ドイツのケルンで2018年9月26日から29日まで開催されている世界最大級のカメラの展示会「フォトキナ(Photokina)2018」。有名カメラメーカーは当然のこと、カメラアクセサリー、ドローン、スマートフォンメーカーまでもが集結したイベントです。この会場で見つけた注目カメラや一芸に秀でたギアなどの情報をお届けします。
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「究極のスナップシューター」とリコーがうたうGRシリーズ最新モデル「GR III」は、レンズや画像処理エンジン、UIを一新したコンパクトデジタルカメラ。有効画素数約2424万のAPS-Cセンサーや、センサーシフト式手ブレ補正機能を備えます。
レンズは35ミリ判換算28mm相当で、F2.8〜16。フルHD(1920x1080/60p)の動画撮影に対応。本体サイズ109.4(幅)×61.9(高さ)×33.2(厚さ)mm(突起部を除く)で、公称重量は約257g(バッテリー、記録メディア込み)。前モデルまで備えていた内蔵フラッシュは非搭載です。発売時期は2019年春予定で、価格は未定。
展示のモックアップを実際に手に取ることはできませんでしたが、サッと取り出して手軽に撮るのに適したサイズ感でした。スマートフォンへの画像転送もできるので、ちょっと凝ったInstagram用写真撮影などとも相性がよさそうです。
会場に展示されていたのはクリアケースに入ったモックアップのみ
ライカの「ゾフォート」は、ポラロイドやチェキのように、撮ってすぐに現像できるインスタントカメラ。これまでホワイト、ミント、オレンジの3色展開でしたが、新たにブラックが追加されました。
昨今ファッション界で一大トレンドとなっている「ハイブランドとストリート」の融合。そんな流れに呼応するかのごとく、「あえてライカのインスタントカメラ」というギャップを楽しむ製品と言えそうです。黒いボディに大きく入った白文字のテイストも、いかにも2018年のトレンドっぽい
専用のフィルムパックを入れて撮影。カラーフィルムの価格は10枚パックで1,330円(税込。2018年9月27日時点の価格.com最安価格)です
低価格なボックスカメラとして1960年代に登場したダイアナ(Diana)カメラ。低機能ながらも、予測できない写真の仕上がりに一部マニアからカルト的な人気を誇り、あのアンディー・ウォーホルが愛用するほどでした。
ロモグラフィーは、このダイアナカメラを復刻した「Diana+」を販売していたのですが、それに続いてインスタントカメラ「Diana Instant Square」を発売します。
オリジナルのダイアナカメラのノスタルジックな仕上がりをインスタントカメラで体験可能。富士フイルムの「instax SQUAREフィルム(スクエアフォーマット)」に対応しており、ふんわりしたダイアナの写真を、撮ってすぐに楽しめるのが最大の魅力です。
公式サイトで現在予約を受け付け中。実売価格は11,880円(税込)です。
レトロ&チープに振り切ったユニークなデザイン
レンズは交換式で兄弟モデル「Diana F+」と共用できます。
コンパクトサイズながら180°の3D(VR)と、360°の2D動画・写真の撮影に対応したカメラ。専用のソフトウェアと組み合わせてVRコンテンツの製作が可能です。解像度は5.7Kで、主要なSNSへのライブストリーミングに対応します。
人間の眼のように2つのレンズを並べて配置することで、180度°の3D撮影に対応。製作したコンテンツはVRゴーグルなどで楽しめるほか、SNSへ投稿したり、ライブストリーミング配信も可能
360°撮影を行う場合はレンズを畳んで使用します
なお、「Vuze XR」の日本販売は未定です。
360°カメラの先駆者的メーカーのInsata360は、ハイエンドモデルの360°カメラ「Pro 2」 を展示。こちらは日本酷発売済のモデルで、実勢価格は約67万円(税込。2018年9月27日時点での価格.com最安価格)。10月10日に「Insta360 Nano」シリーズの新モデルらしきカメラの登場がアナウンスされていますが、会場での先行展示はありませんでした。
8K30pで3D映像が撮影できる「Pro 2」
世界最軽量で最もタフとうたうペリカンの「Air Case」シリーズは、アウトドアをフィールドとするフォトグラファーなどから高い評価を得ています。そのペリカンが新シリーズ「Peli Air」を発表、ブースで展示していました。
「Air」シリーズは従来機より40%の軽量化を実現しており、ポータビリティが飛躍的に向上。日本発売はもとより、発売時期や価格も未定です。
耐衝撃、防水性にすぐれたハードケース
肉抜き場所を増やすなどして、大幅な軽量化を実現
ゴムパッキンを備えた完全防水仕様。気圧の変化によりフタが開きにくくなるように予防する調整弁付き
クラウドファンディングをルーツに持つ、カメラ&トラベルギアメーカーであるピークデザインのブースには、新作の旅行用カメラバッグ「TRAVEL BACKPACK 45L」が展示されていました。
写真では伝わりづらいですが、再生原料を使用しているという生地の風合いが独特。撥水性もありながら、ターポリンのようなチープさを感じさせない質感のよさが魅力です
専用のカメラ用クッションインナーを装着可能。純正アクセサリのポーチなどと組み合わせることで、ちらかりがちな旅行の荷物を整理できます
カメラやレンズだけでなく、ノートPC用ポケット、パスポートなど貴重品用のシークレットポケットを搭載し、両サイド開き設計のため荷物へのアクセスもスムーズ。全方向への持ち手が付いていたり、キャリーケースに固定できたり、背中への接触面のパッドを2重にして高い通気性を備えるなど、旅行を想定した機能が盛りだくさん。旅行にカメラやレンズを持って行く人にはピッタリでしょう。
ジンバル専門メーカーのZHIYUN(ジーウン)は、日本未発表モデルのデジタル一眼レフカメラ向けスタビライザー「Crane 3 Lab」を展示していました。ハンドグリップにズームや絞りを調節するダイヤルを備え、ジンバル下部にフォーカスダイヤルを搭載。デジタル一眼レフカメラで、本格的な撮影を行うユーザー向けのスタビライザーです。
付け替えて位置を変更できるハンドグリップが特徴。専用アプリを使い、スマートフォンに撮影した映像を転送することもできます
発売日や価格は未定ですが、DJI「RONIN-S」のライバル機になりそうです。
DJIブースで興味深かった製品は、同社のジンバル「RONIN 2」と「RONIN-S」をリモートで動かすためコントロールシステム「Force Pro」(写真手前)。ジャイロ、加速度センサーなどを内蔵し、手元で動かした通りの動きを遠隔にあるジンバルとカメラに無線伝送できます。
モータースポーツの撮影現場など、人が近づくと危険な場所に設置したカメラを離れた場所から操作できます
実際に操作している様子は以下の動画から確認できます。
伝送遅延はわずか0.00001秒となっており、ほとんどリアルタイムに近い操作感を実現。日本でもすでに発売済みで、実勢価格は156,000円(税込。9月27日時点の価格.com最安価格)です。
フォトキナが開催されているケルンの街では、スマートフォンアプリで車体のQRコードを読み込んで「時間借り」ができるシェアサイクルの「mobike」が便利でした。設置台数はそれほど多くなく、利用者もまばらでしたが、旅行者でも簡単かつ手軽に使えるのが重宝しました。
ケルンの街に来る際は、チェックしてみてください
2018年のフォトキナの最大の目玉は、すでにお伝えしたパナソニックのフルサイズミラーレスカメラ「S1」と「S1R」と、ライカ、シグマ、パナソニックによる共同レンズ規格「Lマウント」の発表でした。先行するソニーを追うニコン、キヤノン、パナソニックが今年になって、フルサイズミラーレス市場に参入することで、まさに「戦国時代」とも言える様相をていしているカメラ業界。ひょっとすると、2018年は「あの年が、時代の分かれ目だった」と回顧されるような年になるかもしれませんね。
なお、フォトキナは今回で「隔年9月開催」というサイクルが終わり、2019年からは「毎年5月開催」になります。
世界50カ国以上を旅したバックパッカー。週間アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。