旅先や移動中などに、いつも見ているテレビ番組を視聴できると便利です。今回はこの、いつでもどこでもテレビ番組をスマホやタブレットなどで視聴する方法を紹介します。
スマホやタブレットからの視聴に対応するネットワークレコーダーを使えば、テレビ番組のリアルタイム視聴や録画番組の視聴ができる(画面はバッファロー製の「nasne」の使用例、再生画面はイメージ)
スマホやタブレットからテレビ番組を視聴する方法は、大別すると3つあります。
ひとつ目は、スマホやタブレットからテレビ番組の視聴ができるネットワークレコーダーの活用です。多機能でいちばん使い勝手はよいと思います。以下では、バッファロー製の「nasne(ナスネ)」の使い方を紹介します。
2つ目は、スマホやタブレットにワンセグ/フルセグチューナーを装着して視聴する方法です。手軽なのですが、電波の状態によっては視聴しづらくなることがあります。また、最近はチューナーの選択肢が少なくなっています。
3つ目は、テレビ局が提供する視聴アプリの活用です。こちらは、無料で利用できます。見逃し番組の視聴のほか、リアルタイムに番組視聴できる機能も提供されています。
以下では、これら3つの視聴方法について解説します。
nasneは、地上デジタルとBS/110度CSデジタルチューナーを搭載し、テレビ番組のリアルタイム視聴や録画視聴ができるネットワークレコーダー&メディアストレージです。
2TBのハードディスクを内蔵し、ファイルサーバー、音楽、写真、動画のメディアサーバーとしても活用できます。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2019年まで販売していたnasneをバッファローが継承し、2021年に販売を再開しました。
対応ハードウェアは、iPhone、iPad、Androidスマホ/タブレット、Windowsパソコン、PlayStation 4、メディアリモコン(PlayStation 5専用)です。
なお、詳しくは後述しますが、テレビの視聴や録画番組の書き出しには、別途オプションになっている機能を購入する必要があります。
nasneの主なスペック
●チューナー:地上デジタル/BSデジタル/110度CSデジタル
●内蔵HDD:2TB
●入力端子:LAN端子
アンテナ入力端子(地上デジタル/BS/110度CS 混合アンテナ入力)
アンテナ出力端子(地上デジタル・BS/110度CS 混合アンテナ出力)
外付けHDD端子(USB2.0 最大6TB)
●本体サイズ:約44.5(幅)×187(奥行)×135(高さ)mm(最大突起部含む)
nasneを利用するには、付属のテレビケーブルとLANケーブルを使って、テレビ、無線LANルーターとそれぞれ接続します。
壁からのテレビケーブルは、nasneを経由してテレビに接続することになります。
ただ、nasneのアンテナ入力とアンテナ出力端子は地上デジタルとBS/110度CSの混合なのでケーブルは1本です。テレビ側の地上デジタルとBS/110度CS入力端子が分かれていて、BS/110度CS放送を視聴する場合は、別途分波器が必要になります。
説明書やオンラインマニュアルにしたがえば、接続方法はいたって簡単です。筆者は5分もかからずに接続を終了しました。
付属のケーブルを使って、nasneをテレビと無線LANルーターに接続する。中央の機器がnasne
準備ができたら次に、nasneの初期設定と、テレビを視聴する機器とのペアリングをします。
以下では、iPhoneを使って手順を説明します。
設定や視聴、録画予約などには専用のアプリ「torne mobile」を利用するので、iPhone/iPadはApp Store、Androidスマホ/タブレットはGoogle Playからダウンロードします。
ダウンロードしたらアプリを起動し、案内にしたがって初期設定を行います。
途中、「引き継ぎパスワード」の利用を尋ねられます。これは、機種変更などで別の端末を使うときに利用するのですが、購入した有料コンテンツ(後述)などを引き継ぐときに利用するものです。
あとは、居住地域、性別、生年、ニックネームを設定すれば終了です。
アプリの初回起動時、画面の案内にしたがって初期設定を行う。「データ引き継ぎ」で、旧端末から新端末に情報を引き継ぐ機能もある
続けて、nasneと視聴に利用する機器とを紐付けるためにペアリングを行います。また、視聴可能なチャンネルの設定もここで行います。
準備で行った機器間の接続に問題がなければ、自動的に同一ネットワーク上にあるnasneが検出されるので、タップ。nasneには名前を付けることができ、初期設定の「nasne」から変更することも可能です。
次に、受信可能なチャンネルを検索するために、再度居住地域を選択。スキャンが始まり、居住地域で視聴可能な地上デジタル放送のチャンネルリストが表示されます。
同様に、BSデジタル放送、110度CSデジタル放送の受信可能チャンネルをスキャンし終わったら、すべての設定は終了です。
検出されたnasneをタップして受信可能チャンネルのスキャンを実行する
テレビのリアルタイム視聴や録画番組の再生には「視聴再生機能」を購入する必要があるので、初回に一度だけ購入します。購入しない場合、1分間だけ試用することもできます。
「torne mobile」のホーム画面にある「TV」をタップすると、「視聴再生機能」の購入をうながされるので案内にしたがい、ストアに移動します。
iPhone/iPadの場合、「視聴再生機能」は610円(税込、以下同)。App Storeから購入することになります。
また、録画番組を端末に書き出す「書き出し機能」は860円です。そのほか、アプリのデザイン変更機能も購入することができます。
テレビ視聴ができるように「視聴再生機能」を購入する
この有料コンテンツの使用権は端末に紐付けられているので、別の端末を使って視聴や書き出しをするときは、その端末でも同様に購入しなければなりません。
Androidスマホの場合は、「視聴再生機能」が500円、「書き出し機能」は840円です(価格はすべて税込)。
有料コンテンツは端末ごとに購入する必要がある
ただし、同じApple IDのiPhoneとiPadの場合は、いっぽうで購入すると他方は無料で入手できました。
iPhoneとiPadは一度購入すれば両端末で利用できる
「視聴再生機能」を購入したら、テレビの視聴が可能になります。ホーム画面の「TV」をタップするだけで、すぐに再生が始まります。
スマホを横向きにすると全画面での再生になり、再生画面をタップすると下部に番組表を表示。ここから、チャンネルの切り替えを行います。
この視聴方法は、宅内でも、外出先のスマホによるモバイル通信でも同じです。ただ外出先の場合、モバイル通信を利用するかの確認画面が表示されます。確認画面は、設定で非表示にもできます。
「TV」をタップすると再生が始まる(再生画面はイメージ)
スマホを横向きにすると全画面表示に(再生画面はイメージ)
再生画面をタップすると番組表が表示される(再生画面はイメージ)
宅内や外出先から、予約録画をすることができます。操作は、宅内でも外出先でも共通です。
ホーム画面の「GUIDE」をタップすると、番組表が表示されます。スマホを横向きにすると、番組表が見やすくなります。ここから、予約録画したい番組を探してタップ。
予約画面が表示され、録画先、繰り返し録画、録画モードを選択できます。
繰り返し録画では、「一回録画」「毎日」「月〜土」「月〜金」「毎週」を選択でき、録画モードでは「3倍モード(標準)」か「DRモード(高画質)」を選択できます。
ちなみに、録画データの容量は、「3倍モード(標準)」だと1時間で約5GB、「DRモード(高画質)」だと1時間で約10GBです。
オプションを選択したら「予約する」をタップ。録画予約の完了画面が表示されるので「OK」をタップします。
これで、録画の予約は完了です。
予約録画したい番組をタップしてオプションを設定し、「予約する」をタップ
録画した番組は、ホーム画面の「VIDEO」をタップすると一覧表示されます。あとは、見たい番組名をタップすると再生が始まります。
自宅だけでなく、外出先からも同様の操作で視聴が可能です。
録画した番組の一覧から見たい番組をタップして再生する。画面は外出先からの操作で、その場合は右上に「ネットワーク」のアイコンが追加表示される
番組を書き出すには、前述の「書き出し機能」を購入する必要があります。
購入したら、録画番組の一覧を表示。書き出したい番組を長押しします。画面右にメニューが表示されるので、「ビデオの書き出し」をタップ。
案内画面が表示され、容量と書き出しにかかる時間の目安が表示されます。「開始する」をタップすると確認の画面が表示されるので「OK」をタップ。これで、書き出しが始まります。
30分の番組の容量は0.64GBと、かなり小さくなっていました。
書き出したい番組を長押しして「ビデオの書き出し」をタップ
案内画面で「開始する」をタップ
書き出しが完了すると、録画番組の一覧に追加表示されます。書き出した番組の右端に、スマホのアイコンが表示されるので、書き出した番組であることを識別できます。
通常の録画番組にはnasneのアイコンが、書き出した番組にはスマホのアイコンが表示される
書き出した番組の画質は若干低下しますが、気になるほどではありません。
ワンセグ/フルセグチューナーを購入してテレビ番組を視聴する方法もあります。最近は製品が少なくなりつつありますが、現行品で注目のチューナーを紹介します。
アマゾンなどのショッピングサイトではさまざまなチューナーが販売されていますが、すでにメーカーが取り扱っていない古い製品も多数見受けられます。購入を検討するときには、対応のOSなどをしっかりと確認する必要があります。
「Xit Stick(XIT-STK210)」は、iPhone/iPad向けのワンセグ/フルセグチューナーです。Lightning端子に接続するタイプなので、USB-C(Type-C)端子のiPadでは利用できません。
地上デジタル放送のフルセグ視聴が可能で、電波の状態が不安定でフルセグが受信できないときには自動でワンセグに切り替わります。
専用の視聴アプリでは、テレビ番組を録画することも可能です。チューナー自体に充電の必要がないので、手軽に携行して利用できるのが便利です。
Lightning端子に接続するワンセグ/フルセグ対応のTVチューナー
「Kenko KR-012AP」は、iPhone/iPad向けで地上デジタル放送を視聴できるワンセグチューナーです。Lightning端子に接続して利用します。
放送中の番組を巻き戻して再生したり、テレビ番組の音声をバックグラウンドで再生しながら別のアプリを利用できるなど、使い勝手がよいです。テレビ番組の録画も可能です。
本体に接続するロッドアンテナのほか、高感度のスタンドアンテナが付属し、受信感度を向上させることができます。
小型で携帯性にすぐれ、アンテナで受信感度を向上できる
放送局が提供するアプリを使ってテレビ番組を視聴する方法もあります。
「TVer(ティーバー)」は、「日本テレビ」「TBSテレビ」「フジテレビ」「テレビ朝日」「テレビ東京」などの民放放送局が地上波のテレビ番組を無料で配信する公式の動画配信サービスです。「NHK」の番組も配信されています。
ドラマやバラエティ、アニメなど、約500のテレビ番組が見放題で、見逃した番組をスマホ、タブレット、パソコン、テレビで視聴することができます。
2022年4月からは、ゴールデン・プライムタイムの番組をリアルタイムで視聴することも可能になっています。ただし、リアルタイム配信の視聴は、スマホ、タブレット、パソコンでのみ可能です。
見たい番組をタップするだけで、いつでもどこでもテレビ番組を視聴できる。リアルタイムの番組配信もある
●アプリの入手先
iOS/iPadOS:https://apps.apple.com/jp/app/tver-ティーバー-民放公式テレビ配信サービス/id830340223
Android:https://play.google.com/store/search?q=TVer&c=apps&hl=ja
「NHKプラス」は、総合テレビやEテレの番組を放送同時配信、見逃し番組配信(放送後1週間、一部最長2週間)するサービスです。スマホ、タブレット、パソコン、テレビで視聴できますが、放送同時配信はテレビからの視聴ができません。
視聴は無料ですが、利用前、受信契約の状況を確認するために、受信契約者本人が利用申し込みをすることになります。
利用申し込みをしない場合、放送同時配信のみの視聴になります。また、画面上に受信契約を確認するための情報提供を求めるメッセージが常に表示されます。
はじめに、受信契約の状況を確認するために利用申し込みをして利用する
●アプリの入手先
iOS/iPadOS:https://apps.apple.com/jp/app/nhkプラス/id1497264915
Android:https://play.google.com/store/search?q=NHKプラス&c=apps&hl=ja
このほか、テレビ局がそれぞれ独自に番組配信するアプリもありますので、以下に紹介しておきます。
・「日テレTADA」(日本テレビ)
・「TBS FREE TV」(TBS)
・「FOD」(フジテレビ)
・「テレ朝動画(テレ朝見逃し)」(テレビ朝日)
・「ネットもテレ東」(テレビ東京)
今回nasneを使ってみて思ったのは、いつでもどこでも、見たい番組を見られる自由度です。
しかも、地上デジタル放送だけでなく、BSや110度CS放送まで対応しているので、録画予約を上手に使えば見たい番組を見逃すことはありません。
テレビを置いているリビングにいなくても、仕事部屋やベッドの上でテレビを見られるのは、とても便利に感じました。
家族がテレビを見ているときに、別の部屋で放送中の番組を見たり、録画しておいた番組を見る、といった使い方もできます。
いっぽう、地上デジタル放送のみにはなりますが、機器を購入することなく無料の番組配信アプリで十分だという人も多いでしょう。
いずれにせよ、テレビ好きにとっては便利な機器であり、サービスです。
ご自宅や移動中、旅先などで、ご自分の使い勝手に合わせて、活用してみてはいかがでしょうか。
パソコンからモバイルまで、ハード&ソフトのわかりやすい操作解説を心がける。趣味は山登りにクルマという、アウトドア志向のIT系フリーライター。