パナソニックが4K60p動画の撮影に対応し、ボディ内とレンズ内の補正を融合させた手ブレ補正システム「Dual I.S.」、バリアングルディスプレイ、デュアルスロット(SDカード・XQD)などを備えたフルサイズミラーレスカメラ「S1R」と「S1」をドイツで開催中のフォトキナ(Photokina)2018で発表しました。両機で異なるのは画素数で、上位モデルの「S1R」が4700万画素、「S1」が2400万画素となっています。
パナソニックからフルサイズミラーレス「LUMIX S」シリーズが登場
「S1R」と「S1」は、ライカが開発したレンズマウント規格「Lマウント」を採用。同規格のレンズの製造と販売にはシグマも加わり、3社で「Lマウントアライアンス」を組織すると発表されました。
フルサイズミラーレスカメラとしては、先行するソニー、ニコン、キヤノンに次ぐ、後発での参入となるパナソニック。高級レンズで高い実績を持つライカ、シグマと組むことで、レンズラインアップを一気に拡充できるかが勝負どころになりそうです
パナソニックの発表に先立って、ライカの発表会の中で行われた「Lマウントアライアンス」のアナウンスでの1コマ
事前のリーク情報などもあり、開催前から大きな注目を集めていたパナソニックの発表会。ソニー、ライカに次ぐ3番手の発表ですが、会場は世界各国から集まったメディアでごった返していました。
発表会開始直前の会場の様子
公式ムービーで新製品「LUMIX S」シリーズをお披露目。
ド派手な「LUMIX S1R/S1」の映像にざわつく会場
実機(モックアップ?)を掲げるイメージングネットワーク事業部長の山根洋介氏。
ド派手な演出に会場のリアクションは「おぉ!」という感動と「えぇ?」という驚きが半々だった印象
「LUMIX S1R/S1」は、コンシューマー向けフルサイズミラーレスカメラとしては、史上初の4K60pでの撮影に対応します。
マイクロフォーサーズの「GH」シリーズから高い動画スペックを持つモデルを発表してきたパナソニックらしい強力な仕様です
噂されていた8K動画撮影機能の搭載こそなかったものの、4K60pでの撮影やボディ内とレンズ内の補正を融合させた手ブレ補正など、「GH」シリーズで好評だった機能をフルサイズ機に移植した隙のないスペックです。
「S1R」と「S1」のおもな違いは解像度のみ
全体的なフォルムは「G9」シリーズの拡大版、といった感じになっています。
本体上部にLCDディスプレイを備える点が特徴で、これはニコンの「Z 7」やキヤノンの「EOS R」でも採用されているデザインなのが興味深いところ
シーリングを施した本体は耐久性に優れ、低温下での使用にも耐えうる設計とのことです。
発表会には、ブランドアンバサダーでありネイチャーフォトグラファーのJoakim Odelbergさんを招いて、堅牢性に言及するなど「タフさ」も大きな特徴
レンズの初回ラインアップは3種類で「Fast prime(50mm/F1.4)」「Standard zoom(24-105mm)」「Telephoto zoom(70-200mm)」。
さらに、パナソニックは2020年までに50mm F 1.4の単焦点レンズなどを含む10種類以上のレンズをラインアップに加えるとしています
発売時期は2019年春とアナウンスされており、価格は未定。画素数や動画撮影機能はソニー、ニコン、キヤノンのカメラを超えており、これで価格がこなれていれば、フルサイズミラーレスカメラ市場の勢力図を塗り変える可能性があるモデルと言えそうです。
追記:2018年9月26日
フルサイズセンサーを搭載し、「Lマウント」規格に対応するパナソニックの新型ミラーレスカメラ「S1R」&「S1」の展示機を「フォトキナ(Photokina)2018」のブースで発見!フォトレポートでお届けします。また、パナソニックの技術広報の方にも気になることを聞いてきました。
パナソニックの展示ブース。フォトキナ開場と同時に多くのメディアが訪れるほど注目度は高かったです
「S1R」「S1」の展示コーナーは全て透明ケースで覆われており、ハンズ・オンやタッチ・アンド・トライは一切できませんでした。残念!
3Dプリンターで作られた、グリップのモックアップ。どのような試作が行なわれて、現在の形に落ち着いたのかがうかがい知れます
展示されていた「S1R」「S1」
上位モデルで4700万画素の「S1R」。サイズや重量などは未発表です
ライカが開発したレンズマウント規格「Lマウント」のレンズは、51.6ミリ径で20mmのショートフランジバック。APS-Cセンサー搭載のカメラにも対応するとのこと
側面のポート類はカバーがかけられているため詳細を知ることはできませんが、「Remote」の文字は確認できます。正式な発表はされていないものの、カバーのサイズを考慮すれば、マイク入力端子とHDMI出力は「搭載」と見てよさそうです
右手グリップ側に搭載されたLCDディスプレイには、シャッタースピードや絞り、ISOなどの情報が表示されています
2400万画素の下位モデル「S1」。両機の寸法は正式に公開されていませんが、ケース越しの見た目には差はありませんでした
ロゴを除いたデザインは「S1R」と共通です
パナソニックから発売が予定されている3種類のレンズ。左から50mm F1.4、70-200mm 、24-105mm
昨日(9月25日)の発表やプレスリリースでは記載のなかった項目について、パナソニックブースで質問してきました。ご回答いただいたのは、パナソニック株式会社マーチャンダイジング部門主幹、技術広報の井上義之さんです。
井上:発売日は2019年の春を目指しています。正式な日付や値段は未定です。
井上:はい。「GH5」とは異なる方式で、“3軸チルト”と呼んでいます。上方、下方へのチルトができます。
※2018年10月3日修正:初出時に自撮り(セルフィー)撮影が可能と記載していましたが、メーカーから誤りとの指摘があり、修正しました。正しくはセルフィー的な使い方はできません。お詫びして訂正します。
井上:それについては、現時点で非公開ですが、展示をご覧いただくと、おわかりになることもあるかと思います。
※筆者が展示モデルを確認したところ、マイク端子を備えているように見えました。
なお、センサーの製造会社やダイナミックレンジ、記録方式(8bitなのか10bitなのか)、外部レコーダーでの記録に対応するか、などについては全て「現時点では未定のため非公開」とのことでした。
ただし「最高のスペック、現時点で実現できる理想の仕様を目指しています」というお話もあり、正式発表の直前まで最高の機能を目指して調整をしている様子がうかがえました。筆者の印象としては「仕様が煮詰まっていない」というよりは「限界ギリギリまでチャレンジする」ための「非公開」の情報が多いのだろうという感触もあり、追加情報の発表が楽しみな状況です。
※上記の情報は2018年9月26日時点のものです。
世界50か国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。