レビュー

まだまだ見られます! 約1万円の天体望遠鏡で火星を観測してみた


太陽系の惑星は、真円に近い楕円軌道を描きながら、それぞれの周期に従って太陽の周りを公転しています。地球と火星も同様で、およそ2年ごとに互いの距離が最も狭まる「衝(しょう)」という接近のタイミングを迎えます。

特に今年は、地球と火星の公転軌道の間隔が狭いところで近づく15年ぶりの「大接近」で、最も接近した7月31日前後には各地で観望会が催されるなど、火星に対する世間の注目度が高まりました。

天文現象や宇宙開発に興味津々の筆者も、地元の観測イベントに参加しようとスケジュールをチェックしていたのですが、仕事やほかの用事で忙しく、その日は自分の目で火星を眺めただけ。とはいえ、最接近日を過ぎたからといって急に遠ざかってしまうわけではなく、普段よりも近くに火星がある状況はしばらく続きます。

少しタイミングが遅れてしまったものの、筆者の得意分野であるスマートフォンと連携する天体望遠鏡で、火星や月の観測にチャレンジしてみました。

スマホアダプターが付属する天体望遠鏡

今回観測に使ったのは、レイメイ藤井の「自然学習館」ブランドから2018年4月に登場した反射式望遠鏡「RXA125」です。

レイメイ藤井の天体望遠鏡、RXA125。コンパクトな卓上タイプです。価格.com最安価格は10,260円(2018年8月28日時点)

ファインダー(上段左)、スマホアダプター(同右)、倍率が異なる2つのアイピース(接眼レンズ)と延長用のバローレンズ(下段)が付属します

天体望遠鏡といえば三脚に載っているイメージですが、RXA125は三脚を持たない卓上タイプであることが特徴のひとつ。三脚がないのでコンパクトに収納ができますし、庭やベランダのテーブルに置くだけで、すぐに観測を始められます。窓際にテーブルがあれば、室内から観測することも可能です。

台の裏にはゴム付きの短い足が3本あって、机の上などに置くだけで観測できます

台の裏にはゴム付きの短い足が3本あって、机の上などに置くだけで観測できます

ただし、アスファルト、砂利敷、草地といった屋外でも設置しやすい一般的な三脚付きの天体望遠鏡に対して、三脚を取り付けられない「RXA125」では観測できる環境に制約があります。自宅から持ち出して観測するなら、折りたたみテーブルなども一緒に用意しておきましょう。

ファインダーを取り付けよう

三脚を持たないRXA125のセッティングは、「ファインダー」という小さな望遠鏡の取り付けと調整のみです。

本体の左側面に備え付けられている2本のネジでファインダーを固定します

本体の左側面に備え付けられている2本のネジでファインダーを固定します

天体望遠鏡は空の狭いエリアを高い倍率で拡大するものなので、観察したい天体を視野に入れようとしても、なかなかうまくいきません。

そこで活躍するのが、低倍率の望遠鏡であるファインダーです。ファインダーの倍率は低いので観測には不向きですが、視野が広いので、目当ての天体を見つけ出すのは比較的簡単です。観測したい天体がファインダーの中心に位置するように望遠鏡を動かしておけば、望遠鏡本体でも同じ天体が観測できる、というわけです。

そのためには、望遠鏡本体とファインダーで同じものが見えるように向きを調整しなければなりません。ファインダーを取り付けるブラケットという土台には3本のネジが組み込まれていて、各ネジの締め付け具合を調整することで、ファインダーの向きを微調整できます。

ブラケットに付いている3本のネジをそれぞれ緩めたり締めたりすることで、望遠鏡を動かすことなくファインダーの向きを微調整できます

ファインダーの調整は、明るい昼間のうちに行います。まずは2本あるアイピースのうち、倍率が小さいもの(RXA125では「K20mm」と書かれた長いほう)を本体にセットします。

RXA125には倍率が15倍の「K20mm」(左)と、75倍の「H4mm」(右)の2本のアイピースが付属しています

RXA125には倍率が15倍の「K20mm」(左)と、75倍の「H4mm」(右)の2本のアイピースが付属しています

アイピースをセットしたら、遠くの鉄塔、ビル、山頂といった目印になる対象物が、視野の中心に入るように望遠鏡を動かします。次にファインダーを覗いて、同じ対象物が中心に入るように、3本のネジを動かして向きを調整しましょう。

なお、天体望遠鏡では視野が180°回転した状態になります。上下と左右の動きが逆になるので、たとえば視野を右に向けたければ、望遠鏡は左に動かさなければなりません。真っ暗な夜空で観測をする前に、視野の動きに慣れておくといいでしょう。

アイピースをセットしたら、鉄塔や山頂などが中心にくるように望遠鏡を動かします。誤って太陽を見てしまわないように気を付けましょう

後述するスマホアダプターを介して撮影した鉄塔の頂部。ファインダーを調整するときの目印には、わかりやすい対象物を選びます

スマホアダプターの使い方も予習しておこう

ファインダーの取り付けと調整にあわせて、RXA125の特徴であるスマホアダプターの使い方も練習しておきましょう。

スマホアダプターは、スマホを天体望遠鏡のアイピースに固定するための付属品です。レイメイ藤井が配信する無料アプリ「星どこナビ」をスマホにインストールすることで、観測できる天体に天体望遠鏡を向けるガイドとして使ったり、スマホのカメラで天体写真を撮影したりできるようになります。

スマホアダプターはRXA125にスマホを固定するための付属品です

スマホアダプターはRXA125にスマホを固定するための付属品です

スマホアダプターの使い方は、以下の4ステップです。

1.スマホアダプターにスマホを取り付ける
2.スマホのカメラが開口部と重なるように位置を調整する
3.スマホアダプターにアイピースを取り付ける
4.アイピースを天体望遠鏡にセットする

まずはスマホを取り付けます。横幅56〜92mmまでの機種に対応しているので、小型のスマホならケースを付けたままでもOK。アダプターはプラスチック製なので、強く締め付けすぎると壊れてしまう可能性もあるので、力の入れ過ぎには気を付けましょう。

側面のボタン類を避けるようにしてスマホを固定します。締め付けすぎないように注意

側面のボタン類を避けるようにしてスマホを固定します。締め付けすぎないように注意

次に、スマホを取り付けた部分の裏側にあるネジを緩めて、スマホのカメラがアイピースの取り付け部分の中心にくるように位置を調整し、しっかりと締め付けます。

右側の丸い部分に取り付けられるアイピースとスマホのカメラが重なるように、アダプター裏面のネジを緩めて円形の開口部とカメラの位置を合わせます

カメラの位置合わせができたら、アイピースを取り付けます。スマホを取り付けたときと同様に締め付け過ぎには注意ですが、緩いと天体望遠鏡にセットしたときにスマホが傾いてしまうので、何度か試して締め付け具合を調整しましょう。

15倍のアイピースを取り付けたところ。緩まない程度に締め付けて固定します

15倍のアイピースを取り付けたところ。緩まない程度に締め付けて固定します

最後に、アダプターに取り付けたアイピースを天体望遠鏡のアイピースホルダーにセットします。観測中にスマホを付け外ししたり、アイピースを交換したりするときには、暗がりでこの作業をしなければなりません。明るいうちにスマホアダプターの使い方を覚えておきましょう。

スマホアダプターと一体化したアイピースをホルダーに差し込んだら準備完了。暗くても作業できるように何度か練習しておくとよさそうです

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