特別企画
ついにニコンがフルサイズミラーレスの開発を発表!

劇的に進化した「ミラーレスカメラ」“10年”の歴史を振り返る

一眼レフからミラー構造を省略したミラーレスカメラは、新しいタイプのレンズ交換式デジタルカメラとして2008年に誕生した。今年で誕生からちょうど10年を迎えるわけだが、気が付けば販売台数シェアなどはすでに一眼レフを超える存在になっている。今後、一眼レフに代わってレンズ交換式デジタルカメラの主流になるのは間違いないだろう。ここでは、そんなミラーレスの進化の歴史を振り返って、今後の展開を予想してみたい。

ミラーレス誕生から10年が経過した。その間に登場した特徴的なモデルを紹介しながら、ミラーレスの進化の歴史を振り返ってみよう

2008年〜2009年 マイクロフォーサーズから誕生したミラーレス

ミラーレスの歴史は2008年8月に発表された「マイクロフォーサーズ」規格の登場から始まる。この規格は、オリンパスとパナソニックが当時、両社のデジタル一眼レフに採用していたオープン規格「フォーサーズ」の拡張版。フォーサーズは、4/3型という35mm判と比べて対角線が半分になる小さなサイズのイメージセンサーを採用し、高画質化と小型化の両立を狙った規格だった。マイクロフォーサーズは、フォーサーズのコンセプトをベースに、フランジバックを半分にして事実上ミラー構造をなくし、レンズマウントも小型化することで、さらなる小型システムを実現するという斬新なもの。将来的な動画対応を意識してレンズマウントの電子接点を増やすなど、一眼カメラの未来像を意識した設計も取り入れた。

当時、ミラー構造をなくしたデジタル一眼カメラの研究や検討を行っていたのは、オリンパスとパナソニックだけではなかった。そもそも、一眼レフをデジタル化する過程で「ミラーをなくす」という検討はどのメーカーも行っていたという。ミラーレスをいち早く規格化し、商品化を進めたのがオリンパスとパナソニックの両社であったわけだが、その背景には、デジタル一眼レフの人気が高まっている中で、フォーサーズ陣営が際立った存在感を示せなかったことも少なからずある。裏返せば、他メーカーはデジタル一眼レフが堅調で、それに代わる新しいレンズ交換式カメラを商品化する必要がなかったとも言える。

マイクロフォーサーズ規格の発表から約1か月後、2008年9月にパナソニックから世界初のミラーレス「LUMIX DMC-G1」が発表になる。144万ドットの電子ビューファインダー(EVF)や、横開きのバリアングル液晶モニターを採用するなど、現在のミラーレスと変わらないスタイルのカメラであった。「女流一眼」というキャッチコピーで女性向けをアピールしていたことを覚えているだろうか。

世界初のミラーレスカメラLUMIX DMC-G1。奥行は45.2mで、重量は約385g(本体のみ)。一眼レフと比べてひと回り小さいコンパクトサイズを実現した

続いて、2009年6月にオリンパスが「PEN E-P1」を発表。EVFは搭載せず、奥行35mmで重量約335gの「世界最小・最軽量のレンズ交換式デジタルカメラ」であることをうたった。往年のハーフサイズカメラ「PEN」の名を冠した高品位な小型カメラとして話題を集めた。

2009年6月発表のPEN E-P1。フィルムカメラを思わせるようなクラシカルなデザインは、現在でも「PEN」シリーズに受け継がれている。半年後の2009年12月には、外付けEVFの装着に対応する後継機「E-P2」も発売された

2010年〜2011年 コンパクトなAPS-Cミラーレスが登場。ユニークな小型・軽量モデルも

オリンパスとパナソニックの両社からミラーレスの新モデルがいくつか追加されていく中、次に動いたのはソニーだった。

ソニーは2006年にコニカミノルタから「α」ブランドを引き継ぎ、ミノルタ時代からのAマウントを採用する一眼レフを手がけていたが、2010年5月、同社初のミラーレスとなる「NEX-5」「NEX-3」の2モデルを発表した。フランジバックの短い新マウント「Eマウント」を採用し、APS-Cサイズの大きなイメージセンサーを搭載しながらも圧倒的な小型・軽量化を実現。NEX-5は、ボディの最薄部24.2mm、重量約229g(本体のみ)で、当時、レンズ交換式デジタルカメラとして世界最小・最軽量をうたった。

余談になるが、ソニーはミラーレスを「α NEX」というシリーズ名でスタートした。一眼レフと差別化しつつも、αブランドを残したこの名称は正直伝わりにくかったと思う。NEXは「ネック」ではなく「エヌイーエックス」と呼ぶのもわかりにくくさせていた部分だ。その後、α NEXはなくなり、2013年以降、ソニーのAPS-Cミラーレスは「α6000/α5000/α3000」という型番に沿った名称のシリーズに分かれていく。

NEX-5は、APS-Cサイズのイメージセンサーを搭載しながら、マイクロフォーサーズのお株を奪うような小型・軽量化を実現したことで注目された。フルハイビジョン動画撮影も実現している

NEX-5/NEX-3の登場は大きなインパクトがあった。カメラファンに対して「ミラーレス=小型・軽量」という認識を決定的にしたところがあり、他メーカーからも小型・軽量化を意識したミラーレスが増えていくことになる。

なかでも象徴的だったのが、ニコンの「Nikon 1」シリーズだ。同社ミラーレスの第1弾として「Nikon 1 V1」「Nikon 1 J1」の2モデルが2011年10月に発売。1インチサイズの小さなイメージセンサーを採用し、現在のミラーレスの多くが採用する「像面位相差AF」をいち早く取り入れた高速AFシステムや、AF固定で約60コマ/秒の高速連写など、スペックに特徴のあるコンパクトモデルで話題となった。その後、Nikon 1シリーズは、小型・軽量というミラーレスの魅力を引き出したモデルをいくつかリリースしたが、ミラーレスの高性能化が急速に進む中で、イメージセンサーのサイズで競争力が低かったこともあってか、残念ながら現在では販売終了となっている。

2011年10月発売のNikon 1 V1。1インチセンサーを採用し、高速AF・高速連写を実現した。なお、ニコンはNikon 1シリーズを「レンズ交換式アドバンストカメラ」と呼んでいた

ユニークな展開をしたのはペンタックスだ。2011年8月、超小型ミラーレス「PENTAX Q」を発売。一般的なコンパクトデジカメと同じ1/2.3型の小さなイメージセンサーを採用し、重量約180g(本体のみ)のまさに手のひらサイズのミラーレスとして話題を集めた。その後、イメージセンサーを1/1.7型に大型化したモデルをいくつかリリースしたが、2014年8月発売の「PENTAX Q-S1」を最後に新モデルは出ていない。現在では生産が終了した状況になっている。

2011年8月発売のPENTAX Q。「ナノ一眼」という名称がピッタリの小型カメラだ。なお、ペンタックスブランドでは、一眼レフ用の「Kマウント」を継承したAPS-Cミラーレス「K-01」が2012年3月に発売になった

2011年8月発売のPENTAX Q。「ナノ一眼」という名称がピッタリの小型カメラだ。なお、ペンタックスブランドでは、一眼レフ用の「Kマウント」を継承したAPS-Cミラーレス「K-01」が2012年3月に発売になった

このほか、リコーのユニット交換式デジタルカメラ「GXR」でも、ミラーレスタイプのレンズマウントユニット「GXR MOUNT A12」が2011年9月に登場した。「ライカMマウント」、APS-Cサイズのイメージセンサー、ローパスフィルターレスという思い切った仕様を採用し、オールドレンズの描写を楽しめるミラーレスユニットとしてカメラファンの心を掴んだ。なお、GXRは、GXR MOUNT A12を含めて6つのユニットを用意したが、現在は販売終了となっている。

また、ソニーはこの時期、Aマウント一眼レフ「α55」「α33」(2010年9月発売)で「トランスルーセントミラー・テクノロジー」という新しい仕組みを搭載して話題となった。この仕組みは、既存の一眼レフのような駆動式ミラーではなく、固定式の透過ミラーを採用することで、専用の位相差AFセンサーとイメージセンサーの両方に光を届けるといもの。ミラーの駆動がなくなったことで、AF追従で最高約10コマ/秒の高速連写や動画撮影時の位相差AFを可能にした。ただ、この仕組みはカメラのカテゴライズで物議を醸す。仕組み上ファインダーはEVFになり、ミラーが光学ファインダーに光を届けるわけではないので一眼レフではない。駆動はしないがミラー構造がないわけではないのでミラーレスでもない。既存の枠にはない、一眼レフスタイルのレンズ交換式デジタルカメラの登場であった。なお、このトランスルーセントミラー・テクノロジーは、その後のAマウント一眼カメラで採用され続けている。

2012年〜2013年 「ミラーレス=エントリー向け」が強まる中、オリンパスとソニーが動いた

2012年に入ると、それまでコンパクトデジカメに注力していた富士フイルムがミラーレス市場に参入。2012年2月にレンジファインダースタイルの高級モデル「X-Pro1」を発売。光学ファインダーとEVFを切り替えられる独自のファインダーを「FinePix X100」から継承し、富士フイルムらしい色再現が楽しめるミラーレスだった。その後、富士フイルムは一眼レフタイプの「X-T」シリーズ、コンパクトな「X-E」シリーズといったシリーズを増やし、本格的にミラーレス製品を展開している。2017年2月に中判ミラーレス「GFX」を商品化したのも記憶に新しい。

光学ファインダーとEVFを切り替えながら使えるのが特徴のX-Pro1。この機構は後継モデルの「X-Pro2」などにも引き継がれている

富士フイルムの参入で、計6メーカーがミラーレスを展開することになった。レンズ交換式カメラを手がけたことがある主要メーカーの中で残るのはキヤノンだけという状況の中、2012年7月、キヤノンが同社初のミラーレス「EOS M」を発表した。新開発の「EF-Mマウント」を採用し、同社一眼レフと同じAPS-Cサイズのイメージセンサーと映像エンジンを搭載した小型・軽量モデルだ。撮影モードダイヤルを省略するなど、思い切ったシンプルな操作性とデザインは驚きであった。

キヤノン初のミラーレスEOS Mは2012年7月に発表された。コンパクトデジカメとエントリー一眼レフの間を埋めることを狙ったモデルで、シンプルな操作性とデザインは当時かなり話題となった

この頃、ソニー、オリンパス、パナソニックの3社がミラーレスのラインアップを充実させて販売台数も順調に伸ばしたが、ミラーレスはあくまでも「エントリー向け」の立ち位置のカメラであった。ソニーは「NEX-7」(2012年1月発売)、オリンパスは「OM-D E-M5」(2012年3月発売)という、より本格志向のモデルを発売したが、両社とも一眼レフ(※ソニーは厳密にいえば一眼レフタイプ)をフラッグシップとすることに変わりはなかった。また、この時期、ニコンとキヤノンからミラーレスが登場したわけだが、いずれもエントリークラスだったこともあって、「本格的に撮るなら一眼レフ、ライトに使うならミラーレス」という棲み分けが加速したように思う。

性能面でもミラーレスは一眼レフと比べて差があったのも事実だ。特にAFとファインダーは一眼レフに遅れを取っていた。ミラーレスのコントラストAFは、専用の位相差AFセンサーを使う一眼レフに比べて合焦速度が遅かった。像面位相差AFの技術が使われ始めてきたものの、追従性が低く、動く被写体にピントを合わせるのは一眼レフのほうがやりやすかった。また、EVFは表示タイムラグが発生するという課題があり、リアルタイムに見て撮れる光学ファインダーと比べて、やはり動く被写体が撮りにくいという評価だった。

「ミラーレスはエントリー向け」という認識が高まる中、2013年の後半に、ミラーレス市場に2つの大きな動きがあった。

1つ目は、2013年9月に、オリンパスが新しいフラッグシップモデルとしてミラーレス「OM-D E-M1」を発表し、一眼レフの終了を宣言したことだ。それまでオリンパスのフラッグシップといえば、2010年10月発売の一眼レフ「E-5」だった。だが、E-5発売後に一眼レフの新モデルは出ておらず、事実上マイクロフォーサーズに舵を取っていたので自然な流れではあったが、一眼レフメーカーとしての歴史があるオリンパスが一眼レフをもう作らないというのはインパクトがあった。

「一眼レフを超えるミラーレス」としてオリンパスがリリースしたOM-D E-M1。コントラストAFと像面位相差AFを併用するAFシステムを採用したほか、35mm判換算で0.74倍の大型EVFも搭載。防塵・防滴でフラッグシップに相応しい操作性もあわせ持つミラーレスだった

2つ目は、2013年10月に、35mmフルサイズの大型センサーを搭載する世界初のミラーレスがソニーから発表されたことだ。ソニーはこれまでAPS-Cセンサーのミラーレスを展開してきたが、それと同じEマウントを採用するフルサイズミラーレス「α7シリーズ」を新たに追加したのだ。コストパフォーマンスにすぐれた「α7」と、有効約3640万画素の高画素センサーを採用する「α7R」が第1弾モデルとして登場した。500gを切る(α7:約416g、α7R:約407g、いずれも本体のみ)小型・軽量ボディでフルサイズの画質が楽しめるのは衝撃的だった。

コストパフォーマンスの高さで人気を集めたα7。フルサイズ一眼レフと比べて半分程度の大きさのボディにフルサイズセンサーを搭載しているのは驚きだった

2014年〜2016年 中上級者向けの新世代ミラーレスが続々登場

2014年に入ると徐々にミラーレスの高性能化が加速していく。特にソニー、オリンパス、パナソニックが力を入れて取り組み、ラインアップも中上級者向けが充実していくこととなる。

2014年からの新モデルを順に追っていくと、179点全面位相差AFセンサーを使った高速AFやAF追従・11コマ/秒連写のソニー「α6000」(2014年3月発売)、新開発の「空間認識AF」や4K動画撮影のパナソニック「LUMIX GH4」(2014年4月発売)、有効約4240万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーのソニー「α7R II」(2015年8月発売)などが登場。一眼レフを上回るようなスピードでミラーレスが進化していくようになる。

α6000は、高速AF・高速連写を実現した小型・軽量なAPS-Cミラーレス。発売当時、その高速性が注目された

α6000は、高速AF・高速連写を実現した小型・軽量なAPS-Cミラーレス。発売当時、その高速性が注目された

2016年以降は、一眼レフの上位機種に匹敵する高速性を実現したミラーレスが続々と登場する。このあたりから登場する高性能ミラーレスは、技術の進歩によってAFが高速化して追従性も向上したうえ、EVFのレスポンスも大幅に改善されている。AFとファインダーに関して、かつてのような一眼レフとの大きな差はなくなったと言っていい。

2016年は、425点の全面位相差AFセンサーや高速ライブビュー連写を実現したソニー「α6300」(3月発売)、高速レスポンスと倍率0.77倍のEVFを搭載した富士フイルム「X-T2」(9月発売)も話題だったが、12月に登場したオリンパス「OM-D E-M1 Mark II」がもっとも注目されたと言っていいだろう。

OM-D E-M1 Mark II の最大の特徴は、AF・AE追従で最高18コマ/秒という超高速連写を実現したことだ。イメージセンサーのサイズが小さいとはいえ、キヤノンやニコンのフラッグシップ一眼レフを超える最高18コマ/秒連写を実現したのは驚きだった。ここまで連写速度を高められたのは、ミラーレスならではの部分だが、メカシャッターではなく電子シャッターを利用しているからこそ。電子シャッターで発生する動体歪み(ローリングシャッター歪み)の問題も、イメージセンサーの読み出し速度を従来比で3倍に速めることでほぼクリアしている。

AF・AE追従で最高18コマ/秒を実現した、オリンパスの新しいフラッグシップモデルOM-D E-M1 Mark II。2016年12月に登場した

2017年〜2018年 ミラーレスの高性能化を象徴するソニー「α9」が登場

2017年になると、一眼レフの進化を大きく上回るような、非常にハイスペックなミラーレスが誕生する。

パナソニックは静止画だけでなく動画機能にも注力してミラーレスを開発してきたが、2017年3月発売のフラッグシップモデル「LUMIX GH5」は、さらなる高速処理によって、デジタル一眼カメラとして世界で初めて4K/60p記録を実現した。プロ用のムービーカメラとしても利用できる性能をいち早く搭載したのである。加えて、AFのフレームレートを480fps(従来機GH4の約2倍)に高めるなどの工夫により、コントラストAFでの高速AFを実現したのも話題になった。他メーカーが像面位相差AFを導入する中、パナソニックはかたくなにコントラストAFにこだわっているが、GH5ではコントラストAFでも十分なAF速度が得られることを示した。

4K/60p 記録を実現したLUMIX GH5。高速性を利用して、約18メガの画像を30コマ/秒の高速連写で記録できる「6Kフォト」も実現している

さらに2017年はソニーからエポックメイキングなミラーレスが登場した。5月発売の「α9」だ。「α7シリーズ」の上位に位置するモデルで、何と、AF・AE追従で最高約20コマ/秒という超高速連写を実現したのだ。しかも、ブラックアウトフリーでこの超高速連写が可能。センサーの高速読み出しで歪みを抑える「アンチディストーションシャッター」も実現し、電子シャッターでの動体歪みの問題もクリア。連写の持続性も高く、693点の像面位相差AFによるAFも高速かつ高精度だ。一眼レフのフラッグシップと真っ向勝負できるハイスペックなミラーレスである。

α9を一眼レフからミラーレスへの「ゲームチェンジャー」と呼ぶ声もあるが、確かに、このモデルが、ミラーレスの高性能化の到達点になっている感はある。これ以上のものとなると、すぐには作れないのではないだろうか。そう思わせるほどの高性能だ。なお、現時点でソニーはα9をフラッグシップモデルではなく、プロフェッショナルモデルと呼んでいる。「まだこんなもんじゃない!」という意思表示なのか、それとも、今後さらに高性能なシリーズが登場することを示唆しているのであろうか。

ミラーレスの高性能化を象徴するα9。一眼レフのフラッグシップを超える、ブラックアウトフリーでの最高約20コマ/秒連写を実現し、大きな話題となった

α9の発売後もソニーはスピード感をもって新モデルをリリースしている。有効約4240万画素の高画素センサーを採用しながら最高約10コマ/秒連写を実現した上位モデル「α7R III」を2017年11月に発売。2018年3月には、α9のAFシステムを継承し、こちらも最高約10コマ/秒連写が可能なベーシックモデル「α7 III」を発売した。α9以降の、ソニーのこの一連のリリースは、フルサイズミラーレスの市場を引っ張っていくというソニーの意気込みを強く感じるところだ。

2017年11月発売のα7R III。ニコンの「D850」、キヤノンの「EOS 5D Mark IV」といったハイエンド一眼レフがライバルとなる高性能モデルだ

2018年7月、ついにニコンが動いた! キヤノンはどうする?

高性能化が進むミラーレスだが、今後注目しておきたいのはフルサイズミラーレスをめぐる動きだ。このカテゴリーの製品はソニーが先行しているが、2018年7月25日、ついにニコンが、かねてから噂されていたフルサイズミラーレスの開発を発表したのだ。ミラーレスとしては、生産終了したNikon 1シリーズからの再参入となる。

ニコンのフルサイズミラーレスは新マウントを採用することが明らかになっており、レンズも新設計のものになる。マウントアダプターを介して一眼レフ用のFマウントレンズを利用できることも発表されている。製品の詳細は不明だが、ティザーサイトが用意されており、そう遠くない時期に発表されるのは間違いない。ティザーサイトを見る限りでは、新マウントの口径はかなり大きく電子接点は11個。ボディは大きなEVFやグリップを搭載しているようだ。シルエットからは、エントリーから中級というよりは、本格的な上位機をうかがわせる。高画素センサー機とベーシック機の2モデルの同時リリースが噂されているが、どういうカメラが登場するのか今から楽しみだ。

ニコンのティザーサイトでは、開発中のフルサイズミラーレスのシルエットを確認できる

ニコンのティザーサイトでは、開発中のフルサイズミラーレスのシルエットを確認できる

いっぽう、同じくフルサイズミラーレスの開発が噂されているキヤノンは、まだ動きが見られない。キヤノンはAPS-CミラーレスEOS Mシリーズを継続しており、「EOS Kiss M」というKissブランドのモデルを追加するなど、最近はミラーレスへの動きが活発になってきているが、あくまでもエントリー向けの展開に限られている。中上級者向けの高性能なミラーレスが増えている中で、キヤノンが何もしないということは考えにくい。こちらも、ニコンよりは後になるだろうが、フルサイズミラーレスが発表されると見ていいだろう。

まとめ 予想もしないスピードで進化し続けるミラーレス

こうしてミラーレスの進化の歴史を振り返ると、下から上へのボトムアップの展開だったことがわかる。エントリーから始まって10年でフラッグシップ一眼レフの性能にたどり着いたというのは、予想もしないスピードでの進化だ。「ミラーレスはエントリー向け」という認識が高かったころ、数年でミラーレスの性能がここまで向上するとは多くの方が思っていなかったのではないだろうか。ミラーレスの進化が速いのは、ミラー構造がないため、メカ部分に性能が制限されにくいことが大きい。イメージセンサーや画像処理エンジンといったデジタル部分の技術革新がそのままカメラの進化につながるため、今後もさらなる性能向上が期待できる。

性能の高まりを受けて、ミラーレスは、最近ではプロにも選ばれるようになってきた。特に、機動性が重要なスナップやポートレート、風景といった分野ではプロでも使用している方が増えている。ニコンとキヤノンの動きにもよるが、今後これらの分野はミラーレスがメインとなるであろう。

いっぽうで、一眼レフが強い分野がある。それは報道やスポーツ。この分野では、依然として一眼レフのフラッグシップが選ばれているという。確かに、大きなスポーツイベントでカメラマンが使用している機材を見ると、ほとんどがキヤノンかニコンのように見える。

報道やスポーツで一眼レフが強いのは、カメラへの慣れの問題も大きいが、ミラーレスがまだ一眼レフに劣っているところがあるからだ。よく言われているのは信頼性や操作性の部分。「インターレース表示のEVFはどんなに高精細でも見にくい」というスポーツカメラマンの声を耳にしたこともある。こうしたファインダーに対する集中力が違う報道やスポーツ系のプロに選ばれるには、もう少し時間がかかりそうだ。

2020年の東京オリンピックではさすがに多くのプロカメラマンが一眼レフを選択することだろう。だが、その次のオリンピックではどうだろうか。東京オリンピックが「一眼レフで撮られた最後のオリンピック」になるかもしれない。ここ数年のミラーレスの急速な進化を見ると、本当にそうなるように思えてくる。

余談 「ミラーレス一眼」という呼び方はいつ生まれた?

最後に余談として、「ミラーレス一眼」という名称が生まれた経緯を探ってみたのでまとめよう。

ニュースメディアの記述をさかのぼってみると、ミラーレス初号機LUMIX DMC-G1が発表になったときは「ミラーレスのデジタル一眼カメラ」という使い方が多く、まだ「ミラーレス一眼」という名称は見られないようだ。なかには、内部構造を勘違いしているのか「ミラーレス一眼レフカメラ」という謎の名称を使っているところもあった。ちなみに、パナソニックはLUMIX DMC-G1の発表時に、「ミラーレス構造」という用語は使っているが、製品については「新世代デジタル一眼カメラ」と呼んでいた。

興味深いのは、2009年〜2010年頃、オリンパス、パナソニック、ソニーがミラーレスの新モデルをリリースした際に、どのメーカーも「ミラーレス一眼」という名称を使っていないことだ。オリンパスは「マイクロ一眼」と呼んでいて、オリンパスの担当者からは「オリンパスはミラーレス一眼ではなくマイクロ一眼でお願いします」と念を押されたこともあった。ソニーは「レンズ交換式デジタルカメラ」「レンズ交換式一眼カメラ」と呼んでいた。

「ミラーレス一眼」をメーカーが最初に使ったのは、調べた限りでは、2012年8月発表のパナソニック「LUMIX DMC-G5」のようだ。リリースページで「ミラーレス一眼」と書かれている。近い時期では、2012年10月発表のソニー「NEX-5R」「NEX-6」でも「ミラーレス一眼」が使われ始めている。どうも、この頃に定着した呼び方のようだ。おそらく、正式なものはなかったのだろうが、「ミラーレス構造のデジタル一眼カメラ」を略して「ミラーレス一眼」と表記するようになり、それが浸透していったのではないだろうか。

なお、当時筆者はカカクコム社に勤務していたが、この新ジャンルのカメラの呼び方を統一する際に、「一眼」という言葉を含めるかどうかで議論をした覚えがある。「光学ファインダーではないので“一眼”をつけるのはおかしい」という意見もあったが、結果としては当時一般的になっていた「ミラーレス一眼」に落ち着いた。

2018年の現在では「ミラーレス一眼」ではなく「ミラーレス」のほうがメディアでの表記は一般的になっているように感じる。価格.comでも「ミラーレス一眼」と「ミラーレス」の両方を使い分けているようだ。時間とともに呼び方が変わるのも、正式な名称がないまま商品化したこともあるのだろうが、新しいジャンルのカメラであることを感じさせる部分である。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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