アイリスオーヤマから、「LUCA(ルカ)シリーズ」の4K液晶テレビ新製品が2022年9月1日に発売された。発売に先駆けて行われた、メディア向けの体験会の様子を交えて、新製品の詳細をレポートする。
65V〜43V型の画面サイズで計5モデルの4K液晶テレビがラインアップ
生活家電、収納・インテリア用品、寝具・ベッド、生活用品など幅広いジャンルの製品を展開するアイリスオーヤマ。家電製品では、他メーカーにはないようなユニークな機能を持つ白物家電が有名なので、「アイリスオーヤマの家電=白物家電」のイメージが強いかもしれないが、最近は液晶テレビを中心に黒物家電にも力を入れている。
同社の液晶テレビ事業を振り返ると、まず、2018年に同社初の4K対応液晶テレビを発表。続いて、2019年に黒物家電事業への本格参入を表明し、音声操作機能を持つユニークな4K対応液晶テレビをリリースした。2020年には、番組ジャンルに応じて画質・音質を自動調整する「AIオート機能」搭載の4K液晶テレビを発売。ここ数年でラインアップを拡充している。
黒物家電として、液晶テレビのほか、タブレット、液晶ディスプレイ、ウルトラワイドモニターなども手がけている
2022年9月1日に発売が開始された新製品は、より高画質・高音質なスペックを実現した4K液晶テレビ5モデル。65V/55V/50V/43V型の画面サイズ展開で、いずれも、VA方式で60Hz駆動の4K液晶パネル(3840×2160)を採用している。
画質面では、全モデルが、同社の4K液晶テレビとして初めてHDR技術「Dolby Vision」に対応するのがトピック。2モデル用意する55V型のひとつ「55XQDA20」は、量子ドット技術を用いた「QLED」パネルを採用しており、従来よりも鮮やかな色彩とリアリティのある緑色・赤色の表現が可能だ。
55V型モデルのひとつ「55XQDA20」は、量子ドット技術を使った「QLED」パネルを採用することで、鮮明な色彩表現を実現している
「QLED」パネル(左)と従来の液晶パネル(右)の比較デモ。「QLED」パネルでは、赤色や緑色がより鮮やかに表示されている
「QLED」パネルの比較デモでは、その場で撮影している映像をテレビに表示していた
音質も強化しており、全モデルが立体音響技術「Dolby Atmos」に対応。動画配信サービスなどで「Dolby Atmos」対応コンテンツを視聴する場合、より立体的なサウンドを楽しむことができる。なお、スピーカーは12W×2chで共通だが、スピーカーユニットの仕様は、モデルによって異なるとのことだ。
頭上から音が聴こえてくるようなサウンドを実現する立体音響技術「Dolby Atmos」に対応
このほかの機能やインターフェイスなどは、全モデルで共通だ。
機能面では、ジャンルに合わせて画質と音質を自動調整する独自の「AIオート機能」を搭載するのがポイント。ニュース番組の場合は「映像や人物を自然な色合いで表現し、聞き取りやすくクリアな音声に調整する」、映画の場合は「フィルム感のある色合いと立体感のある音響で再現する」といったように自動的に調整してくれる。さらに、個人の好みをAIオート映像に反映できる「かんたん映像設定」モードも新たに追加されている。
ジャンルに合わせた映像と音に自動調整する「AIオート機能」を搭載
プラットフォームはAndroid TVで、Googleでの音声操作や、Chromecast built-inでのキャストに対応。付属リモコンの上部には、「TVer」「YouTube」「Amazon Prime Video」「U-NEXT」「Hulu」「ABEMA」といった6種類の動画配信サービスを直接呼び出せるボタンを用意する。
Android TVプラットフォームを採用し、各種動画配信サービスに対応。付属リモコンから「TVer」「YouTube」「Amazon Prime Video」「U-NEXT」「Hulu」「ABEMA」に直接アクセスできる
インターフェイスは、HDMI入力端子としてHDMI(Ver.2.0b)を3基、eARC対応HDMIを1基搭載。音声出力として、3.5mmステレオミニジャックと光デジタル音声出力を備える。USB端子は、録画用の外付けHDDを接続するUSB 3.0端子と、USBメモリーなどを接続するUSB 2.0端子を装備する。
無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANとBluetooth 5.0に対応。有線LAN端子も備わっている。内蔵チューナーは、地上デジタル/BS/CSデジタル、BS 4K/110度CS 4Kをそれぞれ2基搭載する。
同社が販売する、壁寄せ設置が可能なスタンドタイプのテレビ台と組み合わせた展示も見られた
製品ラインアップと市場想定価格(税込)
・65V型モデル「65XDA20S」 162,800円
・55V型QLEDモデル「55XQDA20」 140,800円
・55V型モデル「55XDA20」 109,780円
・50V型モデル「50XDA20」 98,780円
・43V型モデル「43XDA20」 87,780円
4K液晶テレビと合わせて、「LUCAシリーズ」のAndroidタブレット「LUCAタブレット TM152M8N1」も発表された。
最大の特徴は、タブレットとして最大級となる、15.6型の大きなフルHD液晶パネル。据え置き型モニターに匹敵する見やすさと、タブレットとしての持ち運びやすさの両立を狙い、この大きなサイズのパネルを採用している。大画面のため、動画視聴や電子書籍での使用に適していると同時に、Web会議やオンライン授業などでの画面分割や資料共有もスムーズに行うことが可能だ。
15.6型フルHD液晶パネルを採用。タブレットとしては最大級の画面サイズだ
大きな画面を生かし、Web会議時などに画面を分割をしても視認性をキープできる
付属の専用スタンドでタブレットを自立・固定できる
15.6型の大きな液晶パネルを採用しているため、筐体は相応に大きくて重い。サイズは364(幅)×224(高さ)×11(奥行)mm(突起部を除く)で重量は1250gと、両手で持ち運べるギリギリのサイズ感だ。バッテリー容量は8000mAhで、使用可能時間は公表されていないが、画面輝度などを標準的な設定にした状態の場合、フルHD映像を約6時間再生可能とのこと。
ハードウェアのスペックは、CPUが「MediaTek MT6779」、GPUが「PowerVR GM9446」、メモリー容量が8GB、ストレージ容量が128GB。フロント/リアに8MPのカメラを備える。UHS-II対応のmicroSDメモリーカードスロットも搭載。無線機能は、IEEE 802.11 a/b/g/n/ac対応の無線LANとBluetooth 5.0に対応している。OSはAndroid 12。
発売は2022年9月15日で、市場想定価格(税込)は121,980円。
専用スタンドは、アイリスオーヤマらしいシンプルなデザイン
アイリスオーヤマは、ここ数年、家電製品の開発体制を強化しており、直近では2021年に、角田I.T.P.(宮城県角田市)、大阪R&Dセンター(大阪府・心斎橋)に続く、3つ目の研究開発拠点として東京R&Dセンター(東京都・蒲田)を開設した。技術職の採用にも力を入れていて、東京R&Dセンターでは、開設から約1年で約30名のキャリア人材を採用したとのことだ。
今回紹介した新しい4K液晶テレビは、そうした開発体制の強化によって生まれた製品。「QLED」パネル採用モデルでは、パネルに合わせて映像エンジンをしっかりとチューニングすることで、より階調性の高い映像表現を実現した。音質も、新製品体験会でチェックした限り、ナチュラルで聞き疲れしない感じで好印象だった。画質・音質の両面でレベルアップを図った製品に仕上がっている。
また、外観デザインがとてもシンプルで、同社が販売するテレビ台とマッチングが取れているのも押さえておきたい点だ。ローボードタイプ、コーナータイプ、壁寄せ設置対応のスタンドタイプなど多彩なテレビ台を、テレビと合わせて購入できるのも同社の強みと言えよう。
スタンドタイプのテレビ台は、ローボードタイプやコーナータイプと比べて、テレビをすっきりと設置でき、テレビ周りのスペースを広く使えるのが魅力だ
フリーランスから価格.comマガジン編集部に舞い戻った、カメラが大好物のライター/編集者。夜、眠りに落ちる瞬間まで、カメラやレンズのことを考えながら生きています。