発売のソニー「WF-1000XM4」を実機レビュー
ノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホンで確固たる地位を築き上げてきたソニー「WF-1000X」シリーズ。シリーズ最新モデルとなる「WF-1000XM4」がついに発表された。
同社の完全ワイヤレスイヤホンとして初めてBluetoothコーデックのLDACに対応し、96kHz/24bitのハイレゾ相当の高音質を楽しめたり、1世代前の「WF-1000XM3」を大きく上回る業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現したりと、ソニーの誇る最新技術を結集させた最注目モデルだ。
発売は6月25日で、市場想定価格33,000円前後の予定。今回は発売に先駆けてお借りした「WF-1000XM4」実機のサンプルのほか、比較対象として2019年7月以来のロングセラーモデルである「WF-1000XM3」を用意。iPhone、Androidスマートフォンの組み合わせ、自宅、電車内、そして人の行き交う都内の繁華街でノイズキャンセリング性能や接続性、音質をさっそく確かめてみた。
今回は「WF-1000XM4」と「WF-1000XM3」を用意していろいろ比べてみた
手元に届いた「WF-1000XM4」と「WF-1000XM3」を比べてみると、まず“かなり小さくなった”というのが第一印象。「WF-1000XM3」は重量約8.5g、装着時の外見としても耳から横に伸びるような形状で大型サイズの部類だったが、「WF-1000XM4」は重量7.3gで耳から横にはみ出さない一般的なサイズ感で、耳に広く触れる一般的な形状に。ちなみに、「WF-1000XM4」はIPX4と雨や汗程度をカバーする防滴仕様だ。
実は「WF-1000XM4」は「WF-1000XM3」と比べてパッケージも超小型化されている
小型化され一般的なイヤホンに近い形状になった「WF-1000XM4」
「WF-1000XM4」は耳から横に伸びない形状になった
前方から見てもほとんど飛び出しは気にならない
付属イヤーチップは「ノイズアイソレーションイヤーピース」。独自開発のポリウレタンフォーム素材で内部は変形可能な傘構造という特殊構造で、実際に装着してみるとフォーム系としてはソフトで密閉感重視。指で潰さなくてもそのまま耳に挿入可能だ。「WF-1000XM3」はシリコン系、ウレタン系が選べたが、「WF-1000XM4」は「ノイズアイソレーションイヤーピース」ですべてをカバーできるという判断なのだろう。
ウレタン系ながらソフトで装着しやすい「ノイズアイソレーションイヤーピース」
「WF-1000XM4」は機能面でも業界初を多数搭載している。SoCはソニーによる統合プロセッサー「V1」でBluetooth通信チップも内蔵。ノイズキャンセリングの売り文句は“業界最高クラスノイキャン”で、高周波数ノイズの低減する精度に大きく関わる逆位相信号の遅延処理が大幅に強化された。メーカーの資料によると全帯域でノイズキャンセリング性能が引き上げられており、「WF-1000XM3」では弱かった人の声などの中高域にも効果を発揮しやすくなっているという。
バッテリー性能も強化されていて、ノイズキャンセリングONでイヤホン単体で8時間再生、付属充電ケース込みで24時間となった。充電ケースは小型化され、ポケットにも収まりやすくなったし、Qi規格対応のワイヤレス充電も利用可能だ。
「WF-1000XM4」の充電ケース
「WF-1000XM3」と比べるとケースも小型化されている
さっそく、気になる「WF-1000XM4」のノイズキャンセリング性能からチェックしていこう。
まずは屋内で「WF-1000XM4」を装着して試してみた。エアコンやPC動作音などを完全に消し去る、優秀なノイズキャンセリング性能だ。となりの部屋で流しているテレビの音声もきれいに除去。人の声はやや残るものの、騒音の種類を問わず全体的に耳栓のように抑えてくれる。ちなみに、同じ環境で「WF-1000XM3」を装着すると、エアコンの動作音もわずかに聴こえ、ホワイトノイズも感じられる。「WF-1000XM4」のノイズキャンセリング性能はかなり精度がアップしており、これなら快適に音楽リスニングを楽しめるはずだ。
電車内に「WF-1000XM4」を持ち込んでノイズキャンセリング性能をテスト
続いて、外出の際に「WF-1000XM4」を装着して走行する電車内でもテストを行った。取材日は気温30度を上回る真夏日だったこともあって、電車内のエアコンはフル稼働で、ゴーという轟音と高めのガーという音が響くかなり劣悪な条件だったが、エアコンの動作音は少し高めのガーという音が少し残る程度に低減。電車の走行音は重低音をうまく低減していて、窓が揺れるようなカタカタという音は軽く残る程度だ。「WF-1000XM3」と比べると、エアコンの動作音や電車のガタガタとした音は「WF-1000XM3」のほうがはっきり残る。メーカーは「WF-1000XM4」では全帯域でノイズキャンセリング性能を引き上げたと説明しているが、確かに低域から高域までノイズ低減効果は着実に向上しているようだ。
電車内でのノイズキャンセリング性能も「WF-1000XM3」から着実に向上していた
ちなみに、外音取り込み機能については引き続き20段階で調整でき、人の声のみを聴きやすくするボイスフォーカスも利用できる。新機能「スピークチャット」で、自分が声を発すると15秒間自動で外音取り込みに切り替える機能もなかなか便利だ。