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デノンのサウンドマイスターが全面開発

エントリー機で“Hi-Fi的サウンド”を実現するデノンの新しいAVアンプ「AVR-X1700H」

デノンは、同社製AVアンプの新しいエントリーモデル「AVR-X1700H」を発表した。メーカー希望小売価格は77,000円(税込)で、2021年11月下旬の発売を予定している。エントリーラインの製品ながら、8K映像や「Dolby Atmos」に対応しており、コストパフォーマンスの高さがうかがえる1台だが、本機の特徴はそれだけではない。従来のデノン製AVアンプから、根本的なサウンドの方向性を大きく進化させているのだ。以下、詳細を紹介しよう。

8K&Dolby Atmos対応で7万円台のAVアンプ入門機

まずは、AVR-X1700Hの基本スペックを見ていこう。本機は、最大出力175Wのディスクリートパワーアンプを7基と、2系統のサブウーハー出力を搭載した7.2ch出力モデルとなる。HDMIポートは6入力/1出力を備えており、入力のうち3系統で8K/60Hz、4K/120Hzの映像伝送に対応。もちろん8Kアップスケーリング機能も搭載する。HDR規格はHDR10/HDR10+/HLGに準拠するほか、eARCや、ALLM Pass-through/VRR/QFT/QMSなどの規格もしっかりサポートしているなど、ゲームでの利用も意識した仕様となっている。

本体サイズは434(幅)×215(高さ)×339(奥行)mmで、重量は8.6kg。定格出力は80W/ch(8Ω,20〜20kHz,THD 0.08%,2ch駆動)を確保する。8K対応のHDMI入力ポートが3系統も装備されているのは、エントリーモデルとしては豪華な作り

本体サイズは434(幅)×215(高さ)×339(奥行)mmで、重量は8.6kg。定格出力は80W/ch(8Ω,20〜20kHz,THD 0.08%,2ch駆動)を確保する。8K対応のHDMI入力ポートが3系統も装備されているのは、エントリーモデルとしては豪華な作り

オーディオフォーマットとしては、「Dolby Atmos」「DTS:X」などの3Dサラウンドに対応するのに加え、トップスピーカーがない状態でもイマーシブオーディオを再現するバーチャルサラウンド技術「Dolby Atmos Height Virtualizer」にも対応。さらに、BS 4K/8K衛星放送で採用される音声規格「MPEG-4AAC(ステレオ、5.1ch)」のデコードにも対応している。

本体にはWi-Fi(IEEE802.11a/b/g/n/ac)を搭載しており、ネットワーク音楽再生機能も充実。デノン独自のマルチルームオーディオ再生「HEOS」による連携操作に対応し、ネットワーク/USB経由でのハイレゾ再生が可能で、最大192kHz/24bitまでのWAV/FLAC/ALAC、5.6MHzまでのDSD再生が行える。また、「Amazon Music HD」や「Spotify」など音楽ストリーミングサービスの聴取も可能だ。このほか、アップルの「AirPlay 2」に対応するほか、Bluetooth周りは音声入力に加えて外部機器へのBluetooth音声出力にも対応する。

なお、現行のデノン製AVアンプの中で最エントリー機となるのは、2018年に登場した「AVR-X550BT」だが、こちらは必要最低限の機能を押さえたシンプル機という位置づけである。上述のように、最新のHDMIスペックに対応して8K伝送をサポートし、Dolby Atmosなどに対応するデノン製AVアンプとしては、今回のAVR-X1700Hが最も安価なモデルとなる。

しかし記事の冒頭でもお伝えした通り、本機の最大の特徴は機能やスペックだけではなく、従来モデルと比較してサウンド面が大きく進化していること。続いては、このあたりについて見ていこう。

デノンのHi-Fiオーディオと同じ「Vivid&Spacious」をコンセプトにした新しい音作り

AVR-X1700Hの大きな特徴は、デノンのハイエンドオーディオ製品の開発を担当してきた同社のサウンドマイスター、山内慎一氏が全面的に開発に携わっていることである。これまでも、デノン製AVアンプの最終的なサウンドのチェックは山内氏が行っていたのだが、今回のAVR-X1700Hでは、開発時のパーツの選定段階から同氏が担当している。つまり、エントリーラインながら、デノンのHi-Fi的な思想をフルに投入したAVアンプとも言えるのだ。

もちろんその開発思想は音に大きく現れている。AVR-X1700H のサウンドコンセプトは、デノンのHi-Fiオーディオと同じ「Vivid&Spacious」。オーディオ再生に求めたいシャープな音像やフォーカス感、そして高い分解能や精度感を実現した、「一段階上のHi-Fi的なサウンドが鳴るAVアンプ」とでも言えばよいだろうか。

7万円台で買えるAVアンプ入門機として、リビングに設置するなどカジュアルに楽しめる位置づけのAVR-X1700H。しかし、そのサウンドはかなり作り込まれているのだ

7万円台で買えるAVアンプ入門機として、リビングに設置するなどカジュアルに楽しめる位置づけのAVR-X1700H。しかし、そのサウンドはかなり作り込まれているのだ

100以上の内部パーツを刷新し、全体の作り込みを徹底

AVR-X1700Hの内部設計は、ヒートシンクや電源トランスからの振動を受けにくく、かつ信号経路のミニマイズを考慮したレイアウトなど、基本の部分は以前から継続しながらブラッシュアップされている。それに加えて肝となっているのが、上述の「Vivid&Spacious」なサウンドを実現するために山内氏が行った細部の作り込みだ。

本機の設計は、従来モデルである「AVR-X1600H」をベースにスタートしたが、その際に山内氏が1つひとつの音質をチェックしながらパーツを変更していったという。たとえば、本機で新しくなったパーツのひとつにパワートランジスタがあるが、これは内部のパターンニングを変更するところから設計が始まった。

さらに、本体に使用しているワイヤリング・ビスの選定や、緩衝材の変更、電解コンデンサーの耐圧・容量等を変更するなど、70箇所の電子部品を含めて100以上のパーツを見直している。それこそ、パーツのワイヤリングを引き回す位置に至るまで、徹底して設計を突き詰めたとのことだ。従来のAVアンプ製品、ましてやエントリーモデルとなる1000番台のモデルでは、ここまでの作り込みはこれまで行っていなかった。

アナログ入力端子をトランスから極力離して配置することでノイズの影響を低減するなど、細部に至るまで高音質設計思想を反映。DAC、DSP、HDMI用のデジタル電源基板も一新され、エルナー製コンデンサーなどの音質対策パーツを使用することにより、サウンドの純度を高め、より広い空間表現力の獲得につなげている

アナログ入力端子をトランスから極力離して配置することでノイズの影響を低減するなど、デノン製AVアンプが持つ高音質設計思想を継承しながら細部をしっかりブラッシュアップした作り

電源部は、本機専用にチューニングされた10,000μFの大容量カスタムコンデンサー×2や、大型EIコアトランスを採用することで、余裕のある電源供給を実現。パワー段とプリ部は独立した巻線から電源生成する仕様としている。また、基板のパターンを太くすることで、5ch同時再生時でも定格出力の70%以上という大出力が可能に。また、アナログビデオ回路用電源をSMPSから供給することにより、ビデオの動作電流がオーディオ回路に影響を与えない設計になっている

電源部は、本機専用にチューニングされた10,000μFの大容量カスタムコンデンサー×2や、大型EIコアトランスを採用することで、余裕のある電源供給を実現。パワー段とプリ部は独立した巻線から電源生成する仕様としている。また、基板のパターンを太くすることで、5ch同時再生時でも定格出力の70%以上という大出力が可能に。また、アナログビデオ回路用電源をSMPSから供給することにより、ビデオの動作電流がオーディオ回路に影響を与えない設計になっている。DAC、DSP、HDMI用のデジタル電源基板も一新され、エルナー製コンデンサーなどの音質対策パーツを使用することにより、サウンドの純度を高めた

DAC部には、山内氏が入念なリスニングテストを行って選択したという32bit対応の高音質D/Aコンバーターを採用。さらに温度変化による抵抗値のばらつきが小さく、電流起因によるノイズと歪みが少ない薄膜抵抗を使用することで、DACの性能を最大限引きせるようにしている。出力段にはより高性能なオペアンプを追加し、ドライブ能力をさらに向上させた

DAC部には、山内氏が入念なリスニングテストを行って選択したという32bit対応の高音質D/Aコンバーターを採用。さらに温度変化による抵抗値のばらつきが小さく、電流起因によるノイズと歪みが少ない薄膜抵抗を使用することで、DACの性能を最大限引きせるようにしている。出力段にはより高性能なオペアンプを追加し、ドライブ能力をさらに向上させた

プリアンプ、ボリューム回路は、半導体メーカーと共同開発した入力セレクター、ボリューム、出力セレクターそれぞれの機能に特化したカスタムデバイスを採用。フラッグシップモデル「AVC-X8500HA」にも採用されている高性能デバイスで、最適な配置で基板上に実装した

プリアンプ、ボリューム回路は、半導体メーカーと共同開発した入力セレクター、ボリューム、出力セレクターそれぞれの機能に特化したカスタムデバイスを採用。フラッグシップモデル「AVC-X8500HA」にも採用されている高性能デバイスで、最適な配置で基板上に実装した

2019年に発売されてヒットしたサウンドバー「DHT-S216」や、2021年10月に発売予定の完全ワイヤレスイヤホン「AH-C830NCW」「AH-C630W」など、近年のデノンのAV系製品には、山内氏が全面的に開発に携わるプロダクトが増えている。今回のAVR-X1700Hも、その流れをくむ1台と言えるだろう。特に、AVアンプのエントリーラインでそれが実現されたことに注目したい。AVアンプによる映像&音楽再生をこれから始めてみようというエントリーユーザーに、高品位なサウンドでその楽しさを強く訴える1台となるだろう。

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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