レビュー

光るだけじゃない!? Edifier「QD35」はLDAC対応で高音質、充電器にもなるワイヤレススピーカーの決定版かも

1996年の設立以来、スピーカーやカーオーディオ製品の開発・製造・パッケージングまでを自社で手掛け、4,000人以上の従業員を抱える中国の老舗オーディオブランドEdifier。最近はPCスピーカーやイヤホン・ヘッドホン製品も国内の取り扱いが増えているほか、実はEdifier傘下のAIRPULSEブランドで展開するBluetoothスピーカーすでに人気を博している。そんなEdifierが、8月25日より自社名のブランドで販売をスタートした「QD35」は多方面に作り込まれたスピーカーだ。

Edifier「QD35」

Edifier「QD35」

カッコよく光るだけじゃない!? USB充電器も内容した個性派スピーカー

まずは、どう見ても気になる「QD35」の外見からレビューしていこう。

本体サイズ263(幅)×133(奥行)×165(高さ)mm、重量約2.7kgのバッテリーを内蔵しない据え置きタイプの大型ワイヤレススピーカーだ。貨物コンテナを彷彿とさせるリグ付きのEDIFIERロゴ入り天板、クリアパネルのバッフル。そして、カッコよく光るライティング機能。ガジェットと呼ぶべきか、インテリアと呼ぶべきか……狙って作られたデザインであることは一目瞭然だ。

クリアバッフルでスピーカー内部を見せるように光るデザイン志向のモデル

クリアバッフルでスピーカー内部を見せるように光るデザイン志向のモデル

ブランド名を天板にデカデカと配置するところもハードボイルド

ブランド名を天板にデカデカと配置するところもハードボイルド

本体右側面に配置されている操作部。上から電源/ソース切り替え、音量調整ノブ、ライティング機能の明るさ調整ノブ。ライティングを完全消灯することも可能だ

本体右側面に配置されている操作部。上から電源/ソース切り替え、音量調整ノブ、ライティング機能の明るさ調整ノブ。ライティングを完全消灯することも可能だ

本体左下には常時時間をデジタル表示。これは据え置き用途には便利

本体左下には常時時間をデジタル表示。これは据え置き用途には便利

クリアパネルのバッフルに2ウェイのユニットを取り付け。内部のパイプ風デザインは飾りのようだが……カッコイイことには変わりない

クリアパネルのバッフルに2ウェイのユニットを取り付け。内部のパイプ風デザインは飾りのようだが……カッコイイことには変わりない

そして、「QD35」のデザインで最も目を惹くポイントがスピーカーのフロントバッフル内をLEDの光で演出するライティング機能。ただLEDで派手に光るだけでなく、光が走るような点滅パターンも作り込まれている。

専用アプリ「Edifier Connect App」からカラーや発光パターンなどライティング機能のカスタマイズが可能

専用アプリ「Edifier Connect App」からカラーや発光パターンなどライティング機能のカスタマイズが可能

照明を落とした状態での“映え”具合はさすがに半端ない

照明を落とした状態での“映え”具合はさすがに半端ない

「QD35」のライティング機能の発光バリエーションは、動画で紹介しているのでぜひチェックしてみてほしい。

個人的にはこの「QD35」のデザイン、メカニカルなところは趣味の部屋にこそマッチすると思う。ライティング機能も照明を落としてこれみよがしに光らせるのもよいが、明るい部屋でチラリと光が走るというのもカッコいい。このガジェット感満載の独特の存在感が「QD35」の大きな魅力なのは間違いない。

もうひとつ、「QD35」はワイヤレススピーカーとしてだけでなく、高効率なGaN(窒化ガリウム)テクノロジー搭載の充電器を一体化したユニークな製品コンセプトを持っている点にも注目したい。本体左側面にUSB Type-A端子(最大18W)とUSB Type-C端子(最大35W)が用意されており、USBケーブルで接続した機器への充電が行えるのだ(同時充電時は最大18W)。

本体左側面にUSB Type-A端子(最大18W)とUSB Type-C端子(最大35W)が用意されており、GaN(窒化ガリウム) テクノロジー搭載の本格的な充電器としても使える

本体左側面にUSB Type-A端子(最大18W)とUSB Type-C端子(最大35W)が用意されており、GaN(窒化ガリウム) テクノロジー搭載の本格的な充電器としても使える

これだけの電源供給能力であればスマートフォンだけでなくUSB Type-C搭載のノートPCの充電にも使えるし、ライティング+時計付きであることを生かしてベッドサイドに置いて使う場合にも便利だ。

LDACコーデック対応&USB DAC機能搭載の高音質スピーカーの側面も

ここからは「QD35」のスピーカーとしての実力をチェックしていこう。

「QD35」の定格出力は40Wで、ユニット構成は直径約76mmの3インチユニットとツイーターによる2ウェイ。サイズ的には余裕があるが、あくまでモノラルのスピーカーとして動く。フルデジタルDSPチップセットが音声信号を高音と中低音へ正確に分割してユニットへ送るというところはいまどきの設計だ。

まずはBluetooth接続でスピーカー機能をレビュー

まずはBluetooth接続でスピーカー機能をレビュー

「QD35」をワイヤレススピーカーとして気軽に使うなら、音楽再生ソースの基本はBluetoothになる。コーデックはSBCだけでなくLDACもサポートしており、LDAC接続時は最大96kHz/24bitのハイレゾワイヤレスを楽しめる。なお、出荷時はSBCがデフォルト設定となっており、LDACには専用アプリ「Edifier Connect App」から変更できる。まずはスタンダードに「QD35」をBluetoothスピーカーとして使ってみた。

LDACコーデックを使用してAndroidスマートフォンを接続、音楽コンテンツを再生してみたが、そのサウンドは期待以上だった。たとえば、YOASOBI『アイドル』を聴くと、鮮やかに伸びる女性ボーカル、余裕たっぷりにズンズンと聴かせる低音がとても心地よい。いわゆるBluetoothスピーカーらしい空間の広がりを狙った臨場感志向ではなく、音の厚みや情報量をしっかりカバーしている。

ビリー・アイリッシュ『bad guy』のように重低音を攻めるサウンドでも、重低音の中の情報量にさすがと唸らせられる。そして、ダイアナ・クラール『夢のカリフォルニア』のようなジャズを聴いても、ムーディーなしっとりとした歌声、ウッドベースの質感、弦の繊細さまで見事に再現されていた。

「QD35」のサウンドは、本体サイズ相応に鳴りっぷりがよく重低音も効かせているが、本当の価値はハイレゾ志向のワイドレンジな再生能力。これはHi-Fiオーディオにも通じるサウンドだ。ただ、モノラルスピーカーのため音の広がりは大きくはないので、音をしっかり聴き込むなら、スピーカー正面方向でのリスニングを推奨したい。

先ほど音楽再生ソースの基本はBluetoothになると伝えたが、あくまでもワイヤレススピーカーとして使うという前提であって、「QD35」にはBluetooth以外に有線接続の選択肢も用意されている。ひとつがUSBデジタル入力、もうひとつが3.5oAUXを使ったアナログ入力だ。

前者は本体に搭載されているUSB DAC(最大96kHz/24bit)を活用したもので、本体背面に用意されたUSB Type-A(USB A to Aケーブルが付属)を使ってPCやMacとUSBケーブルで直結するだけでUSBスピーカーとして利用可能。後者も入力端子は本体背面に用意されており、イヤホンジャック搭載のスマートフォンやDAPなど、アナログオーディオ出力可能なオーディオ機器を接続できる。手軽さという点ではBluetoothを使ったワイヤレス接続に軍配が上がるが、有線接続でも多彩な機器と接続できる点は大きな魅力と言えるだろう。

付属のケーブルを使用し、本体背面のUSB Type-A端子とPCと直結して利用できる

付属のケーブルを使用し、本体背面のUSB Type-A端子とPCと直結して利用できる

なお、「QD35」をUSB接続で利用した場合、LDACコーデックを使用したBluetooth接続よりも音の解像度がアップする。専用アプリ「Edifier Connect App」からMusic/Game/Movie/DIYの4種類のイコライザーを選択できるほか、イコライザーのDIYでは6バンド±3dbの範囲を0.5db単位で調整できるなど、カスタマイズ機能も充実。予想以上に音にこだわったワイヤレススピーカーでもあるのだ。

素で音のよいスピーカーなのでYouTubeなどの動画視聴時に使うのもアリ

素で音のよいスピーカーなのでYouTubeなどの動画視聴時に使うのもアリ

Netflixの映像作品視聴でも「QD35」を使ってみた。音の広がりこそ少ないものの迫力のあるサウンドが気分を盛り上げてくれる

Netflixの映像作品視聴でも「QD35」を使ってみた。音の広がりこそ少ないものの迫力のあるサウンドが気分を盛り上げてくれる

ほかにも、専用アプリ「Edifier Connect App」に波の音や虫の鳴き声、雨音などのヒーリング系の環境音を収録した“睡眠音楽”が収録されているのもユニークだ。純正アプリでここまで用意してくれると活用にも手間がない。

“睡眠音楽”はヒーリング系の環境音を収録したもの。ベッドサイドで寝る前に再生すればぐっすり眠れそうだ

“睡眠音楽”はヒーリング系の環境音を収録したもの。ベッドサイドで寝る前に再生すればぐっすり眠れそうだ

【まとめ】思った以上に作り込まれた1台

「QD35」の実売価格は29,800円前後。Bluetooth接続のワイヤレススピーカーと考えると、選ぶ目も聴く耳も厳しくなるところだが……光るだけじゃなくカッコよく作り込んだデザイン性、LDACコーデック対応のスペックだけでなく実際のサウンドも完成度が高い。オマケに最大35WのGaN(窒化ガリウム)テクノロジー搭載の本格的なUSB充電器も内包しており、多方面によく作り込まれたスピーカーだと感心してしまった。

BluetoothとUSBデジタル入力以外にもアナログ音声入力もあるので、これ1台でさまざまな音楽リスニングをカバーできる汎用性もあり、店舗などに設置しても似合いそうだ。気になる点をひとつあげるなら、USB接続は音もよく、PCスピーカーとして使いたくなるが、モノラルスピーカーのため接続時の置き場所に悩むこと。せっかく音がよいのだから、同じコンセプトでステレオ版の登場にも期待したいところだ。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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