Bowers & Wilkinsの完全ワイヤレスイヤホン(TWS)「Pi5 S2」「Pi7 S2」が2023年2月上旬から発売される。いずれもオープン価格で、税込みの市場想定価格はそれぞれ48,400円前後、63,800円前後。
左の3つが「Pi7 S2」で、右の3つが「Pi5 S2」
「Pi5 S2」「Pi7 S2」はそれぞれ従来モデル「PI5」「PI7」のアップデートバージョンで、Bowers & Wilkinsが目指す「最高音質」の完全ワイヤレスイヤホンであることには変わりはない。変える必要のない部分は変えない、という趣旨で新製品では音質に関わる基本設計には手を加えられず、市場からのリクエストがあった機能面での改善要望に応えた製品となる。
念のためにBowers & Wilkinsの概略を確認しておくと、1966年から続く、世界で最も名の知られたスピーカーメーカーのひとつ。音楽制作が行われるスタジオへのモニタースピーカー納入実績としてアビーロード・スタジオがある。アビーロード・スタジオでのモニター採用歴は40年以上だという。
イヤホン・ヘッドホンで掲げるテーマは「Hear it all, Hear True」。スタジオでのモニタースピーカーを作っているメーカーとして、スタジオで製作された音源をアーティスト・制作者の意図どおりに、限りなく正確に再現することがBowers & Wilkinsの目標だという。つまり、製品のカテゴリーが変わっても、根本のテーマは不変だということだ。
「Pi5 S2」「Pi7 S2」の主要スペックは以下のとおり。
Bowers & Wilkinsが考える、完全ワイヤレスイヤホンにおけるプライオリティ。何よりも「AUDIO PERFORMANCE」が優先されている
「Pi5 S2」の主なスペック
●Bluetoothバージョン:5.0
●対応コーデック:SBC、AAC、aptX
●使用ユニット:9.2mmダイナミック型
●アクティブノイズキャンセリング機能搭載
●外音取り込み機能アンビエントパススルーモード搭載
●バッテリー駆動時間:[本体]最大5時間(アクティブノイズキャンセリング機能:オフ)、[充電ケース]19時間
●防塵・防滴等級:IP54
●カラー:クラウド・グレー、ストーム・グレー、スプリング・ライラック
カスタム仕様の9.2mmダイナミック型ドライバーを1基搭載する。「Pi5 S2」
左奥から、時計回りにクラウド・グレー、ストーム・グレー、スプリング・ライラックの3色展開。スプリング・ライラックは薄紫に近い色合いだ
「Pi7 S2」の主なスペック
●Bluetoothバージョン:5.0
●対応コーデック:SBC、AAC、aptX Adaptive
●アクティブノイズキャンセリング機能搭載
●外音取り込み機能アンビエントパススルーモード搭載
●使用ユニット:9.2mmダイナミック型、バランスドアーマチュア型(2ウェイ)
●バッテリー駆動時間:最大5時間(アクティブノイズキャンセリング機能:オフ)、[充電ケース]16時間
●防塵・防滴等級:IP54
●カラー:サテン・ブラック、キャンバス・ホワイト、ミッドナイトブルー
「Pi7 S2」の充電ケースはBluetoothトランスミッターとして使える。任意のプレーヤーやPCとケースをUSBケーブルやUSB⇔3.5mmアナログケーブルなどで接続すれば、そのプレーヤーやPCからの音を「Pi7 S2」で再生できる。主に航空機内で使うことを想定された機能だという
「Pi7 S2」は9.2mmダイナミック型ドライバーに加えて、バランスドアーマチュア型ドライバーを搭載した2ウェイモデル。ここが「Pi5 S2」との最も大きな違いだ。入力信号はDSPで帯域分割されて各ドライバーへ送られ、そのドライバーは独立したアンプで駆動される
左奥から、時計回りにサテン・ブラック、キャンバス・ホワイト、ミッドナイトブルーの3色
「Pi5 S2」「Pi7 S2」ともにアップデートされたポイントは、音切れ、再生時間、アプリの3点。従来モデルでユーザーからの不満点としてあがっていた点を改善したという。
まずは音切れの問題については、アンテナ設計を変更して安定性の向上を図った。受信感度的には従来比で約2倍。これにより、見通しのよい場所での最大通信距離は約25mとなった。
再生時間についてはバッテリーの容量を25%アップ。イヤホン単体での再生時間は従来の最大4時間から最大5時間(いずれもアクティブノイズキャンセリング機能オフ時)へ拡張された。
アプリについては、従来はシンプルすぎて使い出がないという声があがっていたそうだ。そこで、「Pi5 S2」「Pi7 S2」ではBowers & Wilkinsのワイヤレススピーカーシリーズ「Formation」と同じ「Music|Bowers & Wilkins」アプリで操作できるよう統合された。「Music|Bowers & Wilkins」はiOS/Android対応の無料アプリで、アクティブノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能のオン/オフ、音楽ストリーミングサービスの再生などが可能だ。
Android版の「Music|Bowers & Wilkins」アプリ。対応する主要音楽ストリーミングサービスは「Deezer」「TuneIn」「SoundCloud」「TIDAL」「Qobuz」。現状では海外向けのラインアップと言える
音質については変えない趣旨というのは冒頭のとおりだが、「Google pixel 6a」で接続すると「Pi5 S2」「Pi7 S2」ともに、低域のしっかりしたピラミッドバランスの音を聞けた。やや低域が多く、ファット気味に感じるほどだ。しかし、高域がマスキングされるようなことはなく、このあたりの調整のうまさがBowers & Wilkinsならではということなのだろう。
「Pi5 S2」と「Pi7 S2」の比較という意味では、やはり「Pi7 S2」の解像感の高さが特筆される。完全ワイヤレスイヤホンであっても、高機能よりもとにかく音質を求めるという人は「Pi7 S2」を一度手にとってみていただきたい。
AVの専門誌を編集して10年超。「(デカさ以外は)映画館を上回る」を目標にスピーカー総数13本のホームシアターシステムを構築中です。映像と音の出る機械、人が一生懸命つくったモノに反応します。