Bose「QuietComfort Earbuds II」。価格は36,300円
Boseのノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン「QuietComfort Earbuds II」の9月29日発売に先駆け、メディア向け体験会が開催されました。
「QuietComfort Earbuds II」の特徴についてはこちらの記事ですでに紹介をしていますが、簡単に説明すると、従来モデルの「QuietComfort Earbuds」から本体デザインが刷新されてよりコンパクトになったほか、パーソナライズ機能が新たに搭載され、ノイズキャンセリング性能とサウンドが強化されました。特にノイズキャンセリング機能は、完全ワイヤレスイヤホンタイプの製品ながら、世界最高(※)をうたうノイズキャンセリング性能となっています。今回は「装着感」「ノイズキャンセリング」「外音取り込み」「音質」を中心にレポートをお届けします。
※2022年6月20日時点、Bose調べ。ANSI/ASA S12.42-2010に則る
まずは「QuietComfort Earbuds II」の本体からチェックしていきましょう。「QuietComfort Earbuds II」は、従来モデルの「QuietComfort Earbuds」に比べて約3分の1のサイズに、重さは左右各6g(従来モデルは8.5g)とかなりコンパクトに生まれ変わりました。「QuietComfort Earbuds II」と「QuietComfort Earbuds」を横並びにすると、「QuietComfort Earbuds II」のコンパクトさが際立ちます。
かなり小さくなった「QuietComfort Earbuds II」
「QuietComfort Earbuds II」(写真左)と「QuietComfort Earbuds」(写真右)
耳の模型に装着したところ。「QuietComfort Earbuds II」がかなり小さくなっていることがわかります
実際に装着したところ
本体サイズが小さくなったことで気になるのが装着感ですが、「QuietComfort Earbuds II」では本体サイズのコンパクト化に合わせて、フィッティング機構を大きく変更。「QuietComfort Earbuds」では、イヤーチップとイヤーフィンが一体となっていましたが、「QuietComfort Earbuds」ではイヤーチップ・イヤーフィンそれぞれ別のパーツとなった「Bose Fit Kit」となりました。イヤーチップはS/M/Lの3種類、イヤーフィンはS/R/Lの3種類から選ぶことができます。なお、デフォルトではイヤーチップM、イヤーフィンSが装着されています。
イヤーチップはS/M/Lの3種類、イヤーフィンはS/R/Lの3種類から選べます
イヤーチップとイヤーフィンがそれぞれ独立しており、自分に最適なサイズを選べます
スマートフォン向けの専用アプリ「Bose Music」には、最適なイヤーチップを確認できるテスト機能も新たに搭載されました
実際に「QuietComfort Earbuds II」を装着してみましたが、本体サイズがコンパクトになったこともあり、「QuietComfort Earbuds」に比べて耳元の存在感がだいぶ小さくなりました。しかも、これだけ小さくなったのに、頭を前後左右に素早く動かしてもイヤホンの装着位置はまったくずれることがありません。このあたりは、「Bose Fit Kit」でイヤーチップとイヤーフィンそれぞれで最適なサイズを選べるようになったことが功を奏しているのでしょう。
また、イヤホン本体を長時間装着してみたところ、装着時の耳への負担が大きく軽減されている印象を受けました。「QuietComfort Earbuds」は長時間装着していると耳が痛くなることがあったのですが、「QuietComfort Earbuds II」は耳が痛くなるような感じは皆無です。ノズルの太さは「QuietComfort Earbuds」とほぼ同じとのことですが、イヤーチップで使われているシリコンの厚みが薄くなり、耳穴の中でイヤーチップが広がる際の圧力が小さくなったのが影響しているのかもしれません。「QuietComfort Earbuds」の装着感がちょっと苦手だったという人も、「QuietComfort Earbuds II」なら問題なく装着できそうです。
ノズル部分のサイズは同じですが、イヤーチップの形状と厚さが変更されたことで、長時間の装着でも耳が痛くなりにくいのもポイントです
ちなみに、「QuietComfort Earbuds II」はイヤホン本体のサイズがコンパクト化しただけでなく、専用ケースも「QuietComfort Earbuds」に比べてかなり小型化しています。イヤホン本体を縦に収納する形となり、厚みもかなり軽減されました。「QuietComfort Earbuds」の専用ケースはポケットに入れて気軽に持ち運ぶことを若干躊躇するほど存在感がありましたが、「QuietComfort Earbuds II」はポケットにスッと忍ばせ、より気軽に持ち運びできそうです。
ここからは、ユーザーが最も気になるであろうノイズキャンセリング機能まわりについて確認していきましょう。
冒頭でも軽く触れましたが、「QuietComfort Earbuds II」には、「CustomTuneテクノロジー」と呼ばれる独自のパーソナライズ機能が搭載されています。これまでBoseのワイヤレスイヤホンやヘッドホンを使ったことがあるという人はご存じかもしれませんが、Boseのワイヤレスイヤホンやヘッドホンは、電源をオンにした際に「ブォーン」という起動音が鳴ります。「QuietComfort Earbuds II」は、イヤホンを耳に装着した際にこの起動音を活用し、耳穴の反響音を瞬時に測定し、そこで得られた情報を活用して、ノイズキャンセリング効果や音質の最適化を実施しているのが大きな特徴となっています。
「CustomTuneテクノロジー」はケースから取り出した直後の装着時に毎回実行される仕組みになっています。本体のみで完結する仕組みで、スマートフォン向けの専用アプリ「Bose Music」との連携も不要なので、スマートフォンだけでなく、パソコンやデジタルオーディオプレーヤーとの組み合わせでも問題なく利用できます。「CustomTuneテクノロジー」で最適化後、音楽を流さないでデジタル耳栓のように使えるのもうれしいポイントですね。
「CustomTuneテクノロジー」では、ノイズリダクション信号をユーザーそれぞれの耳の特性に合わせて調整することで、ノイズキャンセリング性能が飛躍的にアップ。完全ワイヤレスイヤホンタイプの製品ながら、オーバーヘッドタイプの「NOISE CANCELLING HEADPHONES 700」や「QuietComfort 45 headphones」を上回る世界最高(※)のノイズキャンセリング性能を実現したといいます。これは、いやが上にも期待が高まります。
※2022年6月20日時点、Bose調べ。ANSI/ASA S12.42-2010に則る
今回の体験会では、地下鉄内を再現したという80dBの騒音を流した部屋の中で「QuietComfort Earbuds II」のノイズキャンセリング性能を確かめるというデモが行われました。イスに座っていると地鳴りのように足元から重低音が伝わってくるくらいのかなり激しい騒音だったのですが、音楽を流した状態でノイズキャンセリングをオンにすると、周囲の騒音はまったく耳に入ってきません。周囲の騒音とノイズキャンセリングをオンにした状態のギャップがすごすぎて、思わず“これはヤバい!”という言葉が出てしましましたが、それくらい強烈にノイズを抑え込んでくれていました。
また、ノイズキャンセリングをオンにした状態で音楽を流したまま、Boseの担当者が原稿を読み上げるというデモも行われたのですが、何も言わずに口を動かしているだけなのかと思ってしまうくらい、どんな内容を言っているのかまったくわからない状態でした。Boseの担当者によれば、「CustomTuneテクノロジー」により、これまでのノイズキャンセリング機能では難しかった中高域のノイズに対してより効果的に働きかけることができるようになり、特に人の声に対してのノイズ低減効果が劇的に向上したそうです。
完全ワイヤレスイヤホンの中でも「QuietComfort Earbuds」はかなり強力なノイズキャンセリングを搭載したモデルでしたが、「QuietComfort Earbuds II」の世界最高(※)のノイズキャンセリング性能というのは伊達じゃなく、「QuietComfort Earbuds」のノイズキャンセリング性能を余裕で上回ってきました。ノイズキャンセリング性能だけみれば、現時点で間違いなくトップクラスと言えるでしょう。
さらに、「QuietComfort Earbuds II」は、ここまで紹介してきたノイズキャンセリング機能をオンにする「Quietモード」のほかに、外音取り込みの「Awareモード」というものが用意されているのですが、こちらもかなり優秀です。マイクの数が片側4基(外側3基、内側1基)、左右合計8基と「QuietComfort Earbuds」から増加したこともあり、外音取り込み機能でよくあるマイクで外音を取り込んでいますという感じが一切なく、普段耳で直接聞いている音に限りなく近い自然な外音取り込みに仕上がっていました。アップル「AirPods Pro」は比較的外音取り込みが自然と言われていますが、「QuietComfort Earbuds II」の外音取り込み機能を体験してしまうと、正直霞むレベルです。
「QuietComfort Earbuds II」では、ノイズキャンセリング機能をオンにする「Quietモード」と外音取り込みの「Awareモード」の2つのモードから選べます
「QuietComfort Earbuds II」は左右のイヤホンで共通の操作体系になったことで、片耳利用時も便利になっています。デフォルトでは、「Quietモード」と「Awareモード」は長押しで切り替える形です
最後に、「QuietComfort Earbuds II」の音質についてレポートしていきましょう。従来モデルの「QuietComfort Earbuds」は、解像度よりもバランスを重視した心地よい自然な音色でユーザーからの評価もとても高かったですが、「QuietComfort Earbuds II」はちょっと違います。「QuietComfort Earbuds」と比べると、音場がより広くなり、クリアで重低音もしっかりと楽しめるメリハリの利いたサウンドといった感じです。「CustomTuneテクノロジー」によって、サウンドにも積極的に個人最適化を実施したことで、小音量でも聴き取りやすく、とても気持ちよく音楽を楽しめるのが好印象でした。
昨今の円安進行もあり、価格は36,300円と少々お高いですが、装着感のよさや圧倒的なノイズキャンセリング性能、自然な外音取り込み機能など、ノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンの中でも完成度はかなり高いモデルとなっています。その圧倒的な性能を、ぜひ一度体験してみてください。
9月29日の発売時点ではトリプルブラックのみの展開ですが、今年後半にはソープストーンも投入されます
AV家電とガジェット系をメインに担当。ポータブルオーディオ沼にどっぷりと浸かっており、家のイヤホン・ヘッドホンコレクションは100を超えました。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットも増えてます。家電製品総合アドバイザー資格所有。