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最大輝度を大幅に向上させた新世代有機ELパネル搭載機も登場! ビエラの2023年モデル

パナソニックが展開するテレビ「VIERA(ビエラ)」の2023年モデルが一挙に発表された。

2023年初のエレクトロニクスショー「CES 2023」で初披露された新世代の有機ELパネルを搭載する有機ELテレビを含む5シリーズをラインアップする。製品の型番、発売日、市場での実勢価格は以下のとおり。すべてパネルの解像度は4K(3,840×2,160)だ。

ビエラのハイエンドモデル、有機ELテレビの「MZ2500」シリーズ

ビエラのハイエンドモデル、有機ELテレビの「MZ2500」シリーズ

●新世代有機ELパネル搭載のハイエンドモデル
TH-65MZ2500」65V型 7月21日発売 実勢価格52万円前後
TH-55MZ2500」55V型 7月21日発売 実勢価格37万円前後

●有機ELテレビのスタンダードモデル
TH-65MZ1800」65V型 6月16日発売 実勢価格40万円前後
TH-55MZ1800」55V型 6月16日発売 実勢価格29万円前後
TH-48MZ1800」48V型 6月16日発売 実勢価格27万円前後

●ミニLEDバックライト+量子ドット技術を採用した液晶テレビのハイクラス
TH-75MX950」75V型 7月21日発売 実勢価格53万円前後
TH-65MX950」65V型 7月21日発売 実勢価格40万円前後
TH-55MX950」55V型 7月21日発売 実勢価格30万円前後

●直下型LEDバックライト部分駆動に対応したミドルクラスの液晶テレビ
TH-50MX900」50V型 6月16日発売 実勢価格19万円前後
TH-43MX900」43V型 6月16日発売 実勢価格18万円前後

●直下型LEDバックライトのエントリークラス液晶テレビ
TH-75MX800」75V型 7月21日発売 実勢価格27万円前後
TH-65MX800」65V型 7月21日発売 実勢価格20万円前後
TH-55MX800」55V型 7月21日発売 実勢価格17万円前後
TH-50MX800」50V型 7月21日発売 実勢価格14万円前後
TH-43MX800」43V型 7月21日発売 実勢価格13万円前後

「ビエラ」のラインアップとスペック一覧はこちら。77V型の有機ELテレビ「TH-77LZ2000」、42V型有機ELテレビ「TH-42LZ1000」は2022年モデルだが継続販売される

「ビエラ」のラインアップとスペック一覧はこちら。77V型の有機ELテレビ「TH-77LZ2000」、42V型有機ELテレビ「TH-42LZ1000」は2022年モデルだが継続販売される

2023年の「ビエラ」を一覧すると、有機ELテレビを頂点として製品のグレードにピラミッドを作っていることは基本的に従来どおり。有機ELも液晶も、パネルを刷新して画質の基礎体力向上を図ったことが大きなポイントだ。

もちろん、立体音響技術Dolby Atmosへの対応やネット動画の視聴対応、自動画質調整「オートAI」モード搭載など、昨今のテレビのトレンドはしっかりとおさえられている。

ここでは、特に注目される最上位「MZ2500」シリーズを中心に製品の特徴を見ていこう。

新世代有機ELパネル「マイクロレンズ有機EL」を搭載した「MZ2500」シリーズ

2023年の「ビエラ」の目玉は、何と言っても新世代の有機ELパネルを搭載した「MZ2500」シリーズだろう。年初の「CES 2023」で初披露されたもので、LGディスプレイが発表した「META Technology」を使った第3世代有機ELパネルを製品化したものと思われる。

「META Technology」での新要素は、発光効率を高める「Micro Lens Array」(MLA)と映像に合わせた処理による輝度向上アルゴリズム「META Booster」の採用だ。

有機ELパネルの供給元であるLGディスプレイによれば、これらの技術によってピーク輝度(APL 3)は2,100nitを達成。従来よりも30%の視野角(最大輝度が半減する角度)改善効果も得ているという。

「Micro Lens Array」とは、有機EL発光層に極小のレンズアレイを配置し、効率的に光を取り出す技術のこと。従来は内部反射によってむだになっていた光をうまく取り出し、エネルギー効率を向上させたという。77インチの4K有機ELパネルの場合はこのレンズ数は424億個。1画素あたり約5,117個のレンズが設置されていることになる

「Micro Lens Array」とは、有機EL発光層に極小のレンズアレイを配置し、効率的に光を取り出す技術のこと。従来は内部反射によってむだになっていた光をうまく取り出し、エネルギー効率を向上させたという。77V型の4K有機ELパネルの場合はこのレンズ数は424億個。1画素あたり約5,117個のレンズが設置されていることになる

LGディスプレイの第3世代有機ELパネルは、「Micro Lens Array」と「META Booster」技術による信号処理で従来よりも明るい映像を実現できるとしている

LGディスプレイの第3世代有機ELパネルは、「Micro Lens Array」と「META Booster」技術による信号処理で従来よりも明るい映像を実現できるとしている

「マイクロレンズ有機ELパネル」で発光効率と最大輝度が向上

ここまではあくまでパネル供給元であるLGディスプレイの説明。その技術をパナソニックはどう製品としてまとめているのだろうか。

まずは有機EL発光層の前に小さなレンズを並べたマイクロレンズアレイを設置した「マイクロレンズ有機ELパネル」について。これは、そもそも有機EL発光層の形状をマイクロレンズアレイに合わせた凹凸形状として一体成型したもの、と説明されている。もちろんより効率よく画面の明るさを得るための工夫で、数値は非公表ながらパネルの最大発光輝度で言えば、2022年のビエラスタンダード有機ELテレビ「LZ1800」シリーズ比(55V型モデル「55LZ1800」)で約2倍にも及ぶという。

「マイクロレンズ有機ELパネル」の説明図。パナソニックでは、1画素あたり数千個のレンズを使っているとしている。つまりはLGディスプレイの「META Technology」による最新有機ELパネルを採用しているということだろう

「マイクロレンズ有機ELパネル」の説明図。パナソニックでは、1画素あたり数千個のレンズを使っているとしている。つまりはLGディスプレイの「META Technology」による最新有機ELパネルを採用しているということだろう

独自構造を改良した「デュアルメタルヒートレス構造」

上記のとおりパネルは外部から調達したものだとしても、パナソニックの有機ELテレビの長所は独自のディスプレイ構造で放熱効率を上げていることにある。

従来モデルの「LZ2000」シリーズなどでも独自素材の貼り付け構造とバックカバー一体型放熱プレートを使い、効率的な放熱を目指していたが、「MZ2500」シリーズでは、さらに金属製の放熱シートを1枚追加。これを「デュアルメタルヒートレス構造」と呼んでいる。“明るい”パネルの能力を生かすには、さらに効率的な放熱を行う仕組みが必要になったようだ。

高輝度を得れば、それだけ熱が発生するため、より効率的な放熱構造が要求される

高輝度を得れば、それだけ熱が発生するため、より効率的な放熱構造が要求される

パネル制御技術「Bright Booster」

上記のディスプレイ部の動きを制御する独自技術「Bright Booster」は2022年モデルから踏襲。映像信号の解析、温度センサーの監視をリアルタイムで行い、有機ELパネルを駆動する。

特に新たな名称などは使われていないものの、もちろん、映像信号処理機能自体も進化している。以下の映像処理についての機能は2023年モデル共通の特徴だ。

テレビに入力した信号に対して、RGB(レッド・グリーン・ブルー)の3原色に加えてCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)の6座標軸で補正を行う「ヘキサクロマドライブ」がさらに進化。2023年モデルでは色ごとの特徴を検出して補正することで鮮やかでも飽和しない、階調表現が豊かな色再現が可能になったとしている。

また、「4Kファインリマスターエンジン」ではネット動画の補正についてより高精度に行う。素材解像度を検出し、その特性に合わせて映像の部分ごとに解析、最適化処理を施すという。

「MZ2500」シリーズ全数のパネルチューニング

「MZ2500」シリーズはすべての製品が精密なパネルチューニングを経て出荷される。これは2022年でも行われていた「ビエラ」ハイエンドシリーズだけに施される特別措置。特に光出しの暗い部分の階調表現の調整が重要だという

「MZ2500」シリーズはすべての製品が精密なパネルチューニングを経て出荷される。これは2022年でも行われていた「ビエラ」ハイエンドシリーズだけに施される特別措置。特に光出しの暗い部分の階調表現の調整が重要だという

上、横方向にも音が広がる「360立体音響サウンドシステム+」

Technics(テクニクス)による音質チューニング「Tuned by Technics」のサウンドシステムを搭載することも「LZ2000」シリーズからの継承点だ。画面下にラインアレイスピーカーを搭載したほか、横、上向きにもそれぞれスピーカーが配置される

Technics(テクニクス)による音質チューニング「Tuned by Technics」のサウンドシステムを搭載することも「LZ2000」シリーズからの継承点だ。画面下にラインアレイスピーカーを搭載したほか、横、上向きにもそれぞれスピーカーが配置される

実際のスピーカー配置イメージは写真のようになる

実際のスピーカー配置イメージは写真のようになる

パネルは「LZ2000」シリーズ相当のスタンダードモデル「MZ1800」シリーズ

「MZ1800」シリーズ以下の製品特徴をひと通り触れておこう。まず、「MZ1800」シリーズは65、55、48V型の3サイズを擁する有機EL「ビエラ」のスタンダードモデルだと言える。

ディスプレイ構造に限った話にはなるが、2022年のハイエンド「LZ2000」シリーズと同等の「高輝度有機ELパネル」を搭載することが特筆される。パネル制御技術「Bright Booster」が採用されていないこと、「プロフェッショナルクオリティのパネルチューニング」が施されないことが「LZ2000」シリーズとの画質に関わるスペックでの違いとなる。

なお、48V型モデルのみ従来モデル「LZ1800」シリーズ同様の有機ELパネルを搭載するほか、パネル制御技術も異なる点には注意したい。

コントラストの改善に力を入れた液晶テレビのハイクラスモデル

「MX950」「MX900」シリーズは、液晶「ビエラ」のミドル〜ハイクラスモデルにあたる。従来モデルからバックライトを変更、使い慣れた「Wエリア制御」技術で制御、有機ELテレビに近づく高コントラスト表現を目指したシリーズだと言える。

「Wエリア制御」とは、バックライトの部分駆動(制御)と、信号処理によるコントラスト調整「エリアコントラスト制御PRO」の合わせ技のこと。バックライトの分割数よりもさらに細かなエリアに細分化して映像を解析し、信号処理とバックライトの駆動を最適化する技術だ。

冒頭のとおり、液晶テレビのハイクラスである「MX950」シリーズは、ミニLEDバックライトと量子ドット技術を採用。77、65、55V型と比較的大型モデルが揃う。

「MX950」シリーズより小さいサイズを、という要望に応えるのが50、43V型をラインアップする「MX900」シリーズ。ミニLEDバックライトではないが、直下型LEDバックライトの部分駆動(ローカルディミング)を行う。つまり、ミニLEDほど細分化されたエリアではないものの、映像に合わせた部分的なバックライトの明滅でハイコントラストな映像を再現しようというものだ。

エントリークラスとなる「MX800」シリーズについてもLEDバックライトは(上下や左右の)エッジ配置ではなく、直下配置であることをアピールする。パネルは等速仕様で特別な高コントラスト化技術が盛り込まれているわけではないが、自動画質・音質調整、Dolby Atmosに対応するなど、機能的には充実したエントリークラスと言える。画面サイズは75、65、55、50、43V型と選択肢は広い。

ミニLEDバックライト+量子化ドット技術という液晶テレビの先端技術を投入した「MX950」シリーズ

ミニLEDバックライト+量子化ドット技術という液晶テレビの先端技術を投入した「MX950」シリーズ

直下型LEDバックライトの部分駆動に対応する「MX900」シリーズ

直下型LEDバックライトの部分駆動に対応する「MX900」シリーズ

43〜75V型まで幅広いサイズを展開する「MX800」シリーズ

43〜75V型まで幅広いサイズを展開する「MX800」シリーズ

2020年以降のモデルでは、ソフトウェアアップデートで「番組表 ネット動画連携」が可能であることも告知された。番組表に表示された過去番組がTVer、TELASA、Huluで配信されている場合に、ダイレクトで再生画面に移れるという機能だ

2020年以降のモデルでは、ソフトウェアアップデートで「番組表 ネット動画連携」が可能であることも告知された。番組表に表示された過去番組がTVer、TELASA、Huluで配信されている場合に、ダイレクトで再生画面に移れるという機能だ

柿沼良輔(編集部)

柿沼良輔(編集部)

AVの専門誌を編集して10年超。「(デカさ以外は)映画館を上回る」を目標にスピーカー総数13本のホームシアターシステムを構築中です。映像と音の出る機械、人が一生懸命つくったモノに反応します。

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