30万円のウォークマンや20万円のヘッドホンなどをラインアップ

ソニー渾身のオーディオフラッグシップモデル「Signature Series」がスゴい!

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ソニーがドイツ・ベルリンで開催されていたIFA 2016の会場で発表した「Signature Series」。ウォークマン「NW-WM1Z」「NW-WM1A」、ハイレゾ対応ヘッドホン「MDR-Z1R」、ヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」の4製品からなる同シリーズは、長年培ってきたアナログとデジタルの高音質技術を集結し、高音質を徹底的に突き詰めたという同社オーディオ製品のフラッグシップモデルだ。ついに本日、日本でも正式発表された。正式発表に先駆け、いち早く新製品に触れることができたので、ここでは実機の写真を交えながら、新製品の特徴をお届けしよう。

Zシリーズに代わる新しいフラッグシップウォークマン「WM1シリーズ」。上位モデルは無酸素銅金メッキシャーシを採用し、お値段なんと30万円!

ハイエンドオーディオユーザー向けのSignature SeriesにラインアップされたNW-WM1ZとNW-WM1A。いずれも、ウォークマンの新シリーズ「WM1シリーズ」として、これまでウォークマンのフラッグシップモデルとして君臨していた「ZXシリーズ」よりもさらに上にラインアップされる新しいフラッグシップモデルとなる。

ウォークマンNW-WM1Z(左)とNW-WM1A(右)

ウォークマンNW-WM1Z(左)とNW-WM1A(右)

いろいろと進化点はあるが、もっとも大きな進化点のひとつといえるのが、ウォークマン専用フルデジタルアンプ「S-Master HX」の刷新だろう。これまでのZXシリーズは、他メーカーのハイレゾDAPに比べて楽曲再生の基本スペックが見劣りしていたが、WM1シリーズ用に新開発したという「CXD3778GF」を新たに搭載したことで、11.2MHzまでのDSD再生や、384kHz/32bitまでのPCM音源再生が可能となっている。また、S-Master HXの刷新にともない、圧縮音源をハイレゾ相当にアップサンプリングして音質を補正する「DSEE HX」に、楽曲のタイプにあわせて最適に音質を補正する機能が新たに追加されたり、イコライザー調整が従来の5バンドから10バンドに拡張されるなど、楽曲再生まわりの機能が強化されているのもポイントだ。

さらに、ステレオミニ端子によるアンバランス出力に加え、今年4月にJEITAで規格化された4.4mm端子を用いたバランス出力をサポートしたのも新モデルの大きな特徴だ。バランス出力時は、DSD 11.2MHzのネイティブ再生(アンバランス時はPCM変換再生)も可能となっている。ヘッドホン出力についても、アンバランス接続時で60mW+60mW(16Ω)、バランス接続時で250mW+250mW(16Ω)となり、ZXシリーズの15mW+15mW(16Ω)から大幅に強化され、高インピーダンスヘッドホンを接続した際も余裕を持ってドライブできるようになっている。

4.4mmジャックを用いたバランス出力と3.5mmステレオミニジャックを用いたアンバランス出力の2系統のヘッドホン出力を装備

内部設計部分では、バッテリーから電力を供給する大元電源に大容量かつ低ESRの電気二重層キャパシタを採用したり、抵抗値をさらに引き下げた専用開発の電池パックの採用、アンプ部電源への新開発高分子コンデンサ(FT CAP)の搭載など、電源周りを大幅に強化したほか、基板レイアウトの最適化や信号経路のブラッシュアップ、100MHz対応低層ノイズ水晶発振器を44.1kHzと48kHzのそれぞれに搭載してクロックの最適化を行うなどして、高音質化を図っている。

ケーブル5本出しで抵抗値を従来の1/2にしたバッテリーパックの採用など、かなり細かい部分まで改良が加えられている

これまでウォークマンのフラッグシップモデルはAndroid OSを継続的に採用していたが、今回の2機種から独自OSに切り替わっているのも見逃せないポントだ。ユーザーインターフェイスも、音楽再生に特化したまったく新しいデザインとなり、操作性も大きく向上している。

Android OSから独自OSに切り替わり、ユーザーインターフェイスのデザインも大きく変わった

Android OSから独自OSに切り替わり、ユーザーインターフェイスのデザインも大きく変わった

物理ボタンは本体側面に用意されている

物理ボタンは本体側面に用意されている

上位モデルのNW-WM1Zと下位モデルのNW-WM1Aとの大きな違いはシャーシで、NW-WM1Zは純度99.96%以上の無酸素銅から削り出したシャーシに純度99.7%の高純度金メッキを施した無酸素銅金メッキシャーシを、下位モデルのNW-WM1Aは総削り出しのアルミシャーシを採用している。また、内部パーツについても、上位モデルのNW-WM1Zはアコースティックな再現力を高める高品位パーツを積極的に採用しており、これらの差が価格やサウンド傾向の違いにつながっているという。

一番左がシャーシを削り出す前の金属の塊だ。NW-WM1Zは無酸素銅を贅沢に使用していたため、削り出したシャーシだけでもずしりと重い

上位モデルのNW-WM1Zは、内蔵メモリーが256GBで市場想定価格が30万円前後(税別)、下位モデルのNW-WM1Aは、内蔵メモリーが128GBで市場想定価格が12万円前後(税別)。いずれも10月29日発売となる。

新モデル2機種ともに内蔵メモリーのほか、microSDメモリーカードを使った内蔵メモリーの容量拡張に対応している

70mmの大口径ドライバーユニットを搭載したMDR-Z1R。空気感の表現に注力

MDR-Z1Rは、ウォークマンWM1シリーズと同様、ヘッドホンラインアップのフラッグシップモデルとなる密閉型のヘッドホンだ。コンセンプトは、「ヘッドホンによる音楽体験を究極にまで洗練させ、“聴く”を“感じる”領域にまで革新するフラッグシップ」。特に空気感の表現に注力して開発したという。

ヘッドホンラインアップのフラッグシップモデルとなるMDR-Z1R

ヘッドホンラインアップのフラッグシップモデルとなるMDR-Z1R

ドライバーユニットは、70mの大口径タイプのものを搭載する。この大口径サイズを生かして平面に近い波面を再現することで、スピーカーで音楽を聴いているときのような自然な響きを実現している。

MDR-Z1Rを装着したところ。70mの大口径ドライバーユニットはやはり大きい

MDR-Z1Rを装着したところ。70mの大口径ドライバーユニットはやはり大きい

振動板については、ドーム部に薄膜のマグネシウムを、エッジ部にアルミニウムコートLCPを採用。ドームに軽量なマグネシウムを使用したことで、ボイスコイルで発生した振動をドーム部に効率よく伝達し、120kHzという超高域再生を実現したほか、ドームとエッジで異なる素材を組み合わせることで、色付けのないクリアな音を実現したという。

ドライバーユニットの分解図。振動板のドーム部とエッジ部で異なる素材を採用しているのは非常にめずらしい

ドライバーユニットの分解図。振動板のドーム部とエッジ部で異なる素材を採用しているのは非常にめずらしい

さらにユニークなのが、振動板の前面に用意されたグリル部分。フィボナッチ数列を参考にした曲線のパターンを採用することで開口を均等化。空気伝搬の最適化を図ることで、滑らかな超高域再生に寄与するという。

フィボナッチ数列を参考にしたグリル部分(左)。従来型のグリル部(右)に比べて滑らかな空気伝搬が行えるようになったという

「レゾナンスフリーハウジング」と呼ばれる通気性のある音響レジスターをハウジング全体に採用するという構造も非常に面白い。密閉型ヘッドホンの場合、ハウジングに反射する共鳴が音質に影響する場合があるが、MDR-Z1Rではハウジング全体で通気を最適にコントロールすることで、空間共鳴を排除している。また、シームレスに曲率を変更させ、平面のないハウジング形状とすることで、ハウジングの形状から起こる共鳴を事前に抑制している。

音響レジスターは和紙のような柔らかい紙素材が使用されていた

音響レジスターは和紙のような柔らかい紙素材が使用されていた

ヘッドバンドに眼鏡フレームにも使われる軽量で弾力性に富むβチタンを採用したり、ヘッドバンドカバーに耐久性にすぐれた牛革を使用するなど、音だけでなく装着性や耐久性にも非常にこだわっている。イヤーパッドも、厚みのある低反発ウレタンフォームと高品質な羊革による立体縫製仕上げとなっており、高いフィット感を実現している。

主な仕様は、感度が100dB、再生周波数帯域が4Hz〜120000Hz、インピーダンスが64Ω(1kHzにて)、最大入力が2500mW。重量は約385g(ケーブル含まず)。コード長約3mのヘッドホンケーブル、約1.2mの4.4mm径バランス接続ヘッドホンケーブル、ハードケースなどが付属する。発売は10月29日で、市場想定価格は20万円前後となる。

ヘッドホンケーブルばリケーブルに対応。写真は別売りのキンバーケーブルを装着しているところだ

ヘッドホンケーブルばリケーブルに対応。写真は別売りのキンバーケーブルを装着しているところだ

さすがに20万円もするヘッドホンだけあり、入っている入れ物もかなり豪華だ

さすがに20万円もするヘッドホンだけあり、入っている入れ物もかなり豪華だ

同社初の据え置きヘッドホンアンプTA-ZH1ESは、デジタルとアナログを組み合わせたユニークなアンプ構造を採用

TA-ZH1ESは、同社初となる据え置きタイプのヘッドホンアンプ。フルデジタルアンプ「S-Master HX」にアナログアンプを組み合わせた新開発のデジタルアンプ「D.A.ハイブリッドアンプ」を搭載したのが最大の特徴だ。

同社初のヘッドホンアンプTA-ZH1ES

同社初のヘッドホンアンプTA-ZH1ES

高インピーダンスのヘッドホンで分な音量を得るためには大きな出力が必要となるが、半導体はパワーと高速動作の両立が困難なため、「S-Master HX」単体だと大出力時に理想波形に対して実際の出力波形にわずかながら誤差が生じてしまうという。「D.A.ハイブリッドアンプ」では、このわずかな誤差成分を補正するためにアナログアンプを活用し、理想波形の音だけをヘッドホンから出力するような仕組みとなっている。

本体は、コンポーネントオーディオ「ESシリーズ」で培ったFBシャーシにWall構造を組み合わせた新開発「FBW(Frame/Beam/Wall)シャーシ」を採用。専用のアルミ押し出し材から削り出して作られたWallにより、共振を抑制する高剛性ボディを実現している。

機能面では、USB DAC機能を備えており、DSDは22.4MHzまで、PCMは768kHz/32bitまで対応。入力信号をDSD 11.2MHzに変換して処理する「DSD Remastering Engine」や、圧縮音源をで384kHz/32bitにアップサンプリングして再生できる「DSEE HX」なども利用できる。

本体背面のインターフェイスもかなり充実している

本体背面のインターフェイスもかなり充実している

ヘッドホン出力はすべて前面に用意されており、バランス出力はウォークマンで採用されている4.4mmや3.5mmステレオミニ×2のほか、4ピンXLRを各1系統用意。アンバランス出力も3.5mmステレオミニと6.5mm標準を各1系統備えており、据え置きヘッドホンアンプの中でもトップクラスの充実ぶりとなっている。

ヘッドホン出力はこのクラスではトップの豊富さ。アナプターを介さずに多彩なヘッドホンを装着できるのは非常に便利だ

入力インターフェイスは、USB、同軸デジタル、光デジタルを本体背面、ウォークマン/Xperia用入力端子を本体右側面に用意。同軸デジタルはPCM 192kHz/24bit、光デジタルは96kHz/24bit、ウォークマン/Xperia用入力端子はPCM 384kHz/32bitとDSD 5.6MHzまでの入力をサポートする。可変/固定/OFFの3種類から切り替えできるRCAアナログ出力も装備する。

発売は10月29日で、価格は278,000円(税別)

本体には、ウォークマンやXperiaを接続できる専用USBケーブルや、遠隔操作に対応したコンパクトなリモコンが付属する

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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2017.10.21 更新
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