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ポートレート撮影のコツを実践!

「女の子がかわいく撮れちゃう本」を使えばおっさんもかわいく撮れるのか?

かわいく撮ってみた結果の写真です

かわいく撮ってみた結果の写真です

こんにちは。おっさんの斎藤充博です。先日本屋でこんな本を見つけました。

『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』(玄光社)という本です(版元に内容の紹介をする許諾を得ています)。女性をポートレート撮影するときのマニュアル本なんですが、結構おもしろいんですよ。

「水飲み場で水を飲んでいるところを撮ると口元がかわいく撮れる」とか「甘い物を食べてもらいながら撮るとリラックスした表情が撮れる」とか、女性の表情を引き出すコツがたくさん載っています。こんなちょっとしたことで、いい写真が撮れるんだ! という感じ。

そこで、思いました。

この本に書いてあるのは、なにも女性だけのことではないのではないか? 僕のようなおっさんでも、この本に書いてあるコツを使えば、かわいく撮れるかも……。

「おっさんをかわいく撮ってどうするんだ」という声が聞こえてきますね(僕は読者の声が聞こえてしまう特異体質なのです)。

いや、どうせならおっさんだってかわいく撮られたいですよ! そういうもんです。


というわけで外に出てみました。左にいるおっさんが僕です。右にいる女性は価格.comマガジン編集部の「しえる」さん。いつも僕の記事を編集してくれている人です。

僕だけでなく、しえるさんも同じコツを使って撮影してみたいと思います。おっさんだけを撮っていると、この本に書いてあることが本当に正しいかどうか、わかりませんからね。

ちなみに、しえるさんは元地下アイドルで趣味はコスプレなんだそう。普通の人よりは多少撮られ慣れているのではないかと思います!


カメラマンはポートレート写真を撮ることが趣味の米田梅子さん。普段はコスプレイヤーを撮ることが特に多いそうです。

それではさっそく僕としえるさんをかわいく撮ってほしい!

「水飲み場で天然のアヒル口を作る」とかわいく撮れる

『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』によると、人は公園の水飲み場で水を飲もうとするときに、自然と「アヒル口」になるそうです。

この方法を使えば、かわいいアヒル口を簡単に撮影できるとか。まずは女性のしえるさんにやってもらいましょう。


おっ。なかなかすてきな写真が撮れました。ただ、ちょっと「アヒル口」という感じではないですね……。これだったら僕のほうがうまくできる気がします。


つまりこういうことですよね? よっしゃかわいく撮れただろ……と思っていたのですが、女性陣からは不評でした。

米田「いくらなんでも、口元意識しすぎじゃないですか?」

しえる「アヒル口というより、完全にキス顔になっちゃってますよ」

いや、それでもしえるさんよりも僕のほうが全然アヒル口だと思うんですが……。ダメかな。なかなか難しいです。

「アンバランスになるところに誘う」

人間は不安定なところに立つと、表情にまで気が回らなくなるそうです。そのときにカメラを向ければ「自然な表情」が撮れることになります。

『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』には「活き活きとした無垢なかわいさが切り取れる」なんて書いてあります。

このコツで、しえるさんと僕の無垢なかわいさを切り取ってもらいましょう。

まずはしえるさん

まずはしえるさん

確かに自然な笑顔で楽しそう! バランスをとるために広げた両手もいい感じです。

そして僕

そして僕

なんだか「ひょうきん」という言葉がピッタリとくる写真が撮れました。

「無垢なかわいさ」かどうかはよくわからないけれども、これはこれで楽しそう。アリだと思います。女性とおっさんは不安定なところに誘え!

振り返ると鼻筋がきれいに写る


カメラマンの米田さんのテンションがだんだん上がってきたのか『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』には載っていないコツで、しえるさんを勝手に撮りだしました。


「振り返ったところを撮ると鼻筋がきれいに写る」という米田さんのコツを使った写真。

米田「斎藤さんも鼻筋が通っているから、たぶんきれいに撮れると思いますよ」

ホントですか? やってみましょう。

これは……

これは……

振り返った瞬間にカメラのほうに目線を送らなくちゃいけないのが、難しい。顔に力が入ってしまいます。

斎藤「……変態っぽい表情。自分なのにこわい」

米田「でも鼻筋はきれいに撮れていますよ」

この写真、鼻筋に目がいく人は全然いないと思いますが!

斎藤「ほかにいいポーズないんですかね?」

米田「レイヤーさん定番のかわいいポーズやってみましょうか。両手を軽くにぎって、頭と顎につけて『にゃんにゃん』ってやってみてください」

斎藤「にゃんにゃん」

米田「なんか硬いですね?」

斎藤「硬いとかそういう問題ですかね?」

だいたい「にゃんにゃん」ってなんのマネなんでしょうか? 猫はこんなことしないですよね。このポーズは大いに疑問です。

「みんな大好き! 甘味攻撃を仕掛ける」

『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』に戻りましょう。甘い物を食べているところを撮影するというコツです。

本には「女性の心を動かすものの1つに甘味がある」と書かれています。でも甘味って女性だけでなくて、おっさんも好きですよね。


「甘い物」で表情がゆるんでいるのもいいですが、ソフトクリームみたいな小さくて壊れやすい物をそっと持っている仕草もいいですよね。これは期待できるコツかもしれない。

う…うめぇ〜〜〜。今日ものすごく暑いんですよ

う…うめぇ〜〜〜。今日ものすごく暑いんですよ

写真を見ると、口の端からソフトクリームがほんのり出ちゃっています。かわいいともいえるし、キモいともいえますね…。

斎藤「この写真大丈夫でしょうか?」

しえる「かわいいですよ」

米田「かわいいと思います」

2人が賛成してくれたので、かわいいということにしましょう。平和な世界……。

ちなみに、「ソフトクリームを食べているおっさん」は夕方ごろのミニストップに行くとよく見ることができます! 仕事で疲れたおっさんたちが糖分を補給しているんです。

「たとえ靴下1枚でも服を脱いでもらう」

靴下を脱いでもらい、ちょっとした色気を演出しようというコツです。色気か……。

斎藤「だんだんとコツが過激になってきましたが……。しえるさん、大丈夫ですかね?」

しえる「大丈夫です!」


米田さんが「こういうときって『脱いでいる理由』が画面の中から感じられるようにしたほうがいいんですよね……」などと言いながら自分の靴を脱いで、しえるさんの足元に置き始めました。

斎藤「ん? なにしているんですか?」

米田「この写真は『しえるさんが歩いているときに靴ずれを起こしてしまって、その痕を確認するために靴下を脱いだ』というストーリーにしたいんです。ところが、しえるさんが履いている靴はスニーカーなので、靴ずれを起こしそうにないんです。そこで、私の履いているパンプスをここに置きます」

斎藤「写真の中にそんなにストーリーを作り込むんですね……」


自分の靴を脱いでしまった米田さんは、靴下のまま歩き回って撮っています。とにかく本気の熱意!

で、撮れたのがこれ。確かに靴ずれっぽい

で、撮れたのがこれ。確かに靴ずれっぽい

さっきまでの写真とはうって変わって、アンニュイな表情が撮れました

さっきまでの写真とはうって変わって、アンニュイな表情が撮れました

しえるさんも「外出中に靴ずれを起こしてしまった自分」というモードに入ってしまったようです。

僕が靴下を脱いだ写真はこんな感じ

僕が靴下を脱いだ写真はこんな感じ

こちらは靴ずれもなにも関係なく、単に足が蒸れたおっさんの休憩になってしまいました。

靴下を両方脱いだバージョン

靴下を両方脱いだバージョン

想定されていた色気はまったくないけれども、リラックスした表情になっています。実際ラクです。

あっ。足がくさそうとか、そういうことはいわないでほしいです。スニーカーは先週水洗いしたばかりなので、清潔ですよ。くさくないはず……。

「肩にチューして女性らしいフォルムに」

肩に口をつけるというコツ。『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』によると、女性らしい丸みを帯びたラインが強調されるそうですが……。


服はオフショルダーにしてもらいました。ちょっと窮屈そうな体勢ですね。


ん? なんか、だんだん表情がのってきてませんか?

カメラのプレビューを確認。3人がどよめきました

カメラのプレビューを確認。3人がどよめきました

斎藤「……これは完全に『っぽい』写真ですね!」

米田「『っぽい』感じに撮れてますか?」

しえる「『っぽい』! 『っぽい』です! すごい」

みんなびっくりして、目的語がないまま会話が続きます。女性がやるには間違いなくいいポーズですが……。これに負けないような写真が、おっさんで撮れるんでしょうか?

本に書いてあるとおりに肩にチュー。ちょっと無理のある体勢なので表情がくもる

本に書いてあるとおりに肩にチュー。ちょっと無理のある体勢なので表情がくもる

しえる「これはいいと思いますよ! 腕がたくましいのが強調されています!」

斎藤「指圧をやっている(僕の本業は指圧師です)から腕が太くなっちゃっているんですよね……」

確かに、肩の三角筋のシルエットがきれいに出ています。本には、女性らしさを強調するポーズとありましたが、男性らしい筋肉の盛り上がりも強調できるんですね。全世界の指圧師におすすめできるポーズです。超限定的なメソッドですが。

肩ひもに手をかける

米田「斎藤さん、そのまま肩ひもに手をかけてもらえますか?」

斎藤「どういうこと?」


米田「写真を見る人は『ここで被写体の肩ひもを外したいな』って思うんじゃないのかなあ、って気がします。その想像を細かい仕草でもっとかきたててみたい、って思ってしまって……」

斎藤「へー。ポートレート撮影って、なんかいやらしいんですね」

米田「いや、すべてのカメラマンがそうではないです。でも私はそういう写真がわりと好きです!」

斎藤「言い切った! まあなんでもやりますが……」

米田「斎藤さん、顔の向きをそのままで目線だけカメラのほうにもらえますか?」


斎藤「こんな感じ?」

しえる「ギャー! 斎藤さん、流し目うまい!!!」

米田「その表情いいですね〜」(パシャッ)(パシャッ)

やばい、おれ、だんだんヘンなテンションになってきている!!!

今度はしえるさんに交代

今度はしえるさんに交代

米田「しえるさんは、なんとなく服の肩口を触ってみてください」

斎藤「これも僕が肩ひもを触っていたのと、同じことですか?」

米田「そうです。写真を見る人は『肩のあたりを触りたい』ってきっと思うのではないかと……」

肩に触っている手は、モデルの手であると同時に、鑑賞者の手でもあるということでしょうか。写真ってこんなにも奥が深いものだとは……。

しえるさんの表情がどんどん変わっていって、もう完全に「撮られる者の目」になってしまいました

しえるさんの表情がどんどん変わっていって、もう完全に「撮られる者の目」になってしまいました

米田「そしたら今度は服を引っ張って、自分の胸元をのぞき込んでみてください」

斎藤「しえるさん、もう、やめたかったらやめていいですからね!」

どんどんやるしえるさん

どんどんやるしえるさん

気がついたら僕もやっていました

気がついたら僕もやっていました

さっきの話に照らし合わせると、胸元をのぞき込む視線は、モデルの視線というだけでなく、鑑賞している人の視線でもあるんですよね? そういうことですよね?

そんな勝手に鑑賞者をいやらしい設定にしていいのかな? と思いますが……。

それにしても、もう『おっさんをかわいく撮る方法』どころの話じゃないよ。こんな自分、見たことない!!!

「肌が露出している部分だけで切り取る」

「肌が露出している部分だけで切り取る」。これは『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』に載っているコツなのですが、この言葉でピンときますでしょうか? 

つまり裸のように一瞬誤解させるということです。

斎藤「過激なコツですが、やりますか?」

しえる「やりましょう」


撮影自体は過激でもなんでもないですね。ちょっと肩を出してもらって、膝を抱えてもらうだけ。


この範囲をグッと寄りで撮ってもらいます。

すると……


斎藤「……なるほど。こうなるのか〜。この写真、本当に価格.comマガジンに載せられるんでしょうか……?」

しえる「どうでしょう。ちゃんと服を着ているって説明が記事の中にあれば、私としてはいいんですが……」

斎藤「うーん……」

協議の末、これは載せるのは止めておこうということになりました!

ちなみに僕の写真は……

ちなみに僕の写真は……


載せちゃいます! こちらを参考にしてみてください! ちなみに『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』にはもちろん女性での作例も載っています。


女性2人から特に評判がよかったのはこの写真です。どうしてこれが……?


しえる「この写真ヤバイですね。完全に『受け顔』ですね」

米田「あー。これはいい『受け顔』ですね」

斎藤「受け顔ってなんですか?」

しえる「忘れてください」

米田「知らなくていいです」

斎藤「……」(何かを察した)

結論:おっさんだってかわいく撮れる、それ以上の写真も撮れる


3人とも撮影に大満足したので、このへんで終了にさせていただきます。

「女の子がかわいく撮れちゃう本を使えばおっさんもかわいく撮れるのか」。この疑問に対する答えは「撮れる」でしょう。僕も今回おっさんなりに善戦したといえるのではないでしょうか。

それにしても米田さんスゴイ。カメラを向けられると、自分も知らない自分がどんどん出てきてしまう……。そして、おっさんのポテンシャルもなかなかあなどれません!

カメラマンに聞いてみた

カメラマンの米田さんが今回の撮影に用意した機材は以下のとおりです。

・カメラ本体
CANON EOS Kiss X7
米田「軽いボディが気に入って使っています。レンズなどの周辺機器を持ち歩くと、どうしても重たくなるので、せめてボディは軽い物を使いたいです。ただ、このボディは販売終了になっているんですよね……。今からだったら後継機種のEOS Kiss X9でしょうか」

・中望遠レンズ
EF100mm F2 USM
米田「今日の撮影で初めて使ってみたのですが、安いわりに明るくていいレンズです。ポートレート向きとして勧められているレンズで、背景がとてもよくボケます」

ISO:
100 F:2 SS:1/1250

ISO:100 F:2 SS:1/1250

・望遠レンズ
EF-S55-250mm F4-5.6 IS II
米田「今回は使いませんでした。モデルさんとかなり距離があるときに便利ですね。ポートレート撮影では『対面の建物や、道路の反対側から撮る』みたいなシチュエーションで使えます」

・標準レンズ
EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM
米田「今回は使いませんでした。初めてのカメラにちょうどいいスタンダードなレンズですね」

・超広角レンズ
EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM
米田「今回の撮影では不安定なところに立ってもらうときに使いました。下からあおって撮ると、ダイナミックでマンガっぽいパースがついておもしろいです」

ISO:100 F:4.7 SS:1/320

ISO:100 F:4.7 SS:1/320

・単焦点レンズ
EF50mm F1.8 STM
米田「安いわりに明るくてポートレート向きです。暗いところでの撮影でも使えますし、背景がきれいにぼけます。小さく軽いので持ち歩くのにぴったりです。最初にレンズを買うとしたらこれだと思います」

ISO:100 F:2.8 SS:1/640

ISO:100 F:2.8 SS:1/640

ISO:100 F:2.8 SS:1/800

ISO:100 F:2.8 SS:1/800

・パンケーキレンズ
EF-S24mm F2.8 STM
米田「今回は使っていませんが、ポートレート撮影では、モデルさんとの距離が近すぎるときに使えるレンズです」

米田さんが使用しているカメラはキヤノンでしたが、メーカーに関わらず、「35mm、50mm、85m、100mmあたり」で「焦点距離の異なるレンズを2、3本用意できると心強い」と『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』には書かれています。

ポートレート撮影に必要なのは「楽しい時間を過ごす」こと

斎藤「ちなみに、今回の撮影で米田さんお気に入りの写真ってあります?」


米田「しえるさんだったらこれ」


米田「斎藤さんだったらこれですね」


米田「オフショットでこれもいいですね。『夏感』ありますね……」

斎藤「ポートレート撮影で気をつけていることってありますか?」


米田「初対面の人や、そこまで親しくない人でも、緊張や不安といったマイナスな感情を持たせないために試行錯誤しますね。ポートレートって、カメラを通したコミュニケーションなんですよ」

斎藤「確かに『女の子がかわいく見えちゃう55の撮り方』に書いてあることもコミュニケーション術ですもんね」

米田「写真って、モデルさん、カメラマンの感情まで写ってしまうんですよね。モデルさんもカメラマンも楽しかったと思える撮影にできたら、いい写真も撮れてると思います」

斎藤「なるほどなー。ありがとうございました」


いい写真は楽しい時間の証! めっちゃいいですね。この夏、あなたもおっさんをかわいく撮ってみませんか?

いや別に、おっさんである必要はありませんが!

斎藤充博

斎藤充博

1982年生まれの指圧師(国家資格)。「田端ふしぎ指圧」を運営しています。インターネットで記事を書くことをどうしてもやめられない。 ツイッター:@3216  ホームページ:田端ふしぎ指圧

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