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どっちが優秀? アップル「AirPods Pro(第2世代)」とBose「QuietComfort Earbuds II」を徹底比較

9月下旬に大注目のノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン2機種が発売となった。ひとつは、9月23日に発売されたアップル「AirPods Pro(第2世代)」、そしてもうひとつが9月29日に発売されたBose「QuietComfort Earbuds II」だ。

アップル「AirPods Pro(第2世代)」とBose「QuietComfort Earbuds II」

アップル「AirPods Pro(第2世代)」とBose「QuietComfort Earbuds II」

アップルとBoseという、以前からノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンの3大ブランドとして語られていたうちの2社(残りの1社はソニー)が同時期に新製品を発売したのは、何かの運命だろうか。

「AirPods Pro(第2世代)」は“最大2倍の雑音を消すアクティブノイズキャンセリング”、「QuietComfort Earbuds II」は“世界最高のノイズキャンセリング”と、アピールポイントも非常に似ている2モデル。技術的にも「AirPods Pro(第2世代)」はH2プロッサーによる「コンピュテーショナルアルゴリズム」、「QuietComfort Earbuds II」は装着時に耳の中を測定して個人最適化する「CustomTuneテクノロジー」を搭載してきた。

今回は、「AirPods Pro(第2世代)」と「QuietComfort Earbuds II」を6つのポイントで徹底比較していこう。

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ポイント1:外見と基本性能

まず、外見と基本性能をチェックしていこう。

「AirPods Pro(第2世代)」を見ると気付くのが…‥…2019年発売の「AirPods Pro(第1世代)」と変わらないデザイン。外形や寸法はまったく同じに揃えられていて、イヤホンの内側の黒いパーツの位置が変わった程度。いっぽう、「QuietComfort Earbuds II」は、旧機種と異なるスマートなショートスティック型に近い形になった。

「AirPods Pro(第2世代)」(写真左)と「QuietComfort Earbuds II」(写真右)

「AirPods Pro(第2世代)」(写真左)と「QuietComfort Earbuds II」(写真右)

実際に装着したイメージが下の写真だ。

「AirPods Pro(第2世代)」は、装着すると旧機種との違いがまったくわからない

「AirPods Pro(第2世代)」は、装着すると旧機種との違いがまったくわからない

デザインを刷新し、大幅にコンパクト化した「QuietComfort Earbuds II」

デザインを刷新し、大幅にコンパクト化した「QuietComfort Earbuds II」

装着感に関して補足すると、「AirPods Pro(第2世代)」は従来と同じく耳にある凹む溝にかけるイメージで、落ちにくい「QuietComfort Earbuds II」は旧機種から装着方法が大幅に変更され、「Bose Fit Kit」というイヤーチップとスタビリティバンドをそれぞれ独立してサイズを選べるようになった。サイズ調整するとホールド感は優秀だが、ジャストフィットしても耳穴への収まりは浅い形状。装着時はラクなのだが、気持ちとしての安心は感じづらいかもしれない。

「QuietComfort Earbuds II」も通常のイヤーチップに近い形状に

「QuietComfort Earbuds II」も通常のイヤーチップに近い形状に

「AirPods Pro(第2世代)」と「QuietComfort Earbuds II」の重量も実測してみた。

「AirPods Pro(第2世代)」は実測で5.28g

「AirPods Pro(第2世代)」は実測で5.28g

「QuietComfort Earbuds II」は実測で7gジャストだった

「QuietComfort Earbuds II」は実測で7gジャストだった

操作性については、「AirPods Pro(第2世代)」「QuietComfort Earbuds II」ともにタッチセンサー式。「AirPods Pro(第2世代)」は操作部(スティックの内側)の上下フリックで音量調整が可能、「QuietComfort Earbuds II」も外側の上下フリックで音量調整が可能だ。

「AirPods Pro(第2世代)」の操作

「AirPods Pro(第2世代)」の操作

「QuietComfort Earbuds II」の操作

「QuietComfort Earbuds II」の操作

「AirPods Pro(第2世代)」のバッテリー駆動時間は、イヤホン単体で最大6時間(空間オーディオとヘッドトラッキングを有効にした場合は最大5.5時間)、専用ケース併用で最大30時間。「QuietComfort Earbuds II」はイヤホン単体で最大6時間、専用ケース併用で最大24時間だ。専用ケースのサイズは下記の写真を参照してほしいが、「AirPods Pro(第2世代)」のほうがコンパクト。「QuietComfort Earbuds II」はワイヤレス充電が非対応というのが残念だ。

「AirPods Pro(第2世代)」の専用ケース。重量はイヤホン込みの状態で61.16g

「AirPods Pro(第2世代)」の専用ケース。重量はイヤホン込みの状態で61.16g

「QuietComfort Earbuds II」の専用ケース。重量はイヤホン込みの状態で73.97g

「QuietComfort Earbuds II」の専用ケース。重量はイヤホン込みの状態で73.97g

外見やデザインは好み次第ではあるが、サイズ・重量、充電のしやすさなどの取り回しのよさは、「AirPods Pro(第2世代)」のほうが洗練された作りだ。

ポイント2:ノイズキャンセリング

「AirPods Pro(第2世代)」と「QuietComfort Earbuds II」の目玉機能といえば、やはり強化されたノイズキャンセリング性能だろう。

まずは、PCデスクに向かった状態で騒音低減効果を検証。「AirPods Pro(第2世代)」「QuietComfort Earbuds II」ともにPCのファンやエアコンの音がほとんど聴こえなくなり、どちらも騒音低減は優秀だった。

だが、無音状態で厳密に聴き比べてどちらが騒音の残り具合が小さいか検証すると、「QuietComfort Earbuds II」のほうが騒音の残り具合が小さいように聴こえる。ただ、「QuietComfort Earbuds II」は電子機器に囲まれているPCデスク回りだと、若干ホワイトノイズを感じてしまった。

続いて、屋外に持ち出して電車内での騒音低減効果を検証してみると……「AirPods Pro(第2世代)」「QuietComfort Earbuds II」ともに従来機種からの性能アップをしっかりと感じられた。電車の走行時の重低音はどちらも優秀だが、「AirPods Pro(第2世代)」は中域のボリュームをそのまま絞り込むような騒音低減が働くことがハッキリとわかる。これは従来機種にはなかった効果だ。

「AirPods Pro(第2世代)」は中域のノイキャンが強力になっていることを実感できる

「AirPods Pro(第2世代)」は中域のノイキャンが強力になっていることを実感できる

だが、それを上回ったのが「QuietComfort Earbuds II」の騒音低減の効果。電車の重低音を余裕で消したうえで、電車内で話している人の声まで小さく聴こえる。ガタガタと聴こえるような中域の騒音に対してもとても有効に働くし、残る騒音が遠くの位置で小さく鳴るのみ。いずれにせよ、騒音低減の量の大きさ、騒音低減後の聴こえ方ともに「QuietComfort Earbuds II」のほうが優秀だ。

「QuietComfort Earbuds II」は騒音の多い電車のホームでも強力なノイキャン効果を体感できた

「QuietComfort Earbuds II」は騒音の多い電車のホームでも強力なノイキャン効果を体感できた

また、「AirPods Pro(第2世代)」はノイズキャンセリング機能特有の違和感が強くでる僕の体と特に相性が悪いのか、自宅でも電車内でも長時間装着していると段々と違和感が増してきた。騒音低減効果は「QuietComfort Earbuds II」のほうが強力なのだが、そういった事象はなかった。ノイズキャンセル性能は、「QuietComfort Earbuds II」に軍配を上げたい。

ポイント3:外音取り込み

ノイズキャンセリングと共に活用したい機能が外音取り込み機能だ。屋内でテレワーク中に家族や子供の様子が心配といったケース、街中やランニング中に安全のため周囲の音を聴きたいなどさまざまな場面で活躍するが、「AirPods Pro(第2世代)」と「QuietComfort Earbuds II」の外音取り込みの実用性はどれほどか?

今回、「AirPods Pro(第2世代)」と「QuietComfort Earbuds II」を装着してさまざまな環境でテストしてみたが、どちらもかなり優秀なことがわかった。元々「AirPods Pro(第1世代)」でも外音取り込みは優秀だったが、「AirPods Pro(第2世代)」は外音取り込みの自然さがさらにアップ、「QuietComfort Earbuds II」は人の声を強烈に抑えるノイズキャンセリングとは正反対で、人の声も自然にクッキリと聴こえる。

屋外で「AirPods Pro(第2世代)」の外音取り込みをテスト

屋外で「AirPods Pro(第2世代)」の外音取り込みをテスト

「QuietComfort Earbuds II」も屋外で外音取り込みをテストを実施

「QuietComfort Earbuds II」も屋外で外音取り込みをテストを実施

では、「AirPods Pro(第2世代)」と「QuietComfort Earbuds II」はどちらが優秀か。環境音が入る屋外の同一環境で比べてみると、「AirPods Pro(第2世代)」はまるでイヤホンを付けていないような自然さに対して、「QuietComfort Earbuds II」は周囲の音を取り込んでいるとわかる人工感がある。外音取り込み重視であれば、「AirPods Pro(第2世代)」を選ぶべきだ。

ポイント4:音質

続いては、イヤホンの要ともいえる音質についてチェックしていこう。両機種とも対応コーデックはSBCとAACのため、今回の再生環境はiPhoneに揃えている。

「AirPods Pro(第2世代)」でYOASOBI『三原色』を聴くと、若干シャープで伸びやかな女性ボーカル、強めのリズムの刻みと、以前からのナチュラル志向にひと手間加えたようなサウンド。低音は重低音より少し高めの音が強く、音の広がり感の再現も豊富。BTS『Dynamite』は歌声の再現がとてもうまくハマっているし、ガンガンと効かせるリズム感も出る。なお、「AirPods Pro(第2世代)」は、同じ曲を試聴しても印象が異なることが何度もあって調べてみたところ、装着位置の微妙なズレでサウンドに差が出やすいようだ。また、外音取り込みの設定にすると中高域の聴こえ方がシャープになる。

「AirPods Pro(第2世代)」は伸びやかなサウンド

「AirPods Pro(第2世代)」は伸びやかなサウンド

「QuietComfort Earbuds II」で同じくYOASOBI『三原色』を聴いてみると、Boseらしい重低音をズンズンと効かせたサウンド。歌声と音楽はほぼ同じか若干歌声が強い程度。音空間を拡張して、広い空間で音楽を流すようなライブ感がある。BTS『Dynamite』を聴いても重低音のリッチさが気持ちいい。以前のBoseよりも、重低音のバランスを整えているようだ。なお、小音量で聴いても重低音がズンズン鳴るところはさすがBoseで、なかなかツボを押さえたうまいチューニングだと思う。

「QuietComfort Earbuds II」は重低音が効いており、クラブ系の楽曲との相性も抜群だ

「QuietComfort Earbuds II」は重低音が効いており、クラブ系の楽曲との相性も抜群だ

「AirPods Pro(第2世代)」と「QuietComfort Earbuds II」の音質は、正直言って決定的な上下を付けるほどの違いはないと思う。「AirPods Pro(第2世代)」は歌声の伸びやかさと自然な音の広がりが魅力だし、「QuietComfort Earbuds II」は重低音と拡張した空間表現が見事だ。いつも聴いている楽曲との相性でイヤホンに求めるサウンドも異なると思うので、ぜひ好みに合わせて選んでほしい。

ポイント5:マイク性能

続いて、テレワークなどで活用する機会の増えたマイクの通話性能もテストしてみた。一番利用シーンが多いのはスマホで電話着信やLINEなどスマホ通話だと思うが、音質比較のために今回はMacのZoomでビデオ会議した際の録音データを聴き比べている。

実際に通話して録音した音を同一環境で聴き比べみると、「AirPods Pro(第2世代)」は人の声をハッキリとクリアに拾っていて、とても優秀だった。いっぽう、「QuietComfort Earbuds II」は声の高域側の伸びやかさが足りず、少し籠もって聴こえてしまうところがあるようだ。

「AirPods Pro(第2世代)」のマイク性能をテスト

「AirPods Pro(第2世代)」のマイク性能をテスト

「QuietComfort Earbuds II」も同一環境でテストを実施

「QuietComfort Earbuds II」も同一環境でテストを実施

マイク性能に関しては、現時点では「AirPods Pro(第2世代)」のほうが優秀。だが、「QuietComfort Earbuds II」の通話マイクは現在右マイクのみが動作していて、今秋のアップデートで左右マイクが動作する本来の性能になる。期待してアップデートを待つとしよう。

ポイント6:付加機能

完全ワイヤレスイヤホンには、音楽リスニングや通話関連以外にもさまざまな付加機能がある。

「AirPods Pro(第2世代)」の付加機能として僕がお気に入りなのが「空間オーディオ」だ。「AirPods Pro(第2世代)」では、カメラを使ってパーソナライズした空間オーディオも新たに利用可能になった。

「AirPods Pro(第2世代)」は空間オーディオを楽しむイヤホンとしても活用可能

「AirPods Pro(第2世代)」は空間オーディオを楽しむイヤホンとしても活用可能

空間オーディオ自体はすでに新機能ではないが、Apple Musicの新しい音楽体験だけでなく、AppleTV+、Netflix、プライム・ビデオ、ディズニー+などの動画配信サービスでも対応が広がっている。サラウンド体験がとてもすばらしいので、空間オーディオ目当てで「AirPods Pro(第2世代)」を選ぶのも正直アリだと思う。

「QuietComfort Earbuds II」は「AirPods Pro(第2世代)」ほど独自性のある機能はないが、「BOSE MUSIC」のアプリからノイズキャンセル/外音取り込みを10段階で調整して最大4つまでのプリセットを登録、イヤホン側のボタンで切り替えられるところが便利だ。ちなみに、「AirPods Pro(第2世代)」はノイキャンの強度を調整する機能はない。

「QuietComfort Earbuds II」はノイキャン調整が可能

「QuietComfort Earbuds II」はノイキャン調整が可能

【まとめ】ノイキャン勝負の「QuietComfort Earbuds II」。「AirPods Pro(第2世代)」は全方位で魅力的

「AirPods Pro(第2世代)」と「QuietComfort Earbuds II」を6つのポイントで比べてみたが、やはり製品のコンセプトの違いがハッキリと現れた。ノイズキャンセリングについては「AirPods Pro(第2世代)」も進化していたが、「QuietComfort Earbuds II」が一歩リード、いっぽう、外音取り込みやマイク性能については「AirPods Pro(第2世代)」のほうが自然な感じが出ていた。装着感や音質、付加機能もそれぞれ独自の進化をしており、2モデルとも最新モデルとして完成度をしっかりと高めてきた。完全ワイヤレスイヤホンのどのポイントを重視するかは人それぞれだと思うが、本記事を参考に自分に合ったモデルを選んでほしい。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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