交換レンズ図鑑
ソニーEマウント用の大口径・標準ズームレンズ

価格.comで大人気! タムロン「28-75mm F/2.8 Di III RXD」実写レビュー

今回紹介するタムロン「28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)」は、価格.comの「レンズ」カテゴリーで圧倒的な人気を誇る大口径・標準ズームレンズ。ソニーEマウント用のサードパーティーレンズながら、2018年5月の発売から半年以上が経過した現在でも売れ筋ランキング1位をキープしている(2018年12月20日時点)。実写作例を掲載して、この大人気レンズの特徴をレビューしよう。

価格.comで人気を集める28-75mm F/2.8 Di III RXD(ボディはα7 III)

価格.comで人気を集める28-75mm F/2.8 Di III RXD(ボディはα7 III)

開放F2.8の大口径ながら重量550gの軽量化を実現

タムロンはこれまで、純正品にはない特徴を持つサードパーティーレンズを数多く開発してきたレンズメーカーだ。「高い描写力」「手ごろなサイズ」「手に入れやすい価格」に特徴があり、期待以上の描写力を持つ、コンパクトかつ高コストパフォーマンスなレンズの開発を得意としている。なかでも、1992年に「AF 28-200mm F/3.8-5.6 Aspherical」を発売して以降、タムロンの代名詞となっているのが高倍率ズームレンズ。フルサイズ一眼レフ用からマイクロフォーサーズ用まで、幅広いフォーマットで高倍率ズームレンズをラインアップしている。加えて、美しいボケ味とシャープな描写を実現した伝統の90mmマクロレンズもタムロンを代表する“銘玉”だ。

28-75mm F/2.8 Di III RXDは、そんなタムロンが初めて手がけるフルサイズミラーレス用(ソニーEマウント用)の標準ズームレンズ。これまでミラーレス用としては、ソニーEマウントのAPS-C用や、キヤノンEF-Mマウント用、マイクロフォーサーズ用などを商品化してきたが、ミラーレス用でのフルサイズ対応は本レンズが初となっている。

最大の特徴は、焦点距離28〜75mmのズーム全域で開放F2.8の大口径ながら、重量550gの軽量ボディを実現したこと。ここ数年で発売になったフルサイズ対応・開放F2.8通しの標準ズームレンズは重量が1kg近く、もしくは1kgオーバーのものがほとんどという中で550gというのは際立って軽い。ソニーの最新フルサイズミラーレスはカメラボディに手ブレ補正を内蔵しているため、本レンズはタムロン独自の手ブレ補正機構「VC」は非搭載だが、それを差し引いてもこの軽さは魅力である。

サイズは73(最大径)×117.8(長さ)mmで重量は550g。フィルター径は67mm。開放F2.8通しの標準ズームレンズとしては口径が小さく、全長も短い

ボディから見て手前がフォーカスリング、奥がズームリングのレイアウト。マウント部近くにはルミナスゴールドのタムロンのブランドリングが備わっている。AF/MFスイッチなどはいっさいなく、非常にシンプルなデザインだ

インナーズーム方式ではないためズームで鏡筒が少し伸びる(画像は望遠端75mm時)

インナーズーム方式ではないためズームで鏡筒が少し伸びる(画像は望遠端75mm時)

コンパクトさを重視しながらも光学性能にもこだわっており、XLD(eXtra Low Dispersion)レンズ、LD(Low Dispersion)レンズ、GM(ガラスモールド非球面)レンズなどを適切に配置した、新設計のレンズ構成(12群15枚)を採用することで、諸収差を抑え、ズーム全域で安定した解像性能を実現。さらに特徴的なのは、広角端28mmで最短撮影距離0.19m(最大撮影倍率1:2.9)の高い近接撮影を持つこと(望遠端の最短撮影距離は0.39m)。広角端でのワーキングディスタンスは5.7cmと短いので、広角特有の遠近感を強調した撮影がやりやすいレンズとなっている。絞りは9枚羽根の円形絞り。レンズ表面には、ゴースト・フレアの発生を抑制する「BBAR(Broad-Band Anti-Reflection)」コーティングが施されている。

AF駆動には、レンズ位置を高精度に検出するセンサーと、静粛性にすぐれたステッピングモーターユニット「RXD(Rapid eXtra-silent stepping Drive)」を採用。レンズ鏡筒の可動部や接合部などに防滴用のシーリングを施すことで簡易防滴構造も実現した。レンズ最前面には撥水性・撥油性にすぐれたフッ素化合物による防汚コートを搭載している。

また、ソニーのEマウントミラーレスが搭載する像面位相差AFとコントラストAFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」に対応するほか、AF-C対応の「瞳AF」、ダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)といった機能の利用も可能。カメラ内のレンズ補正(周辺光量、倍率色収差、歪曲収差)にも対応しており、純正レンズと変わらない機能性となっている。

コンパクトな花形フードが付属する

コンパクトな花形フードが付属する

●主な仕様
・焦点距離:28〜75mm
・レンズ構成:12群15枚
・絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
・最小絞り:F22
・最短撮影距離:0.19m(広角端)/0.39m(望遠端)
・最大撮影倍率:1:2.9(広角端)/1:4(望遠端)
・フィルター径:67mm
・サイズ:73(最大径)×117.8(全長)mm
・重量:550g

実写作例

※以下に掲載する作例は、α7 IIIと28-75mm F/2.8 Di III RXDを組み合わせてJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行っていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

絞りをF11まで絞って広角端28mmで撮影。画像の中央だけでなく周辺までシャープな写真に仕上がっている。金属の質感を強調したくて仕上がり設定「クリエイティブスタイル」を鮮やかなビビッドにしたが、極端に青空の彩度が上がることなく、滑らかなグラデーションが得られた
α7 III、28mm、F11、1/160秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:ビビッド、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、14.8MB)

反射する光をモチーフに、クリエイティブスタイルをクリアにして撮影した1枚。コントラストが高く、抜けのよい描写が得られた
α7 III、33mm、F8、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:クリア、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、19.5MB)

この作例もクリアで撮っているが、高コントラストで青色の深さが印象的な写真になった
α7 III、51mm、F11、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:クリア、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、12.7MB)

皿に置かれた栗を、広角端の最短撮影距離(0.19m)で撮影した1枚。広角端では最短でレンズ先端から5.7cmの距離まで被写体に近づいて撮ることができる。広角マクロに強いのもこのレンズの魅力だ
α7 III、28mm、F4、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、10.0MB)

広角端/絞りF4のマクロ作例。これでも被写体の距離には余裕があり、もう少し近づいて撮ることも可能
α7 IIIのボディ内手ブレ補正によって、広角マクロ撮影ながら1/10秒の遅いシャッタースピードでも手ブレを抑えられたα7 III、28mm、F4、1/10秒、ISO800、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、9.38MB)

望遠端75mmで前ボケを生かして撮ってみた。ややボケがうるさい感じだが、ピント位置では非常にシャープな描写となっている
α7 III、75mm、F2.8、1/2000秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、9.22MB)

花の先端にとまるトンボを望遠端で撮影。この作例ではピント位置の解像感に注目してほしい。開放から1段絞ったF4で撮っているが、トンボの毛の1本1本までしっかりと表現できている
α7 III、75mm、F4、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、7.28MB)

水面を反射する光をモチーフに撮影。カメラの適正露出から1段アンダーにしてコントラストを強調してみた。黒く潰れがちな設定だがシャドー部はしっかりと階調が残っている。ごくわずかにゴーストが出ているが許容範囲だ
α7 III、75mm、F14、1/400秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:ビビッド、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(4000×6000、18.6MB)

フレアっぽい逆光の雰囲気を生かして撮影した作例。本レンズは特別逆光に強いレンズではないが、この作例では気になるようなゴーストは出ていないα7 III、75mm、F2.8、1/2000秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、9.28MB)

本レンズは光をよく拾ってくれる印象。この作例では日没前の薄暗い雰囲気をうまく再現できている。大きくて自然な背景ボケも注目点だ
α7 III、75mm、F2.8、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:ライト、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、7.44MB)

本レンズは、被写体や背景の距離によっては、ややボケがかたくてうるさい感じになることがある。この作例はその傾向が出た作例として掲載する。ボケの縁取りも少し気になるところだ
α7 III、71mm、F2.8、1/50秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(4000×6000、12.1MB)

日没時に撮影したが、とてもクリアな描写が得られた。周辺部の点光源でわずかにコマ収差が見られるものの、ボケも滑らかだ
α7 IIIのボディ内手ブレ補正は強力で、この作例では、1/6秒のシャッタースピードながら手ブレが発生していないα7 III、28mm、F2.8、1/6秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、歪曲収差補正:オフ、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、7.75MB)

まとめ “タムロンらしさ”が詰まった高コストパフォーマンスレンズ

今回28-75mm F/2.8 Di III RXDを試用してみて、「高い描写力」「手ごろなサイズ」「手に入れやすい価格」というタムロンらしさが詰まった大口径・標準ズームレンズだと強く感じた。重量550gの軽量レンズながら光学性能にすぐれ、標準ズームレンズとしては、ズーム全域で絞り開放からシャープでコントラストが高い。ボケがややうるさい感じになることがあるのと、逆光にそれほど強くない(標準的な逆光性能)のが気になるところではあるが、サイズと価格を考慮すると十分。価格.comで長期にわたって人気が高いのも納得できる描写力だ。

操作性もよく、フォーカスリング/ズームリングともに適度なトルクがあって使いやすい。AFは静粛性にすぐれており、静かにスーッとピントが合うのがいい。さすがにソニー純正の標準ズームレンズと比べると差があって、逆光時や低コントラスト時にピント合わせが遅くなったり、迷うことがあるものの実用的には十分な速度・精度だ。

価格は、価格.com最安価格(2018年12月20日時点)で85,000円程度。「開放F2.8の大口径」「軽量」「十分な描写力」といった特徴を考慮すると“バーゲンプライス”と言っていいくらい、コストパフォーマンスは高い。旅行やスナップなどでの普段使いにピッタリだ。広角マクロに強く、被写体との距離を気にすることなく撮れるので、テーブルフォトに使いやすいのもポイントである。

Eマウント用の大口径・標準ズームレンズとしては、純正品で最高級の「Gマスター」レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM」が用意されているが、このレンズは大きくて重いうえ価格も20万を超える。周辺部の画質を含めて最高の性能を求めるならこのGマスターレンズを選びたいが、そこまでの性能は必要ないという実用性重視の方にとって28-75mm F/2.8 Di III RXDはとても魅力的。ボディとあわせて最初に手に入れるレンズにも適している。注意したいのはレンズに手ブレ補正を内蔵していないこと。できれば、ボディ内手ブレ補正を搭載する第2世代以降の「α7」シリーズとの組み合わせで使いたい。

あえて気になる点を挙げるとすれば、広角が24mmスタートではなく28mmスタートに設計されている点だろう。この広角側の4mmの焦点距離の差は撮影する被写体によって評価が変わる。旅行やスナップで使うには28mmスタートはとても使いやすい。いっぽう、建築物などを広角で撮るには、特に広角レンズの使用経験があると「28mmだと少し狭い」と感じるときがあるのが正直なところ。このあたりは、「何をメインに撮影するか」を重視して、最適なレンズを選んでいただければと思う。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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