AVIOTと言えば、完全ワイヤレスイヤホンの黎明期から日本人に合ったサウンドにとことんこだわった製品開発を行い、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホン専業ブランドとして数多くの完全ワイヤレスイヤホンを世に送り出すなど、完全ワイヤレスイヤホン業界をリードしてきたブランドのひとつだ。
そんなAVIOTの完全ワイヤレスイヤホンの中でも、機能や音質、デザイン性、コストパフォーマンスの高さがユーザーから支持され、シリーズ累計出荷数約18万台*を記録した大ヒットモデルが「Qシリーズ」。この「Qシリーズ」の後継モデルとして、10月2日に発売されるのが、ノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン「TE-Q3」だ。直販価格は11,990円。
*自社調べ。2023年7月末時点。
AVIOT「TE-Q3」。カラーバリエーションは、写真のブラックオニキスのほか、ラピスブルー、パールホワイト、ピンククオーツ、レッドスピネル、ラベンダージェイドの全6色をラインアップ
「TE-Q3」の魅力を伝えるタイアップアーティストには、あのさんを起用
従来モデル「TE-D01q2」からさまざまな部分をブラッシュアップしたという「TE-Q3」。なかでも大きく変化したのがデザインだ。
充電ケースは、「バーティカルレイアウト」と呼ばれる徹底的にデッドスペースを排除した新構造を採用することで、業界最小クラス**という大幅なコンパクト化を実現。従来モデル「TE-D01q2」と比べて約33%もコンパクトになったという。外装も、多層塗装やラバー仕上げを用いて高級感のあるデザインに仕上げるだけでなく、滑りにくく傷に強い機能性もプラスしたそうだ。
**自社調べ。2023年9月時点。アクティブノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホンのチャージングケースにおける三辺合計の寸法として。
「TE-Q3」の充電ケース。多層塗装やラバー仕上げで手に取った際の質感はかなり向上している
充電ケース内の一部部品配置と収納時のイヤホン天面が垂直となる新構造「バーティカルレイアウト」を採用することで、大幅なコンパクト化を実現したという。なお、極限までデッドスペースを削減した影響で、左右イヤホンの間のスペースがかなり狭い。付属のイヤーピース以外に交換する際は注意したい
「TE-Q3」(写真左)と「TE-D01q2」(写真右)の充電ケースを比較。より薄くコンパクトになり、携帯性がさらに向上している
充電ケース左側面にはリセットボタンと充電用のUSB Type-Cが並ぶ
イヤホン本体もデザインを刷新し、「TE-D01q2」からさらなる小型化を押し進めた。特徴的なデザインだった「TE-D01q2」に比べるとオーソドックスな形状に改められているが、イヤホン本体のコンパクト化により耳の中にイヤホン本体がすっぽりと収まる形になったことで、耳からの飛び出しが少なくなったほか、イヤーフィンがなくても高い装着安定性を得られるようになっている。
オーソドックスな形状に生まれ変わった「TE-Q3」のイヤホン本体。重量は片側約4.2gで、IPX4相当の防水性能も備わっている。メタリック塗装が施された部分は従来モデル「TE-D01q2」同様にタッチセンサーを搭載。アプリ「AVIOT SOUND ME」からカスタマイズも可能だ
「TE-Q3」を装着したところ。耳から飛び出す部分がだいぶ少なくなった
「TE-Q3」(写真左)と「TE-D01q2」(写真右)のイヤホン本体を比較。見た目はかなりシンプルになった
付属のイヤーピースは薄型タイプ。医療用グレードのシリコンを採用し、形状と硬度を再設計したという。XS、S、M、Lの4サイズが付属する
ノイズキャンセリング機能は、従来モデル「TE-D01q2」同様にフォードフォワード方式のものが搭載されているが、新型プロセッサーの搭載によるアルゴリズム改良によりノイズ低減効果がアップしたという。実際、従来モデル「TE-D01q2」と新モデル「TE-Q3」を比べてみたが、耳に入ってくるノイズレベルが低減していることを確認できた。
効果の具合としては、フィードフォワード方式のノイズキャンセリング機能ということもあり、繁華街などの周囲のノイズレベルが大きい場所ではハイブリッド方式のノイズキャンセリング機能に比べて耳に入るノイズレベルは大きめで、緊急車両のサイレン音や秋の虫の音色などはほぼスルーの状態で耳に入ってくるものの、エアコンのファンの音や電車の走行音などはそれなりにしっかりと除去してくれる。
強力なノイズキャンセリング機能を期待しているとやや物足りなく感じるかもしれないが、ノイズキャンセリング機能特有の圧迫感も少なく、音楽を再生すれば相対的にノイズも気にならなくなるので、音楽再生をじゃましない程度のノイズキャンセリング機能としては十分合格点と言えるだろう。
アプリ「AVIOT SOUND ME」にも対応。ノイズキャンセリングレベルや外音取り込みレベルを細かく調整できるほか、10バンドのイコライザー機能やタッチセンサーのキーアサイン変更なども行える(アプリ画面は開発中のものです)
ドライバーユニットは口径10mmのダイナミック型ドライバー×1構成で、イヤホン本体の小型化に合わせてフロントチャンバーなどのアコースティック構造を見直したほか、「音楽を生き生きと鳴らす」ことをテーマにチューニングを追い込んだという。
実際に「TE-Q3」を試聴してみたが、ナチュラルだがキレや抑揚表現もしっかりしており、低音域から高音域までバランスよく聴かせてくれる。アタックもレスポンスがよくてわかりやすく、グルーヴもしっかりと伝わってくるし、解像度は若干甘めで従来モデル「TE-D01q2」に比べるとややボーカルが引っ込んだ感じに聴こえるものの、楽器それぞれの響きも埋もれることなくクリアに再現できていて、ノリよく楽曲を楽しめる。人の声の繊細なニュアンスもわかりやすいので、音楽リスニングはもちろんだが、YouTubeなどの動画視聴との相性もよさそうだ。
バッテリー性能は、イヤホン単体で最大11.5時間、ケース併用で最大42時間(ともに音楽再生時)となかなかのスタミナ仕様だ。Bluetoothのバージョンは5.3で、コーデックはSBCとAACに対応。音の遅延を抑えるゲーミングモード、マルチポイント接続、片耳使用などにも対応する。
音の遅延を抑えるゲーミングモードは、アプリ「AVIOT SOUND ME」から有効する形(アプリ画面は開発中のものです)
昨今は完全ワイヤレスイヤホンの低価格化が進み、1万円前後の価格帯は激戦区になっている。この価格帯でもノイズキャンセリング機能は当たり前になりつつあり、一部海外メーカーの中にはハイブリッド方式のノイズキャンセリング機能を搭載したモデルなども登場してきている。
そういった状況の中で登場した「TE-Q3」の強みは、多くの人が選びやすいちょうどよいモデルというところだ。機能性だけを見ればもっと上の製品がある中で、あえて機能性を欲張りすぎず、1万円前後という価格帯の中で、6色の豊富なカラーバリエーション、コンパクトに持ち運びできるデザイン性にすぐれた充電ケース&イヤホン、ケース併用最大42時間のバッテリー性能、こだわりの音質チューニングなど、多くの人が普段使いに取り入れやすい内容を揃えてきた。あえて奇をてらわず、極めてオーソドックスにまとめ上げてきたところが大ヒットモデル「Qシリーズ」の正統後継モデルらしさと言えそうだ。
AV家電とガジェット系をメインに担当。ポータブルオーディオ沼にどっぷりと浸かっており、家のイヤホン・ヘッドホンコレクションは100を超えました。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットも増えてます。家電製品総合アドバイザー資格所有。