レビュー

Bose「Smart Soundbar 600」レビュー。横幅約70cmの超小型サウンドバーは空間拡張がすごい!

2022年10月にBoseから登場した「Smart Soundbar 600」は、Dolby Atmos対応で直販価格74,800円というミドルクラスのサウンドバーだ。実機を自宅にお借りしたので、さっそくレビューをお届けしよう。

ミドルクラスのサウンドバー「Smart Soundbar 600」を実機レビュー

ミドルクラスのサウンドバー「Smart Soundbar 600」を実機レビュー

「Smart Soundbar 600」とはどんな製品かというと、本体幅70cmというコンパクトサイズのサウンドバーだ。Boseのサウンドバーといえば、2022年4月に「Smart Soundbar 900」をレビューしているが、本製品はその下位モデルにあたる。

本体にはBose独自のデジタル信号処理と5基のトランスデューサー(スピーカー)が搭載されており、天井反射を利用する上向きのアップサンプリングトランスデューサーもしっかりと完備されている。立体音響はDolby Atmos対応、そしてBose独自の「TrueSpaceテクノロジー」でステレオ音源などでも広がりのあるサウンドで再現することができるという。

一体型ボディに上向きのアップサンプリングトランスデューサーも搭載

一体型ボディに上向きのアップサンプリングトランスデューサーも搭載

ビーム状に音を放出して音の定位をコントロールする「PhaseGuideテクノロジー」や、自動音場補正システム「ADAPTiQ音場補正」といった独自技術を使っていないところが、上位モデル「Smart Soundbar 900」との違いだ。

そして、強調しておきたいポイントが「Smart Soundbar 600」は本体幅約70cmというサイズであるということ(厳密には69.5(幅)×10.4(奥行)×5.6(高さ)cm)。これは32V型テレビと同程度。省スペースをかなり意識したサイズ感なのだ。今回は65V型の有機ELテレビの前にセットしたので、アンバランスなくらいに小型に見える。

本体幅約70cmなので設置も省スペース

本体幅約70cmなので設置も省スペース

「Smart Soundbar 600」はサウンドバーとしては一般的な仕様に準じていて、テレビとの接続はeARC対応HDMIによってケーブル1本で接続可能。光デジタル入力端子も搭載する。Wi-Fi搭載で、アップルAirPlay 2、Google Chromecast、Spotify Connectにもばっちり対応する。ちなみに、Works with Googleアシスタント対応、Amazon Alexa対応でスマートスピーカーのように使うこともできる。

いまどきのサウンドバーなので、HDMIを使った接続が基本

いまどきのサウンドバーなので、HDMIを使った接続が基本

Amazon Alexaのスマートスピーカー機能も搭載。アカウントへの紐づけさえしなければ、使わないことも可能だ

Amazon Alexaのスマートスピーカー機能も搭載。アカウントへの紐づけさえしなければ、使わないことも可能だ

スマートフォンとBluetooth接続も可能だ。説明書を見ても、テレビとHDMI接続した後には「Bose Music」からWi-Fiを接続するのみと超シンプル。なお、本体にはリモコンも付属しているし、HDMI接続でテレビから音量操作も可能だ。

付属リモコン。入力端子などをシンプルに切り替えられる

付属リモコン。入力端子などをシンプルに切り替えられる

「Bose Music」のアプリからWi-Fiに接続

「Bose Music」のアプリからWi-Fiに接続

音質などのカスタマイズ機能も利用できる

音質などのカスタマイズ機能も利用できる

とにかく音空間が広い。地デジも映画もゲームも音楽も全部空間を拡張

実際に「Smart Soundbar 600」のサウンドを体験してみよう。

「Smart Soundbar 600」をテレビと接続していると、特別な設定なく地デジ音声が流れた。ニュース音声を聴いていてもなかなかよい。センターの音は、サウンドバーの中央部分から若干画面上のはみ出すあたりで、男性・女性とも人の声の中域がクリアに立つ。おかげで”テレビ音声をクッキリ聴きたい“というシンプルな用途にもマッチする。デジタル処理のたまものなのか、わずかに空間的な奥行きを持たせた中低音の深みも良好。なお、テレビ音声はLPCMのフォーマットで流れているようだ(接続したレグザの音声出力の設定は「自動」)。

予想外に高音質な地デジ番組の音質

予想外に高音質な地デジ番組の音質

テストしたタイミングでちょうどスポーツ番組がテレビ放送されていたのだが、「Smart Soundbar 600」をセットした状態で観戦すると、改めて真価を実感。アナウンサーやテレビ解説の音声はサウンドバーの位置より少し高いあたりなのだが、スタジアムの歓声のスケール感が、なんと65V型のテレビのサイズを軽く超えてくる。

「Smart Soundbar 600」でサッカーの試合を観戦。65V型の画面サイズ以上に歓声が広がる

「Smart Soundbar 600」でサッカーの試合を観戦。65V型の画面サイズ以上に歓声が広がる

続いて「Smart Soundbar 600」でDolby Atmos対応コンテンツを試してみる。テレビ内蔵のNetflixアプリで『ウェンズデー』を試聴してみたが、BGMから画面サイズを大きく超えたスケールの広がりで、真横方向から、ときには頭上を超えた位置から音を感じられ、しっかりとサラウンドを体験できた。

Dolby Atmosコンテンツは音の高さ方向の再現も優秀

Dolby Atmosコンテンツは音の高さ方向の再現も優秀

次は、PS5を接続してUltra HDブルーレイ『トップガン・マーヴェリック』を試聴してみた。開始直後の遠くで戦闘機が離着陸する距離感、そして戦闘機にSAM(地対空ミサイル)が飛び交うストーリー後半の“棺桶ポイント”の縦横無尽の移動感まで、前方から高さをともなってしっかりと再現してくれる。「Smart Soundbar 600」のサラウンド体験は、純粋にサラウンド再現がすごい! と呼ぶより、意図的に空間を大きく拡張している感覚。つまり、本物のサラウンドを知っていると若干うさんくさい臨場感なのだが……でも、エンタメって楽しんだもの勝ちだし、空間再現志向のサウンドバーとして優秀だ。低音については本体サイズ相応で引き締まっていて、日本の家庭での映画鑑賞用としては必要十分。空気を振動させるほどの爆音ではないところは付け加えておこう。

『トップガン・マーヴェリック』は移動感が抜群だった

『トップガン・マーヴェリック』は移動感が抜群だった

続いて、PS5で『Call of Duty: Black Ops Cold War』をプレイ。こちらも、ヘリコプターのプロペラの距離感、高さ方向を含む位置感まで見通しが抜群。戦場に突入した際の銃声の位置、方向感まで伝わるところはさすがだ。

PS5『Call of Duty: Black Ops Cold War』は、プロペラが頭上をかすめる再現がとても優秀だった

PS5『Call of Duty: Black Ops Cold War』は、プロペラが頭上をかすめる再現がとても優秀だった

音楽リスニングについては、「Smart Soundbar 600」ではiPhoneユーザーであればAirPlay 2を利用するのが最も手軽だ。YOASOBI『三原色』を聴いてもテレビ画面サイズ以上に音が広がるし、BTS『Dynamite』もサウンドバーの音より少し上に鮮やかなボーカルが浮かび、そして音楽を目一杯空間を使って再現してくれる。

AirPlay 2による音楽再生も空間を拡張して聴かせてくれる

AirPlay 2による音楽再生も空間を拡張して聴かせてくれる

幅約70cmというサイズからは想像できない圧倒的な空間拡張

「Smart Soundbar 600」を体験してみると、サウンドバーとしての製品の狙いがはっきりとわかる。それはDolby Atmosの立体音響、そして独自の「TrueSpaceテクノロジー」によってステレオソースでさえも、最大限に空間を拡張して臨場感を生み出すこと。それが幅約70cmしかない「Smart Soundbar 600」の本体から生み出されているのだから、インパクトはかなりのものだ。コンパクトなサウンドバーでもいい音が得意なBoseではあるが、最近ますます市場での勝ち方がうまくなってきたなと思った次第だ。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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