イベントレポート
ソニーやキヤノンなどからミラーレスの新モデルが登場

カメラ・写真の祭典「CP+2018」で見かけた注目の新製品【カメラボディ編】

2018年3月1日〜4日の期間で開催される、カメラおよび写真・映像関連の国内最大の祭典「CP+2018」。ここでは、「カメラボディ編」として、CP+2018で見かけたデジタル一眼カメラとコンパクトデジタルカメラの新製品の中から特に注目度の高いものをピックアップ。展示されている実機を触ってみた感想なども交えながら、各製品の特徴をレポートしよう。

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注目度の高いソニーの新型フルサイズミラーレス「α7 III」

下位モデルながら高性能を実現して話題を集めている「α7R III」

下位モデルながら高性能を実現して話題を集めている「α7R III」

今年のCP+の展示の中で目玉のひとつとなるのが、2018年3月23日発売のソニーの新モデル「α7 III」だ。「α7シリーズ」第3世代のラインアップの中では下位に位置するモデルではあるものの、画質・連写・AFなどの基本性能が高く、ハイアマチュアユーザーを中心に注目を集めている。

画質面では、新開発となる有効約2420万画素の裏面照射型CMOSセンサーと新世代の「BIONZ X」を採用。画素数は従来モデルからほぼ据え置きだが、撮像素子が裏面照射型になったことでさらなる高画質が期待できる。

連写は、メカシャッター・電子シャッターの両方で最高約10コマ/秒の高速連写を実現。オートフォーカス(AF)も、画面の約93%をカバーする693点の像面位相差AFと、425点のコントラストAFを組み合わせた新システムを採用した。5軸対応のボディ内手ブレ補正も搭載している。動画は4K/30p記録に対応。フルサイズ領域での全画素読み出しが可能で、4K/24p記録時には4K映像に必要な画素数の約2.4倍の情報を使って高品位な4K映像を出力する(※4K/30p記録時は約1.6倍)。スペック的には、フラッグシップモデル「α9」と高画素モデル「α7R III」のいいところを組み合わせたような、出し惜しみ感のない内容になっている。

ソニーのブースでこの注目モデルを試してみたが、連写・AFのレスポンスがよく、動く被写体の追従撮影にも対応できた。「瞳AF」も、顔が横向きや下向きの状態でも検出するようになっており、精度の向上を確認。電子ビューファインダー(EVF)の解像度が約236万ドットにとどまっているのと、ロック機構のないモードダイヤルなどボディの細かい作り込みで差を感じたものの、ボタンレイアウトはα7R IIIと同じで、基本的な使い勝手で上位モデルに劣るところは見当たらなかった。画像書き込み時でもメニュー画面の操作が可能で(※一部機能が使えないのはα7R IIIと同じ)、マイメニュー機能にも対応している。こうした細かい使い勝手で上位モデルと差がないのはポイントが高い。

ボディ単体の市場想定価格は23万円前後(税別)。基本性能の高さを考慮するとこの価格はお買い得で、この春から夏にかけて特に話題を集めるモデルになりそうだ。

細かい作り込みが異なるものの、基本的な操作性は上位モデルを踏襲

細かい作り込みが異なるものの、基本的な操作性は上位モデルを踏襲

あの“Kiss”がミラーレスになった。キヤノンの新モデル「EOS Kiss M」

キヤノンの新モデルでは新しいミラーレス「EOS Kiss M」への注目度が高い

キヤノンの新モデルでは新しいミラーレス「EOS Kiss M」への注目度が高い

2018年3月23日発売の、キヤノンの新しいAPS-Cミラーレス「EOS Kiss M」も話題を集めている製品だ。エントリー向けの「EOS Kiss」シリーズとしては初となるミラーレスで、いち早く最新の映像エンジン「DIGIC 8」を採用するなど、スペック面で特徴のあるモデルとなっている。

画質面では、有効約2410万画素のCMOSセンサー(APS-Cサイズ)を採用。DIGIC 8によって従来以上に高感度画質がよくなったほか、ハイライト側の階調表現が見直されるなど細かいところも進化している。さらに、レンズ収差や回折現象を補正する「デジタルレンズオプティマイザ」をカメラ内で利用できるようになったほか、RAW記録も、フル画素のままデータ容量を減らす「C-RAW」を選択できる「CR3」フォーマットを新採用。クロップ撮影でコントラストAFになるものの、キヤノンのAPS-C機として初めて4K/24p記録に対応するようになるなど、APS-C一眼レフの上位モデルにもない機能を数多く搭載している。

さらにEOS Kissシリーズらしいのが、EVFを内蔵しながらも重量約387g(ブラック)という非常に小型・軽量なボディを実現していること。既存の「EOS M」シリーズの製品とは異なり、横開きのバリアングル液晶モニターを採用するのもこのモデルの特徴だ。

実際にEOS Kiss Mを持ってみて、その軽さに驚かされた。「EF-Mレンズ」が小型・軽量に設計されていることもあるが、APS-Cセンサーを採用するミラーレスとしては非常に軽い。さらに、動く被写体でAFを試すことができたが、よりスピーディーに合焦することも確認できた。現時点では、キヤノンのミラーレスの中でもっともスペックの高いモデルだが、実機で基本性能の高さを実感した。

キヤノンオンランショップの販売予定価格はボディ単体で73,500円(税別)。戦略的な価格に設定されており、コストパフォーマンスの高いAPS-Cミラーレスとして人気を集めそうだ。

バリアングル液晶モニターなど“Kiss”らしい操作性を採用している

バリアングル液晶モニターなど“Kiss”らしい操作性を採用している

フルサイズ一眼レフのマイナーチェンジモデル、リコー「PENTAX K-1 Mark II」

PENTAXブランドのフルサイズ一眼レフの新モデル「PENTAX K-1 Mark II」

PENTAXブランドのフルサイズ一眼レフの新モデル「PENTAX K-1 Mark II」

リコーイメージングからは2018年4月下旬に、フルサイズ一眼レフの新モデル「PENTAX K-1 Mark II」が登場する。

このモデルは既存の「PENTAX K-1」をベースに、APS-C機「PENTAX KP」などで採用されたアクセラレーターユニットを搭載するなどマイナーチェンジを図ったモデル。マイナーチェンジではあるものの、アクセラレーターユニットによって高感度時のノイズ低減力が高まり、最高感度は従来のISO204800から819200に向上。画像処理パラメーターも全面的に見直し、「深い青」や「生き生きとした緑」の再現性を高めた絵作りになっているという。

さらに、ボディ内の手ブレ補正機構を利用して、センサーを1画素ずつ微細にずらしながら4回撮影して1枚の画像を生成する「リアル・レゾリューション・システム」は「リアル・レゾリューション・システムII」に進化。新たに、手持ちでの撮影を可能にする「手ブレ補正モード」が追加された。このモードでは、手持ち撮影時のわずかな揺れを利用して超解像画像の合成をおこなうため、手ブレ補正機能との併用が可能となっている。

ボディ単体の直販価格は253,800円(税込)。前モデルの発売開始時の市場想定価格よりも少し安い設定になっているのがうれしいところだ。

驚きなのは、メイン基板を交換することで、前モデルのPENTAX K-1をMark II相当にアップグレードする期間限定のサービスが用意されていること(受付期間:2018年5月21日〜9月30日。料金:税込54,000円)。従来モデルの一部機能をファームウェア対応で新モデル相当に引き上げるのはよくあるが、ハードウェア(メイン基板)をまるごと交換して同等のカメラにするというのは非常に珍しい。リコーイメージングのブースで担当者にこの点をうかがったところ、「K-1は高価な製品なので、多くの方に長く愛用していただきたいという気持ちからこの交換サービスを用意しました」とのこと。PENTAXブランドは長年にわたりユーザーフレンドリーな対応で評価されてきたが、およそ2年前に発売になった旧モデルを最新モデルと同等のカメラとして使えるようになるのは非常にうれしい。

デザインやサイズ・重量は前モデルと同じ。上下左右方向に向きを変えられるフレキシブルチルト式液晶モニターも採用する

動画撮影にも力を入れた、ボディ内手ブレ補正搭載の富士フイルム「X-H1」

ボディ内手ブレ補正を搭載する、富士フイルムの新モデル「X-H1」

ボディ内手ブレ補正を搭載する、富士フイルムの新モデル「X-H1」

富士フイルムからは、かねてより噂されていた手ブレ補正内蔵のAPS-Cミラーレスが登場した。モデル名は「X-H1」で、本日2018年3月1日より発売になっている。

X-H1は、有効2430万画素の「X-Trans CMOS III」センサーなど、レンジファインダースタイルの「X-Pro2」や一眼レフスタイル「X-T2」といったモデルと同等の画質スペックを継承しつつ、「Xシリーズ」として初めてボディ内手ブレ補正を搭載。手ブレ補正は5軸に対応しており、最高5.5段分の補正効果を発揮する。

ボディは、X-T2やX-Pro2と比べて、マグネシウム合金の厚みが25%アップ。マウント部の取り付け構造を最適化することで、従来以上の高耐性を実現している。さらに、外装には粒度を高めた塗料を採用。擦り傷への耐性も向上しているという。防塵・防滴構造と-10℃の耐低温性能も実現した。

さらに、動画撮影のスペックが向上したのもトピック。DCI 4K/24pや4K/30p記録に対応するうえ、仕上がり設定の「フィルムシミュレーション」には、映画用フィルムの色・階調を再現した「ETERNA(エテルナ)」モードを新搭載。200Mbpsの高ビットレート記録にも対応する。また、フルHDでの120pハイスピード動画撮影や、ハイダイナミックレンジのガンマカーブ「F-Log」、音声タイムコードなどプロの映像制作向けの機能も数多く搭載する。4K動画の連続撮影時間が最大約15分で、4K/60p記録に対応していない点は残念だが、発熱などを考慮し、安定した動作を重視してこの仕様にしたとのことだ。

動画撮影機能に注目が集まるモデルだが、実機を触ってみると、むしろスチール撮影機能の進化を強く感じた。新たなAFアルゴリズムによって像面位相差AF性能が向上しており、低照度限界は0.5EVから-1EVに約1.5段分も拡張。Xシリーズとして初めてフリッカー低減機能も搭載している。さらに、シャッターユニットに衝撃吸収用のサスペンションを搭載し、メカシャッターの音が非常に小さいことも確認できた。Xシリーズは静音シャッターで定評があるが、その中でももっとも静かなシャッターに仕上がっている。レリーズのフィーリングも軽くなっており、クイックに反応してくれるのも好印象だ。

市場想定価格は24万円前後(税別)と少し強気の設定。ただ、ボディ内手ブレ補正など細かいところが進化しており、Xシリーズとしては最高スペックのミラーレスになっていることを考慮すると妥当な価格と言えるだろう。

Xシリーズとしては初めてボディ上面にサブ液晶モニターを搭載する

Xシリーズとしては初めてボディ上面にサブ液晶モニターを搭載する

小型ミラーレスの新モデル、パナソニック「LUMIX GX7 MarkIII」

小型・軽量ボディに高性能を搭載する「LUMIX GX7 MarkIII」

小型・軽量ボディに高性能を搭載する「LUMIX GX7 MarkIII」

パナソニックのブースでは、2018年3月15日発売のマイクロフォーサーズミラーレスの新モデル「LUMIX GX7 MarkIII」が展示されていた。

LUMIX GX7 MarkIIIは、コンパクトボディが特徴の「LUMIX GX」シリーズの最新モデル。従来モデルと比べて、撮像素子の画素数が有効1600万から有効2030万に向上。静止画撮影のフラッグシップモデル「LUMIX G9 PRO」から採用した新しい画質思想を取り入れ、より質感描写にすぐれた画質を実現しているという。また、モノクロ撮影機能も進化しており、階調性にすぐれた「L.モノクローム」に加えて、ハイライトとシャドウを強調しつつディテールを残す新モード「L.モノクロームD」の利用が可能になった。フィルム写真の質感を表現する粒状感を設定する機能も新たに加わっている。動画は4K/30p記録に対応する。

操作性では、チルト可動式のEVF(約276万ドット相当)を搭載。従来モデルでは非対応だったチルト可動が復活し、ローポジションでも無理のない姿勢でファインダー撮影ができるようになった。さらに、撮影モードダイヤルと同軸上に露出補正ダイヤルも追加。AF-S/AFFやAF-C、MFを切り替えられるフォーカスモードレバーも新たに備わっている。

実機を操作してみたが、やはりLUMIX GXシリーズはコンパクトなのがいい。5軸手ブレ補正を内蔵しながら重量は約450g(バッテリー、メモリーカード含む)で、従来モデルと同様に軽い。EVFのチルト可動が復活したのもうれしい点で、少し目線を下げた位置からの撮影もやりやすい。レスポンスにもすぐれており、撮りたいときにスピーディーにシャッターを切れるモデルに仕上がっていると感じた。パナソニックはこのシリーズを「ストリートフォト一眼」としてアピールしているが、まさにスナップ撮影に向いたコンパクトミラーレスと言えるだろう。

モノクロの新モード「L.モノクロームD」を追加。粒状感を加えることもできる

モノクロの新モード「L.モノクロームD」を追加。粒状感を加えることもできる

高い基本性能と上質なデザインが特徴のオリンパス「PEN E-PL9」

オリンパスのミラーレスの中ではエントリー向けとなる「PEN E-PL9」

オリンパスのミラーレスの中ではエントリー向けとなる「PEN E-PL9」

「PEN E-PL9」は、オリンパスが2018年3月9日に発売するマイクロフォーサーズミラーレス。コンパクトなスタイルが特徴となる「PENシリーズ」の下位モデルだ。

下位モデルではあるものの基本性能は充実しており、フラッグシップモデル「OM-D E-M1 Mark II」と同じ画像処理エンジン「TruePic VIII」を採用。定評のあるボディ内手ブレ補正も搭載しており、手ブレを防いだ撮影が可能だ。4K/30p動画撮影にも対応している。

さらに、デザイン性にすぐれるのもPENシリーズの特徴で、このモデルもその特徴をしっかりと継承。革調の素材をボディ全体に採用することで質感の高いデザインを実現している。ボタンやダイヤル類も細かいところまで作り込まれており、下位モデルではあるものの高級感のあるボディだ。

オリンパスのブースで実機を試してみたが、質感のよさが伝わってきた。革調素材は触った感じがよく、グリップやボタンの操作感もいい。オリンパスらしい高品位なカメラに仕上がっているという印象を受けた。機能面でも、オリンパス独自の「アートフィルター」に新モード「ネオノスタルジー」が加わるなど進化を遂げており、多彩な撮影が可能。デザイン性の高さもあって、使い込んでいくことでその魅力が増していくミラーレスだと感じた。

アートフィルターの新モードとしてネオノスタルジーが追加された

アートフィルターの新モードとしてネオノスタルジーが追加された

光学15倍ズーム対応の1インチコンデジ、パナソニック「LUMIX DC-TX2」

パナソニックの新型1インチコンデジ「LUMIX DC-TX2」は光学ズームレンズが15倍に拡張した

パナソニックの新型1インチコンデジ「LUMIX DC-TX2」は光学ズームレンズが15倍に拡張した

コンパクトデジカメでは、パナソニックが2018年3月15日発売の新モデル「LUMIX DC-TX2」を展示していた。

このモデルは、高倍率ズームレンズを搭載する1インチコンデジ。従来モデルは広角25mm(35mm判換算)スタートの光学10倍ズームだったが、新モデルは、コンパクトボディはそのままに広角24mm〜望遠360mm(35mm判換算)対応の光学15倍ズームに進化した。

さらに、内蔵EVFも性能が向上し、0.2型・約116万ドットから0.21型・約233万ドット相当にスペックアップ。タッチパネル対応の3.0型液晶モニターも約104万ドットから約124万ドットに高精細化した。フロントとリアにグリップを装備し、ホールド感も向上している。30コマ/秒連写で撮影できる「4Kフォト」も、被写体の動きや顔を検知して自動でマーカーを設定するオートマーキングや、選択した画像を軌跡として1枚の画像に合成するユニークな軌跡合成といった機能が追加された。

軌跡合成は4Kフォトの新機能。連続撮影した被写体の軌跡を1枚の画像に収めることができる

軌跡合成は4Kフォトの新機能。連続撮影した被写体の軌跡を1枚の画像に収めることができる

まとめ カメラボディの新製品展示は低調。サプライズがないのも残念

今年のCP+は、開幕にあわせて発表されたカメラボディの新製品の数が少なく、昨年以上に低調な印象を受けた。ミラーレスはソニーα7 III、キヤノンEOS Kiss Mといった注目モデルがいくつか登場したが、コンパクトデジカメについては、カシオ計算機が出展を取りやめたこともあって、大手メーカーの新モデルとして展示されているのはパナソニックのLUMIX
DC-TX2の1モデルのみ。ニコンの新型ミラーレスやリコー「GR」シリーズの新モデルなど、今後登場するであろう期待値の高いカメラボディに関してのサプライズ展示がないのも残念な点だ。

とはいえ、CP+は、新モデルを含めて各メーカーの現行製品が一同に会するうえ、メーカーの担当者と直接コミュニケーションを取れる貴重な場であることに変わりはない。撮影体験コーナーも、動く被写体で撮れるように工夫するメーカーが増えており、使い勝手をじっくりと試せる。各メーカーオリジナルのグッズがもらえたり、ユニークな体験コーナーも用意されている。店頭ではなかなか試すことができない撮影アクセサリーも手に取ってチェックできる。著名写真家のトークショーや撮影講座も撮影のヒントを得るのに貴重な機会だ。カメラや写真・映像に関していろいろと体験できる場になっているので、ぜひ足を運んでみてほしい。

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真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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