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B&Wのスピーカー「600」シリーズがチタンツイーター搭載でリニューアル

英Bowers & Wilkins(B&W)のスピーカー「600」シリーズが最新世代へとアップデートされ、「S3」シリーズとして発売される。ラインアップはブックシェルフ型の「607 S3」「606 S3」、トールボーイ型の「603 S3」、センタースピーカー「HTM6 S3」の計4モデル。

左から、トールボーイ型の「603 S3」、ブックシェルフ型の「606 S3」「607 S3」、センタースピーカー「HTM6 S3」。希望小売価格57,200円(税込、ペア)の専用スタンド「FS-600 S3」(ブラック/シルバー)も同時発売される

左から、トールボーイ型の「603 S3」、ブックシェルフ型の「606 S3」「607 S3」、センタースピーカー「HTM6 S3」。希望小売価格57,200円(税込、ペア)の専用スタンド「FS-600 S3」(ブラック/シルバー)も同時発売される

本体のカラーリングは右からブラック、オーク、レッドチェリー、ホワイトの4色展開

本体のカラーリングは右からブラック、オーク、レッドチェリー、ホワイトの4色展開

各機種の主要スペックは以下のとおり。

「607 S3」
●希望小売価格(税込、ペア):132,000円
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型ツイーター、130mmコーン型ウーハー
●周波数帯域:40Hz〜33kHz
●出力音圧レベル:84dB/2.83V/m
●インピーダンス:8Ω
●寸法:165(幅)×235(奥行)×300(高さ)mm(端子含む)
●質量:4.65kg

「606 S3」
●希望小売価格(税込、ペア):165,000円
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型ツイーター、165mmコーン型ウーハー
●周波数帯域:40Hz〜33kHz
●出力音圧レベル:88dB/2.83V/m
●インピーダンス:8Ω
●寸法:189(幅)×328(奥行)×344(高さ)mm(端子含む)
●質量:7.05kg

「603 S3」
●希望小売価格(税込、1本):191,400円
●型式:3ウェイ4スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型ツイーター、150mmコーン型ミッドレンジ、165mmコーン型ウーハー×2
●周波数帯域:29Hz〜33kHz
●出力音圧レベル:90dB/2.83V/m
●インピーダンス:8Ω
●寸法:260(幅)×402(奥行)×1,020(高さ)mm(台座部含む)
●質量:27.5kg

「HTM6 S3」
●希望小売価格(税込、1本):118,800円
●型式:2ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型ツイーター、130mmコーンウーハー×2
●周波数帯域:42Hz〜33kHz
●出力音圧レベル:87dB/2.83V/m
●インピーダンス:8Ω
●寸法:480(幅)×283(奥行)×160(高さ)mm(端子含む)
●質量:7.7kg

最も大きな変更点はツイーターにある

「600 S3」シリーズでの変更点を端的に言えばツイーターだ。振動板の素材をアルミからチタンに変更し、それにともなってツイーター背面の「チューブ・ローディング・システム」も設計変更されるなどの改良が加えられている。以下に変更点を列挙しよう。

Bowers & Wilkinsのエントリークラス「600」シリーズが登場してから実に28年。それ以前のBowers & Wilkinsのエントリーモデルは「離れて見るとどこのスピーカーかわからない」ものだったという。そこで、当時のメーカーの顔であったケブラーコーンウーハーとメタルドームを投入されたのが始まりだ。現在では黄色いケブラーコーンは灰色の「コンティニュアム・コーン」と呼ばれるユニットに変更されている

Bowers & Wilkinsのエントリークラス「600」シリーズが登場してから実に28年。それ以前のBowers & Wilkinsのエントリーモデルは「離れて見るとどこのスピーカーかわからない」ものだったという。そこで、当時のメーカーの顔であったケブラーコーンウーハーとメタルドームを投入されたのが始まりだ。現在では黄色いケブラーコーンは灰色の「コンティニュアム・コーン」と呼ばれるユニットに変更されている

Bowers & Wilkinsのハイファイ向けスピーカーとして、チタンドームを採用するのは今回が初のこと。ただし、フィリップスとの協業で有機ELテレビのスピーカーを設計した際にすでにチタンドームを試していたという。そのノウハウを転用したというわけだ

Bowers & Wilkinsのハイファイ向けスピーカーとして、チタンドームを採用するのは今回が初のこと。ただし、フィリップスとの協業で有機ELテレビのスピーカーを設計した際にすでにチタンドームを試していたという。そのノウハウを転用したというわけだ

ツイーターの振動板素材にチタンを採用した理由は音質の違いだという。どちらがよいというものでもないそうだが、強度で言えば従来使っていたアルミの倍程度。しかし、質量も倍程度になる。結局重量対強度という観点で比べるとあまりアルミと変わらないのだそうだ。

振動板が重くなると当然ユニットを動かしづらくなり、感度(出力音圧レベル)は下がる。そこで、チタンをどう薄く軽く仕上げるかが問題になる。今回のチタンの採用はそうした工作精度上の問題をクリアできたことがポイントになっているようだ。

ツイーター背面の「チューブ・ローディング・システム」。手前が新型(「600 S3」シリーズ)で奥が旧型(「600 S2」シリーズ)。チューブがかなり延長され、背圧の影響をさらに低減できたという。また、ツイーター保護用のメッシュパターンも変更されている

ツイーター背面の「チューブ・ローディング・システム」。手前が新型(「600 S3」シリーズ)で奥が旧型(「600 S2」シリーズ)。チューブがかなり延長され、背圧の影響をさらに低減できたという。また、ツイーター保護用のメッシュパターンも変更されている

ツイーター/ウーハー間の距離を短縮

上が「607 S3」で、下が「607 S2」。新モデル「607 S3」ではツイーターとウーハー間の距離が短縮されている。より“点音源”(すべての音が一か所から発せられる)に近づき、自然な音場が期待できるという

上が「607 S3」で、下が「607 S2」。新モデル「607 S3」ではツイーターとウーハー間の距離が短縮されている。より“点音源”(すべての音が一か所から発せられる)に近づき、自然な音場が期待できるという

磁気回路裏の“穴”を拡大

ミッドレンジ/ウーハーについては、コンティニュアム・コーン(「606 S3」「607 S3」「HTM6 S3」のウーハー、「603 S3」のミッドレンジ)、ペーパーコーン(「603 S3」のウーハー)ユニット背面の穴を拡大。低域の歪みを低減したという。拡大すればよいというものではないそうだが、改めてベストバランスを探り、コンティニュアム・コーンユニットは従来の5.5mmを8mmへ、ペーパーコーンユニットは従来の6mmを11mmへと変更された。なお、磁気回路自体は「700 S3」シリーズと同等品だ

ミッドレンジ/ウーハーについては、コンティニュアム・コーン(「606 S3」「607 S3」「HTM6 S3」のウーハー、「603 S3」のミッドレンジ)、ペーパーコーン(「603 S3」のウーハー)ユニット背面の穴を拡大。低域の歪みを低減したという。拡大すればよいというものではないそうだが、改めてベストバランスを探り、コンティニュアム・コーンユニットは従来の5.5mmを8mmへ、ペーパーコーンユニットは従来の6mmを11mmへと変更された。なお、磁気回路自体は「700 S3」シリーズと同等品だ

バスレフポートとスピーカー端子が独立

従来モデル(右)ではバスレフポートとスピーカー端子が一体となっていたが、これを分離。上位シリーズ同様の横並びの端子が採用された。また、バスレフポートのチューニング周波数がいずれのモデルも1割ほど下げられているという

従来モデル(右)ではバスレフポートとスピーカー端子が一体となっていたが、これを分離。上位シリーズ同様の横並びの端子が採用された。また、バスレフポートのチューニング周波数がいずれのモデルも1割ほど下げられているという

ネットワーク回路では、音質補正用のコンデンサーに変更が加えられている。品種と個数の変更でチューニングされている

ネットワーク回路では、音質補正用のコンデンサーに変更が加えられている。品種と個数の変更でチューニングされている

空間描写力の向上が感じられる「600 S3」シリーズ

最後に、センタースピーカー以外の製品をD&Mホールディングスの試聴室で聴くことができたので、そのインプレッションを記しておこう。

「607 S3」については従来モデル「607 S2 Anniversary Edition」との比較も実施されたのだが、「607 S2 Anniversary Edition」だけを聴けば、さすが価格.comの「スピーカー 人気売れ筋ランキング」1位(2023年9月14日現在)と思わせる実力だと感心させられる。130mm径の小型ウーハーながら、ジャズのウッドベースの“形”が十分にわかるし、ピアノの弦が叩かれる様子も“見える”立派な解像度もある。

あくまで比べて言えばだが、「607 S3」では、確かに空間の広がりのスムーズさを感じられた。低域のチューニングが下げられているとのことで低域の質感向上も期待したものの、正直なところそこまでの改善は感じられなかった。とはいえ、上記のとおり、ディープな低音は再生できない小口径スピーカーでありながら、元々ベースの“形”はわかるスピーカーだ。そのよさは継承されている。

スペック上の周波数特性は同じでも、低域再現に余裕が出てくるのが「606 S3」だ。本体サイズをいとわずにハイファイ再生を志向するならば、これくらいはほしいという印象。どちらかを迷った場合、サイズが許すならばこちらだろう。

「603 S3」ではさらに情報量が増えて、高域側も滑らかに感じられる。細かな楽器の響きが空間に舞い、より音に包み込まれるような感覚を味わえる。これは大型スピーカーと管理された部屋ならではの魅力と言える部分だろう。

従来モデルである「600 S2」シリーズもしばらくは流通するだろうが、この「600 S3」シリーズが新たな定番人気モデルとなるのは間違いなさそうだ。

サラウンド派、特にセンタースピーカー“有り”派にはセンタースピーカーがラインアップされることもうれしいポイント

サラウンド派、特にセンタースピーカー“有り”派にはセンタースピーカーがラインアップされることもうれしいポイント

柿沼良輔(編集部)

柿沼良輔(編集部)

AVの専門誌を編集して10年超。「(デカさ以外は)映画館を上回る」を目標にスピーカー総数13本のホームシアターシステムを構築中です。映像と音の出る機械、人が一生懸命つくったモノに反応します。

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