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全機種Mini LED! ハイセンス4K液晶テレビ2023年モデル「UX」「U8K」シリーズ

2022年の全世界テレビ出荷台数2位(※)のテレビメーカーとして、また日本でもコスパにすぐれたテレビメーカーとして人気急上昇中のハイセンスから、2023年の最新テレビが発表された。

※Omdia調べ

ハイセンスの4K液晶テレビ2023年モデル

ハイセンスの4K液晶テレビ2023年モデル

2023年モデルとして投入されるのは、フラッグシップモデル「UX」シリーズと「U8K」の計2シリーズ。いずれもMini LEDバックライトと量子ドット採用の4K液晶テレビで、2022年モデルの「U9H」シリーズの上位に「UX」シリーズ、下位に「U8K」シリーズが分かれて登場する形だ。発売日や価格などは以下のとおり。

ハイセンス4K液晶テレビ2023年モデルラインアップ

■UXシリーズ
75UX(75V型、5月18日発売、市場想定価格498,000円前後)
65UX(65V型、5月18日発売、市場想定価格398,000円前後)

■U8Kシリーズ
75U8K(75V型、5月18日発売、市場想定価格268,000円前後)
65U8K(65V型、5月18日発売、市場想定価格198,000円前後)
55U8K(55V型、5月18日発売、市場想定価格168,000円前後)

ハイセンスの新製品の詳細をレポートする前に、興味深い事実をひとつお伝えしておきたい。

ハイセンス史上最高画質を実現するというフラッグシップモデルとして展開される「UX」シリーズ(75/65V型)。この「UX」シリーズに新たに搭載された高画質エンジン「HI-VIEWエンジンX」が、4月6日にTVS REGZA社が発表した最新モデルと同世代のエンジンということだ。

「UX」シリーズに搭載される高画質エンジン「HI-VIEWエンジンX」

「UX」シリーズに搭載される高画質エンジン「HI-VIEWエンジンX」

ご存じのとおり、ハイセンスとTVS REGZAは、高画質映像処理の心臓部である映像処理エンジンを共同開発している。これまではTVS REGZAが最新エンジンを搭載し、ハイセンスは少し遅れて搭載するということが多かったが、今回は同タイミングで同世代のエンジンを搭載してきたというわけだ。

最新の高画質エンジン「HI-VIEWエンジンX」に搭載される高画質化技術もTVS REGZAの最新モデルと同等の内容となっており、「UX」シリーズはハイセンスグループとしての共同開発の成果が存分に発揮されたモデルと言える。ただし、TVS REGZAのMini LED採用フラッグシップモデル「Z970M」シリーズに搭載されている「ミリ波レーダー」や「タイムシフトマシン」といった機能は非搭載。また、スピーカーの仕様や一部UI、リモコンデザイン等も異なっている。

レグザと共通の高画質技術を搭載! 75/65V型で登場する「UX」シリーズ

それでは、改めてハイセンスの4K液晶テレビ新フラッグシップモデル「UX」シリーズについて詳しく紹介していこう。

ハイセンスの4K液晶テレビのフラッグシップとして新たに投入される「UX」シリーズ。画面サイズは75/65V型の2サイズが用意される

ハイセンスの4K液晶テレビのフラッグシップとして新たに投入される「UX」シリーズ。画面サイズは75/65V型の2サイズが用意される

「UX」シリーズを語る上で外せないのが、“ハイセンス史上最高画質”をうたう画質面での進化。なかでも「UX」シリーズの高画質を構成する技術として注目したいのが、新開発の「ダイナミックXディスプレイ」と「HI-VIEWエンジンX」だ。

「ダイナミックXディスプレイ」は、有機ELを凌ぐ高コントラスト、明るさ、色表現、なめらかさ、広視野角を実現するという独自のディスプレイパネルのこと。個別に解説すると、液晶パネルには広視野角な倍速駆動のADSパネルに、映り込みを従来比で75%低減させる機能性をプラスした「低反射倍速XDRパネル」を採用。バックライトは新開発の「Mini LED Xバックライト」が導入され、2022年モデル「U9H」シリーズのバックライトに比べ、75V型では2.5倍、65V型では1.9倍もの高密度化を実現したという。ピーク輝度に関しても、「U9H」シリーズ比で75V型が1.5倍、65V型が1.15倍と、明るさもさらにアップしているそうだ。

「UX」シリーズに使用されている「ダイナミックXディスプレイ」

「UX」シリーズに使用されている「ダイナミックXディスプレイ」

また、Mini LEDバックライトの進化に合わせて、ローカルディミング制御も「ローカルディミングアドバンスト」へと進化。「U9H」シリーズと比べると、分割数は75V型で3.8倍、65V型で2.8倍となり、明るい分はより明るく、暗部に関しても表現力がさらに向上しているという。

ローカルディミング制御も「ローカルディミングアドバンスト」へと進化

ローカルディミング制御も「ローカルディミングアドバンスト」へと進化

色再現についても、従来の拡散板一体型量子ドットパネルから、量子ドットのフィルムを独立させた「量子ドットダイナミックカラー」へと改善。これにより、DCI-P3カバー率98%を実現している。

従来の拡散板一体型量子ドットパネルから、量子ドットのフィルムを独立させた「量子ドットダイナミックカラー」

従来の拡散板一体型量子ドットパネルから、量子ドットのフィルムを独立させた「量子ドットダイナミックカラー」

「UX」シリーズは65V型が最小サイズ。ADSパネル搭載で視野角の広さも特徴

「UX」シリーズは65V型が最小サイズ。ADSパネル搭載で視野角の広さも特徴

高画質エンジンに関しては、記事冒頭でも軽く触れたとおり、TVS REGZAと共同開発した最新の「HI-VIEWエンジンX」が搭載されている。4K液晶/有機ELレグザのフラッグシップモデルと同じく2チップ構成となっており、16ビットの映像信号処理に対応している。

特に最新の「HI-VIEWエンジンX」で注目したいのが高画質化機能。AIが被写体と背景を認してそれぞれに最適な超解像処理を行う「AIナチュラリリアリティ」(立体感復元超解像技術)、映像から人の顔を判断し、肌の色をより自然な色に自動補正するとともに、人物に最適な超解像処理を行う「美肌リアリティーアドバンスト」(AI顔認識機能追加)、ネット動画に発生しがちなバンディングノイズなどを低減させる「AIネット映像高画質処理アドバンスト」、地デジやBSデジタル放送のノイズを低減させる「AI放送映像高画質処理アドバンスト」といった機能が実装されている。2023年4K液晶/有機ELレグザのフラッグシップモデルで初採用された機能もしっかりと盛り込まれており、高画質機能はハイセンス・TVS REGZAでほぼ横並びと呼べるものになった。

AIが被写体と背景を認してそれぞれに最適な超解像処理を行う「AIナチュラルリアリティ」

AIが被写体と背景を認してそれぞれに最適な超解像処理を行う「AIナチュラルリアリティ」

肌の色をより自然な色に自動補正するとともに、人物に最適な超解像処理を行う「美肌リアリティーアドバンスト」

肌の色をより自然な色に自動補正するとともに、人物に最適な超解像処理を行う「美肌リアリティーアドバンスト」

ネット動画に発生しがちなバンディングノイズなどを低減させる「AIネット映像高画質処理アドバンスト」

ネット動画に発生しがちなバンディングノイズなどを低減させる「AIネット映像高画質処理アドバンスト」

こうなるとハイセンス「UX」シリーズの画質はTVS REGZAのMini LED採用フラッグシップモデル「Z970M」シリーズと同一なのでは……と思ってしまいたちだが、“画作り”に関してはまったく別のチューニングが行われているという。

実際にハイセンス「UX」シリーズの実機で画質を確認してみたが、特に印象的だったのがコントラスト性能。Mini LEDの分割数、ローカルディミングの増加により、ハローの発生がかなり少なくなっていた。デモコンテンツ以外に地デジやBS 4K放送を録画した番組も視聴してみたが、画面内の暗部の締り、ハイライトの伸びがよく、立体感がしっかりと出ている。4Kデモコンテンツでピーク輝度の高さや、YouTubeを使った視聴で「AIネット映像高画質処理アドバンスト」によるバンディングノイズの低減もしっかりと確認できた。このあたりは、最新の「HI-VIEWエンジンX」のポテンシャルの高さによるものだろう。

YouTubeの使ったバンディングノイズの低減効果のデモの様子

YouTubeの使ったバンディングノイズの低減効果のデモの様子

「UX」シリーズのスピーカーは、Dolby Atmosにも対応する実用最大出力82W・4.1.2ch構成の「10スピーカー立体音響サラウンドシステム」。ちなみに、4K液晶レグザ「Z970M」シリーズは112Wの5.1.2ch構成なので、スピーカー構成も異なる。本体デザインも異なっており、「UX」シリーズはハイセンスのグローバルモデルと共通の筐体を採用している。

実用最大出力82W・4.1.2ch構成の「10スピーカー立体音響サラウンドシステム」

実用最大出力82W・4.1.2ch構成の「10スピーカー立体音響サラウンドシステム」

本体側面にサイドスピーカーを搭載

本体側面にサイドスピーカーを搭載

天面には立体音響用のイネーブルドスピーカーも用意

天面には立体音響用のイネーブルドスピーカーも用意

背面には重低音サブウーハーを2基搭載

背面には重低音サブウーハーを2基搭載

画面の高さを2種類から選べる高さ調整可能なスタンドも特徴のひとつ

画面の高さを2種類から選べる高さ調整可能なスタンドも特徴のひとつ

基本的なシステムUIについては4K液晶/有機ELレグザと共通のソフトウェアがベースとなっているようだが、ネット動画関連のUIは独自の「VIDAA」プラットフォームを引き続き採用。音声検索機能には、「VIDAA Voice」の機能にも対応している。

ネット動画はハイセンス独自の「VIDAA」プラットフォーム

ネット動画はハイセンス独自の「VIDAA」プラットフォーム

ネット動画の対応サービスは、従来から対応する12サービスに加えて、FOD、TVer、DAZN、NHK+、WOWOWを追加した全17サービスが利用できる。2022年モデルまで対応から漏れていたDAZNがついに追加されたのはトピックだ。なお、リモコンには専用のダイレクトボタンを計12個搭載。12個すべてのボタンが電源オフからサービスをダイレクトで起動できる。リモコンはBluetooth接続対応で、音声検索にも対応。

付属リモコンはBluetooth仕様

付属リモコンはBluetooth仕様

3✕4列、合計12サービスに対応したダイレクトボタン

3✕4列、合計12サービスに対応したダイレクトボタン

ゲーム関連機能も4K/120Hz、VRR、ALLM、AMD FreeSync Premium対応と大幅強化。ほかにも、「UX」シリーズで録画した番組を家庭内のハイセンス製テレビと共有する「AnyViewホームサーバー機能」が過去モデルから復活。スマホの画面共有は、アップル「AirPlay 2」のほか、Android用には「AnyView Cast」も対応。Bluetoothワイヤレスによるオーディオ再生に対応する。

ゲーム関連機能も充実している

4K/120Hz、VRR、ALLM、AMD FreeSync Premium対応と、ゲーム関連機能も充実している

Mini LEDを身近にする「U8K」シリーズ

ハイセンスの4K液晶テレビのフラッグシップモデルではないものの、Mini LEDバックライトに広色域量子ドットが揃う“身近になったMini LED”が「U8K」シリーズだ。画面サイズは75/65/55V型の3サイズ展開。Mini LED採用で55V型は貴重な存在だ。さらに、記事の冒頭でも市場想定価格を紹介しているが、Mini LEDバックライト採用の55V型が17万円以下、65V型でも20万円以下で購入できるというコスパでも注目のモデルである。

「U8K」シリーズ。左から75V型/65V型/55V型

「U8K」シリーズ。左から75V型/65V型/55V型

液晶パネルは広視野角のADSパネルで、広色域量子ドットを採用することでDCI-P3カバー率で約97%を達成。バックライトはMini LEDを採用しているが、こちらはよりスタンダードな仕様。それでも一般的な直下型LEDバックライトと比較すると4〜5倍程度のLED分割数がある。ローカルディミング制御は「ローカルディミングPro」で、分割数はLEDの個数と同一だ。

高画質エンジンは「HI-VIEWエンジン」を採用(Xが付かない所に注意)。こちらは1チップ構成のエンジンで12bitの信号処理に対応する。このエンジンにも「AIネット映像高画質処理」「AI放送映像高画質処理」「AIオート画質調整」「美肌リアリティー」といった機能は搭載している(「UX」シリーズに似た名前も多いが、“アドバンスト”が付かない)。高画質機能の内容から、エンジンは4K液晶レグザ「Z870L」シリーズとほぼ同等と考えてよさそうだ。また、新機軸の機能として「ブルーライト低減モード」を搭載。目にやさしいという新しい価値も提供する。

実際に「U8K」シリーズの画質をチェックしてみたが、やはりMini LEDバックライトと量子ドット採用による明るさ、色鮮やかさはさすが。もちろん「UX」シリーズほどではないという前提付きになるが、暗部の締りも4K液晶テレビとしては優秀だ。むしろ、デモコンテンツよりも高画質エンジンの差が出る地デジ放送の画質のほうが「UX」シリーズとの違いを感じてしまった。

最注目は55V型でMini LED採用の「55U8K」。17万円を切るという高コスパモデルだ

最注目は55V型でMini LED採用の「55U8K」。17万円を切るという高コスパモデルだ

「U8K」シリーズのサウンドは、実用最大出力40Wの5スピーカー構成で、こちらはハイストスピーカー非搭載。ただ再生フォーマットとしてはDolby Atmosにも対応する。

「U8K」シリーズは5スピーカーシステムを搭載

「U8K」シリーズは5スピーカーシステムを搭載

そのほかの機能は「UX」シリーズとほぼ共通で、ネット動画は「VIDAA」プラットフォームで、対応サービスは全17サービス、「VIDAA Voice」による音声検索にも対応。ゲーム対応も4K/120Hz、VRR、ALLM、AMD FreeSync Premiumとフル対応だ。

「VIDAA」プラットフォームでは全17の動画サービスを利用できる

「VIDAA」プラットフォームでは全17の動画サービスを利用できる

まとめ

ハイセンスから発表された2023年モデルは合計で2シリーズのみだが、2023年4K液晶/有機ELレグザのフラッグシップモデルに搭載された高画質技術をほぼ共有する「UX」シリーズ、そしてMini LED搭載ながら55V型が17万円以下と価格攻勢を仕掛ける「U8K」シリーズと、なかなかの内容のラインアップだ。いずれもコスパが高く、2023年の台風の目になりそうな予感だ。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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